side城廻めぐり
沙希「くぅぅ!やりますね!城廻先輩!」
川崎さんの波紋による突撃に関してはシンデレラ・ハーヴェストで受け止め、護衛騎馬が崩されるのを防ぎ、精密な鉢巻きへの狙いはわたし自身が防ぐ。
何とか食らい付けているけれど、やっぱり川崎さんは強い!四方八方を囲んでいるのに、一向に倒れる気配がないんだもん!
おまけに波紋の力でも技術でも私は川崎さんに負けている。
沙希「城廻先輩。確かに先輩の策にはやられましたよ。はっきり言えばあたしの負けです。並の人間であれば、なす術もなくやられていたよ。ここまで粘れているのは力のお陰です。あたしが嫌う力押しでの粘り、それがあたしがまだリタイアしていない理由」
川崎さんが私を誉めてくれる。でも、その言葉は逆を言えばそこまでやっても力には勝てないと言うことを示している。
沙希「先輩は最後の体育祭として、燃えているかも知れないけどさ……それはあたしもなんだよ」
めぐり「川崎さんも?」
だって川崎さんはまだ2年生。まだ一年あるのに…。
沙希「普通の生徒として、普通に体育祭の競技に参加できるのは、今年で……いや、去年は力を抜いていたから実質は最初で最後。来年からはあっちだよ」
そう言って川崎さんはジョースターさんと比企谷君を指差した。あ~……だろうね。
それだけ川崎さんは今回は活躍しすぎたね。
沙希「普通の生徒として、最初で最後の体育祭。だったら、何が何でも勝ちたいじゃあないか」
めぐり「最後同士の戦いってわけだね?」
私はニコッと笑う。
基本世界の私だったら最低って言うかな?
多分、これは私じゃあない。って言われるかも?
だってあの組織の私にも首をかしげられちゃったもの。
めぐり「何が何でも勝ちたい……そう言ったね?川崎さん。だったら……残念だけどここまでだよ?」
沙希「なに?!」
もう、最後の罠は動き始めているんだもの。
side由比ヶ浜結衣
結衣「やるね、さがみん。あたし、結構アーシスで鍛えたんだけどなぁ……」
相模「うちだけの力じゃあないよ?結衣ちゃん。遥やゆっこのおかげ。そうでなければうちは簡単に結衣ちゃんに負けていたよ」
今日いきなり組んだ騎馬でさがみんと戦ってたからなぁ~。でも、結構鍛えていたつもりだったのに、そーゆーのって簡単にひっくり返っちゃうんだね。
戦術とかってやつなのかな?
たった数ヵ月の鍛練なんかでは、劇的には変わらないんだね?
でも、あたしが鍛えてきたのは肉体の能力やスタンド能力、技だけじゃあ無いんだよ?
そろそろかな?
ねぇ、さがみん。騎馬との連携ではあたしは負けたよ?
でもね、大将騎との連携ではどうかな?
億泰さんじゃあ無いけれど、頭が良くないあたしだって何度もみんなと訓練とかを繰り返していればわかる。
息を合わせる……というのがわかる。
伊達に普段から一緒にいないし!
side雪ノ下雪乃
雪乃「フリージング・ビーム!」
三浦「クロスファイヤー!」
私の概念を凍結させる冷凍ビームは、しかし数千度という炎を操るマジシャンズ・レッドには通用しない。
何事にも相性というものはあるものね。反則とまで言われているフリージング・ビームの弱点は……結局は凍らせるということ。それを溶かす炎だけはどうしようも出来ないわ。
もっとも、絶望的に相性が悪いわけでは無いわ。
三浦「やるね、雪ノ下。波紋使いに目覚めただけじゃあこうまであーしに食いつけない。不断の努力の賜物だと誇っていいし」
三浦さんは素直に私の実力を誉めてくれたわ。
空条博士の盟友、モハメド・アヴドゥルの生まれ変わりの方から誉めて貰えるのは、嬉しいものね。
だけどね、三浦さん。
雪乃「そういうあなたは、やっぱり熱くなりやすい性格のようね?三浦さん」
三浦「!!」
雪乃「アーシスであるならば、卑怯・汚いはなしのはずよね?」
そう、これはもはやスポーツや競技の領域を越えている。限られた状況の中で、いかに戦いを制するかの一種の実戦だわ。
私は彼女の位置を確認する。
三浦「あんたら……まさか…」
side一色いろは
いろは「くっ……!」
海老名「近付けさせないよ?いろはちゃん。接近戦でのスタンド能力じゃあ、確かに私が負けちゃうけどね?近付こうとするナイチンゲール・エメラルドだけを標的にするならば、エメラルド・スプラッシュは外さないから」
いろは「ヤレヤレです。本体同士の接近戦では騎馬の質で力押しは無理。手っ取り早く騎手である海老名先輩を倒そうとしても技量の差はあまり開いておらずに無理。そして遠距離でのスタンド能力ではこちらが圧倒的に不利。本当にヤレヤレです。降参ですよ?今回は海老名先輩に勝つことは無理そうです」
今回のルールや騎馬の差で、一般の生徒を傷つけずに海老名先輩にわたしが勝つのは不可能そうです。
良くて引き分けで食らいつくのがやっと……というところでしょうか?
海老名「やけにあっさり負けを認めるね?いろはちゃん?ちょっと拍子抜けかな?」
おや?勘違いをしているようですね?
いろは「何を言ってるんです?わたし……いえ、わたしの騎馬が海老名先輩の騎馬に勝つことは不可能だと言ったのですよ?ところで、このチバセンのルールは何でしたか?勝敗条件は?」
海老名「大将騎の生き残りの数……まさか!?」
三浦「海老名!一色を止めろし!」
いろは「もう遅いです!わたしとの勝負に気を取られましたね!?エメラルド・ヒーリング!」
わたしは待っていたんですよ。めぐり先輩、雪乃先輩、結衣先輩の三人の相手の騎馬が疲れ始めるのを。
三人がナイチンゲール・エメラルドの射線に他の騎馬がいなくなるような立ち位置に移動するのを。
そして、それが出来る立ち位置に自然に来れるようにハイエロファントとの戦いで立ち回ることを。
エメラルド・ヒーリングは三人の騎馬、そして射線が通っている味方騎馬の体力を回復させます!
海老名「しまった!いろはちゃんとの一騎討ちにこだわりすぎた!」
いろは「わたしが海老名先輩に勝つ必要は無いんですよ!赤組の勝ちです!」
動きがあったのはめぐり先輩の方でした。
めぐり「全騎!川崎さんの騎馬に突撃!」
沙希「しまった!狙いは騎馬!チッ!」
いくら沙希先輩が強くても、いくら沙希先輩が波紋によって疲れ知らずでも……それを支える騎馬はその限りではありません。
四方八方から周囲の騎馬の体当たりを食らっては、沙希先輩はともかく騎馬の方が持ちませんでした。
沙希「ぴょっ!」
沙希先輩は崩れる騎馬からジャンプし、地面に着地します。
沙希「やられたよ。これを狙われちゃあね…」
川崎沙希…
最強の騎馬の崩落。それは確かに白組の士気を落としてました。
次の決着は結衣先輩です。
騎馬は四人一組。いくら相模先輩、遥さん?ゆっこさん?の三人の連携がよくても、一人だけ噛み合っていない人がいました。
それでもいままでは均衡が保っていた為に辛うじて結衣先輩と戦えていた相模先輩。
でも、沙希先輩のリタイアにより、その一名に諦めムードが出てきました。結衣先輩はその隙を見逃しませんでした。
結衣「左の人を狙って突撃!」
エメラルド・ヒーリングによって体力を取り戻し、更にモチベーションが上がった結衣先輩の騎馬の突進により、ちぐはぐだった左側の人が弾き飛ばされました。
相模「ちょっ!早川!」
早川羽矢「もう………だめ!」
結衣「もう一回!」
相模「キャアアアアア!」
崩れた騎馬により、相模先輩が競技続行不可能。
相模南…
そして……
三浦「やられたし…」
雪乃「今度こそ、決着を付けるわ……美浦さん!空気投げ!そしてみんな!騎馬を止めて!」
雪乃先輩が再び三浦先輩を投げます。ですが今度は着地を担う騎馬が雪乃先輩の騎馬に押さえられ、猫柳を使っても着地先に騎馬はいませんでした。
三浦「してやられたし。また連携で負けたし……」
大将騎2つ……これでわたしが負けても、2対1で赤組の勝ちですね。
海老名「勝負で勝って試合で負けたかぁ……いや、戦略という意味では勝負にも負けたね。さすがはいろはちゃんだよ。二度も負けるなんてね。降参はこっちだね」
そこで大勢が決まり、法螺貝が鳴る。
チバセンは赤組が制しました。
side比企谷八幡
戸部「鮮やかな手並み!赤組の勝利です!」
実況が赤組の勝利を称える。観衆からは両軍に大きな拍手が送られた。
本当に勝っちまいやがった。しかも、実にアーシスらしい勝ち方で…。
驚き半分、納得半分で俺も手を叩く。
そうしているにいろは達が戻ってきた。いろはは今ので結構疲れていた。海老名を相手にしながら全体を見ていたから疲れていただろう。雪ノ下、めぐり先輩、由比ヶ浜とて簡単な相手ではなかったのだから、かなり疲れている。
八幡「お疲れさん」
軽く手を振ると、その手をいろはに叩かれた。
いろは「勝ちましたよ?ハチ君」
雪乃「材木座君、戸塚君、あとは任せたわよ」
結衣「ヨッシー、あとよろしく」
由比ヶ浜の言葉に戸塚と材木座が頷いた。
戸塚「うん、任せてよ」
材木座「うむっ!任せよ!」
戸塚と材木座は自らの胸を叩いて立ち上がった。
悔しいな……みんなと一緒に戦えないのは。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
チバセンは大幅に改編しました。それでは次回もよろしくお願いいたします。