やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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はるのの交換条件の回です


はちまんははるのに借りを作る

side一色いろは

 

体育館のキャットウォークに設置したカメラのバッテリーを交換し、メモリースティックの残量をチェックします。有志団体の活動を記録するのもわたし達記録雑務のお仕事です。女子がキャットウォークに行くのは危ないとか思われるかも知れませんが、記録雑務の中で一番運動神経が良いのはわたしです。波紋の戦士になった雪乃先輩にはいずれ抜かれますが、現段階では私の方が上なので、適任でしょう。そのうえ、これらの映像データを生徒会備品のマックに入ったファイナルカットプロで最後に編集しなければなりません。久々にその手の作業をやりますね。

……………。

ハチ君にやってもらいますか♪ハーミット・アメジストでちょちょいっと♪徐倫へのイタズラでよくやってますし、ちょっとかがみ込んで上目使いでお願いすれば「あざとい……あざといろはすずるい……」とか言いながらあっさりやってのけちゃうんですから♪

だってぇ、わたしはWindows派ですからMacintoshを操作するのは苦手ですし、適材適所じゃあないですかー。

ハーミット・アメジストでの早さもそうですけど、ハチ君の編集センスは天才的ですし。普段からやってるからですかね?イタズラを。

で、そのマックといいファイナルカットプロといい、備品だけはやけに揃っています。カメラも良いカメラですし、マイクの感度も良好です。千葉支部の備品よりも良いものを使ってるんじゃあ無いですか?ディスプレイをタッチし、ばっちり録画ができる状態であることを確認します。

それが終わったら今度はエンディングセレモニーの準備ですね。

普段と違って今日はシフト上での雑用だけで済むので気が楽です。単純な作業だけで済むのですから。いつもは頭を使いすぎですよ。

そんな事を考えながら、キャットウォークから直で繋がってる舞台袖まで降ります。

エンディングセレモニー直前の有志団体ステージ、大トリである貞夫さんはまだ熱唱中。その裏でわたし達はセレモニーに向けた準備に入ります。

相変わらずの熱気で、貞夫さんの人気が世代を選ばない証拠であることがわかります。

充電を終えたインカムを人数分揃えたりをしていると、ハチ君が波紋の呼吸をしていました。

こうしているときは考え事をしている場合が多いんです。考え事をしながら修行をする辺り、変に器用なのは相変わらずですね。

 

いろは「どうかしましたか?」

 

問いかけると静かに息を吐いてハチ君が聞き返してきました。

 

八幡「なぁ、相模は?」

 

そう言えばバンド中も見かけた記憶がないですね…。

 

 

side比企谷八幡

 

八幡「エンディングセレモニーの最終打ち合わせをやりたかったんだがな」

 

めぐり「ちょっとかけてみるね?」

 

城廻先輩が電話するが、しばらくすると難しい顔をする。

 

めぐり「………電波が届かないところにいるか、電源が入っていないって」

 

アナウンスそのまま言ったな?この人。

 

めぐり「ちょっと他の子にも聞いてみるね?」

 

立て続けに電話しても要領を得ない。

城廻先輩はため息を1つ吐くと、常人なら誰もいないと感じるであろう空間に声をかけた。

俺?気配でわかるよ?暗殺とか防ぐのに必須な技術ではないか。

 

めぐり「みんないる?」

 

生徒会役員「ここに」

 

すっと緞帳の裏から生徒会役員たちが現れる。

でもさ、君達生徒会役員だよね?その技術は忍者?暗殺者?シークレットサービス?

あと、その返事はプロでもしないよ?

 

めぐり「相模さん、捜してくれる?定期的に連絡もしてくれるといいな」

 

生徒会役員「御意」

 

……俺の周囲って忍者率高いなぁ。

俺はついついいろはの頭をなでなでする。

 

いろは「なでなでは嬉しいんですけど、その理由が腹立ちますねー。わたし、弥七じゃあないですからね?」

 

良いじゃあないか。

生徒会の役員執行部が総力を挙げて捜しに出た。

だが、どの忍も昼過ぎまでの相模の消息は辿れるのだが、そこからが追えないらしい。放送を使ってみたものの、音沙汰なし。

やれやれだぜ。まぁ、そこからはプロの役目だな。

 

結衣「ヒッキー、どうしたの?」

 

八幡「相模がいない。このままだとエンディングセレモニーが出来ない」

 

結衣「さがみんがいないとまずいの?」

 

いろは「はい。挨拶、総評、賞の発表。これが相模先輩の役割です」

 

それらは代々の実行委員長の仕事だ。相模の実態がどうであったにしろ、課せられた役割が変わるわけじゃあない。もちろん、今の相模が逃げるとは思えない。俺はハーミット・アメジストを発現。能力を使う。

…………おいおい、お前がここまでやる必要なかっただろうに…。そういう役割は俺やジョジョの役割だ。

そして、ココ・ジャンボに語りかける。

 

八幡「ペットショップ。悪いが上空から見てくれ」

 

ペットショップ「クエッ」

 

バサバサバサバサ!

 

ペットショップ「クエェェェェェ!」

 

いたらしい。さて……居場所はわかったが、時間的にはギリギリ間に合わない……といった感じか?

 

めぐり「やっぱり便利だよね?ハーミット・パープルって」

 

いろは「うーん、何やってるんですかねぇ」

 

いろはは画像を見て困ったようで、それでいて優しげな微笑みを浮かべる。

そうだよな。相模の奴は…。

 

いろは「波紋の戦士が行っても今からじゃあ間に合いませんね。でも優秀賞と地域賞の集計結果を知っているのは相模先輩だけですから代役でやるのは……」

 

八幡「いや、代役立てては可能なんだよ。集計結果は俺が持ってるし」

 

雪乃「いつの間に……」

 

簡単だ。集計は会議室に詰めている人間が随時入れ代わり立ち代わりで行っていく。なので、皆断片的には把握していても最終的な集計結果はまとめた相模しか把握していない……と、思われているが、それを時間毎の集計をパソコンに入力し、それを自動的に俺に送信されるように仕込んであれば俺も集計結果を纏めることができる。

 

静「やっぱりハッチもやってたんだ。考えることは同じだね~」

 

八幡「流石は相棒。そっちでもやってくれるって信じていたぞ~」

 

YEAH!パァン!ピシッ!ガシッ!グッ!グッ!

 

葉山「やることに隙が無いと誉めるべきか、抜け目が無いと驚けば良いのか、それをスタンドプレーでやることを呆れれば良いのか…」

 

三浦「それがヒキオとジョジョだよ……特にヒキオ」

 

静「それは仕方がないっつーの。情報を相模一人に集約しすぎるのも問題なんだし。例えば贔屓にしている団体への集計結果の捏造を防止するとか。相模がそんな事をやらないとは信頼しているけれど、それとこれとは話が別で、最低限複数の人間が集計結果を持ってるのが理想」

 

八幡「かといって、不特定多数が持っているのも数を操作をするアホがいないとも限らないからな。で、こっそりとマクロを仕込んだってワケ♪どうせジョジョもやると踏んで♪」

 

静「既にハッチと私の集計結果のすり合わせは終わってるし、多分相模の集計結果のすり合わせは確認以上の意味が無い」

 

葉山「待ってくれ。確かにそれなら代役でエンディングセレモニーは出来るかも知れない。けど、それは…」

 

八幡「分かってるよ。それに、相模が逃げ出したりサボっていたりだったなら遠慮なく俺が委員長としてエンディングセレモニーに出ていたがな?」

 

静「相模が今、ここにいないのは最後の最後までこの文化祭を守ろうと頑張っていた結果。だから、相模の顔を最後の最後に潰す真似なんてしない。エンディングセレモニーは……時間を遅らせてでも相模にやってもらう」

 

葉山「ああ……良かった。ここでお前が代役でやるとか言ったならば、お前と戦うつもりでいた。例え敵わなくても…」

 

八幡「どんな目で見てやがったんだ?お前は」

 

俺はジト目で葉山を見る。

まぁ、普段が普段だから仕方ないとは思うが。

 

八幡「ウルフスにメチャクチャやられはしたが、相模は相模なりに頑張ってたんだ。最初はノリで委員長になったかも知れないが、自分を成長させたいという思いで頑張って、真剣に取り組むようになって……だったら、最後の最後までやらせてやるべきだろ?前世の片割れは確かに人間を辞めたし、現世でも人でなしな俺だけどな…心意気まで踏みにじるほど堕ちてはいないつもりだ」

 

俺はゆっくりと立ち上がる。

 

葉山「どこに?」

 

八幡「迎えに行ってくるよ。相模を」

 

ポルナレフ「私も行こう」

 

肩にしがみついて降りないくせして……。

 

葉山「時間稼ぎはどうする?俺がバンドをやろうか?」

 

八幡「貞夫さんの後にか?勇気あんなお前」

 

燃える気持ちで言ったのだろうが、俺の言葉を聞いて一気に現実が見えたのだろう。葉山の顔が青ざめて来た。安心しろよ。既に手は考えてある。

 

八幡「ジョジョ!けーちゃんを連れたジジイと承太郎と仗助、徐倫、ジョルノを呼んでくれ!いろは、小町、陽乃さん、城廻先輩、音石さん、材木座、トリッシュさん、由比ヶ浜、三浦、海老名、葉山!力を貸してくれ!」

 

俺が思い付いた手は………フェスの終わりには相応しいサプライズじゃあないか。

 

静「アイアイサー!」

 

ジョジョは適当なステージ衣装を着込んで貞夫さんの舞台にダンスをしながら乱入。突然の義妹の乱入に貞夫さんも驚いていたが、何かしらの意図を感じたのか、踊っているジョジョの動きに合わせてパフォーマンス。流石は貞夫さんだ。突発的な事態にも柔軟に対応してくれる。レジェンドは伊達じゃあないな。

そして、ステージの中央でジョジョはアクトン・クリスタルを出現させ、指を掲げさせる。

 

アーシスメンバー『アーシス・スクランブル!?』

 

そう、ジョジョは七代目ジョジョとして会場にいるアーシス隊員の全員にアーシス・スクランブルのサインを出したのだ。そうすれば、アーシスの全員が舞台袖に集まる。杜王町組まで集まってしまうが、もしかしたら意外なアイデアが出るかも知れない。

ジョジョは華麗に躍りながら舞台袖に戻ってくる。

程なくしてアーシスの全員が舞台袖に集結した。

……そして説明。

 

承太郎「……このバカ!アーシス・スクランブルをそんな事で使うんじゃあない!」

 

ゴンッ!

 

メチャクチャ痛い。

 

ジョルノ「君は余程ワサビが好きらしいね」

 

仗助「だが、悪くないぜ。こんなアーシス・スクランブルもたまにはあっても良いんじゃあ無いッスか?承太郎さん」

 

承太郎「やれやれだ。俺はもう知らんぞ…俺はもう知らんぞ?」

 

ジョセフ「良いじゃあないか!こんな機会はもう無いかも知れんぞ!?」

 

徐倫「やれやれだわ。でも、始まったらちょっとやそっとじゃあ終わらないわよ?それでも良いのね?」

 

八幡「覚悟の上だ。むしろ大歓迎」

 

雪乃「学校が黙ってるとは思えないのだけれど……」

 

静「大丈夫大丈夫♪始まっちゃえば止められない♪」

 

ジョセフ「赤信号理論じゃな?」

 

陽乃「赤信号、みんなで渡れば怖くないってやつね?」

 

仗助「これを止めたら暴動が起きるってもんよぉ!」

 

ジョルノ「それをわかってる上で提案してくるか。それにしても、初めてだね?八幡が僕たちにこんなお願いをしてくるなんて。ましてやアーシス・スクランブルをかけてまで。良いだろう。そのお願いを聞いてあげるよ」

 

おのれジョルノ。素直に好意を受け取り辛い言い方をしてきやがって。これが下手な負けず嫌いなら対抗心を持つぞ。何が目的だ?この腹黒兄貴分。

ハッ!まさかこいつ……ギャングの流儀をここで使う気か!?

 

ジョルノ「流石は八幡。察しが良いね」

 

こんなことで流石と言われても嬉しくねー……。

 

ジョルノ「僕とトリッシュはギャングだ。ギャングに…ましてやボスの僕に君は借りを1つ作る。そういう意味で頼み事を言っているんだよね?」

 

野郎……家族であろうと関係ねぇって訳か……。

……………

…………

………

……

 

八幡「あー!わーったよ!借りにでも何でもしてくれ!この腹黒兄貴分ギャング!」

 

ジョルノ「取引成立だね。八幡。だけど、成長したね。作戦とかの指示ではなく、頼み事をしてくるようになるなんて。少し前の君ならば、一人で抱え込んでいただろう?」

 

承太郎「そうだな。お前の成長に免じて、親父の説得とギターをやろう」

 

徐倫「あたしもギターをやるわ。実はグランパからは結構教わってるのよね」

 

三浦「バックダンサーは任せろし」

 

海老名「そうそう♪ここまで来たら最後までやらせてよ」

 

小町「小町もこっちだね♪」

 

ジョルノ「僕もダンサーをやりましょう」

 

仗助「良いんじゃあねえの?男女で交代しながらダンサーをやりゃあよ!」

 

若ジョセフ「へっ!最高だぜ!」

 

陽乃「ドラムは任せて。めぐり、キーボードいける?」

 

めぐり「もちろんですよ~?はるさん」

 

露伴「ベースなら任せたまえ」

 

雪乃「私もベースをやるわ。楽器なら一通り何でも出来るから」

 

留美「結衣。いろは。はい」

 

いろは「わたし達がサブボーカルですか」

 

結衣「あたしにマイク?何で?」

 

留美「これだけの数の楽器相手に女性ボーカルがトリッシュだけの声では声量不足。トリッシュと結衣の声は2018年の11月の段階ではまだそっくり(CV・東山奈央)。ジョジョ年表的には2016年の今なら結衣の声はトリッシュのサポートになる」

 

結衣「あ、あ、あたしぃぃぃぃ!」

 

トリッシュ「お願いするわ。結衣。一緒にやりましょう」

 

音石「葉山!来いよ!お前のギターで総武とアーシスの舞台にロックの華を咲かせようぜぃ!」

 

葉山「音石さん……はい。ご一緒させて下さい!」

 

八幡「正式なアーシスじゃあないのに悪いな。葉山」

 

葉山「比企谷」

 

八幡「ヒキタニで良い。みんなを頼って、そしてそれに応えてくれてありがとう」

 

すると代表して……

 

仗助「待ってたぜ!お前がそう言ってくれるのをよぉ!後は任せろ!景気付けに八幡!頼んだぜぇ!」

 

八幡「俺が?良いのか?」

 

いろは「ハチ君しかいないですよ。この文化祭を実質的に取り仕切って、今日という日を迎えたんです。ハチ君以外、誰がかけるんですか?」

 

……そうか。では……

 

八幡「この祭りに相応しいやり方で行く!千葉の名物!」

 

ジョセフ&小町「踊りと!」

 

承太郎&結衣「祭り!」

 

仗助&静「同じアホなら!」

 

ジョルノ&陽乃「おどらにゃ!」

 

徐倫&いろは「sing a song!」

 

俺は指を掲げて叫ぶ!

 

八幡「アーシス・スクランブル!」

 

 

←To be continued




はい、戦い以外で初めてかかりました!アーシス・スクランブル!

これだけのメンツですから20分とは言わずに一晩でもやっちゃいそうです。
はい、文化祭クライマックスで、例のシーンについては
フラグを叩き折りましたが、原作では相模の不在は逃亡による行方不明。ここで原作は同じように時間稼ぎをするわけですが、本作とは違い、原作は切羽詰まった状態です。
何を雪ノ下はとち狂ったのか、八幡だけ捜しに行かせ、自分や平塚先生はライブ………
そらアンチ食らうわ(^∀^;)
ましてや結果があれなら余計に(・・;)


それでは恒例の

キャットウォークで作業したのは八幡→いろは

めぐり生徒会は忍者?八幡は気付かない→波紋の気配察知で気付いた

相模は逃げた→都合によりいないだけ。逃げてはいない。

八幡達は相模の居場所がわからない→掌握済み

賞の集計は相模しか知らない→予備手段を講じない八幡達じゃあない

雪乃は陽乃に借りを作る→八幡は汐華初流乃(しおばな・はるの)(ジョルノ・ジョバァーナ)に借りを作る。サブタイトル詐欺では無いですよ?陽乃かと思いましたか?残念!初流乃でしたー!(千葉村編の平塚先生風)

時間稼ぎは葉山バンド~雪ノ下姉妹、由比ヶ浜、めぐり、平塚静→アーシス!


文化祭編クライマックス!
次回もよろしくお願いいたします!

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