しかし修学旅行はまだ始まったばかり!
旅にトラブルが尽きない「ジョジョの奇妙な冒険!」
さぁどうなる
side比企谷八幡
いろは「エメラルド・ヒーリング!」
仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」
小町「コォォォォ……ハッ!」
パアァァァァ!
名古屋で足止めを食らっている内に追い付いた仗助やいろはによって葉山の負傷は癒され、小町によって気付けをされる。
葉山「う………」
相模「隼人くん!良かった!良かったよぉぉぉ!」
復活した葉山に泣きながら抱き付く相模。葉山が重症を負ってからはずっと心配しっぱなしだったからな。
葉山「助かったのか……ありがとうございます。東方会長」
仗助「それはこっちのセリフだぜ?ありがとな、葉山」
仗助が葉山の頭をグシャグシャと撫でる。それに対してくすぐったそうにはにかむ葉山。でも、実際に誇って良いと思う。今回は完全に葉山がいなければ終わっていた。
ジョセフ「しかし、どうするかのう?」
このままだと修学旅行どころの騒ぎではない。運転手がいないまま走り出した新幹線。それを止めたのは資格の持たない学生や高校教師。事実は違うのだが、スタンド使いの戦いを素直に言ったところで正気を疑われて終わる。
と、思ったところで事情聴取を受けていた徐倫が戻ってきた。
徐倫「対外的にはおじいちゃんが言っていた結論に達したわ。何らかの形で座間運転士は職務放棄。電車の異変を感じたあたし達が大惨事を止めたという結論ね。あたしと葉山と雪ノ下は警視庁から表彰を受けるそうよ」
徐倫が困ったような顔をした。それはそうだろう。実際はこちらの事情に公共機関を巻き込んでしまったんだから。
葉山「罪悪感が半端じゃあないな……」
嘘を消すという能力に目覚めたせいか、嘘を吐くことに罪悪感を感じる葉山。けど、ややこしくなるから止めて欲しい。
正直に言ったところで誰も信じない。
徐倫「事情に関してはメールで報告するわ。修学旅行組は車内で説明。幸い、まだみんな起きていないからね」
ちらほら起き始めている奴もいるが。
承太郎「徐倫、葉山、材木座」
徐倫「何?父さん」
承太郎が今回の功労者を呼び止め、そしてしばらく後にその強面を笑顔に変える。
承太郎「良くやった……」
承太郎が徐倫の肩辺りに手を差し出す。
徐倫「ええ。自慢の生徒よ」
徐倫と承太郎はパァン!と、タッチを交わし、それぞれの車両に乗り込む。ちなみに何故雪ノ下の名前が出なかったと言えば……。
雪乃「や、やめて……姉さん、ジョルノ兄さん、恥ずかしいから……」
ジョルノにずっと頭を撫で続けられ、由比ヶ浜と陽乃さんに抱きしめられ、もみくちゃにされていたからだ。
陽乃「きゃーー!雪乃ちゃん!サイコー!」
結衣「ゆきのん!カッコイイー!」
ジョルノ「流石は雪乃だ。僕の自慢の妹だ!」
もう凄い可愛がられようだった。そして……
エンポリオ「隼人。ありがとう。徐倫お姉ちゃん達を守ってくれて」
エンポリオが葉山に礼を言っていた。それに対して葉山は爽やかな笑みをエンポリオに向ける。
葉山「君の代わりをやっただけだよ。俺なりにね」
エンポリオと葉山がタッチを交わす。今回の事で葉山は完全に俺達の仲間として受け入れられた。葉山が必死に頑張った勇気と覚悟の証だ。
葉山「君には期待しているんだ。俺の代わりに、彼女の事を……」
葉山が何かを言いかけるが、首を振ってやめる。
エンポリオ「隼人?」
葉山「いや、誉めてくれてありがとう。今度、一緒に遊びに行けたら嬉しい。空条エンポリオ君」
エンポリオ「?うん、是非」
葉山とエンポリオは握手を交わし、そしてそれぞれの車両に戻っていく。葉山がエンポリオと仲良くするなんて、流石はリア王。
いろは「………鈍感」
ぐはぁっ!
何がだよ!あんなんで何を理解しろって言うんだよ!
ボソッといろはに言われ、ショックを受ける。
いろは「何でもないですよー。ハチ君はそのまま何にも気が付かない方が良いかもですね♪余計な事をしでかしそうですし」
ムムムム?
何か引っ掛かるな。
いろは「それよりも、早く乗らないと置いていかれますよ?ホラホラホラホラ」
八幡「お、おいっ!何だよ、説明しろよ、押すないろは!」
いろはに背中を押されて電車に押し込まれる俺。まったくわからん……結局、何だったんだ?
俺が乗車したと同時に、扉が閉められる。そしていろはは満面の笑みで手を振りながら、出発する俺達の電車を見送ってくれた。
ちくしょう。相変わらずカワイイじゃあないか。
俺もいろはに手を振り返し、自分の席へと戻った。
ーキング・クリムゾンー
名古屋を出発して一時間。俺達は京都に降り立つ。
戸部「べー!寝てたら着いちゃってるじゃん!もったいねー!」
嘆く戸部。その戸部を大和と大岡が慰めている。
まぁ、ドンマイ……。せっかくのアピールタイムがウルフスのせいでおじゃんになっちまったな。運がなかったとしか言いようがない。
晩秋の肌寒さを感じながら、心で戸部に合掌を送りつつ、バス乗り場へと向かう。
京都は地形的に盆地となるため、夏場は暑く、冬場は寒い。この寒暖の差の激しさが京都の四季を美しくしてくれている。
今の時期は丁度紅葉シーズンの最後の方。もうすぐ雪がちらつく頃合いだろう。
今日はこれから清水寺に向かうらしい。
クラスごとにバスに乗り込む。
ここでも新幹線と似たような席順となった。
葉山と戸部、三浦と海老名、由比ヶ浜と相模、戸塚と川崎、俺とジョジョ。何だかアーシスと葉山グループの垣根が段々無くなって来てるな。
ただ、そんな中でも戸部は海老名にアプローチすることは叶わなかったようだ。目的地の清水寺まで距離は短いし、歩いて行ける距離だしな。まぁ、頑張れ。
葉山「他人事だな……」
八幡「いや、他人事だし」
仲間とはいえ、これは海老名と戸部の問題だからな。外野がとやかく言うことじゃあない。
俺達は依頼は断ったし、戸部も取り下げた。
気にはするけど俺達は動かない。
バスが停まったのは他の観光バスもひしめき合うだだっ広い駐車場だ。ここから三年坂を上って清水寺へと向かう。
そして仁王門をバックに集合写真を撮る。紅葉時の時期に集合写真とは乙だな。さて、比企谷八幡はクールにはじっこに……
結衣「ほら、もっと詰める詰める。制服姿の集合写真なんてアーシスじゃあ撮らないから新鮮でしょ?」
由比ヶ浜が逃がしてくれなかった。ジョジョと二人でフェードアウトしようとしたところを捕まり、そしてわりかし真ん中の列の中央の方に引き込まれる。
俺達の行動を遠慮と受け取り、気を回したらしいが、間違ってるぞ由比ヶ浜。単に逃げやすい位置に行こうとしただけだ。
何回かシャッターを切られ、集合写真は終わる。ここからクラス単位の行動となる。
八幡たちは石段を上り、門をくぐり、五重塔に圧倒され、眼下に広がる京都の町並みにため息を吐く。
「あれ?」
「どうしたの?ハッチ」
そこでおかしな事に気がついた八幡に静が声をかける。
「いやいやいやいや!何かおかしくね?いつもの台本形式はどうしたの?!しかも地の文が三人称になってね?何がおきてるの!?」
「言われて見れば……」
と、そこでおかしな三人組が八幡達とすれ違う。
くせ毛の中肉中背の白いパーカーを着た男。
赤いスタジャンを着た茶髪の男。
黒いカーディガンを着た目付きの悪い背の小さな女。
何て事のない集団だが、持ってる気配がヤバいと言うことだけはよく分かる。
「あ?」
女が八幡を睨みながら止まった。
「どうした?旭」
「いや、あの修学旅行の集団にいるあの腐り目が俺の事を女だとか言った気がするから殺してやろうかと…」
「いつもの事だろうが。素人さんを相手にイチイチ気にすんじゃねぇよ。くそチビ」
茶髪が女………のように見える男の娘の頭を手加減なく拳骨を落とす。
「テメェ……信。殺してやるぞ」
「あ?どの口が言ってんだ?くそチビ」
「やめろ!こんなことだから学校にいられなくなるんだろ!来週から奈良に転校するんだから、今度は大人しくしてくれよ?!」
「ざけんな。何でテメェの指図を受けなきゃなんねぇんだよ」
「調子にのるな。このクソ木藤」
何なのだ、この集団は…と、八幡は戦慄した。
一見、ただの男のように見えるが、コイツらは普通ではない。
作風が乗っ取られ、形式までも乗っ取られているのだからアッチの方が格段にレベルが上だ。もしかしたら比企谷○良に匹敵する。
三人が殴り合いをしながら去っていくと……。
八幡「あー、あー、テステス」
静「本日は晴天なり、本日は晴天なり」
あ、戻った。地の文も一人称に戻ったし、台本形式に戻ったし。何だったんだ?あの集団は。
ウルフスでは無さそうだったけど。人前で殺気を隠そうとしなかったり、人前で殴り合いを始めるし。
とにかくあんな危ないのとは関わり合いにならないのが一番良い。作風が乗っ取られるし。
結衣「何してんの?ヒッキー、スタッチ」
八幡「今しがた、変な連中がすれ違っただろ?それで作風が乗っ取られてな……」
結衣「はぁ?何を言ってるの?あ、さっきの女の子、可愛かっ……」
由比ヶ浜の頭上を何かが通りすぎ、空へと消えていった。八幡はスタンド越しでも一瞬しか見えなかったが、あれが気功波というものなのだろうかと頭をよぎらせた。
「そこに触れないのが一番ベストらしいな……って、また乗っ取られてる!」
「次はねぇぞ、無駄乳女」
由比ヶ浜の背後にいつの間に回ったのか、先ほど旭と呼ばれた女男「ギロッ!」………男が低い声で囁いてから立ち去っていった。
結衣「………スタッチ!怖かった!怖かったよぉ~!」
由比ヶ浜がガタガタ震え、涙目のルカでジョジョに抱きついている。
八幡「な、何だったんだ?戸塚並みにアレなのに、承太郎やジョルノ並みに威圧感を与えて来やがった…あんなのがいるなんて知らないぞ……」
カワイイなんて言ってはいけない。奴等は関わってはいけない。俺は直感的にそれを感じた。
余談ではあるが、承一○が先ほどの集団によって既に被害に遭ってると知ったのは、また別の話である。
ーキング・クリムゾンー
清水寺拝観入り口は既に先にはいった生徒達と観光客でごった返していた。入って行くのにもうちょっとかかりそうだな。
ピンローン!
あ、ジジイ達からLINEだ。
京都に到着したらしい。今日はそのまま京都支部で視察をしてから真っ直ぐにホテルに向かうようだ。
一応は視察研修の出張って事になってるから、クラス単位の初日に表向きの用事は済ますってことね。
流石に班別行動の時ならともかく、クラス単位の日に拐われたら事だもんな。
結衣「ねぇ、ヒッキー、スタッチ。これしばらく進まないでしょ?それよか、面白そうなとこ見つけたらちょっと行ってみようよ」
静「後でね。って言うか、それって敵の攻撃を受けるフラグだから」
余計な事をしてトラブルに巻き込まれたり、敵の攻撃を受けるのはジョースター家の宿命だ。
結衣「うっ!イヤなこと言わないでよ……気にしすぎだって」
八幡「それがそうでもないんだよなー。旅先での予定外の行動=敵の襲撃だと思え!これ、ジョースター家の常識な」
結衣「う~、つまんない……」
つまらなくて結構!1日に何度もドンパチしたくねぇ!
結衣「でもあれ……」
由比ヶ浜が指を指すと、戸部が海老名を誘って参拝口から座して離れていない、やや小さめのお堂の方へ向かっている。な、何やってんの!?
あそこは……胎内めぐり?暗闇の中、お堂を巡ることで何かご利益があるらしいが……。
俺達と同様に気がついた三浦と葉山も追いかける。二人とも友達の行動だからな。特に三浦はアヴドゥルさん時代にはポルナレフさんの単独行動には大分手を焼いたのだとか…。戸部はポルナレフさんか……。
気がついた以上は仕方がない。追いかけるか。
葉山「やぁ、俺達も混ぜてもらって良いかい?」
海老名「ほよ?隼人くん。どうぞどうぞ♪お、結衣も来たよー♪旧葉山グループ集合だね♪」
戸部「大和と大岡が忘れられてるわ~」
何かほとんどモブ臭いしな。あと、この場には俺とジョジョもいるんだけど、何?空気扱い?そりゃねぇわー。
結衣「ほらほら、行こ♪」
と言って由比ヶ浜はジョジョの手を引っ張り、百円払って先に行ってしまった。金を取るのかよ。まぁ、商売だから仕方ないか。
階段の下を覗いてみると、なるほど。確かに暗い。前世も含めて洞窟なんて経験したことないけど、RPGのダンジョンってのはこんな感じなのかもな。
結衣「んじゃ葉山くんと優美子、最初ね。あたし達、最後に行くから」
三浦「え?隼人と?まぁ、良いけどさ……ジョースターがいるなかで寄り道……イヤな予感しかしないんだけど?」
三浦が特に俺とジョジョを見て不安がる。
激しく同意だ。
葉山「俺もだ……。朝のあれで痛いほどジョースターのジンクスはバカに出来ないってわかった。来てしまったからには仕方がない。なるべく固まらないか?」
戸部「言っている意味がわからねーけど、良いんじゃね?でも、海老名さん、俺と……」
海老名「戸部っち。ジョースターのジンクスを甘く見ない。固まって行くからね」
信用ねぇな。
だけど、警戒していて正解だった。
ジョースターのジンクスは、ここでもしっかりと仕事をしてくれたのだから。
←To be continued
ジョースターと言えば旅。
旅と言えばトラブル。
トラブルと言えばドンパチ。
イベントもりだくさん!ドンパチももりだくさん!
そして、八龍士達ともニアミスさせてみました。
作風が一瞬だけ変わりましたね。
次は何が来るのか!?
次回もまた、よろしくお願いします。