side戸塚彩加
康穂「ここだよ。ここが、一番安全に……そして、確実にみんなと合流し、ウルフスとの戦いができる場所…」
そこは、ららぽーとは反対側の店の前……こんなところが合流地点?
あれから僕達は何度も地形を変える船橋駅周辺を、ペイズリー・パークの導きではぐれもせず、たどり着く事が出来た。
ペイズリー・パークの導きがなければ、僕達は何回か分断される事態に陥っていた。
センチ単位で身を寄せあっていなければ、壁がせりあがって来ていたり、標識にぶら下がるハイエロファントに捕まっていなければ、落下する道に巻き込まれ、どこに落ちるともわからない空間の穴に落ちていた。
本当にみんな、大丈夫なのかな…。
海老名「確かに一度も危ない目に遭わなかったけど…」
康穂「でも、安全だったのはここまで。ここからは本当の戦いが始まる……気をつけて。海老名さん、戸塚さん」
ガシャ!ガシャ!
海老名「え?アレは……トランプの兵隊?」
戸塚「アレが敵の能力…ウンガロさんのボヘミアン・ラプソディーみたいだな。うわぁ……今回のウルフスって、アレなんだ……僕、好きなんだけどなぁ。童話の方も含めて……いつかは現れるかもって思ってたけど…」
海老名「トランプの兵隊って言ったら…」
康穂「不思議の国のアリス……そこから連想される動物って言えば……」
戸塚「ウサギかネズミ………だね?ネズミはもう材木座君が倒しているし、こんな能力を使って来なかったから…今回はウサギかぁ」
文化祭の打ち上げでも雪ノ下さんや由比ヶ浜さんに張り合うように口論に参加したほど、僕はウサギが好きだ。
あちゃー………やりにくいなぁ。
海老名「アレが敵の本体かな?」
海老名さんがトランプ兵達を指揮しているであろう女性を指差す。
アリスと言うよりは、その中で出てくる意地悪なオバサンって感じだね。40代前後の人かな?
あれ?こっちを見ている……見つかった?
僕は海老名さんと顔を見合わせると……
戸塚「康穂ちゃん!足元!足元に何かいる!」
康穂「え?」
ドドドドドドドドドド
アルミラージ「愛子!コッチ……アルミラージが見つけた!愛子!コッチ!」
角を生やしたウサギが……
ガブッ!
康穂「キャアアアアアア!」
アルミラージというウサギが康穂ちゃんに噛みつく!
ただ噛みついた訳じゃあない!まるで鮫の歯のように鋭い牙が、康穂ちゃんのキレイな脚に噛みついた!
因幡の白兎!?
そうか……因幡の白兎はワニの橋を渡った…と言うけれど、日本神話における鰐は鮫の事を示す!
和洋折衷な能力だな!
海老名「康穂ちゃん!ハイエメラルド……スプラッシュ!」
海老名さんがエメラルド・スプラッシュを飛ばすものの、アルミラージはその軽い身のこなしでヒョイヒョイと回避してしまう。
アルミラージ「ウキキキキキキ!」
メキメキメキ……
康穂「噛まれたところが………木に!あ……あ………あああああああっ!」
何て事だ……康穂ちゃんがとうとう木にされてしまった…まるでゴールド・エクスペリエンスみたいだ…。
広瀬康穂(ペイズリー・パーク)…
戸塚「康穂ちゃん!よくも………よくも………康穂ちゃんをぉぉぉぉ!」
海老名「戸塚っち!トランプ兵達が」
バリイィィィィィン!
トランプ兵「ガアアアアアア!」
窓ガラスを突破してトランプ兵達が僕たちに殺到してくる!
戸塚「ホール・シンクス!」
海老名「ハイエロファントの結界!」
あれだ!あの結界を狙って!
戸塚「食らえ!ジャイロボールのオールレンジ攻撃を!」
ギュイィィィィィィン!
トランプ兵「ガアアアアアア!」
僕はホール・シンクスから出た鉄球をジャイロ・ボールにしてトランプ兵達を貫く!そして、ハイエロファントの結界に命中!
海老名「考えたね!戸塚ッチ!ハイエロファントをゴムみたいに柔らかくして…そのボールを受け止めて…反動で別の場所に飛ばす!ついでにエメラルド・スプラッシュを食らっちゃえぇぇぇぇ!」
ナイスだよ!海老名さん!
僕の考えを的確に察してくれて、その上で更に応用を効かせてくれるなんて!
愛子「小賢しいガキがぁぁぁぁ!」
アルミラージの本体が苦悶の声を上げる!
戸塚「このまま……アルミラージ!お前を倒す!」
ブスッ!
戸塚「え?」
脚に激痛が走り、見てみると……
小さなトランプ兵の槍が僕の脚に刺さっていた。
戸塚「ウワァァァァァァ!」
バタン!
刺された痛みが後から襲って来てバランスを崩してしまう僕。
海老名「戸塚っちぃ!」
愛子「あんたはこれでも食らいな!小娘」
オバサンがケーキを一口齧ると、腕が大きくなり、それから繰り出されるパンチが海老名さんを捉える!
海老名「キャアアアアアア!」
吹っ飛ばされた海老名さんが、壁に叩きつけられ、そのままめり込んでしまう。
海老名姫菜(ハイエロファント・グリーン)…
愛子「調子に乗るからだ!人間め!」
戸塚「忘れていた………不思議の国のアリスは、水やケーキでアリスが大きくなったり小さくなったりしていた……!僕たちが食らったのはそれを逆手に利用された攻撃!」
僕が立ち上がろうと手を付くと………
ドスドスドスドス!
床から突き出た槍が何本も僕の手を刺す!
戸塚「ぐぅぅぅぅぅ!」
………けど、負けるかぁぁぁぁ!康穂ちゃんを……海老名さんの為にも……僕は……僕は!
戸塚「ホール・シンクス!僕を回転させて……そのまま突っ込ませるんだぁ!」
ギュルルルル………
戸塚「足の一本や二本がなんだ!八幡は……八幡は魂が砕けたって諦めなかったんだ!」
刺された足や手が木に変わっていく。僕が康穂ちゃんのように全身を木に変えられてしまうのは時間の問題だ。その前に……その前に……せめて一撃でも!
戸塚「例え僕が負けても………他のみんなが…」
スパーン!
ホール・シンクスが僕を愛子という女に向けてスマッシュを放つ!
戸塚「みんなが僕の代わりにお前を倒すんだ!この一撃は……太陽の精神を持つ人間の意地だぁぁぁぁ!コレが……黄金の回転エネルギーを加味した僕の拳!ゴールデン・スピニング・パンチだぁ!」
ガツゥゥゥゥゥゥゥン!
愛子「ぐほぉぉぉぉぉぉ!」
戸塚「ガハァァァァ!」
生身に黄金の回転エネルギーはキツイ……。
地面に叩きつけられた僕は、そのまま回転しながら数メートル引きずられる…。
途中で木材化した部分は削り落ち、僕は両足と右腕を失った。
ごめんね………僕の手足………。
長年僕の無理な行動に付き合ってくれた手足が…。
それに、欠損しても敵の能力は止まらず、僕の体はどんどん木に変わる…。
後は……頼んだよ……三浦さん、川崎さん、雪ノ下さん、由比ヶ浜さん、材木座くん、葉山くん、相模さん…。
アルミラージ「癪に障る野郎だぁ……まずはお前から始末してやる!このドグサレ女男がぁあ!」
「やらせるかっつーの!ドラァァァァァ!」
アルミラージ「グハァゥ!」
この声は………
静「静・ジョースター!ただいま参上ぅ!」
静ちゃん!
仗助「よくやったぜぇ?戸塚よぉ!相変わらず、グレートな男だぜ!昔の康一を思い出すぜ!」
三浦「死ぬんじゃあねーし!戸塚!」
仗助社長に……三浦さん!?
沙希「海老名も広瀬もまだ生きてる!東方会長!」
静「海老名と……ヤッチが……?やられた?お兄ちゃん!」
静ちゃんの目が、段々と怒りに染まっていく。
仗助「わかってる!クレイジー・ダイヤモンドォ!」
パアアアアア!
海老名「体が元に……ありがとう!東方会長!」
僕の体が……元に……それに、手や足も……!
海老名さんや康穂ちゃんも元にもどった!
それに、康穂ちゃんは気絶してるけど、海老名さんは意識を保ってるみたいだ。さすがは海老名さん。伊達に打倒八幡を掲げて鍛えて無かったんだね。
そして、静ちゃんは波紋をバチバチほどばしらせながら、怒髪天を突いていた。
静「よくも……よくも……よくも、よくも、よくも…………よくも海老名や戸塚、それに私の大親友のヤッチをやってくれたなぁぁぁぁぁ!クソウルフスゥ!」
ここまで怒っている静ちゃんを見たことがない。
アルミラージ「お前もああなる。あの小娘のように…」
静「あの小娘?ヤッチの事か……ヤッチの事かぁぁぁ!」
まるで八幡やいろはちゃんをやられた時のような反応。静ちゃんと康穂ちゃんは一体…。
戸塚「どうしてここに東方兄妹が……それに、静ちゃんのあの怒りようは……」
仗助「今日のお出掛けに、康穂が来るとわかったからな。仕事をほっぽりだして着いて来てたんだよ。八幡達ほど、忙しく無かったのもあったしよ。一度断った手前、恥ずかしがって透明になってたけどな。滅多に会えねぇ親友の康穂が来るならば、静は何を置いても来るさ」
最初から着いて来てくれていたんだ。仗助社長や静ちゃんは…。
でも、どうして静ちゃんはそこまで康穂ちゃんを?
仗助「いろいろ理由はあるんだぜ?俺の親友の康一の娘ってのもあるし、幼い頃はスタンドの事で悩んでいた事でシンパシーを感じていたってのもある」
海老名「小さい頃の花京院みたい…」
沙希「でも、何でそこまで………?」
仗助社長は気絶している康穂ちゃんをちらりと見る。
仗助「知らねぇのも無理はねぇぜ?八幡と静は相棒同士。互いの宝は自分にとっても宝。八幡の争いに、いろはの次に八幡に近いのは誰だと思う?」
戸塚「小町ちゃんじゃあ無いんですか?」
仗助「そう思うだろ?違うんだよ。実は康穂なんだ。覚悟や勇気を重んじるジョースター家において、こいつほどその勇気を八幡に示した奴はいねぇんだぜ?気絶してっから言うけどよ、オメェ、八幡と康穂が幼いときに康一を助けた事件を知ってっか?」
海老名「え?は、はい。さっき康穂ちゃんから聞いたけど…」
仗助「その話にはよぉ、実は続きがあるんだよ」
side東方仗助
またかよ……。
俺が日本に帰って来て少し経つ。
スージーのお袋もそろそろ…って頃だったかな。
康一一家が俺の千葉の家に遊びに来るといつもこうだ。
静「だからハッチは私と遊ぶの!康穂はどっかでイーハ達と遊んでれば良いじゃん!」
康穂「ヤァダァ!あたしがハッチと遊ぶんだもん!あたしはハッチが大好きなんだからぁ!」
静「私だってハッチが大好きだもん!お兄ちゃんの次に大好きだもん!」
康穂「じゃあ良いじゃん!あたしはハッチが世界で一番大好き!静ちゃんは違うでしょ!?それにいつも一緒なのにズルいよ!あたしはたまにしか会えないのに、何で静ちゃんは一緒にいるの!?」
静「ハッチの一番はイーハだもん!ドロボー猫なんか近付けるか!」
康穂「とか言いながら、イーハ言ってたもん!静ちゃんが一番ハッチに近いって!」
静「う……そ、それは……」
まぁ、確かに静と八幡は近すぎるよな。いろはが心配するのもわかるってもんよ。何であれでそういう関係にならねーんだ?っつーくらいによ、八幡と静は気が合いすぎてるんだよ。八幡曰く「だからこそジョジョとの関係は楽で良いんだよ」との事だが…。
康穂「ぅぅ~……静、キライ!」
静「私だってあんたの事が嫌いだっつーの!」
だからこそか…八幡と康穂が会うまでは仲良かった静と康穂だが、それが一気に関係が悪化した。会えばどちらが八幡と遊ぶか必ずケンカになる。それこそ婚約者のいろはの事なんかほっぽりだして…。
仗助「おい八幡よぉ、あれ、何とかしろよ……お前が原因だろうが…何でマッカン飲みながらプリキュア見て寛いでるんだよ…」
八幡「いや、無理。俺が入ったら余計にこじれる。っつうか、アレはアレで楽しんでるようにも見えるんだけどな?」
仗助「おいおい…マジかよ。とてもそうは見えねーんだけど?」
八幡「とにかく、俺は今忙しい。アレがアレだから」
目の前の修羅場よりプリキュア見る方が大切なのかよ。
どうせ録画もしてるんだろうから後でも見れるだろうが!
当時、そこに徐倫がいたら確実に拳骨を落としていただろう。当時の徐倫はレディースやって荒れていたけど。
こいつ、社会を舐めてんな?そうだ。こいつ、中身は大人だよなぁ。よし、明日から仕事を手伝わせよう。ジョジョと同じような英才教育を施してやる。いろはや小町を巻き込めば自然とこいつも……ウケケケケ!こいつは楽しみだ。そうすりゃこいつは自然と一生俺達と一緒だ。いつかウルフスや柱の一族との戦いに決着が着いたとしたら、こいつはいなくなってしまう気がする。そうなる前に、こいつを逃げられねーようにしておかねーとな。
そんな事を考え、八幡の英才教育計画を発動してからしばらく経ったある日の事だ。
仗助「やられたな………」
ジョセフ「バカもん!こうなることは予想せんかったのか!」
仗助「まさか俺じゃあ無くて、ジョジョ達が狙われるなんて思うわけねぇだろうが!」
ジョセフ「ったくぅ、スージーの喪が明けぬ内にこれとは……仗助、この始末は重いぞ!」
仗助「わぁってるよ!そんな事よりも今は八幡達の事だろうがよ!」
数年前に康穂と八幡が出会い、康一を救出した事件のテログループが、移転した千葉の日本支部から八幡と静の二人を不意討ちして誘拐。
俺達に復讐を仕掛けて来た。
小町「小町が……小町が行くぅ!お兄ちゃん達を助ける!」
いろは「マチちゃんじゃあダメ!これは精密な事ですから!マチちゃんじゃあ無理です!」
当時はこういうことが苦手だったいろはや小町では人質救出は苦手な事だった。よりにもよって、こういう時に一番頼りになる奴が近くにいなかったり、捕まっている!康一と八幡だ!
ジョセフ「まっちょれ!今、敵の居場所をワシが念写しちゃる!そこに静と八幡は捕まっておる!」
ジジイが携帯にハーミット・パープルを巻き付ける。
すると……
由花子「ねぇ………康穂は?さっきから康穂が見当たらないのよ!」
ジョセフ「なんじゃと!ま、まさか…あの娘!」
そのまさかだった……連れ去られた八幡達を追って、康穂がペイズリー・パークで単身、救出に向かっていたのだ。
そして………
八幡「仗助ぇ!いろは!どっちでも良い!康穂を…康穂を助けてくれぇ!」
静「ヤッチが……ヤッチが死んじゃう!」
八幡と静が傷だらけの康穂を抱えて飛び込んできた。自力脱出をしてきたらしい。
八幡「こいつ……選択肢を誤って……それでも必ず俺達を助けるんだって……自力で無理をしやがって!」
ペイズリー・パークの弱点。それは途中で出現する選択肢の制限時間をオーバーすると効力が無くなってしまい、その後は自力で対処しなければなくなる。
聞くと、康穂は八幡が閉じ込められている倉庫の前まで到着したは良いが、最後の難関であった扉の鍵を開ける選択肢を選べず、自力で鍵を開けなければならなくなった。
どうにか鍵を開ける事は出来たのだが、そこで敵に見つかってしまい、しかも下衆な事に敵は康穂に銃を使って来た。
そこでほぼ致命傷に近い傷を負った康穂。
八幡と静は康穂の頑張りによって扉から出てきた時には康穂は虫の息だったらしい。
その時の状況を話す二人…。
静「康穂……どうしてここまで……」
康穂「だって……大好きだもん……ハッチも静ちゃんもあたしは大好きだもん……だったら、助けるよ…何が何でも……いつも嫌いなんて言って……ごめんね?ホントは大好きだよ?静ちゃん……」
静「康穂!喋んないで!コォォォォ……」
波紋で治癒するも、あくまでも延命が出来るくらいが限度だ……。
八幡「ありがとう……康穂。その覚悟と勇気に……俺は敬意を払う………いろはがいなければ…俺は康穂に惚れていたかもな……康穂は……本物だ……ジョースター家に劣らないほど、俺の本物だ…お前は美しい………それに比べて…貴様らは何だ……」
この時の怒りが、ザ・ワールドをザ・ジェムストーンに進化させる切っ掛けだったのだろう。
静「ザ・ワールドが………水色に……」
八幡「怒りが切っ掛けでパワーアップなんてのは…最低だ。そうまで追い込まれなきゃ…そこまで出来る力が本来は備わっていたはずなのに…そうまで追い込まれて初めて本気になるなんてのは…怠惰の証だ…自分の怠惰でそこまでやらなかっただけの話なんだからな…康穂がこうなったのは…俺の怠惰が原因だ…醜いんだよ、俺も貴様らも……ここにいる本物に比べたら…本物の勇気に比べたら!」
八幡は泣きながら、そして、絶望しながら。
静「………康穂………ヤッチ………ううう……うあああああああああ!アクトォォォン!」
静のアクトン・クリスタルもここで今みたいな近距離型の姿に変わった。
静「ハッチの言うとおりだよ……ここまでやれたのに…私達の怠惰が…ヤッチを傷付けた…アクトン・クリスタルact2は…私達がヤッチを傷付けた怠惰の証!」
八幡「ザ・ワールド・ネオ……水色のザ・ワールドは…康穂の勇気の形であり、俺達の罪の証……行くぞ、ジョジョ……コイツらは……ここで殺す!」
静「そうだね……相棒。私達は……止まれない」
「な、何だこの子供は!」
「子供が放つ殺気じゃあねぇ!コイツらを殺せ!計画は失敗だ!」
八幡「貴様ら……覚悟は出来てるんだよな?人を殺すというからには……逆に自分が殺される覚悟を常に持っているんだよな?」
静「逃げようだなんて思うんじゃあねぇっつーの!そんな事は……無駄なんだっつーの……無駄無駄……」
八幡「康穂ぉ………死ぬんじゃあねぇぞ!どけっ!醜いバカどもがぁ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
静「オメェらは邪魔だぁぁぁぁぁぁ!まとめてあの世に送ってやるよ!ドラララララララララララァ!」
そして、二人は虫の息だった康穂を波紋で延命しながら俺達の所へ運び込む。
ギリギリの所で康穂はクレイジー・ダイヤモンドで蘇生させた。
八幡「康穂ぉぉぉぉぉ!良かった!良かったぁ!俺もお前が大好きだぞ!康穂ぉぉぉぉ!」
静「ヤッチィィィィ!私も大好きだよぉぉぉ!」
二人して康穂に抱き付く八幡と静。
目をパチクリしながら、二人を抱き返す康穂。そしてもらい泣き。
三人「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
三人はいつまでも泣いていた。
後にも先にも、八幡が女の子に「惚れる」という言葉をいろは以外に知らない。
小町に対しても言ったことがない。
それを言わせた康穂は……やはり父親の康一同様に大した奴だと思った。
そして時は現在に戻る………
戸塚「そんな事が……」
仗助「そこからだぜ。二人が劇的に本気で修行とかに取り組むようになったのは……。後から現場を見た俺たちだけどな……アレはキレた俺でもああはしねぇってくらいに酷い惨状だった。犯人が生きていたことが不思議なくらいに……酷かった」
材木座「八幡達が敵に容赦せんのは……」
仗助「多分、その時の戒めだな。こええぞ?ああなったジョジョは……」
アルミラージ……オメェは……過ちを犯した。
ジョジョの本気の涙は…ジョジョの怒りは…
スゥ~…………
ドドドドドドドドド
戸塚「あの矢は……忘れない…あの矢は八幡の魂を砕いたあの矢は!忘れない!あの恐ろしい形、あの独特のデザイン!何であの矢がここに!」
仗助「ジョ、ジョジョもだったのか……レクイエムにみいられていたのは……」
静「ハッチのように砕けるかも知れない……でも、もうどうでも良い。私はやってしまった……大切な物を怠惰で傷付けてしまった……始めから姿を現して行動してれば、防げたかも知れないのに……怠惰の証は刻まなければならない……そうでなければ…私自身が私自身を許せない……」
パシッ!と矢を掴むジョジョ。まだ止まらない涙を流し続ける瞳は、憤怒に満ちている。
その憤怒はアルミラージに向けたものか…それとも、自分自身に向けた物なのか…。
そしてアクトンを出現させる。
静「いくよ……アクトン・クリスタル・レクイエム……いえ、その名はセンスないかな?前にハッチと冗談混じりのもしもシリーズで話したっけ……。そう、確か黒水晶。黒水晶だった。杜王町で産まれた私…そして水晶の名前をスタンドに付けた私のアクトン・クリスタルに相応しいレクイエムの名前は…」
ジョジョの迫力に押されて動けない!
静「
杜王町の名前が……ここで……こんなことで出てくるなんて……。
静「オオオオォォォォォォォォォォォ!」
ジョジョは……その矢を……アクトン・クリスタルに刺した。
そして……世界の色が……黒く染め上げられた…
黒水晶に相応しく…
side比企谷八幡
いろは「ハチ君……世界が……これは!」
小町「これって…レクイエム!?」
八幡「世界が……黒く塗りつぶされている!まさかジョジョ……やっちまったのか!」
ジョジョをここまで怒らせたか……ウルフス。
いろは「ハチ君まで!ダメ!ザ・ジュエルになりかけています!」
おっと……危ない。進化した俺のザ・ジェムストーン・レクイエムは…いや、
強い怒りを感じてしまえば…簡単にザ・ジュエルとなってしまう。今はまだ、ザ・ジュエルを完全に制御できいない。
ジョジョは言っていた。もし、アクトンがレクイエムになったら、どう名付けると…。
名付けるなら…
アクトン・モリオンと…。
ジョジョがモリオンを出すくらいまでに怒るとしたら、康穂だ。
康穂に何かあったって事だ。
いろは俺やジョジョをこうまで怒らせる原因は、いろはや仗助を除けば康穂しかいない……。
許せねぇ………。
←To be continued
本作のもう一人の主人公、静・ジョースターの怒りが大爆発です!
その能力は!?
オリジナルレクイエム、アクトン・モリオン!始動!