やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

324 / 731
2年F組 文化祭 出展企画書 ミュージカル
『星の王子様』

概要
あの名作、『星の王子様』を、比企谷八幡を筆頭とした都市伝説キャストで完全舞台化!CGなし!特撮なし!

ターゲット
総武高校女子、他校女子、保護者女性、SPW財団女性

キャラクター
☆ぼく
やさぐれ気味の飛行士。砂漠に不時着したせいで更にやさぐれが悪化。目の腐り具合も悪化。

☆王子様
純真無垢な美少年。純粋さ故の言葉攻めが得意。時たまヤンキー言葉が出る。

☆王様
自尊心が強く、体面を保とうと必死。俺様タイプ。既にあるべきプライドが粉々なのが(笑)

以下略
全て男キャラ
うぬぼれ男、酒飲み、ビジネスマン、点灯夫、地理学者、キツネ、ヘビ

あらすじ
砂漠に腐時着した「ぼく」。修理しようと四苦八苦しているところに、ショタイ「王子様」が現れる。会話を重ねている内に互いに惹かれ合う二人。
やがて挑発するように王子様が華麗な男性遍歴を披露し始め、嫉妬に狂う「ぼく」だが、想いは届かず、ヘビに「王子様」は寝とられてしまう。
そして、「ぼく」は気付くのだ。大切なものは目に見えない、本当の愛とは何であったかということに…


第5章ー2 「新たなる仲間。文化祭編」
第6巻プロローグ highエロ腐ァント・all green


side比企谷八幡

 

……イイハナシダナー。

と言うとでも思ったのか、この間抜けがぁ!

俺は読んでいた出展企画書をそっと机に置く。

結構な厚みを持つそれからはえもいわれぬ独特のオーラが滲み出ていた。たぶん天国に行く手段を記したディオの日記とかは他者からしたならこんな雰囲気なのだろう。

表紙には『ミュージカル 星の王子様』と記されている。とんでもテニス勝負とか、スターダスト・クルセイダーズのスタンドバトルが繰り広げられそうな題名だった。

季節は秋。秋といえば文化祭。文化祭と言えばクラスのみんなが一致団結し、孤高を貫かんとする者にはやや退屈な季節である。授業を受けてる振りをして仕事をすることも出来ないので苦痛だ。

我がクラス、といって良いほどには一部を除いてクラスに馴染んでいないし愛着も別にないが、俺の所属する2年F組もまた、今日から本格的に文化祭に向けて準備を始める。

2年F組の出展内容は、演劇に決まった。多数決で決めるということであれば、俺の出る幕はない。

どんな演劇をやるかアイデアを募った結果、ひとつの作品が候補にあがった。

それが『星の王子様』。

『星の王子様』はサン・テグチュベリが書いた小説だ。

高校生が演目として選ぶのには相応しい、世界的名作といっていい。

だが、1つ違っていたのは。奥様(書いたの)魔女(海老名)だったのです。

海老名が書いてきたプロットには、初っぱなから心折れそうなキャラ設定とあらすじがあったが、それでも部下が書いた下手な企画書を読む気分で頑張って読み進めて行く。ダメダメな企画書でも中には目を見張るほど良い規格があったりする。が、変態王子とか出てきた当たりで俺は読む(考える)のをやめた。

 

…………………

 

お前は本当にあの花京院の転生かぁ!前世のクールさはどこにいったぁ!恐怖の視線で海老名を見ると、海老名は口を三日月形に変えてメガネを光らせた。

絶対にジョジョハチとか考えている呪いの瞳だ!

 

海老名「ジョジョハチ……」

 

やっぱりかよ!そのジョジョが徐倫や静じゃあ無いことだけは確かだ!克服したくない恐怖が全身に悪寒となって駆け巡る!頼むからやめろください!

俺はそっと別のプリントを重ね、仕事に没頭する事に決めた。

LHR中の教室にはエコーズact3のスリーフリーズがかかっていると錯覚を起こすほどに重い空気が立ち込めている。

康一さん……複数にスリーフリーズをかけられるほどにまで成長したんですね?射程が伸びたんですね?どこにいかれたのですか?スリーフリーズを解いてください。

 

葉山「そろそろ良いかな?」

 

クラスの大方が読み終わったころ、葉山が教室を見渡し、声を掛けた。本来はルーム長がやるべきなのだろうが、ルーム長は純朴な男子ゆえ、この手のものには耐性がないようで固まっている。俺も耐性を付けたくなかったわ……。付けちまったよ……。スタンド攻撃(海老名)のせいで!

 

葉山「え、えっと……どうする?何か質問とか、改善点があれば…」

 

聞かれたところで改善点しか見当たらん。

クラスの女子から手が挙がる。

 

女子「これ、女子は出ないの?」

 

海老名「え?何で出るの?」

 

海老名がキョトンと首を捻った。ちょっと待てや、ハイエロ腐ァント・グリーン(# ゜Д゜)!

確かに『星の王子様』に人間の女性は登場しない!強いて言うならバラがその役目を果たすが、そのバラだとて海老名には『薔薇』となるだろう!

それだったら自分で薔薇を出すわ!棘だけどなぁ!スタンドの紫色の棘でいろはの幻影の波紋を作って自作自演をするわ!バラに限らずヘビにしろキツネにしろ、全ていろはを擬人化した幻影の波紋で出してやる!

リアルSG(スタンドグラフィックス)と言うものを見せてやるわ!この比企谷八幡がなぁ!

もっとも、出演する気は毛頭ない!

え?概要に俺の名前がある?知るか!文化祭当日は無理矢理出張を作って逃げてやる!東北支部との合同企画もあるしなぁ!

ジョジョ、頼む!許可してくれ!

時を止めてメモ書きしたものを隣の席のジョジョの机に置く。

それに目を通したジョジョはアクトンで透明化したメモを丸めてデコピンの要領で弾いて俺に飛ばす。

 

『多分、無理。また一家総出どころか有志外部の参加で貞夫おじさんとか、音石さんとか、トリッシュ姉さんが参加予定だから』

 

何でたかだか千葉市立高校の文化祭にそんなVIPどころのアーティストが来るんだよ!しかも有志で!

 

女子「これ、公序良俗的には大丈夫なの?」

 

海老名「全年齢だから大丈夫(オールグリーン!)

 

誰がゾーニングの話をした!グリーンはお前のスタンドだろが!こっちはオールレッドだよ!

クラスの大半はどう受けとればいいのか悩んでいる。腐女子趣味に一定の理解がある連中は苦笑い。女子も数人の理解がある人達を除いては困惑している。

そんな中で、はいはいはーいっ!とものすごいうざい感じの挙手をするものが一人いた。

 

戸部「でも、俺は良いと思うぜ」

 

戸部……覚えていないとはいえ、おもいっきり敵対したくせに必死のアピールですか。恋する男子のちょろさというか可愛げは異常だ。

何で知っているかって?砕けた魂の時にいろはや小町、ジョジョや仗助や陽乃さんに入った時に少しだけ記憶が見えたんだよ。露伴先生が記憶を改竄する時の戸部の記事をな!(第4章プロローグ参照)

まぁ!みんなそんなものだろう。俺もいろはに対する執着心は異常だという自覚はある。相思相愛でなければマズイ領域にあるだろう。それこそ『ストーカー』と言われるくらいには。というか、見知らぬ女子に影で言われた事もある。

戸部は周囲の反応がいまいちと見て、更に強調する。

というか、当の海老名の反応までいまいちになっているのは気のせいではあるまい。脈は全く無さそうだ。むしろマイナスとまで言える。

 

戸部「こういうの面白れぇじゃん!普通に劇やっよりウケッと思うんだけど!」

 

むしろ海老名がウゲッとしてる気がするけどな。

しかし、その甲斐あってか、クラスメイトたちも顔を見合せ、ちょっと考える姿勢になる。

海老名はメガネを再び光らせ、こちらを見る。

 

海老名(よろしく♪)

 

八幡(だが断る♪)

 

主人公(被害者)が俺である以上、全力で!

 

そういえば奴等も主人公と書いて被害者だったな…。

加害者は俺だったが。

 

例えBL小説ではなく、ミュージカル作品であろうとも、誰が奇抜な衣裳を着て男に愛を語る舞台に立つか!

 

天の声『普段から奇抜なバッチやらをゴテゴテ付けた改造制服を着ているお前が言うんじゃあない!』

ちなみに今日は承太郎の鎖を付けています。

 

俺は植物のような平穏な高校生活を送りたいんだ!(←今さら?)誰が物笑いのネタになるかぁ!

 

海老名「まぁ、そういう方向性もありだと思う。それにガチモノだったらこういう場所には出さないし。それくらい私も区別はつくから」

 

だったら身内を売る区別も付けてくれね?

それともまだ恨んでんの?わざわざ異世界にまで助けに来てくれたのはポーズ?振り?

そう言えばあの世界でもアイツと俺の薄い本を作ってましたね?しかも金髪魔法使いに普及……というより布教してましたね?

あと他の世界でもあなたの声が聞こえましたけど見えてたんですか?

『ハチハチキマシタワー!』

 

 

side???

 

4-1主人公『ぞくぅ!』

 

4-2主人公『なんだ、この悪寒は!』

 

4-3主人公『野郎……また花京院の呪いか……』

 

4-4主人公『次はいつだ……どこからくる……何度呪われなければならない……』

 

4-5『俺に呪いをかけるんじゃあない!花京院!』

 

 

side比企谷八幡

 

葉山「まぁ、とりあえず、キャラの設定書きは無視して笑いの要素を強めて行くってことで、良いかな?」

 

良くねぇよ。誰か反対しろよ。

だが悲しいことに誰からの反対意見は上がらなかった。

いざとなったら葉山を操る波紋で操ってやらせよう。

 

葉山「じゃあ決定ということで」

 

LHRの時間を全て費やし、やっとクラスの方向性が決まった。まだまだ決めねばならないことはたくさんあるが、俺はそっぽを向かせてもらう。

当日は休む!逃げる!良いよな?空条先生?

 

徐倫(目で)『サボったら日本のフィンガー、くたばりやがれよ』

 

ダメかー。オラオラくるのかー。

 

←To be continued




今回はここまでです。

文化祭編が始まりました。


原作との相違点を。

プロットの概要に書かれているのは葉山➡八幡

海老名さんの企画書はネクロノミノン級➡DIOの日記級

とんでもテニス勝負➡プラスしてスタクルスタンドバトル

八幡と目があった際はしなを作って照れて、「照れる」という➡口を三日月形に変えてメガネを光らせ、「ジョジョハチ」

八幡の海老名へのツッコミがかなり激しめ

教室の空気にスリーフリーズネタを加筆

腐レグレンス➡ハイエロ腐ァント・グリーン

バラはライオンキングネタ➡幻影の波紋

八幡は文化祭は他人事として諦めている➡いつも通り逃げる事を画策する

戸部の恋心はバンガローで知った(原作4巻参照)➡幼なじみーズの記憶で知った(第4章プロローグ参照)

八幡は中学時代にストーカー扱いをされた(クラスの女子に惚れっぽかった)➡八幡は中学時代に(いろはの)ストーカー扱いをされた

八幡は戸部のコメディチック案に賛成➡全力で逃げる予定

それでは次回もよろしくお願いいたします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。