やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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第2競技・障害部屋

side比企谷八幡

 

2つほど競技を挟んでいる間、俺達は学校のすぐ近くにある磯辺スポーツセンターに場所を移していた。

そこのグランドにはジョースター家が無償で建設した障害部屋がデン!と建っていた。

 

八幡「この数分の為にわざわざこんな場所を買い取ってこんなものを建設してたのかよ……」

 

静「まぁ、そのまま波紋の戦士の修行したりとか、訓練施設として使えるからね……前々からここを目に付けてはいたよ……」

 

相模「っていうか、あんた達……持つの?あのクロスカントリーでも相当きつそうだったけど……」

 

戸塚「死なないでね……八幡」

 

それ、ジジイ達に言ってくれない?

 

いろは「ナイチンゲール・エメラルド。エメラルド・ヒーリング!」

 

体力だけ回復してもなぁ………。SAN値がガリガリ削られるんだよなぁ……。でも、そろそろ時間か……。

 

三浦『さぁ、お待ちかね、特別ルール競技の第2競技、障害部屋を開始します!』

 

八幡「………さて、死にに行くか………」

 

静「ええ………死にに行こっか………」

 

ヨロヨロとスタート地点へ向かう。

もうクロスカントリーで疲れきっていた……。

 

厚木「おまんら……生きて帰ってこいよ……よーい!スタート!」

 

パァン!

 

二人同時にスタートし、罠がたっぷりの建物に突入する。

 

第1の部屋、梯子を登り、そこから2つ設置されているバネ仕掛けのトランポリンをジャンプして反対側にある次の部屋の入り口に突入するトランポリン部屋。

 

最初の焦点は如何に早く梯子を登るかである。ちなみに壁を登るのは障害部屋では禁止されている。もうここで乱闘しろと言っているようなものである。

 

八幡「先に登らせろ!ジョジョ!」

 

静「行かせるか!レディファーストって言葉を知らないのか!」

 

八幡&静「くぬっ!くぬっ!くぬっ!」

 

海老名『おおっと!いきなり乱闘の兆し!しかし、クロスカントリー同様にタイムアップすると次の部屋まで繰り上げスタートになります!』

 

八幡「先にもらった!いかせてもらうぞ!good-bye!ジョジョォ!」

 

蹴り飛ばしてダウンさせた隙に梯子を登る。

そして、トランポリンにジャァァァァンプ!

 

静「ていっ!」

 

八幡「ぐえっ!」

 

2つ目のトランポリンにジャンプしようとした瞬間に後頭部に衝撃が走り、転落して地面に落下。

頭にぶつけられたそれを見ると、メリケンナックルが…これを投げつけられたのかよ。

 

静「おーほっほっほっほ!小学生の時のあだ名がヒキガエルだったよねぇ?ハッチ!」

 

野郎………そう来たか。

高笑いしながらトランポリンへとジャンプするジョジョ。

 

八幡「相手が勝ち誇った時、既にそいつは敗北している!」

 

バチバチバチバチ!

 

静「弾く波紋!?キャッ!」

 

ざまぁみろ!メリケンを投げた声でイヤな予感がして罠を張っといたんだよ!すんなり行かせると思うか!

俺はその隙に梯子を登り直す。

 

静「行かせるかぁ!」

 

ジョジョはジャンプキックを放ちつつ梯子を掴む。

 

八幡「落ちるかよォォォ!」

 

互いに同じ段をつかみながら殴り合い。なんかもう既に目的を忘れてるような気がする。

 

ジョセフ『ギャハハハハハ!面白いのう!』

 

海老名『5秒前!………タイムアップ!次の部屋へ繰り越しスタート!』

 

仕方ねえ、互いに一気に飛び越えて次の部屋へと移動する。

 

第2の部屋、ただ走り抜けるだけのへや。道は狭く、踏み外すと下を流れる急流のプールに落ち、梯子を登って部屋の入り口付近まで戻らなければならない。

 

三浦『スタート!』

 

カン!と音が鳴り、スタート。同時にスタートし、相手よりも壁側を走らなければならない。

今はジョジョが内側だ!

 

八幡「落ちろ!ジョジョ!」

 

静「させるかぁ!」

 

投げて下のプールに落とそうとするが、ジョジョもさすがに抵抗する。あれ?コースの脇に扉みたいなのが……確かここって……。やば!

気がついた時には時既に遅し。扉が開かれ、中からパーの形をしたマジックハンドが飛び出して来た。

 

八幡&静「ぶっ!」

 

コースから押し出され、そのままプールに落下。

おのれ、また水浸しかよ!

 

静「ハッチが仕掛けて来なければそのままダッシュで抜けられたのに!」

 

八幡「仕掛けなければそのまま俺を下に押し出していただろうが!」

 

ドカッ!バキッ!

 

今度は先ほどと同様に梯子を争う水中乱闘。

まだこれ、2つ目の部屋だよね?

取った!先に梯子を掴むも…

 

静「置いてくなんてイヤン♪一蓮托生でしょ♪ハッチ」

 

野郎………、文字通り足を引っ張って登らせないつもりか!

 

八幡「離せ!お前はそこで流されろ!」

 

手を振りほどこうと足をばたつかせるが、一向に離す気配がない!もどかしくなったのでジョジョの顔を踏みつける!

 

葉山『酷い……女の子の顔を踏むなんて……』

 

三浦『おっと比企谷選手の非道な行動に女子からのブーイングが飛び交っています!』

 

だったら乱闘有りにしないでくれね?

だいたいこんな非常識な競技で、普通の人がこれをやったならば死ぬぞ?

 

静「ピョッ!ズームパンチ!」

 

キィーン♪

 

や、野郎………男にやってはならない場所を攻撃してきやがった……。

 

八幡「あが………(|||゜Д゜)」

 

ズル………ドボン………

地獄の苦しみに思わず手を離してしまい、水に落下。

 

静「good-bye!ハッチ!おーっほっほっほ!」( ゜∀ ゜)

 

海老名『こ、これはありなんでしょうか!あり!東方先生によるOKサインが出ました!しかし、今度は男子生徒からジョースター選手にブーイングが飛んでいます!』

 

戸部『あれはひでぇ……。見てるこっちまで痛くなるべー』

 

三浦『女にはわからねー痛みだし……』

 

前世が男だからわかるんじゃね?

ブクブクブクブク……

痛みで悶絶してる間にジョジョが梯子を登ろうと掴む!

 

八幡「おのれ相棒………やってくれるじゃあないか!」

 

ガシッ!

今度は俺がジョジョの足を掴む!

 

静「キャー!エッチ!変態!女の子の足を掴むなんて紳士のジョナサンはどこにいったのよー!離せ離せ離せ離せぇ!」

 

ゲシゲシゲシゲシ!

 

八幡「ケフッ!人の…カボッ!急所を…イテ!パンチしておいて……ブギュル!言えるかぁ!」

 

野郎……顔を頭を何度も踏みつけるんじゃあない!

 

大岡『タイムアップです!次の部屋へ進んで下さい!』

 

戸部『ジョースターさんの足を掴むなんて……うらやましいべ~』

 

三浦『あの足は既に凶器だと思うけどぉ?』

 

その通りだ三浦。さっき頭に受けたストンピングは常人なら一発KOレベルだ。俺じゃあなければそのまま気絶して土左衛門になってる。響きだけなら青狸だな。

 

第3の障害部屋。冷凍部屋&エレベーター

 

八幡「さみぃぃぃぃぃぃ!弾く波紋!」

 

静「水に濡れた後でこの部屋は拷問だっつーの!同じく弾く波紋!」

 

ジジイ!殺す気か!しかもエレベーターで上がらなければ上のフロアに上がれねぇって、壁登りなりジャンプで上に行かせろよ!

足元滑るし、障害なのか設計ミスなのかわからないむき出しのパイプが地味にイヤな障害になっていやがる!

 

八幡「雪ノ下か!この凍結は雪ノ下の仕業か!」

 

静「自分でここをやってみろっつーの!軽く死ねるわ!」

 

それでも乱闘をやめない俺達。というより、乱闘でもしてなければ凍えるくらいにキンキンに冷えてやがる!

 

八幡「いいい命にかかか関わるるるジョジョジョジョォォォォ!ととととと止まるな、しししし死ぬぞ」

 

静「ははははハッチならななな慣れてるだろうけど、わわわわ私はななな慣れてないいいいいい」

 

お前、あの世界では極寒の空を飛んでたじゃあないか!

こっちは気化冷凍法で一瞬で凍らされただけで、こうやってじわじわ凍らされるのは慣れてねぇ!

エレベーターが来た!二人揃って中に飛び込む。この状況じゃあレースどころじゃあない!

 

八幡「なななな中もさささささ寒いぃぃぃぃ!」

 

静「ねねねねね寝ちゃダメだよよよよ」

 

八幡「お、俺……生きて帰ったら結婚するんだ……」

 

静「起きろぉぉぉぉぉ!ハッチぃぃぃぃぃ!寝たら死ぬぞぉぉぉぉ!」

 

八幡「ハッ!エレベーターが開いた!ここは休戦だ!脱出するぞ!」

 

静「こんなところに長居していたらマジで死ぬ!」

 

八幡&静「覚えてろぉぉぉぉぉ!雪ノ下ぁぁぁぁ!」

 

俺達は乱闘などする余裕もなく、冷凍部屋から脱出した。

 

side雪ノ下雪乃

 

結衣「ゆきのん?」

 

雪乃「私じゃあないのだけれど……」

 

???「袖の白雪……終わり」

 

ジョセフ「ご苦労じゃったの?」

 

???「それよりも早くあれを返せよ?」

 

雪乃「…………コラボ、終わっていたはずよね?」

 

結衣「あっちのヒッキーの仕業だったんだ………」

 

ジョセフ「安心せい。雪乃の誤解は解いておくよ」

 

そうですか。誤解で恨まれたらたまらないものね。

やれやれだわ。

 

 

side比企谷八幡

第4の部屋

 

八幡「…………高速エスカレーター部屋」

 

静「体力と気力をガリガリ削られた上にまた梯子部屋?」

 

八幡「とりあえず走り抜ける!」

 

静「行かせるか!」

 

バキッ!ドカッ!

 

戸部『おおっと!殴り合いをしながらでは無理があるのか、一切前に進めない両選手!』

 

海老名『殴り合いを止めれば良いのにね』

 

三浦『ほとんど意地と気合だけで走ってるし』

 

くそっ!このままじゃあ埒があかん!ジョジョのキックを屈んで回避し、そのまま極悪エスカレーターを逆走する。

 

静「あっ!レースを忘れてた!」

 

ジョジョが追い付く前に梯子を登ろうとするも、また梯子デスマッチか始まる!

 

八幡「落ちろ!ジョジョ!」

 

静「イヤだ!落ちたらまた逆走エスカレーター走らなきゃダメじゃん!」

 

互いに殴り合いながら梯子を登りきる。が……

 

八幡&静「え…………?」

 

登り切って上に上がった瞬間にエスカレーターが起動。

そのまま二人とも流されて……

 

ドッシーーーーン!

 

梯子を登る前のエスカレーターの上に落とされた。

 

八幡&静「…………………」

 

三浦『ワン!ツー!スリー!フォー!』

 

八幡&静「ぐぬぬぬ………」

 

気力で起き上がる俺達。

 

八幡&静「これ………このまま失格でも良いような気がしてきた……」

 

何だかバカらしくなってきた。

 

戸部『またしてもタイムアップ!やる気があるのか?両選手!』

 

雪乃『あそこまで失格にならなかっただけでも大したものだと思うのだけれど……』

 

 

最終部屋・妙に薄暗くて台が行く手を阻んでいる。

 

静「ハッチ…もう疲れた……乱闘無しで行こう……」

 

八幡「普通に通過するだけでも拷問だろ……」

 

台をジャンプで登り、次に小さなプールを横切ってそのまま出口。

 

静「おかしい……こんな緩いコースが最後の障害?」

 

八幡「何があるかわからん……慎重に行くぞ?」

 

台を飛び降り、着地をしようとしたところで…

 

フッ………

 

辛うじて付いていた電球が消え、完全に真っ暗になった。地味にイヤな障害だな!

 

ツルッ♪ドテン!ボチャーーーン!

 

着地した床は濡れて滑りやすくなっており、そのまま転倒してプールに転落。

転落が多いなぁ……それに、なんか柔らかいような…

 

パッ!明かりが点いた。

 

八幡&静「………………………」

 

お約束だな。俺の手がジョジョの胸を鷲掴みしていた。

 

八幡「えっと………すまん」

 

静「まあ、こういうのはそれなりにあるから気にはしてないけど………ベタだね………」

 

八幡「出るか………」

 

静「うん…………」

 

二人で協力して慎重に障害部屋を乗り越え、屋上に出る。

 

八幡「レースなんてどうでも良くなった…」

 

静「もう、生きて出られただけでももうけものだよね」

 

二人は涙して同時にゴールし、互いの命があることを喜んでハンドシグナルを交わした。

次の競技の棒登り玉割りの二本の棒の下で……

 

厚木「あれを生きて出てくるだけでも大したもんや…」

 

徐倫「あそこ、今後残すみたいだけど、誰が使うんだろう?それよりも、ハッチ?」

 

八幡「ん?」

 

徐倫「早く逃げた方が良いと思うよ?」

 

え?

バサァ!

え?マット競技用のマット?え?

グルグルグルグル……

 

いろは「ハチくん?ジョジョ先輩の胸を触りましたね?」

 

ダラダラダラダラ………

いろはによって簀巻きにされる俺。

事、事故だ……。意図的じゃあない。

 

八幡「事故だぁ!いろはの胸ならともかく、ジョジョの胸を触ろうとなんて思わない!」

 

静「それはそれで腹が立つ言い方……」

 

いろは「問答無用です!次の競技まで反省して下さい!」

 

ポーイ♪

簀巻き状態で屋上から吊るされる俺。

ギャァァァァァァ!お前は20年ぶりに映像化された新宿の傭兵のパートナーか!槙村◯かぁ!俺は冴羽◯じゃあないぞぉ!ハンマーが来ないだけましだけどさぁ!

 

八幡「誤解だぁぁぁぁ!許してぇぇぇぇ!今回はいろはの風呂を念写したわけじゃあねぇぇぇぇ!神様仏様いろは様ぁぁぁぁ!」

 

俺の絶叫がスポーツセンターに響き渡った。

 

←To be continued


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