やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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チバセン開始前!

side一色いろは

 

短い休憩時間をはさみ、わたしたちは最後の目玉競技の準備に入りました。

わたしも大将騎の一人です。柔道大会の時に試合に出たのが印象的なのと、ハチ君達ほどではないにしても子供の時から鍛えていた関係でわたしもアスリートくらいには動けるのが理由です。

元々は結衣先輩がやる予定だったそうなのですが、わたしの方が強いからということで、交代することになりました。

他の人は雪乃先輩とめぐり先輩です。

そしてこの種目の発案者である材木座先輩も手伝いに来てくれました。腕には自分で作ったらしき「製作総指揮」の腕章があります。責任感の現れなのか、それとも結衣先輩とイチャイチャしたいのかまではわかりませんが、多分後者なのでしょう。

 

材木座「くぅぅぅぅ!結衣殿の大将騎の姿、見たかったであるぞ……ぅぅぅぅ」

 

すみませんね、わたしで。

 

結衣「ごめんね?ヨッシーには後で個別に見せてあげるから!」

 

材木座「本当であろうな!嘘ではなかろうな!」

 

結衣「う、うん……」

 

ちょっと引いてますね……結衣先輩。

 

雪乃「おかしいわね。比企谷君ならば一色さんの姿をこれでもかと見に来ると思ったのだけれど……」

 

まぁ、今は動くのも億劫っていう状態ですからね。

結衣先輩ではありませんけど、後で見せてあげますか。

二人は一般の競技には参加できないルールがありますから、後は疲れた体を癒す為に大人しくしているべきですね。

 

結衣「でもさ、その格好は何?」

 

雪乃「私が知りたいくらいだわ」

 

雪乃先輩が深い深いため息を吐きます。わたし達が着ているのは、派手で装飾過多かつやや際どい甲冑ドレスです。素材の関係上、ややチープではあるものの、手甲がセパレートされて肌が覗き、背中も肩口くらいまで抜いてあり、見目麗しいのですが、SAOとかいう世界のあの人の服装にそっくりですね……。

まぁ、あのですゲームには参加しませんでしたけど。

この甲冑ドレス自体は急ぎで作ったわりになかなかいい出来なのですが、明らかにおかしい点があります。

 

八幡「おかしい……俺がデザインのラフを見たときはもうちょっと和風っぽかったはずだったのだが…いつの間にこうなったんだ?」

 

そう言っていたのは出来上がりを見たハチ君です。

そうなんですよ!ここの製作、わたしが知らないブラックボックスがたくさんあるっぽいんですけど……。雪乃先輩も知らないということはわたし達が運営委員を去った後て公式にデザインが変更されたというわけでもなさそうで、手甲や足元、襟ぐりなどを気にしています。

 

大将騎の甲冑を着た沙希先輩が機嫌悪そうにぼやいています。ホントは着たくなかったみたいですね。わたしが見ていると、沙希先輩は恥ずかしそうな顔でわたしを睨みます。

 

沙希「なに?」

 

声にも怒りが滲み出ていて怖いですね。しかし、何でもないと言っても納得しないでしょう。

 

いろは「似合ってますよー?沙希先輩♪」

 

沙希「……ケンカ売ってんの?あたしは男装の方が似合ってるよ。それと、無駄にあざといから。一色」

 

沙希先輩はさっきよりもドスが利いた声で返してきます。でも、背も高いしスタイルも良い、見目麗しさは宝塚にいそうな雰囲気の沙希先輩には似合ってると思うんですけどね?まぁ、あまり見られたくないと言うからには視線を外しますか。

その視線の先には典明おじさん……海老名先輩がいます。海老名先輩もコスプレしてますが、こちらは堂々としてますね。

さすがはエジプトまでを学ランで旅した花京院典明おじさんの転生……。コスプレくらいで動じる人じゃあありません。

 

結衣「ホントにこれでやるの?」

 

半信半疑というような様子でわたしの衣装をペシペシと叩きます。すると、ぷらーんと腰ひもが垂れてきました。

 

結衣「あ、ごめーん!いろはちゃん!」

 

沙希「ん………?」

 

結衣先輩が後ろに回り、気付けを直します。

沙希先輩が何かを感じたようですね。何でしょうか?

海老名先輩が結衣先輩の肩にポンと肩を叩きます。

 

海老名「そりゃあ合戦だもん。大将は鎧着ないと……あれ?」

 

結衣「や、でもさぁ」

 

海老名「いいじゃんいいじゃん!プロデュースドバイあたし、メイドさきさきのスペシャル衣装だよ!」

 

沙希「………さきさき言うな」

 

文化祭以来、海老名先輩と沙希先輩の距離感は意外に近付いて来ています。

最後に沙希先輩がそれぞれの衣装のチェックを済ませると、うんと頷きました。

 

雪乃「それにしても……、何故西洋風なのかしら」

 

結衣「確かに……これって侍がやるんじゃあないの?」

 

雪乃先輩が言うと、結衣先輩もはて…と腕を組む。そうなんです。いったい誰がこの洋風の衣装にしたのか。わたしが答えを求めて発案者である材木座先輩と、沙希先輩に何かを言ったっぽい海老名先輩に視線を向けます。

すると、材木座先輩と海老名先輩がくいっと眼鏡を上げました。陽光を受けて眼鏡がキラッと光ります。

 

材木座「知れたこと、我の趣味よ」

 

海老名「知れたこと、私の趣味よ」

 

そうですか。趣味ですか。

実際、物作りの現場とはそうなのかも知れませんね。そうやって様々な人が自分の趣味全開でやった結果、意外な化学反応を起こすこともありますから。

そう考えればちょっと恥ずかしいこの格好も、良いものかも知れませんし、わたしや結衣先輩にとっては彼氏に後でじっくり見せてあげる楽しみが出てきます。

 

めぐり「私も露伴ちゃんに見せてあげたら喜ぶかなぁ」

 

同じように大将騎の姿をしためぐり先輩が楽しそうにやって来ました。

露伴先生はどうでしょ。想像できませんね。

わたしと雪乃先輩の肩を抱いて明るく微笑みます。

 

めぐり「盛り上がりそうだし良いじゃん!逆転を狙っていこう!」

 

これで勝てば30点。

わたしたちが勝ち、戸塚先輩達が決めれば逆転の可能性が出てきます!

 

いろは「沙希先輩。負けませんよ?どんな手を使ってでも」

 

沙希「やれるものならやってみな。受けて立つよ」

 

力では負けます。でも、策やスタンド能力では負けませんよ?沙希先輩!

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

八幡を女装させる事も考えましたが自重しました。
さすがにそればかりはないですしね(^_^;)

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