やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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時系列はマンティコアを倒した翌日のお話です。


嵐が過ぎし後

side比企谷八幡

 

どうせ台風の影響で学校が休みになるか、登校時間が遅れるだろう。

そう思っていた時期が俺にもありました。

ところがどすこい、一晩と経たない内に台風は去ってしまい、朝方にはいつもの日常に戻ってしまった。

結果、ドッテンピーカン空は晴れて、いっぱいおっぱい僕元気。いや、もう風邪はいろはによってホントに治されて僕元気。無いのはやる気、(やる気!)元気(元気ぃ!)、ポンポポンポポンキッキー。

トラブルと遊ぶほどヤンチャではないし、龍の玉はこの世界にはない。というか、ある世界を見たことがない。

まぁ、熱を出して気絶した俺は夕べはそのまま眠ってしまったが、病み上がりで少しキツイ。

昨日の今日なので、今日は俺達は普通に歩きだ。俺もジョジョも小町も全員少なからずダメージをもらったし、暴風雨の中での戦いで体を冷やした俺達は全員風邪をひいてしまった。

ナイチンゲール・エメラルドで無理矢理治しはしたが、怪我ならともかく、病気をスタンド能力で無理に治した場合は最低でも1日は安静にするようにしている。

もっとも、俺達の場合の安静とは人外な動きをしないというだけで、一般的な日常生活は普通に送る程度の認識だが。世間一般ではこれを激務休という。

極端に疲れない程度の仕事はするというのが激務休だ。

激務をしたから休みになるというのでは無いから勘違いしている人は覚えていようね?

そして授業中……。やはり昨日の無理が祟ってなのか、いつもなら授業を受けているふりをして仕事をしている俺なのだが、今日は眠気が襲ってくる。見るとジョジョもだ。やはり無理矢理病気の治癒をすれば体に負担がかかって疲れは出てくるものだ。

事情を知っている徐倫や朋子さんはウトウトしている俺とジョジョをなるべく放置して休ませてくれた。

戦いそのものからは逃げないのがジョースター家の家訓ではあるが、睡魔との戦いからは全面降伏してしまいそうだ……。睡魔とは仲良くしていきたいものだな。

そうこうしている内に授業が終わる。

結論としては病み上がりの無理はいけないということだな。今日一日の授業はガッツリ眠ってしまった。

昼休みもベストプレイスには行かないでクラスのアーシス達と眠気眼で機械的に弁当(今日は母ちゃんと一色義母さんに作って貰った)を食べては再び机に突っ伏す。

 

材木座「よほど疲れておるのだな。徹夜で仕事をしておったのか?」

 

川崎「昨日、突発的にウルフスの寅との死闘を繰り広げたみたいだよ?」

 

結衣「うげぇ……あたしも夏休みにウルフスの鼠と戦ったけど、あれは強かった…」

 

三浦「ジョースターさんも今日は調子が良くないから家で寝てるって言ってるみたいだし、ジョジョやヒキオ、小町が消耗するなんてよっぽどっしょ…」

 

海老名「半分寝ながらお弁当食べてるね…。わたし達の前にも出てくるのかな……十二支スタンドのウルフス」

 

………うーん、やはり机に突っ伏しての体勢では寝た気がしないなぁ。

同じ事を考えたのか、ジョジョもむくりと起きて幽鬼のようにフラフラと歩き出した。

そしてドアを開けた瞬間の事だ。

 

??「うわっ!」

 

八幡「ふにゃ?」

 

静「にゃお?」

 

ドッシーン!と何かが胸にぶつかった衝撃が。ちょうど入れ替わりに入ってきた誰かとぶつかってしまったようだ。

普段なら気配を察知してタイミングをずらすのだが、そこまで気を張れるほどの状態ではない。

コレが殺気とかだったら即座に体が反応するのだが、今回のは単なる偶然の接触事故だ。

しかし、良い攻撃力だ。俺達に軽く衝撃を与えてくる奴なんてそうそういない。結構鍛えられている奴だ。

ジョジョの考えも同じだったらしく、難癖付けてでも是非ともスカウトしようと相手を見てみると、小動物系の見た目でありながら、中身はガッツの人である見慣れた人物がキョトンとこちらを見上げていてとても可愛い。

ある世界では死にかけても覚悟を持って戦い抜いた根性の男の娘、戸塚彩加だ。

あ、小町の婿さん候補がここにもいるじゃあないか。あっちの二人ももうお前ら付き合っちゃえよ状態だったし。

 

戸塚「あ、八幡、ジョースターさん。ごめん。でも珍しいね?人とぶつかるなんて」

 

八幡「すかー…いろは……ZZZ」

 

静「クピー………お兄ちゃん………ZZZ」

 

戸塚「二人とも寝ながら歩いてる!夢遊病!?そして八幡もジョースターさんも僕は一色さんや東方会長じゃあないよ!だから抱き締めないで!うわああああ!」

 

海老名「トツハチきましたわーー!」

 

三浦「相変わらずの病気だなオメーは!擬態しろっていつも言ってんだろーが!」

 

むにゃむにゃ………。んんー?

何で俺は戸塚を抱き締めてるんだ?

 

戸塚「八幡!ジョースターさん!目を覚ましてよ!」

 

八幡「あー…悪かった。昨日の戦いと熱を出したせいで疲れててな……かなりボーッとしている」

 

偶然とはいえ、戸塚を抱き止めてしまった。これでいろはがいなかったら恋が芽生えていた。海老名の世界(ザ・ワールド)に突入していたところだった。危ない危ない。

そのまま再び微睡み始めた俺に気付いて戸塚が離れる。

 

戸塚「調子悪いんだったら保健室に行ったら?その状態じゃあ授業もすぐにおちるでしょ?」

 

静「そうだね……こんな時にヒットマンに狙われたらたまらないから次の授業は病欠してくるよ…」

 

サボりではなく、形違いの体調不良だ。元々俺達もそのつもりでいたわけだし……。

 

戸塚「一応、空条先生には言っておくよ。ホントに体調不良だし、事情も知っているだろうから空条先生も怒らないと思うし」

 

だろうな。今朝も心配して様子を見に来たときには学校を休むかとも言われた。先月のペストの件ではハーメルンと戦った全員がこの状態に陥った訳だしな。

 

沙希「でも、次の授業は文化祭の役割分担を決めるからいた方が良いんじゃない?」

 

静「あー……そっか」

 

先日のLHRでは題材しか決めていなかった。次の時間ではより具体的な内容になるだろう。

 

八幡「あの劇の主役で無ければ何だって良いや……」

 

静「私は城廻先輩に頼まれて決まっているから……もう、限界……今なら由比ヶ浜にも負ける自信あるわ……」

 

二人で肩を抱き合いながら教室を後にする俺達。

どうせ何をやっても変わらん。いつもどおりいるだけだろう。普段の俺達はこんなもんだ。

いざ準備作業が始まったところでタイミングを見計らって出社するだけだ。

どの係になっても俺達の在り方は変わらん。

やることないのなら出社する。いなかったところで責めてくる奴はいない。

 

八幡「適当に余ったところにでも突っ込んでおいてくれよ。行くぞ……ジョジョ」

 

静「むにゃむにゃ……ハッチ、運んで……」

 

八幡「だが断る。俺も歩くのが億劫だ」

 

俺が思うところに戸塚に伝わったかどうかはわからんが、戸塚の事だから悪いようにはしないだろう。

 

戸塚「ん、わかった」

 

静「よろしく………」

 

俺達は手を振ってから教室を出た。

 

 

ー保健室ー

 

授業開始のチャイムを聞きながら、特別棟一階の保健室へ向かった。

こんな時間に廊下をふらふらしている生徒は流石におらず、静かな空気の中を歩く。

保健室の周囲はヒンヤリしている。軽くノックしてから正面の扉を開くと、消毒液の匂いがツンと鼻をついた。

中ではいろはに肩を貸している城廻先輩と養護教諭が雑談していた。

いろはは既に船を漕いでいる。城廻先輩はいろはを適当なベットに横にすると、あ~やっぱりぃ!と間延びした口調で話しかけてきた。

 

めぐり「比企谷君達も来たんだね~。いろはちゃんもね、フラフラしながら歩いていて危なかったから肩を貸して連れてきたんだよ~?昨日は大変だったんだよね~?」

 

八幡「ええ……熱は下がったんですが、病み上がりで調子が悪くてですね」

 

静「ZZZ………」

 

こいつ、器用に立ちながら寝てやがる……。

 

養護教諭「おやおや、空条先生の所の子だね。噂の性悪コンビじゃない。あんたらでも風邪をひくことがあるんだね」

 

白衣を着た妙齢の女性、養護の先生が珍しいものを見たかのように俺達をしげしげと眺めてそう言った。

失礼な。誰が性悪コンビだ。それに徐倫とは兄弟みたいなものであって親子関係じゃあない。

 

八幡「すんません。そこの一色も含めて俺達は昨日の台風で体を冷やして昨日は寝込んでたんです」

 

来室した理由を手短に説明する。本気でだるいし、仮病という訳でもないので演技をする必要もない。

 

養護教諭「ああ、空条先生や東方PTA会長から聞いているわよ?熱を出して昨日は安静にしてたんでしょ?ホントに調子が悪そうだしね。今日が平和だったのはそのおかげかしら?」

 

仗助と徐倫が話を通していたか。いろはとジョジョは既にノックダウンしているしな。

それにしても判断の材料がひどくね?それだとしょっちゅう騒ぎを起こしているみたいじゃあないか。

一応は仕事なので養護教諭も俺達の状態をさっと確かめる。やば……本気で倒れそう。

 

養護教諭「まったく……病み上がりが無理をするんじゃあないよ。天下のSPW財団の秘蔵っ子に何かあったら私まで財団に狙われるじゃない。それに、比企谷はいつもどんよりしてる目なんだから、寝ればマシになるんじゃない?病気よ?その目」

 

その理論でいくと、俺は四六時中病んでいることになるだろうが。大体どんよりってなんだよ。つくづく失礼な。

天の声『ある意味では四六時中病んでるだろ』

 

養護教諭「早退しても構わないけど、どうする?ここで休んで行く?ベットも一色と共有で良いでしょ?婚約者だって話だし」

 

それで良いのかよ。風紀の乱れなんてものじゃあないぞ?

だが、フラフラのままで帰るわけにもいかない。万が一にも昨日のようにウルフスに襲われでもしたら今度こそ命に関わる。

 

八幡「じゃあ……」

 

めぐり「奥は静ちゃんで、間に簡易ベッドで比企谷君だよね?流石に生徒会長として男女で同じベットは許さないよ?」

 

城廻先輩に突っ込まれた………だと?

城廻先輩が簡易ベッドを組み立てて俺をそこに押し込んだ。

タオルケットを城廻先輩にかけられる。

俺達三人はカーテンで仕切られ、再開された城廻先輩と養護教諭のお喋りをBGMに、微睡みに落ちていった。

 

目が覚めたときにはいろはに引きずり込まれ、抱き枕にされていたのは言うまでもない。

なにこれ凄い幸せ。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

三者三様に激しい戦いの後でしたから、疲れがたまっていたのでしょう。中学の方でも小町はダウンしているかも知れませんね。

それでは恒例の。

ドラコンボールネタに加えてポンキッキーネタ

八幡が寝不足なのは休校になると思い込んで夜更かししまくった➡病み上がりで体調不良気味

八幡は人知れず寝ている➡八幡の回りには昨日の戦いを心配してアーシスが集まっている

戸塚は八幡の行き先に疑問を持つ➡事実を知っているので保健室に行くことを奨められる

養護教諭が話しているのは知らない女子生徒➡めぐり

養護教諭は八幡の仮病を見破ろうとした➡本当に体調不良だったので普通にベッドに案内した

奥のベッドで眠る八幡➡いろはと静に埋められていたので真ん中に簡易ベッドをひかれて眠らされた

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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