side比企谷八幡
あれからラーパーは大盛り上がり。
平塚先生と大井先生の馴れ初めから始まり、誰も聞きたくないジジイのスージーさんや朋子さんの馴れ初め。
矛先が俺といろは……というよりはジョナサンといろはの馴れ初めになりそうな雰囲気だったのを衰弱している振りをして寝た振りをしてやり過ごし、宿に戻って来た。
ラーメンはその一杯を全身全霊で味わうのがマナーだと言うのに……この連中はそれがわからねぇのか!
雪ノ下は暴力的な味だとか抜かすし……。
ジョルノはラーメンがあまりお気に召さなかったのか、一口だけしか食べてなかった。
まぁ、パスタとは明らかに違うからな。
平塚先生と大井先生は宿に着いた後は、大井先生の家で飲み直すらしい。
そのままお楽しみかな?
まぁ、あの人にも春が来たようで何より何より。
ちなみに俺は戸塚や材木座に吊し上げられた。何で買い出しに出て行ってあんなことになるのかと。
川崎からは「犬も歩けば棒に当たるって言うけれど、アンタの場合は比企谷歩けば奇妙な冒険に当たる……だよね」とか言われた。
修学旅行が始まって以来、三回。今のところ俺と葉山は絶賛ウルフスに全て当たっている。しかも、俺、全部
葉山と言えば、戸部や大和達にどこに行っていたのか問い詰められていたしな。
そこに海老名が混じっていたなんて戸部が知ったら、発狂しかねんな……。
そんなこんなで修学旅行も二日目。
魂が疲弊したダメージのせいか、少しダルい。
今日は、グループ行動だ。
予定では太秦から洛西エリアにかけて巡っていく。
最初の目的地は太秦映画村。実際の撮影にも使われている時代劇のテーマパークで、精巧に作られたセットに、吉原通りや池田屋などが再現された町並みの他、時代コスプレ体験にお化け屋敷や忍者屋敷などのアトラクションも豊富な遊べる観光名所だ。
忍者と聞けば弥七だな。あれから3ヶ月。弥七は元気にしてるかなぁ……。夕べ、ザ・ジュエルを使ったせいか、魂が砕けた時の事を思い出す。
はちまんくんは相変わらずはるのんさんと仲良くしているだろうか?
あの隊長は今でも異世界の侵略と戦っているのだろうか?
あの末裔は未だに弾幕してるのか?
あの性悪は偽物の事件を解決しただろうか?
あの五人目の息子は何かよくわからない異世界人が感想欄に殴り込みしてくるようになって大変らしいな。
そんな事を考えながら、太秦までの道を市バスに乗って葉山グループ&アーシスグループが移動をする。
何か見たことがあるマイクロバスが停留所近くに停まっていたなんて見えていない。
バスに乗り込んだ瞬間にそのマイクロが並走してきているなんて見えない。
良く見知ったアホ毛がチャーミングなJCと魔王が投げキッスをしている姿も見えない。
良く見知った亜麻色の髪の女神の顔は他の何が見えなくても良く見える。
バカ笑いをしながら運転しているジジイには見えないジジイとか、帽子を被り直してヤレヤレと言っている海洋博士とか、ジョジョがいないからイマイチ髪の毛が決まらなくて櫛と格闘している我が社の日本支部長とか、爪のお手入れをしている金髪イタリアンギャングのボスとか、見回りをしているはずのうちの英語教師とか、そんなものは見えない。見えないったら見えない。
………見えないけどさ、俺もそのマイクロバスに乗っても良いかな?
まだ紅葉の時期と言うこともあってバスはギュウギュウ詰め。乗車率にして150%。便利でお得なだけあって、多くの観光客がこの市バスを利用する。通勤ラッシュさながらの人口密度に心がおれそうになる。
どうせじきに拉致られるんだし、いっそあっちに移動しようかな……。
女性陣は………。
川崎とジョジョがバチバチと波紋を放電し、三浦は周囲にガン飛ばして威嚇しており、海老名や由比ヶ浜は守られていた。
うん。三浦のガン飛ばしも怖いけど、ジョジョとウッペリさんの謎の放電は一般人には怖いよね?
そして、俺も何故か安全圏で守られている。
戸塚「八幡、大丈夫?」
八幡「あれ?何か逆じゃね?俺が戸塚とか守る立場じゃね?」
戸塚「もう!八幡!何言ってるんだよ!レクイエムで無理した反動で波紋すら使えない状態じゃあないか!僕の事は心配しないでよ!ちょっとさっきからエルボーが脇に入ったり、足を踏まれてるだけだからさ!」
そうなんだよねー。波紋は使えない。スタンドもボロボロ。今の俺、マジで役立たず。
戸部「っと、ワリー!戸塚君!わり!でもこれしょうがなくね?マジで混みすぎでしょ!」
戸塚「き、気にしなくても良いよ?戸部君。ちょっと回転させてやっちゃおうかなー♪とか、ボールぶつけてやろうかなー♪なんて思ってないから」
内心、相当頭に来ているんだろうが、後ろから踏まれしながら何とか体勢を整えようとした結果だから、怒るに怒れないのだろう。
葉山「次で降りるから、忘れないでくれな」
葉山が声をかけてくる。よくまぁ、この状況で周りを気遣う余裕があるな、あいつは。葉山も疲れているだろうに…。
ようやくの琴電琴平バスが太秦映画村前で止まる。例のマイクロもその駐車場に滑り込んでいた。
………この計画は当然、ジジイの考えた計画である。
出口から吐き出されるが如く、俺達を始めとする修学旅行生と観光客が這い出てきた。映画村で楽しむ前から既にボロボロである。
静「無駄な波紋の修行をしてしまった……」
八幡「いっそ、近くのコメダ珈琲でシロノワールでも食べながら休みたい気分だ。夕べのダメージも抜けきれて無いし………」
今の俺には精神の回復が必要だ!レクイエムでボロボロになったザ・ジェムストーンを回復させねばならん!
比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…
戸部「何年寄りみたいなこと言ってんだべ!ほいっ!海老名さん」
海老名「ありがとー」
行動はやっ!
海老名にチケットを手渡したいが為にダッシュでチケット買って来たのかよ!そのエネルギーに痺れる憧れる!
ボヤボヤしてると気遣い上手の葉山が買って来ちゃうからだろうけど。
涙ぐましい……。
戸部「と、ほい。比企谷君、ジョースターさん。修学旅行はまだまだこれからだって!今からそんなんじゃあ、楽しめないっしょ!へばるなんて比企谷君らしくないって!」
もうへばるだけの理由があるんだよなー。殆ど気力が消耗しきってるんだよなー。まぁ、仕方がないから行くけどさ。
八幡「ダルい………」
静「ハッチ、運が無さすぎ……三回全部に鉢合わせるなんて……」
八幡「それ言ったら由比ヶ浜も葉山もなんだよなー」
静「まぁ、特に葉山は全部で負傷してるからね……よく頑張るよ……ホント」
アイツがああやって頑張っている以上は、先輩としても頑張らなくちゃな。
何とか気力を振り絞り、早速映画村の中へ入っていく。大手門をくぐると、いきなりプリキュアが目に入ってきたが、それにも反応しきれないくらいに俺の精神は今、猛烈にへばっている。精々写メして間田さんに送信するくらいだ。
静「充分に反応してるから」
小町「ホントホント。お兄ちゃん、大丈夫?小町がおぶろうか?」
いやいや、妹におぶられる高校生って恥ずかしいだろ。
八幡「って、さりげなく合流してるし……」
小町「いやぁ。魂が砕けたりとかレクイエムを使う苦痛ってわからないけどさ。ホントに顔色が悪いよ?大丈夫?」
大丈夫じゃあない。体がアチコチ痛いし。波紋使えないし。ハーミット・アメジストも使えない状態だし。エメラルド・ヒーリングやクレイジー・ダイヤモンドでもどうにもならなかったし。
ジョセフ「これは本当にマズイかも知れんのぅ」
川崎「波紋の同調も効かないし……って、ジョセフ・ジョースター。然り気無く混ざりすぎ…」
三浦「まぁ、心を休ませれば回復するっしょ。スタンドのパワーは精神のパワー。焦らずに治療に専念しとくべきだね。続くようならアンちゃんとか専門のカウンセラーに行くしかないっしょ」
川崎「次にウルフスの襲撃があったなら、比企谷は逃げるべきだね」
そうしたいんだけどね。
GDstの時と同様にウルフスの目的って俺なんだよなー。正確にはDIOの魂とザ・ワールド。
目的はメイドイン・ヘブン。
まぁ、ぐったりしているわけにもいかないので江戸の町並みになっているあたりを抜けていく。時折、スタッフなのだろうか、お侍や芸子さんとすれ違う。
ん?芸子さん?
芸子さん「おやまぁ、随分お疲れどすなぁ?わちきが1つ、癒したりはりましょうかえ?」
その芸子さんがへばっている俺に語りかけて来た。
………………是非とも。
八幡「じゃあ、是非とも膝枕をお願いしたいです」
小町「ちょっ!お兄ちゃん!何で芸子さんに恃むの!?そんなの小町がいくらでもやってあげるよ!ポイント低いよ!?」
陽乃「八幡くん!?わたしが膝枕よりも最も色んな事をやってあげるから、そんな見ず知らずの芸子さんにそんな事頼まないでよ!」
由花子「八幡くん?どういうつもり?」
お?おぅ……凄い反応だな。
でもまったく問題ない。
芸子さん「わちきの膝枕でええんどすか?彼女はん達がわめいて」
八幡「むしろ芸子さんじゃあなきゃダメです」
由花子「八幡くん?舞妓遊びは許さないって……」
八幡「つうか、どっからそれを借りてきたの?いつの間に着付けしてきたの?いろは」
小町&陽乃&由花子「え?」
ガチで気付いてなかったの?三人とも。
普通に考えてわかるじゃあないか。
いろは「バレちゃいましたか♪どうですか?ハチくん♪わたしの芸子姿♪」
八幡「マジで惚れました。すり減った精神が癒されていくような感じです。マジでありがとうございます」
いろはがクスクスと笑いながら答えてくれる。
八幡「考えてみ?知り合い以外で俺なんかと話してくれる女の人がいると思う?葉山とか戸部とかイケメンいんのに?初見でこんな関わったらメンドくさそうだとか言われる俺に?」
一同「ああっ!………あ」
最初の「あ」が納得のあで、後の「あ」がやばっ!のあですね。わかります。
自分で言っておいてなんだけど、その納得顔もムカつくなぁ。まぁ確かにそうなんですけどね?
八幡「それに、ちょっと声色を変えたくらいで俺がいろはの声を間違えるわけが無いじゃあないか」
一同「うわっ!のろけうざっ!」
泣いていい?良いよね?君達、僕が今メンタル弱ってるの知ってるよね?物理的にも弱ってるの知ってるよね?
八幡「ううっ!ぐす……」
三浦「本気で泣き始めてるし……」
side比企谷小町
いろは「ちょっと休めるところで休ませて来ます。出るときになったら連絡下さいね?ほら、ハチくん。あっちの方で膝枕してあげますから」
八幡「ぐす……うん………」
トボトボトボトボ………
静「メンタル弱ってるから普段だったら更にのろけるか全力ツッコミするところが……あれは本気でマズイ。せめて今日1日は休ませておかないと……」
小町「そだね。結局、お兄ちゃんのいちばんの癒しはお姉ちゃんしか無いんだね。敵わないなぁ…お姉ちゃんには」
本気で敵わないよ。
だってあんなお兄ちゃんに、どう接して良いかわからないし。
陽乃「はぁ……」
パンパン!
暗くなる小町達にジョセフが手を叩く。
ジョセフ「さぁさぁ!八幡はいろはに任せて、ワシらは映画村を楽しもうじゃあないか!なぁに、影から承太郎がいろは達を守っておる!心配せんでも良い!」
三浦「承太郎が付いているなら安心だね。これがポルナレフや東方会長だったら心配だけど……」
仗助「おい!どういう意味だ!三浦!」
ポルナレフ『昔の私のイメージで言うのはやめてほしいな。優美子』
仗助お兄ちゃんとジョルノお兄ちゃんが持っているココ・ジャンボの中から上半身だけを出したポルナレフさんがツッコム。
相模「ポルナレフさん!その節は助けてくれてありがとうございました!おかげで……うち……うち……」
ポルナレフ「もうすっかり体の方は大丈夫みたいだな。マドモアゼル南」
相模「はい!」
忘れがちだけど、南さんは前にポルナレフさんに助けて貰ったんだっけ。
今のポルナレフさんはカッコいいからね。幽霊だけど。
戸塚「あ、葉山くん達が先に行っちゃったよ。追い付かないと」
小町「あ、そだね。早く行かなくちゃ」
徐倫「あたしは見回りしておくわ。ここらでバイバイ」
静「気を付けてね?徐倫お姉ちゃん。どこでウルフスの攻撃が来るかわからないから」
徐倫「何?珍しく素直じゃない。ジョジョ」
あ、徐倫お姉ちゃんをいじらないジョジョお姉ちゃんも確かに珍しい。
静「ソロだからね。気分じゃあないし」
徐倫「いつもこうなら楽なんだけどね……」
お兄ちゃん抜きの、お兄ちゃんの修学旅行。そんなおかしな修学旅行二日目が始まった。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
八幡は現段階での限界を超える無理をした影響がモロに出ています。
二度目のマンティコアといい、孫悟空といい、ここいらで休ませないと危ない状況に陥っています。
身も心もボロボロの状態です。
本当はこの段階で雪ノ下や材木座を拐っていっても良かったんですが、雪ノ下も材木座もヨハネ戦で活躍しましたので自重しました。康穂ともここで合流することを考えましたが、由花子さんいますし……。
原作との相違点。
バスの中での八幡と戸塚の立場が逆
川崎と三浦が海老名と由比ヶ浜をガード→プラス静
八幡はプリキュアをスルーした→しっかり写メり、間田に送信した
何気に合流している本来はここにいない連中
スタッフらしき侍が通った→プラス芸者コスプレのいろはが通った
八幡はいろはと共に離脱
それでは次回もドンパチドンパチ♪
一同「またかよ!」