side相模南(ウルフス・横牛)
私はDIO達を倒し、総武高校なる学校の校舎から出た。
他愛のない。あんなのを相手にやられるなんてハーメルンもマンティコアも昔より弱くなっていると言わざるを得ない。
私の能力、「牛歩」を使えばいかに時を止める能力であろうともものの数ではないが。
通常スタンドにも似たような能力があったか…たしかキング・クリムゾンと言ったな。私の牛歩と似たような力を持ちながら敗れるとは…よほどの愚者であったか…。
沙希「待て。お前をここから出すわけには行かない」
陽乃「何を仕込んでいたかはわからないけど、思い通りにはさせないよ?」
戸塚「よくも相模さんを……許さない」
三浦「あーしは相模とは仲良くなかった。むしろ悪かったと言えるし、敵だったときもあった。けど、こんな終わりかたが相応しい奴でもなかった……絶対に許さねーし!」
大志「お前らウルフスさえいなければ柱の一族も、ツェペリ家も、ジョースター家も……お前らだけは必ず滅ぼしてやる!」
康一「頭に血を昇らせちゃダメだよ!とにかく冷静に!」
私の前に、ジョースターの仲間達が立ち塞がった。
ふふ、また軽くもんでやるっしょ。
牛歩を使うまでもない。力がある男が二人いる。
ならば……
side川崎沙希
あたし達を前にしても相模に取りついたウルフスは余裕の態度を崩すことは無かった。5人のスタンド使いに囲まれても余裕だなんて腹が立つ。
横牛「スラビー」
??
相模は何かをしたのかわからない。
少し甘い臭いのような物がしたくらいで別段あたしには何の影響もなかった。
隣の三浦にも何の変化もない。敵の攻撃が不発に終わった?
けれど……
陽乃「ぐぅぅぅぅ!」
急に雪ノ下の姉が苦しみだした。
よく見れば何かに押さえつけられているような…。
康一「エコーズ・act3。スリーフリーズ」
康一さん!?何で康一さんが雪ノ下の姉を!?
戸塚「ホール・シンクス……」
三浦「戸塚!?何を……うわぁぁぁぁ!」
今度は三浦が戸塚のラケットで回転させられ、壁に叩きつけられる。
男が操られてる?
沙希「大志!?」
大志「ぐぅぅぅぅ………ま・け・る・かぁぁぁ!」
大志だけは何とか耐えているようだ。この甘いかおりになんの意味が…。
横牛「丑の伝説を甘く見てるのかしら?丑の力は小細工から力業まで多岐に渡る。スラビーの能力は家畜達の母の能力。男は母という存在に弱い。私から出る匂いを感じた男は私を母と思い込み、私を守る為の守護者となる。お前に効かないのはわからんがな」
大志「ぐぐぐ……偽りの母なんかに負けるかよ!姉ちゃんはな……姉ちゃんはな……忙しい両親に代わって母ちゃんのように家事をやってるんだ!姉ちゃんは姉ちゃんであって母ちゃんみたいなもんなんだ!偽りの母ちゃんに操られてたまるかぁ!」
どこかで聞いた理論………ああ、比企谷小町か。
あたしはなに?大志にとっては姉でありながら母みたいなもの?マザコン属性持ってたの?大志。
大志「康一さん!ごめん!」
コオォォォォ……
大志「ビッツロール・トパーズ」
康一「がああああ!」
ビッツロール・トパーズでシャボンを圧縮させた弾で康一サンの四肢を切り裂き、負傷させる大志。
こうなっては仕方がない!
沙希「戸塚!ごめん!」
S・S「パパウパウパウパウ!」
戸塚「っっっっっ!!!!」
広瀬康一(エコーズ)…
戸塚彩加(ホール・シンクス)…
三浦優美子(マジシャンズ・レッド)…
状況はどうなってる!?
襲われた陽乃さんと三浦は…。
三浦はダメだ……ホール・シンクスの攻撃をまともに受けてしまってやられている…。
陽乃さんもすぐには立てない…。
開幕一分とかからずにあたしと大志以外は全滅させられた…。
横牛「ふ……波紋の戦士か……人より少しは強靭な力を持っているみたいだけど……飛牛」
沙希&大志「!?」
ドカドカドカドカ!
いきなり殴り飛ばされるあたしと大志。
何をされた!?
横牛「横牛って私に付けられた名前の由来を知らないみたいだね?「横牛」……。本将棋には存在しない大局将棋に存在する駒。成った牛の駒、飛牛はチェスで言うところのクイーンに位置する。素早く、そして力強い。吸血鬼や波紋の戦士では決して到達できないスペックを持っている」
沙希「くっ………!」
少なくとも比企谷クラスの極めた力を持っている……。
おまけにここまでに使われた技の数々…。仲間割れを誘う攻撃…それに、まだ力を隠し持っている感じがある!
横牛「何の修行もしていないこんな小娘のスペックでもご覧のとおり♪更に……ミノタウロス!」
ここで始めて横牛はスタンドを出してきた。ミノタウロス…西洋の神話に出てくる牛の化け物は、かなりの大きさのスタンドだった…。
先ほどの攻撃を見た限りではこいつも相模の体のような力を出せるはず……。
ウルフスにとってはこっちの方が本体!あたし達は前哨戦で大半をやられて全滅仕掛けている…。
ここまでか……ここまで強いのか!ウルフス!
横牛「ミノタウロス……中国では西遊記に出てきた牛魔王とも言われた私。あんたらには勝ち目はない」
状況的には絶望的。
だけど、そのままただ負けるのはツェペリの誇りが許さない。体は既にボロボロ…。あたし達の波紋では比企谷兄弟やジョースター親子のようにすぐに万全に治癒出来ない。でもね……
沙希「コオォォォォ!」
大志「コオォォォォ!」
沙希「大志!いくよ!」
大志「例え勝てなくても!心までは負けない!」
それが……それが……!
沙希&大志「それが誇り高きツェペリ魂だ!」
二人の波紋を体内で循環させ、一気に間合いを詰める!
沙希&大志「パパウパウパウパウ!
二人の生身のオラオララッシュで横牛に迫る!
だけど……。
横牛「中々の動きだね。だかど、おそおそだよ。牛魔王は西遊記におけるラスボス的な存在。戦神なのさ」
二人の同時パウパウラッシュを生身で軽く受け止める横牛。だけど、生身での攻撃は囮……。
沙希「サマーハプノ・サファイア!」
大志「ビッツロール・トパーズ!」
S・S「パパウパウパウパウ!」
B・T「パパウパウパウパウ!」
ドカドカドカドカ!
二人の攻撃がミノタウロスの拳に命中する!
当てれば良い!当たれば私達の能力が決まる!
大志「圧縮しろ!」
沙希「低血糖で苦しめ!」
横牛「ぐあああぁぁぁぁ!」
圧縮させた拳が弾け、フラフラになる相模の体。
沙希「決まった……これで……」
大志「終わりだ!」
とどめを刺すべくミノタウロスに迫るあたし達。あたし達兄弟の勝ちだ!
そのはずだった……。
横牛「丑の刻参り」
沙希&大志「ぐあっ!」
あたし達の手に風穴が空く……。
何をされた!
横牛「スタンドの拳が当たって狙い通りにいったのは自分達だけだと思ったの?それはこっちだっておなじなんだよ?丑の刻参りを使うとは思わなかった…中々のスタンド能力だよ。ここまでやれたご褒美に…この丑の刻参りでじわじわとやってあげる」
横牛はミノタウロスを伴ってじわじわと距離を詰めてくる。あたし達は反撃体勢をとろうとするが……。
いつの間にか釘のような物があたし達の左手に縫い付けられており、どうやっても地面から離れられなかった。
横牛「無駄無駄。その釘はスタンドの呪い。どうやってもその釘を外すことは出来ないんよ。そらっ!」
バキィ!
ミノタウロスに殴られて飛ばされるあたし達。
更に……
川崎兄弟「ぐあああぁぁぁぁ!」
右太ももに釘が打ち付けられる。
沙希「サマーハプノ…」
横牛「無駄だって」
出現したサマーハプノ・サファイアにも釘が打ち付けられており、身動きが出来ない。
横牛「呪いだって言ってるじゃん?体だけに打ち付けられる訳じゃあない。魂に打ち込んでいるのさ。ソラァ!」
バキィ!
また殴り飛ばされるあたし達。右腕に釘が打たれ、身動きが全く取れなくなった。
大志「じわじわと……一思いに殺せ!」
横牛「あんたら、呪い師の波紋の一族の癖に、無知なんだね?丑の刻参りには順番があるんだよ。もっとも、あと二発で終わるけどね」
バキィ!
4発目……日本の有名な呪い、丑の刻参り。
毎晩丑の刻に順番に藁人形に釘を打ち込み、四肢を傷付けた後に、最後は心臓に打ち込んで呪い殺す呪い。
次の一撃で最後だ……あと一発であたしと大志の命は終わる。
沙希「あんたらの狙いは何だったの?」
横牛「別に?単純に私達の器になりそうな器を探していただけだよ?最初にやったスラビーの能力は産みの能力もあるからね。その能力を使えば他の10人に適した器を探すことができるんだよ。もっとも、ブラッディスタンドに適した総武高校の人間も、それほど私達に適した器は多くなかったけれどね。ハーメルンやマンティコアも呼び直さなきゃならないし。ホント、ジョースター達は余計な事をしてくれたよ」
それでこいつはゆっくり時間をかけて各クラスを回って器を探していたんだ…。
陽乃「ウリャぁ!」
三浦「クロスファイヤー・ハリケーン!」
横牛「ぐっ!」
二人のスタンド攻撃がミノタウロスに命中する。
しかし……。
横牛「中々の不意討ち攻撃だったけどね?丑の能力をまだ甘く見ているね。丑の五行は土。硬さに関しては自信があるんだよね。飛牛!」
再び超スピード攻撃。
陽乃&三浦「きゃっ!」
三浦優美子…気絶から醒めるも再度
波紋の力で体が強化されている陽乃さんはともかく、身体能力が普通の人間(鍛え続けていたのでアスリート並みには耐久力はあるが)の三浦では飛牛の一撃には耐えられない。
三浦は再び気を失ってしまう。
陽乃「だけど、私のアヌビス神の透過能力は確かに決まったはずなのに……」
横牛「ふ……丑の字に糸編を付ければ?」
紐………。
まさか……。
横牛「十二支の丑は生命を縫い繋ぐとも言われてるんだよ?ちょっと斬り付けられた程度じゃあすぐに縫い繋げるのさ」
そんなことまで能力にするなんて…。まるでストーン・フリーの応急処置みたいなことを……。
横牛「……猪口才なマネを……あんたにも丑の刻参りをやってやる必要がありそうだね?」
陽乃「ぐぅ!」
あたし達と同じように地面に縫い付けられる陽乃さん。
これではせっかく飛牛のスピードと力を覚えても無意味となってしまった!
詰み……でも、せめて……
沙希「パウッ!」
ヒュルルルル!
カツッ!
横牛「まだ抵抗する意志があったんだね?無意味だったけど」
口の中で切れた血をワイン代わりに使って吐き出した血の波紋カッター。
無駄な物か……これがあたしがする、最後のあがき。
沙希「はじけっ!
バリバリバリバリ!
横牛「ぐぅ!」
吸血鬼とか柱の一族ならばこれで倒せたかな?
嫌がらせ以外の何物でもない攻撃。だけど、あたしのこの攻撃には人間の……知的生命体の不屈の精神の表現だ。
手足でも……スタンドでもない口から射ち出した波紋攻撃。例え手足を切り落とされても、首だけになったとしてもこの命が尽きるまで抵抗してやる。その意思を込めた一撃。
あたし達を殺しても…きっと他の誰かが相模の仇を取ってくれる。
狩りをしていて逆に獲物に狩られるんだよ…ウルフス!
沙希「あんたらは…バカ丸出しだ!圧倒的な力であたし達を蹂躙できても、隙だらけの無能野郎さ!あんた達の心には気骨あるバイキングの勇気は生まれない!」
横牛「………なんだ…この屈辱は……お前をさっさと殺しておけばこんな気持ちにならなかったと言うのに…」
横牛はあたしの方へと足を運ぶ。
同じように血を吐き出した波紋カッターを今度は回避して距離を詰める。
横牛「二度と食らわないよ」
終わりか………。ジョジョ、後は頼んだよ……。
横牛「死ねっ!くたばり損ない!」
???「スター・プラチナ!ザ・ワールド!」
次の瞬間には相模の体は吹き飛んでいた。
そして………。空条博士が間に合ってくれた。
仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」
続いて東方会長があたし達の体を治す。
承太郎「よくここまで頑張った。川崎兄弟と三浦、陽乃。大したものだ」
仗助「誇り高きツェペリ魂、見せてもらったぜ。グレートだぜ。残念だが、呪いそのものはクレイジー・ダイヤモンドじゃあ直せなかったが、傷そのものは治ったはずだ。緊急状態は脱したぜ」
東方会長が言うように打ち込まれた杭はスタンド能力ゆえに解除されなかった。
依然、あたし達がピンチなのは変わらない。
ジョルノ「少し痛いけど、我慢して下さい。ゴールド・エクスペリエンス!」
ジョルノ社長があたし達兄弟のスタンドの手足を切断する。
少し!?めちゃくちゃ痛いんだけど!
そして、今度は適当な木の幹等をあたし達の手足に変えて嵌め込む。
すると、魂ごと呪いを切断したためか、新しく作られた手足は杭が打ち込まれていない。
助かったけどさ……なんて嫌な治療法だ。
承太郎「さて……決着を付けるぞ。ウルフス。アーシス、スクランブル!」
←To be continued
今回はここまでです。
強すぎますね、横牛。
果たして三人のジョジョは横牛を倒せるのでしょうか!?
今回は川崎兄弟にスポットを当ててみました。
出来れば同学年以外のキャラで戦わせたかったですが、うまく展開が考えられませんでした(^_^;)
次は決着編です。
誰がトドメを刺すのか!?