やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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総武高校は楽しくフェスティバる

side比企谷八幡

 

オープニングセレモニーが終わると、いよいよ文化祭も本番だ。

文化祭は2日間行われるが、一般公開は2日目のみ。一日目の今日は校内のみとなる。

この高校で文化祭を迎えるのも二度目となるが、去年は特筆すべきことがない、至って普通の文化祭だった。

今年は違う。貞夫さんやトリッシュさん、音石さんの参加は普通ではないだろう。

クラスごとに出展し、文化系の部活動が発表や展示を行い、有志希望者がバンドをやる。

ご時世なのか飲食系は調理らしい調理ができず、出来合いの物を売り、学校に泊まり込んでの準備も禁止だ。お陰で我が財団の飲食部門は今年も潤ったがな♪

そんなものでもちゃんと盛り上がるんだから文化祭というものは大したものだ。規模の大小や質の高低ではなく、アイコンとしての『文化祭』、つまりは一種の非日常を彼らは楽しんでいる。

さすがは祭り。

その祭りの熱気は俺のいるクラスにも当然の如く、押し寄せてきている。

早くも呼び込み合戦が始まり、廊下を往来するにも苦労させられる。チラシを配ったり、プラカードを持った集団が練り歩いたり、どこぞのドンキで買ったパーティーグッズめいたコスプレで走り回っていた。うわーうぜー。

あ、総武高校ライブ限定のトリッシュさんや音石さんグッズのタオルやシャツが雑貨を扱う模擬店で飛ぶように売れてる。もちろん、我が財団の商品をほぼ材料費のみで卸した物だ。

もちろん、善意ではない。大量に生産し、卸したのはその2/3。後は俺やジジイが買い込んで押さえている。こういう限定物はプレミアが付くので、時期を見計らってネットオークションで少量ずつ売り捌けば俺の小遣いになるって算段だ。頭は上手く使わないとな♪」

 

静「セコい事を考えてるねぇ。立派に横領じゃん!」

 

ジョセフ「甘いな。『買い込んである』と言ったじゃあないか。買い込んだシャツやタオルはワシらの物だ。だからギリギリセーフ♪」

 

仗助「いや、それも立派に犯罪だって………だからよぉ、黙っていてやる代わりに俺らにも1枚噛ませろよ……値をつり上げてやるからよぉ」

 

八幡「ちっ、まぁ良いだろう。儲けは四等分で良いか?」

 

仗助「乗ったぜ!グレート!ヘソクリが増えるぜ!」

 

クックックッ……とほくそ笑む俺達。だが……

 

承太郎「やっぱりそういうセコい事を考えていたか。お前らの考えが読めない俺達だとでも思っていたのか?」

 

俺と仗助の肩に承太郎の手が置かれる。見るとジョルノと徐倫もいた。

 

ジョルノ「甘いですよ?ジョセフさん、仗助さん、静、八幡。トリッシュの売上はパッショーネも関わっているのです。儲けは僕にもあるべきです」

 

おい、なにサラッと入ろうとしてるんだよ。

 

徐倫「ジョルノ兄さんまで……とにかく、それは没収よ。格安すぎるから何かあるとは思っていたけど、そんな事を考えていたなんてね……あたしにも儲けさせなさいよ」

 

承太郎「徐倫……お前もか……」

 

徐倫「だって父さん!公務員の給料は安いのよ!少しくらい臨時収入があったっていいじゃない!」

 

お、承太郎を丸め込め!ウハウハだぞ!

 

いろは「ハチ君?」(⌒‐⌒)

 

ゴゴゴゴゴ………

いろはが明らかに怒ってますという雰囲気で満面の笑みを浮かべていた。

あちゃー……詰んだわ。

 

いろは「没収です♪罰としてジョセフとハチ君は無償提供でそれらを模擬店に提供してください♪」

 

ジョセフ&八幡「マジかよ……買った分だけ損しただけじゃあないか……」

 

くそ……誰だよ。いろはをここに呼んだ奴は…。

せっかく小遣いを稼げると思っていたのに…。

 

いろは「千葉支部の収支報告と文実の会計監査結果がおかしかったので調べたんですよ。総武高校に卸した数と売上金、会計監査の発注と納品が合わなかったので。どちらか片方だけならわからなかったんですが、ハチ君の印鑑が押されてましたので、まさかと思ってハチ君の通帳を見ました。更にそこで朋子さんに問い合わせてみたら二人の通帳から引き落とされていた金額の合計と空白の売上金が合致していたので確信したんです」

 

しまったぁ!その方向からバレるとは思わなかった!

財団と文実の両方の書類を見れるいろはの目を忘れてたぁ!

しかもそんな細かいところまで見落とさなかったなんていろは……やるな。

 

いろは「まったく…見張っていて正解でした。初代から7代目までジョジョともあろうものがみっともない…。特に承太郎と徐倫!ストッパーのあなたたちまで乗っかるなんて何を考えてるんですか!今日は一色家に集合です!みっちりお説教しますから覚悟して下さい!」

 

初代ジョースター家の母の一喝により、俺達の企みはあっさり瓦解した。畜生………。

 

承太郎「何で俺まで同罪扱いに……」

 

いろは「徐倫の泣き落としに落ちかけていたじゃあないですか!相変わらず娘には甘いですね!承太郎!」

 

承太郎「む…………」

 

次の儲けを考えないとな……。こんなおいしい話は滅多に無いのに…。

在庫(の入った貸し倉庫の鍵)をいろはに奪われ、肩をガックシ落とした俺が教室に戻ってくると、なかはドタバタと開演に向けて最終追い込みの真っ最中だった。

 

海老名「メイク!ドーラン薄いよ!何やってんの!」

 

三浦「なにあんた緊張してんの?ウーケーる。ほんとウケんだけど。つーか客みんな葉山見に来てっからあんた緊張する必要なくない?」

 

海老名がブラ○ト艦長のオマージュ的な怒号を上げ、三浦は一人一人に声をかけていく。言ってることは酷いが、これも三浦なりの緊張をほぐす手段だろう。

クラスメイトを見回して見ると、誰もが自分の仕事を確実にこなそうと頑張っている。この一ヶ月半がみんなの絆を強くしたのだろうか。

時に笑い、時に涙し……時に怒鳴るときだって……ってそんなわけないか。

むしろ、先日の横牛戦で承太郎、仗助、ジョルノ、三浦、戸塚、川崎、陽乃さん、康一さん、ポルナレフさん、相模の絆が深まったというのを聞いた。

相模も元々は対人スキルが高いからな。一度認められれば仲良くなれるだろう。

俺らも……な。

さて、やることが無いので、さも働いているかのように

「なるほど、うーん……」とか呟きながら出入口をうろうろしていた。

 

「さっきから仕事しているふりをしているけどやることないの?っていうか、今度は本物みたいだね?目の腐り具合から見て」

 

ジョジョに言われそうな事を言われて振り向くと、舞台監督である海老名がいた。

ん?本物みたい……だと?まさか……閣下、あの二人を連れてきたのか?片方はジジイと小町を探しているやも知れんが。

 

海老名「やることないなら受付お願いして良い?それともユー出ちゃう?」

 

出ない出ない。首の振りだけで答える。しまった、ここは「だが断る!」だった!

 

海老名「じゃあ受付ね。公演時間の案内。聞かれたら答えるだけで良いから」

 

八幡「や、公演時間とか知らないんだけど」

 

海老名「入り口に貼ってあるから大丈夫。入り口に誰もいないってのもカッコ悪いしねー。座ってるだけで良いから。仕事している振りよりは休憩にもなるっしょ?」

 

おお、それは助かる。座ってるだけでいい仕事なら休憩にもなるし、一応はクラスにも参加したことになるわ。

お言葉に甘えて教室を出ると、扉の近くに折り畳まれた長机とパイプ椅子が二、三脚転がっていた。これのセッティングくらいはしよう。ザ・ジェムストーン!

ガッシャガッシャと(スタンドと二人がかりで)組み立て、セット完了。そこに座って寛ぐ。海老名が言っていた通り、公演スケジュールが大きく書かれたポスターが掲示されている。海老名が言うとおり、確かに俺は必要ない。副委員長の仕事で疲れている俺を休ませる為の口実は嘘では無かったのだろう。

ボーッと休憩していると、教室の中が騒がしくなった。

 

戸部「よっしゃ!円陣組もうぜ!」

 

戸部が言うと、みんな「えー!」とか「マジかよ!」とか言いながら円になり始める。コレがレクなら「何でもバスケット」でも始めそうだ。コレがレクイエムなら真実から消してしまいそうだ。

 

戸部「やっぱ海老名さんが仕切んないとはじまんないっしょ!ほら、こっちこっち。センター来ようぜ」

 

円だからセンターとかいう概念ねぇだろ。雪ノ下がエンジェル・ダストで円陣の概念を凍らせたのか?

と、思ったが、戸部が指し示すのは自分の隣。合法的に海老名さんと肩を組めるポジショニングだった。良くやるわ……。

だが、アヴドゥル(三浦)花京院(海老名)の腕を引っ張り、円の中心に押し出す。

まぁ、これの方が自然だわな。

すると、海老名は教室をぐるりと見回し、隅で佇んでいたツェペリさん(川崎)にニコッと呼び掛けた。

 

海老名「ほら♪サキサキも♪」

 

沙希「あ、あたし?あたしは良いよ」

 

海老名「またそう言うことを言い出す。衣装を作ったんだし、文化祭が無事に開催できたのだってサキサキの頑張りがあってこそでしょー?もちろん、優美子や戸塚ッチも♪あ、ヒキタニくんやジョジョっちもだよ?」

 

え?俺らも?

川崎、戸塚、三浦は横牛戦で活躍したからわかるとして、俺やジョジョは開幕一発目でやられたんだが?

 

渋る俺達性悪コンビ。だが、巻き添えを作りたいのか川崎と戸塚の奴は俺達を掴んでセンターに持ってくる。

ならば……。

 

八幡「お前も来いよ、相模」

 

相模「でも、うちは……」

 

八幡「お前だって、ポルナレフさんと一緒に横牛を倒したじゃあないか。自分の体を一度は殺す羽目になったんだ…お前がいなければ、負けてたんだぞ?」

 

相模「………うん」

 

サボり宣言をしたのは相模の体を奪ったウルフスの横牛だ。お前はその前後は馬車馬のように働いて頑張っていたじゃあないか。お前のラスト・ノートとポルナレフさんのシルバー・チャリオッツがいたからこそ、横牛を倒せたんじゃあないか。

お前は何も悪くない。だから胸を張れ。

 

海老名「ほら、葉山くんや結衣も!」

 

Oh no……クラスのスタンド使い全員がセンターに入っちゃったよ。

おいおい、海老名よ。俺とジョジョ、ついでにいろはと雪ノ下、城廻先輩は文実の半分をクビにした粛正王として学校中の嫌われものだぞ?

お前まで変に見られるぞ?

 

海老名「良いんだよ。優美子が言ったでしょ?」

 

三浦「集団が犠牲になるって。あーしらも仲間じゃん?」

 

戸塚「君達だけに重荷を背負わせない」

 

沙希「あんたらだけにカッコ付けさせない」

 

相模「うちはアーシスじゃあないけど、何度も助けられた。だったらうちも協力する」

 

葉山「俺もだ。こんな『みんな仲良く』…も良いじゃあないか」

 

結衣「コレがあたし達の覚悟だよ?もちろん、ここにはいないヨッシーも!」

 

アーシスじゃあない相模や葉山までもかよ。まったく…

 

静「バカだよ。あんたらは…」

 

八幡「まったくだ……ホントに……」

 

静&八幡「やれやれだぜ……海老名」

 

なんの事を話しているのかわからない生徒達が今か今かと待ちわびている。

 

海老名「よーし………いっくよー!千葉の名物……」

 

2F『踊りと祭り!』

 

海老名「同じアホならおどらにゃ……」

 

2F『シンッガーソー!』

 

海老名「2F!やるぞー!」

 

2F『おー!』

 

海老名の号令で皆がそれに続く。

クラスの中に混じるのは初めてであったが、案外悪くないものだった。

 

←To be continued




三が日も今日で終わりです。
お年玉は貰いましたか?または出しましたか?
本城は…逃げるんだよォォォ!(社会人)

さてさて、今回は文化祭初日です。
しょうもないことを八幡とジョセフは考えますね?
いつもと違うのは歴代ジョジョ+静までのったことですか?


それでは恒例の。

セコい事を考える八幡と歴代ジョジョ達

元々ブ○イトのオマージュ的だった海老名のオマージュを完全にブラ○トのオマージュにした。

紛れ込んでる4章の二人!?もしかしたら残り三人もっ!?

海老名は疲れている八幡を休ませようとする

円陣の真ん中には海老名と川崎のみ。八幡は加わらず➡️アーシスとスタンド使い全員

相模は居心地悪そうに円陣に参加➡️相模もセンターに

それでは次回もよろしくお願いいたします

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