やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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魔王登場です。


魔王がやって来た

side静・ジョースター

 

トイレでポルナレフさんの行方不明のメールを受け取った私は急いで会議室に走る。普段だったら奉仕部に向かうところだが、主要メンバーは文実にいる。

 

仗助「ジョジョ!会議室か!?」

 

静「うん!今ならハッチとイーハがいるから!」

 

お兄ちゃんが合流し、会議室まで行くと、入り口で数人が中の様子を窺っている。何かこっちでも事件があったんだろうか?事件は会議室で起きているんじゃあない、現場でおきてるはずなのに!

 

葉山「何かあったの?」

 

ちょうど私達と同じタイミングで会議室に到着した葉山が女子に気軽に尋ねている。女子は面倒そうに振り向いたが、相手が葉山だと知ると、ちょっと緊張ぎみに「えっと…」と何事か説明しようとする。頬を染めて。

これが葉山ではなくハッチだったら涙目になるか叫んで逃げ出すか、はたまた嘲笑されて無視されるかになる。

イケメンは得ですね?

照れながら話す女子だけど、これは時間がかかりそうだ。こっちは急いでいる。ウルフスの襲撃だったなら戦わないといけないし、とりあえず中に入らないと始まらない。私とお兄ちゃんが扉に手をかけると周囲の人達も場所を開けてくれた。

扉を開けて、即座に理解した。やっぱり無理矢理にでも入って正解だった。

会議室にはピリピリした緊張感が走っていた。

数人がはしっこの方に移動してギャラリーを形成している。

中央に立つのは七人。

 

比企谷八幡。

城廻めぐり。

一色いろは。

雪ノ下雪乃。

空条徐倫。

 

ここまでは予測の範囲内。

あとの二人は……。

 

ジョセフ・ジョースター。

雪ノ下陽乃。

 

一同は円を作って難しい顔をしている。めぐりん先輩がハルさんのうしろでおろおろしていた。

 

雪乃「姉さん。やっぱりさっき流れたメールの内容で来たの?」

 

陽乃「違うよ?たまたま今日はここに来る予定だったの。有志団体募集のお知らせを受けたから。管弦学部のOGとしてね。あとは今日は出勤で来れなかった小町ちゃんからも音石さん達の件を頼まれてね~」

 

OGスパロボ?

オリジナ○・ジェ○レーション?

 

はい、おちゃらけた態度はそこまで。

 

陽乃「だけどそれどころじゃあ無くなったわよね。ポルナレフさんの事もあるし」

 

よく言うよ。雪ノ下陽乃に限ってたまたまなんてあるわけない。多分、ジョルノ兄さんから既に連絡を受けていたんだと思う。タイミング良すぎるしね。

 

めぐり「比企谷君はまだ入学してなかったから知らないかもしれないけど、はるさん、三年生のとき、有志でバンドをやったの。それが凄くてね!で、はるさんも参加したらどうかなーって」

 

八幡「それは知ってます。その頃から陽乃さんとは付き合いがあったので。というか、城廻先輩、俺達の事を知らなすぎですよ」

 

雪乃「私は知らなかったわ」

 

はるさんもハッチ達の会話に入ってくる。

 

陽乃「あはは、雪乃ちゃんはわたしが死んでいたと思ってたしねー♪めぐり。ダメだよ?あれはあそびだったし。でも、今年はちゃんとやるつもり。音石さんとか来るしね?ちょくちょく学校に来て練習とかさせてもらうかな?ポルナレフさんの事もあるからのんびり出来ないけどねー」

 

そう言ってハルさんは雪ノ下の肩を抱く。

 

陽乃「私達の血縁、ジョルノ兄さんの為にも…だから雪乃ちゃん。協力してくれるわよね?」

 

雪乃「ふざけないで。そんな事は頼まれなくても協力するわ。ポルナレフさんはジョルノ兄さんの大切な仲間よ。そうやって大切な事をおどけながら言うものではないわ。大体いつも姉さんは……」

 

手を払いのけ、雪ノ下は逆にハルさんを睨む。

 

陽乃「私が?何?」

 

雪ノ下の視線を真正面から受け止め、ハルさんはまったく逸らさない。浮かべた微笑は可愛らしいのに、その仮面の下には強い意思を感じる。

ポルナレフさんはジョルノ兄さんの大切な戦友であると同時に。ハルさんはアヌビス神の時に本気で戦った仲だし、雪ノ下は度々勉強を見てもらっている仲だ。二人にとってもポルナレフさんは大切な人である。

もちろん、私にとっても承太郎おじさんの戦友であり、小さい頃から可愛がってもらっている友人だ。なにより、あの世界では共に戦った戦友でもある。

 

雪乃「姉さんは変わったわ。昔はもっとドライだったのに…」

 

ふぅ、とため息をついて雪ノ下は目を背ける。逸らした視線の先には私がいた。

 

陽乃「あれ、ジョジョちゃんだ、ひゃっはろー。待ってたよー」

 

私に気付いたハルさんが、場違いなくらい底抜けに明るい挨拶をしてくる。相変わらずの挨拶にこっちがげんなりしてくる。世紀末かっつーの。

 

葉山「陽乃さん……」

 

遅れて入ってきた葉山が私の横に立った。

 

陽乃「や、隼人。元気そうで何より何より♪」

 

うわぁ……仮面被って心にもないことを…。まぁ、ブラッディ・スタンドの呪いから解放された葉山が敵性対象から外れているからあまり興味がないんだろうけど。

 

葉山「どうしたの?」

 

陽乃「ちょっと親戚関連でねー。ジョースターさんと話に来たんだよ?ついでに有志で管弦楽でもやろうかなってなってさー。凄い知り合いとかも来るしね~♪先に順番取っておく必要もあるでしょ?」

 

葉山「またそうやって思い付きで行動する。変わってないね?それにあなた以上に凄い人なんているのかな…」

 

葉山は呆れたようにそう言う。まぁ、はるさんの超人ぶりは誰もが認めてるからなぁ。音石さんや貞夫おじさんも才能を認めていたし。一流は何事にも通じるって言うしね。

それにしても葉山はハルさんに対してもため口か…。幼なじみって聞いていたけど。

私の視線に気が付いたハルさんはニマッと笑った。

 

陽乃「知っていると思うけど、隼人は弟みたいなものだったからねー。結構昔から付き合いあったんだよ?ジョジョちゃんや八幡君もため口でいいよ?前から言っているけどさ♪」

 

まぁ、ハッチの魂の1つが入るくらいには浅い絆じゃあないけどさ。ストーンオーシャンからずっと一緒にいたわけだし。

 

八幡&静「あはははははは」

 

今更ながらの事に乾いた笑いで返す。ホント今更。でもハッチは更に外堀を埋められたくないから絶対に拒絶も含まれてるだろうな。由花子さんも怖いだろうし。

っていうか、早くポルナレフさんの事で話し合いをしたいんだけど?なんか余裕だよね?

 

陽乃「ね、ジョジョちゃん。出ても良いでしょ?」

 

静「ダメって言ったって出るでしょ?あなたの場合は。白々しいことを言うなっつーの。まぁ、決定権は私には無いですけどね」

 

陽乃「キレッキレのため口が良いねー。あ、そっか。委員長はあの子だったっけ?」

 

ハルさんも相模の事はよく覚えてる。

まぁ、少し変わりつつあったんだけど、今日はどうしたんだ?

 

相模「ごめんなさーい、クラスのほう顔出してたら遅れちゃいましたー」

 

どこも悪びれてない相模南。

………やっぱりおかしいな。それに少し悪寒がする。

今日は定例ミーティングの日でも無いし、現状ではハッチの手腕でほとんどの仕事が前倒しで進んでいる状態だ。気が緩むのはわかるとは言え、ハッチから教わることはまだまだある。

それに、ハッチの目が微かに鋭い。

まるで敵を見るような目だ。何かハッチは知っているかも知れない。

お兄ちゃんもハルさんもパパも視線が厳しい。

 

陽乃「文化祭実行委員長が遅刻?それも、クラスに顔を出していて?へぇ……」

 

その声音が恐ろしい。体の真っ芯から絞り出されるような低く威圧的な声は相模の総身に染み込んでいく。さっきまでコロコロ笑っていた人が一転して凍てついた表情をするのだから流石だよね。人の事も言えないけど。

でも、ハルさんも相模も様子がおかしい。

葉山には別段厳しい態度を見せていないのに、相模にはこの態度。仕事に対して厳しいのはわかるとしても…。

それを飄々とした態度で受け流す相模もおかしい。こいつのメンタルではハルさんの魔王たる威圧に耐えられる訳がない。まさか……

 

相模「いや、仕方ないじゃん?私だって色々あるしさー」

 

ハルさんがふっと微笑む。だが、目が笑っていない。

 

陽乃「やっぱり委員長はそうでなきゃねー。文化祭を最大限楽しめる者こそ委員長に相応しい資質!いいねーいいねー!えーっと相模ミノタちゃんだっけ?まぁ良いや。委員長ちゃんで」

 

葉山「陽乃さん。南だよ。相模南」

 

もちろんわざとだ。

 

陽乃「で、委員長ちゃんにお願いなんだけど、わたしもさー、有志団体で出たいんだよね。で、ジョースターさんとかに相談したんだけど、渋られちゃって。わたし、あんまり好かれてないから」

 

くすんとしおらしい態度をとって見せる。そのわざとらしいあざとい態度は基本世界のイーハを思い浮かばせる。イーハも雪ノ下も苦笑いだ。

それにしても、おいこら魔王(# ゜Д゜)

いつ私が渋ったっつーの(# ゜Д゜)

まるで私が狭量みたいじゃあないか。

まぁ、作戦なんだろうけど。私が予測した通りなら、私がハルさんを好いてないと見せたほうが良いだろう。

 

相模「……良いですよ?有志団体足りないし、OGが出たりすれば地域との繋がりとかアピール出来るし」

 

それは相棒が言っていたことの受け売りになるけど、相模は自身の発案のようにハルさんに伝えた。

 

陽乃「キャーありがと!」

 

普段ならガバッと抱きつくであろうハルさんは言葉だけで感謝の言葉を口にする。

 

陽乃「うんうん、卒業しても帰れる母校って素敵だな。友達(笑)にも教えてあげよっと。みんな羨ましがるなー」

 

相模「そういうもんですか」

 

陽乃「うん、わたしもそうだけど、時々無性に戻りたくなるんだよねー。あなたみたいな子がいると特にねー」

 

ハルさんの言葉に相模も微笑む。

ただ葉山だけが短く、諦めるようなため息をついている。

 

相模「そうですか♪あ、じゃあそのお友達も出たら良いんじゃあないですか?」

 

仗助「まぁよ、俺もたまにぶどうが丘に行きたいときもあるからわかっけどよ。相模、良いのか?」

 

相模「どうぞどうぞ♪こっちも都合が良いですし」

 

言われるや否や、ハルさんは携帯片手に電話を始める。

 

陽乃「もしもし?汐華さん?オッケーだって!」

 

ジョルノ兄さんの本名を口にするハルさん。

私もはるさんの演技に付き合うか。

 

静「ちょっと、相模?」

 

八幡「あの人は流石に……」

 

案の定相模はけろりと言う。

 

相模「良いじゃん。有志団体足りないし。地域との繋がりもこれでクリアでしょ?」

 

上手く乗ってくれた。こちらの都合の良いように。

これでジョルノ兄さんも普通に動ける。

 

相模「雪ノ下さんのお姉さんと何があったのか知らないけど、それとこれとは別じゃあないかな?」

 

静「っ!」

 

微かに渋い顔を作る私。演技は得意だ。

 

葉山「やっぱりこうなるか」

 

昔のハルさんに何やられたんだ?諦めきった葉山の言葉に気になって視線を向ける。だが、葉山はわざとなのかそれには触れない。

 

葉山「じゃあ、書類をもらって戻るな」

 

そのまま葉山は会議室を出ていった。

相模も場所を離れる。さて………

 

静「お兄ちゃん、パパ、ハッチ、ハルさん。何となく見えてきたけど、一応教えて……。相模は……」

 

私がそう言うと、みんなは怒りを醸しながら頷く。

っ…………!

何となく予想は出来ていたとはいえ、私にも怒りがこみ上げてくる。せっかく相模は前に進み始めていたのに、何でこうなる!

じゃあもう……相模は………。もしかしたらポルナレフさん達も……。

 

八幡「けど、妙なんだ。京さん(億泰の妻)に連絡をとって、導かれし小道にいる形兆さんやナランチャさん達に確認して貰ったんだが、ポルナレフさん達は小道の上空を通過していないらしい。俺にもどうなっているのかさっぱりだ」

 

え?どうなってるの?だから慎重になってるのかな?

あんな演技までして。

 

静「出雲の方に飛んでいった?」

 

仗助「その可能性もあるけどな」

 

徐倫「相模を倒してハイ終わりって訳にもいかないのよね」

 

ジョセフ「時期が時期じゃしな。文化祭の実行委員が文化祭期間中に死んだり行方不明になったりしたならば頑張っておる生徒の将来に関わるからのう」

 

そんな場合でも無いけどね。

でも、ポルナレフさんがまだ死んでいない(既に死んでるけど)のなら、助けなければいけない。

人質になっている可能性もあるしね。

 

八幡「ハーミット・パープルがこんな形で役に立つなんてな………。悪い冗談であって欲しかった」

 

ハッチのスマホに写されていた画像は……

 

←To be continued




もう、わかっている人はわかっているでしょうから多くは語りません。


それでは原作との相違点。

視点は八幡➡静

八幡は葉山と共に会議室へ向かった➡静は途中で仗助と合流して会議室へ向かった

八幡は会議室の扉を開けたら陽乃がいたので無理矢理入ったことに後悔する➡静は正解だったと思う

会議室にいたのはめぐり、雪乃、陽乃➡プラスしてジョセフ、徐倫、八幡、いろは

陽乃はめぐりがたまたまあって、有志に誘って来ていた➡ポルナレフの件があったので陽乃は急いで来ていた

踊る大○査線(劇場版)とス○ロボOGネタはしっかり原作にもある

めぐりのバンドの話は雪乃に言う➡八幡に言う。ちなみに雪乃は原作ではその事を知っており、見ていたが、本作では第3章まで雪乃は陽乃が死んでいたと思っていたので知らない

雪乃は陽乃にコンプレックスを持っている➡雪ノ下姉妹の仲は良好であるし、第3章、第4章を通じて互いを認めあっている

原作陽乃は本作よりも腹黒い➡第2章のストーンオーシャンを経てただの性悪なだけ

八幡は第3章の時系列まで陽乃を知らない。その本性を怖がっている➡第2章で以下略。もはや幼なじみ達と同じ扱い。

陽乃にとって、葉山は弟みたいなもの➡……だった

八幡は陽乃のため口オーケーに対してすべてを拒絶した乾いた笑いをする➡今更なやり取りに乾いた笑いをする

陽乃は雪乃に有志の許可を取ろうとし、雪乃は拒絶する態度を取る➡静に取ろうとし、静はどのみち強引にでも参加するだろう?とつっこむ。拒絶はしない。

陽乃は相模も互いを知らない➡千葉村で会っている。流石にその辺りは相模も覚えている。

相模は陽乃の低い声音にガチビビリする➡涼しい態度で流す

相模の名前を甘噛みと間違える➡ミノタと間違える

雪乃は本気で陽乃の有志を渋った➡静の渋った態度は演技

陽乃の電話の相手は高校時代の友人。もっとも、本作同様に(笑)である可能性が高い。もしくは都合の良い手駒➡ジョルノ

やっぱりこうなるか…で諦めの境地になるのは葉山と雪乃➡葉山のみ


不穏な空気がメイドイン・ヘブンばりに加速する!
どうなる!?文化祭!
それでは次回もよろしくお願いいたします。

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