今回は味方として登場します。
side葉山隼人
とんとんと軽い音を立てて俺とヒキタニは階段を降りていく。
上の階は女子の部屋になっている。その階段では男子が上に上がらないように厚木が見張っているし、さらにその上では空条先生が見張っているって南から連絡が来た。
わざわざ怖いもの見たさで行くものではないし、厚木はともかく空条先生に見付かったら本当に怖い。
空条先生自身もそうだけど、空条承太郎博士はもっと怖いしね。
俺は汐華初留乃さん……いや、ジョルノ・ジョバァーナさんに呼ばれてロビーに向かう。就寝時間前ならこのくらいの移動は許されているし、ジョルノさんはギャングのボスだから、そんなルールは無視するかも……。
柱の一族の汐華もあれだけど、ギャングとしての汐華もやりたい放題だな…。
ロビーの一角、自販機前には同じく既に呼び出されていた南と結衣が待っていた。
相模「あ、隼人くん。お疲れ」
結衣「何でヒッキーまでいるし!」
八幡「ジュースを買いに来たんだよ。別にジョルノに呼び出された訳じゃあねぇし、出歯亀に来たわけでもないから」
ジョルノ「別にいてもらっても構わないけどね?」
八幡「いきなり背後から現れるんじゃあない。ジョルノ」
ヒキタニが少し驚いた様子でジョルノさんに反応する。
ジョルノ「今夜、僕が彼らを呼んだのは、汐華としての用事だ。ジョースターとしての用事ではない」
汐華としての用事?
確かに実質的に汐華冬乃様が亡くなって、汐華に関する全ての権利は冬乃様のご子息であるジョルノ・ジョバァーナさんが相続した。
従って汐華の眷属だった俺達は、ジョルノさんの部下という事になる。
もっとも、ジョルノさんは汐華としての立場には全く興味が無く、行く行くは汐華の権利は誰かに譲るつもりでいるみたいだけど。
また、旧体制の汐華のやり方には思うところがあるみたいで、ジョルノさんは基本的には俺達に干渉するつもりはないらしい。
そのジョルノさんが、今回に限っては何で汐華の名前を出して来たのだろうか?
ジョルノ「ところで、人が話をしているときに八幡、君は何でコカ・コーラの自販をじっと見てるんだい?」
八幡「お、おかしいんだ……ジョルノ。このコーラの自販機、おかしいんだってばぁ!マッカンが…マッカンの黄色い缶がないんだぜぇぇぇ!飲めないよぉ!なくなっちゃってるもん!この自販!全部ぅ!」
ジョルノ「君はナランチャか?それに当たり前だろ。マックスコーヒーが千葉のように当たり前に入っていると思っているんじゃあない。何度見ても無駄なんだ。無駄無駄。もう一度確かめようだなんて、思わない方が良い」
ものすごくガッカリした表情でヒキタニはカフェオレのコーヒーを買った。何なんだ、このやり取りは…。
ヒキタニは不貞腐れた様子でそばのソファーに沈み混み、チビチビとカフェオレを飲み始めた。そんなに飲みたければ一色に持ってきて貰えば良いじゃあないか。
ジョルノ「雪乃がまだのようだけど?」
結衣「あー……ゆきのんなら……」
由比ヶ浜がホテルに併設されているお土産コーナーを指差す。
そこにはやたら真剣な表情で1つの棚を見ている雪乃ちゃんの姿が……。
あの反応はわかる。猫かパンさんに関するグッズを買おうか買うまいか悩んでいる時の反応だな。多分、地域限定のパンさんグッズだろうね。
ああいう可愛いところは変わってないね、雪乃ちゃん。
しばらく口に手を当てて考えていた雪乃ちゃんだったけど、意を決して周りに目を向ける。そこで俺を含めてジョルノさんに呼ばれていたみんな(プラスヒキタニ)と目が合う。
雪乃ちゃんは素知らぬ顔でこっちに向かってくる。
雪乃「もう時間だったのね。それで、何故比企谷くんはここにいるのかしら?部屋にいづらくなったから逃げてきたの?」
そういう人間でもないと思うけどね。
八幡「飲み物を買いに来たんだよ。そういうお前は大分前からここにいた感じだな。集合時間を忘れるくらいまでには」
雪乃ちゃんはうんざり気味にため息をつく。
雪乃「……クラスメイト達の話題のほこさきがこちらに向かってきてね。どうしてああいう話が好きなのかしら」
大体は想像つくかな?ヒキタニは想像付かないようだ。興味はありそうだけど、聞くと怒り出しそうな雰囲気の雪乃ちゃんの様子を見て止めたそうだ。
ジョルノ「けど、話を聞かれるなら興味を持たれてるってことだ。いいんじゃあないか?」
雪乃「他人事のようにいうけれど、そもそもジョルノ兄さんが文化祭のときに……」
雪乃ちゃんが顔を赤くしてジョルノさんを睨む。
ジョルノ「僕が?ああ……雪乃、僕はイタリア生まれのイタリア育ちだ。情熱的なイタリア人が、妹同然の君や陽乃を可愛がらない訳が無いじゃあないか。僕が悪いんじゃあない。日本とイタリアの民族性の差が悪いんだ」
いけしゃあしゃあと言うジョルノさん。流石はギャングだね。
何があったのかは知らないけど、こんな雪乃ちゃんを見れただけでもこの場に来た甲斐があったよ。
雪乃ちゃんはこめかみを押さえ、瞳を閉じる。
ジョルノ「嫌だったかい?」
雪乃「嫌じゃあないから余計にたちが悪いのよ。ジョルノ兄さん」
諦めたようにため息をつく雪乃ちゃん。
八幡「で、お土産を買うんじゃあないのか?」
雪乃「別にそういうことでもないわ。少し気になっただけよ」
ジョルノ「買えば良いじゃあないか。雪乃の趣味は、僕たちは良く分かっている。かわいいと思うけどね?」
雪乃「兄さん!」
それを聞いて皆が笑い始める。そこに嘲笑とかの類いはない。皆が微笑ましく、雪乃ちゃんの事を可愛く思っているという雰囲気だ。
??「お待たせして悪かった。ジョルノ・ジョバァーナさん」
そんな時だ。懐かしい声がかけられたのは。
振り向くと、そこには………
平塚「皆、久し振りだな。元気にしていたかね?」
スーツの上からコートを羽織り、もう夜中だというのにサングラスをかけている。
八幡「平塚……先生……だと?」
平塚「比企谷もいたのか。いや、その様子だとたまたまここにいたという感じだな」
八幡「…………お久しぶりです」
平塚「警戒するな。今日は総武高校の修学旅行でこっちに来ていると聞いてな。是非とも皆に会わせて欲しいと私の方からSPW財団にお願いしたのだ。ここで会ったのは、きちんとアーシスの許可を得た上での事だよ」
八幡「信用してますよ。もうあなたから、柱の一族や汐華の呪いを感じないですから。それに、ジョルノの立ち会いの元ならば、俺が何かを言う権利はありません」
ヒキタニがそう言うと、平塚先生は安心したのか、フッと柔らかい笑顔を見せる。するとヒキタニも緊張を解いて自然体に戻る。
ジョルノ「久しぶりですね。平塚」
平塚「ジョルノさん。いや、今はジョルノ様……というべきですか?私達汐華の家長になられたとききましたから」
ジョルノ「止めてくれないか?僕はあくまでもパッショーネのジョルノ・ジョバァーナさ。僕自身の力で得た、僕の居場所だ。いずれ汐華は、信頼する人に預けるつもりだよ。それに、君もここで……京都でやりたいことが見つかったのだろう?僕は君を汐華として拘束するつもりはない」
ジョルノさんは平塚先生にそう答える。
平塚先生はそれを聞いてフッと笑う。すると……
??「ひ、平塚さん!」
平塚「え!?大井さん!どうしてここに!?」
前に総武高校に勤務しており、関西に私塾を開いたという大井先生が平塚先生の所にやって来た。
大井「今日、総武高校の元教え子達にお会いになると聞いて心配で付いてきたんですよ!酷い目に逢わないかって!」
大井先生は平塚先生の手を取って真剣な表情で呼び掛ける。平塚先生は顔を赤くしてその目を逸らした。
平塚「い、いえ、だ、大丈夫ですから!そんなご心配される事は何も……」
大井「何を言ってるんですか!だって平塚さんは総武高校を解雇されたんですよね!?何があっても不思議では無いじゃあ無いですか!心配でいてもたってもいられなかったんですよ!?」
平塚「え?あ、は、はい………あ、ありがとうございます?」
突然の事でしどろもどろになる平塚先生だったけど、俺達が見ていることを思い出したのだろう。コホン…と咳払いすると、大井先生の紹介を始めてくれた。
平塚「紹介しよう。彼が私の雇い主である大井大樹先生だ。以前は千葉の数学教師をしていてな、辞められる前は総武高校に赴任していた。私は当時からお世話になっていてな……辞められた後も私の事を気にかけてくれていたのだよ」
ははーん……これは、平塚先生は気が付いていなかったみたいだけど、大井先生は前々から平塚先生に…。
平塚「辞められた原因も、私が総武に赴任したばかりの頃にセクハラしていた先輩教師がとうとう酷い事をしようとしていてな…。現場に駆け付けてくれた大井先生が彼に対して暴力奮ってしまった事が原因で処分を受けてしまったのが理由なんだ。今の世の中、暴力を振るってしまえば終わりだからな……」
大井「紹介に預かった大井です。君達は平塚先生の元教え子かな?雪ノ下さん、葉山くん、相模さん、由比ヶ浜さんの事は彼女から聞いているよ。辞められた後でも気にかけていたからね」
ジョルノ「つもる話も立ち話では何だ。どこかに移動しないかい?」
八幡「あ、俺は戻るんで……」
ヒキタニがそそくさと帰ろうとするが……。
ジョルノ「せっかくだ、八幡。君も彼女とのわだかまりを解消する良い機会だ。一緒に来るんだ」
ガシッとヒキタニの後ろ首を掴むジョルノさん。
八幡「いや、ほら。俺もアレがアレで、これだから…」
ジョルノ「僕もアレがアレで、これだから君を連れていく。ジョセフさん達にも通用しないそれが、僕に通用するとか無駄な事を考えてはいないだろ?」
ジョルノさんはヒキタニをズルズルと引き摺ってホテルを出る。外にはいつの間にかジャンボタクシーが停まっており、そこに押し込まれるヒキタニ。ヒキタニもジョースター家が相手だと弱いなぁ……。
平塚「良いんですか?ジョルノさん……。総武高校の方は外出が………」
ジョルノ「その辺りは徐倫や承太郎さん、仗助さんが上手くやってくれるはずだ。彼らも今日、君がここに来ることは知ってるからね」
平塚「相変わらず好き放題ですね。ジョースター家は」
平塚先生は諦めたようにジョルノさんに続いてジャンボタクシーに乗る。俺達も続いてそれに乗った。それにしても初めてだな。ジョルノさんとお出掛けと言うのも。
side江ノ島江児
うきききき!
見付けたぞ……。平塚静、それに大井……。
俺の人生を狂わせた貴様らを……。
大井をぶちのめして、そしてその目の前で平塚を犯してや……
ドズッ!
背中から胸にかけて衝撃が走った。
こふっ………何だ………?俺の胸から……金の……
立場「今度は誰だ?目覚めたのは……」
江ノ島「ウキキキ!俺だ!」
立場「貴様か………。よりにもよって貴様とはな」
何だ………俺が勝手に………
江ノ島「そう言うなよオロチ。仲間じゃあねぇか」
立場「仲間……ねぇ。まぁ、我々の目的を果たしてくれると言うならば、何だって構わないが」
江ノ島「わかってるよ。上手くやるぜ筋斗雲!」
俺ではない俺が何かを呼ぶと、黄色い雲が飛んできた。
おとぎ話で出てくるあの黄色い雲だ!
立場「遊びが過ぎるなよ?孫悟空」
江ノ島「そりゃあ無理ってもんだ。イタズラを好む伝説がそうはさせてくれねぇってねぇ!」
立場「人間め……南西の方角に余計な物を付け加えてくれる……神聖な物が穢れてしまっているじゃあないか」
そう言って、初老の男は金の矢を回収してどこかへと消えていった。おい!俺を元に戻せ!
江ノ島改め孫悟空「うるせぇんだよ、オメエはとっととあの世にいっちまえ。安心しろ、テメェの穢れきった欲望だけは、きっちりやってやるからよ。この孫悟空様がな。ウキキキ!ウキキキキキキキキ!」
あ………あ………俺が、俺の体から……
空に引っ張られる!
ウワァァァァァァァァァ!
チキショー!平塚静ぁぁぁぁ!お前のせいで俺は……俺はこんな目に!チクショオオオオオオ!
side孫悟空
ウキキキキキキキキ!
最期の最期まで他者のせいかよ。つくづく人間って知的生命体ってのは救いようがないねぇ!
さぁて………奴等は………DIOにジョースターに付いた汐華の倅に、元ブラッディスタンド使いのスタンド使いが4匹に、元ブラッディスタンド使いの能力なしのメスに、普通のオスが1匹か……
やりがいがありそうだねぇ!
孫悟空「筋斗雲!アレをおいかけるぜぃ!」
俺は筋斗雲で奴等の後を追った。久々の現世だ!楽しませてくれよ!DIOとジョースターと元ブラッディスタンド使いどもよぉ!
side?????
無理矢理彼を説得して京都まで来てみれば……。見てしまった……。ウルフスが誕生する瞬間を……このままだとジョルノさんが危ないわ!
それに、八幡くんが夜遊びと言うのも許さない。追いかけるわ!
???「タクシー!」
私は近くを通ったタクシーを拾い、彼らを追いかけたわ。今の幸福をぶっ壊す奴は、誰だろうと許さない!ぶっ殺してやるわ!クソウルフスゥゥゥ!
←To be continued
この日三度目のウルフス戦、申の孫悟空の襲撃が始まろうとしています!
今回の味方戦力は………
ジョルノ、八幡、雪乃、由比ヶ浜、葉山、相模の6人!
彼らは能力を失った平塚先生と一般人の大井を守りながら、孫悟空を倒すことが出来るのだろうか?
そして、後を追う???は誰なのか!?
1、トリッシュ・ジョバァーナ
2、広瀬由花子
3、エルメェス・コステロ
4、比企谷白良
5、藤崎忍
6、ミドラー
7、鶴見留美
8、比企谷小町
9、雪ノ下陽乃
10、マライア
さて、どれでしょう?
それでは原作との相違点。
八幡が自販を使うときに一緒にいたのは戸部→葉山
お土産屋さんの雪ノ下を見たのは八幡のみ→+ジョルノと元ブラッディスタンド使い達
葉山、相模、由比ヶ浜はここには本来いない。
雪ノ下が他人事のように……の後に出てくるのは八幡→ジョルノ
雪乃は戸部の告白支援に関する依頼の事を気にかけている→そもそも依頼は受けておらず、戸部も取り下げた。
平塚先生はラーメンを食べに行こうとして八幡と雪ノ下に見つかった→既に総武高校の職員ではないので、財団に頼んで雪ノ下達に会いに来た
平塚先生は口止めとして八幡と雪ノ下をラーメンに連れ出した→ジョルノが規則を無視して連れ出した
立場、大井先生、江ノ島先生はオリキャラ。平塚先生の過去についてもオリジナル。
立場が都築さん(雪ノ下家の従業員)の親戚というのもオリジナル設定。
それでは次回もよろしくお願いいたします。