やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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大した親子

side静・ジョースター

 

終わっ……た………

 

静「ううっ!」

 

仗助「ジョジョ!」

 

レクイエムは……強大すぎた。

これを2つ同時に1つの魂でやったんだ…

ハッチの魂が砕けたのもわかる。

 

静「お兄ちゃん……矢を……預けるわ」

 

仗助「この矢は……どこから?」

 

静「わからない……多分だけど、第七倉庫にある矢の内のどれかだと思う。もしかしたらマリアナの海のそこからかも………気が付いたら、私の前に浮かび上がっていた。まるでそれが世界の意思のように……」

 

ドサッ!

 

足元が覚束ない私は、とうとう倒れてしまった。

 

仗助「ほらよ。おぶされ、ジョジョ」

 

静「私は……自力で……」

 

仗助「無理すんなよ。こんな時くらい、兄貴を頼れ」

 

婚約者じゃあ無いんだ。お兄ちゃんにとっては、まだ私は妹なんだね。一生変わらないのかな。

 

仗助「人前で妹を妹以外の扱いをするわけにはいかねぇだろうが

 

ボソッと何かを言ったお兄ちゃん。だけど、もう眠気の方が勝っていて、霞む目は唇を読む事も出来ない…。

 

仗助「今は眠れよ。俺のお姫様」

 

もう………無理………おやすみ………。

 

 

side東方仗助

 

ピリリリリリ!

 

無機質な電子音がスーツのうちポケットから鳴り響く。この何の設定もないただの着信音が鳴り響いた場合は特務用の携帯が鳴ったときの音だ。

発信者は……八幡か。

 

仗助「どうした?」

 

八幡『やっと繋がった!どうしたじゃあないよ!相棒は無事なのか!?康穂は無事なのかよ!?仗助!』

 

仗助「安心しろ。全員無事だよ。葉山や相模も含めてな。俺がいるんだ。誰も死なさねぇよ」

 

じいちゃんみたいに、重チーみたいに……俺の前じゃあ誰も死なさねぇ……ましてやジョジョを。

 

八幡『そこじゃあねぇ!相棒はどうなった!?やっちまったんだろ!?モリオンを!』

 

仗助「ああ、まぁ、無事だ。真実の力を同時に使うなんていう無茶をやって危なかったけどな」

 

八幡『それは……つまりジョジョはレクイエムを制御したっていう解釈で良いな?』

 

仗助「そう言うことだな」

 

八幡『マジかよ……たった一回で真実に到達するとかさすがは相棒…マジで天才だな』

 

八幡は悔しそうに言う。

そうか。八幡はガチのレクイエムを4度使っている。

千葉村で、そしてあの5つの世界の内、3つで。

それでもまだ、完全に制御が出来ていない。

 

仗助「康穂も無事だ。危なかったけどな」

 

八幡『ああ、やっぱり引き金は康穂だったか。でなければアクトン・モリオンを使うまで怒るはずが無いもんな。能力は何だったんだ?』

 

仗助「よくわからねぇ。真実を透明にするのと透明な真実を実体化させるとか……理屈的にはそんなことを言っていたんだけどよ。そして真実にするか否かは本人じゃあなくて周囲だとか何とか…」

 

八幡『なんだそりゃ。けど、何て言うか…ザ・ワールド・オーバーヘブンみたいな能力だな。実にレクイエムらしい能力と言うか……』

 

仗助「確かにな。結局、それがレクイエムなんだろうな」

 

八幡『残るジョースターのレクイエムが解明されていないのは、仗助と徐倫だな』

 

仗助「あ?何でだよ。ジョルノくれえしかまだレクイエムやってねぇだろうが」

 

何を言ってやがるんだ?この弟分は。

 

八幡『バッカ。俺のレクイエムが解析されている以上は、ジジイと承太郎のレクイエムも解明されているも同然なんだよ。同じタイプのスタンドだぞ?二人とも』

 

そっか。忘れてたぜ。

ジジイのは真実の投影。承太郎さんは真実の消滅か。

俺と徐倫のレクイエムはどうなんだろうな。

想像もできねぇし、やりたいとも思わねぇけど。

 

仗助「ま、今日はこのまま解散だろ。買い物っていう空気じゃあ無くなっちまったからな。代わりの遊びは用意しておかねぇとな。ってことで、オメェらも早く仕事を切り上げろよ?それぞれの親御さんの許可は必要だが、いつもん所でパーティーでもやろうぜ。じゃあな」

 

八幡『おっ?粋じゃあないか。速攻で終わらす!相棒も康穂も心配だしな。お疲れさん、アニキ』

 

仗助「あいよ。そっちもお疲れさんな。徐倫やお袋には連絡入れとくから、ジジイや承太郎さん、ジョルノにも声を掛けとけよ?」

 

八幡『了解!いろはや小町、陽乃さんに康一さんは目の前にいるから言っとくわ。じゃあな』

 

ピッ!

電話を切って懐に入れる。

特務用の電話でかけてくるなんて、よっぽど慌ててたんだな。まぁ、レクイエムの出現だから特務案件でもあるけどよ。

一方で、こっちはこっちで白けた雰囲気が漂っていた。

ウルフスの1つは完全に倒したが、買い物って雰囲気では無くなったしな。

それに二人も気絶者が出たんだ。お遊びは中止だろう。

 

結衣「ねぇ………どうしよっか……」

 

三浦「なァんか買い物って空気じゃあないから解散でいいんじゃない?」

 

雪乃「残念だけど、そうするしか無いわね。ジョースターさんも康穂さんも気を失ってしまったのだし」

 

みんな残念そうな空気で解散しようとするが…。

 

仗助「おう、お前ら。お泊まり会、しねぇか?経費は俺のポケットマネーから出すからよっ!」

 

葉山「お泊まり会?」

 

相模「どこでですか?」

 

仗助「いつもんとこだ♪」

 

葉山「いつも?」

 

相模「って言われても、うちと隼人くんはわからないんですけど…」

 

戸塚「いつものところ?って……ええっ!いつものあそこ!?良いんですか!」

 

材木座「おおっ!あそこに泊まれるなんて最高ではないかぁ!」

 

沙希「客としてあそこにいくのは初めてだね。けーちゃんや大志、あと下の弟も良いんですか?」

 

雪乃「楽しみね。どこまでオーケーなんですか?」

 

仗助「オールフリーパス♪ってぇのはどうだ?エステもラウンジも何でもオッケー!ウルフスを倒した特別ボーナスだ!パーっとやろうぜ!なぁ!」

 

葉山&相模以外「やったぁーー!頑張った甲斐があったーー!」

 

葉山「だ、だから何なのか教えてくれないか?いつものって……」

 

相模「この喜びようならセレブ体験が出来そうなのはわかるけど……」

 

雪乃「ホテルロイヤルオークラのスイートよ」

 

葉山&相模「なっ!ホテルロイヤルオークラ!?しかもスイート!?」

 

海老名「それもオールフリーパス付き!カラオケにプールにエステを使いたい放題!いやー!社長、太っ腹!」

 

結衣「こんなの久々だよねー!文化祭の打ち上げでもパーティーだけで解散だったんだし!」

 

三浦「1泊だけで回れるかなぁ!あー!何から楽しむか迷うし!」

 

仗助「安心しろぉ!俺はオーナーだぜ?二日分は押さえてやるよ!明日の夜まで楽しみゃ良いだろ?」

 

三浦「社長好きー!」

 

材木座「社長!一生付いていきます!」

 

仗助「おいおい大袈裟だぜ!せっかくの休日がドンパチでパーになっちまったんだ。こんぐらいのボーナスは出すくらいの金の使いどころは弁えてるつもりだよ」

 

一同「YEAH!」

 

パシッ!ピシッ!ガシッ!グッ!グッ!

 

とそれぞれの間でポルナレフさん式ハンドシグナルを交わす学生達。

俺はジジイに電話をかける。

 

仗助「ジジイか?八幡から話は聞いたな?いつものマイクロで船橋まで迎えに来てくれよ。ジョジョと康穂が眠っちまったからよ」

 

 

side比企谷八幡

 

八幡「………って事らしいです」

 

俺が支部長室で全員に伝える。

 

いろは「やれやれ……ハチ君もそうですが、ジョジョ先輩もわたし達を除けば康穂ちゃんだけは特別ですよね?」

 

小町「下手したら小町以上だよ……」

 

陽乃「でも、わからないんだよね?なんでそこまで康穂ちゃんを特別視するの?八幡くん達は」

 

八幡「康穂だけじゃあないですよ。うちらの中ではそうですね……けーちゃんが該当しますか?アーシスに入る前までは由比ヶ浜も対象でしたがね?」

 

陽乃「どうして?」

 

八幡「力を持っている立場にいる人間が助けてくれたのなら、感謝したり対価を支払えばいい。だけど、康穂やけーちゃん、それにアーシス入隊前の由比ヶ浜は、力やその立場があるわけでもなく、なのに覚悟をもって俺達を助けてくれる……それには何をなげうってでも尽くすんですよ。俺達は」

 

いろは「そうですよ?マチちゃんや陽乃さんのように力があるわけじゃあない康穂ちゃんやけーちゃんの勇気と覚悟は…やってくれたことに対する感謝は…全力をもって…命をかけてでも返すべきものです」

 

康一「これもジョースター家の家訓?」

 

違いますよ、康一さん。まぁ、比企谷家の家訓として、ジョースターの家訓と共に受け継ぐかも知れませんが、これはまだ、家訓じゃあありませんよ。

 

八幡「誓いですよ。康一さん。十年以上前から命を賭けてまでジョースター家に尽くしてくれた者達に対する、東方仗助、静・ジョースター、比企谷八幡、一色いろは、比企谷小町の、とある二人の親子に対する…ね」

 

康一「とある二人の親子の?誰だろ…」

 

広瀬康一と広瀬康穂……二人ですよ。康一さん。広瀬親子への感謝が、俺達の誓いなんですよ。

いや、違うな……。

百二十年前は今の戸塚や泉になったスピードワゴンやポコ。

八十年前はスモーキー市長。

三十年前はアンさん。

そして十七年前は康一さんや川尻早人さん。

彼らがいたからこそ、今があるんだ…。

その誓いは…いつまでも守らなくちゃな。

 

承太郎「ふ…この八幡にそうまで言わせるなんてな。本当に大した親子だ。相変わらずな…」

 

ジョルノ「ええ……本当に……」

 

康一「ん?承太郎さん、ジョルノ君、何か言いました?」

 

ジョセフ「何でも無いんじゃよ。康一くん」

 

俺達が優しい瞳で康一さんを見る。本当に、大した親子です。広瀬親子は。

 

早人「そうなると、今回の打ち合わせも早く終えるべきですね?比企谷関東支部長」

 

東北支部長「そうですな。クリスマスパーティーの内容の打ち合わせ、早く終わらせませんといけませんな。我らが英雄の為にも」

 

噴上「なら、輸送計画もしっかり立てねぇとな。ハイウェイ・スター運輸の沽券にも関わるぜ」

 

そのクリスマス・パーティーが再び比企谷○良と関わり、第3のストーンオーシャンへと関わる事になるとも知らず……俺達は計画を立てるが……それは別のお話だ。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。
康穂編はここで終了。元の体育祭編へと戻ります。

フラグをどんどん立ててますな…。色々な意味で。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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