やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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材木座のデート続行回です。


ステルスヨッシー?

side材木座義輝

 

東京湾にようやく日が落ち、中天を藍色の闇が満たす。月は高々と昇り、打ち上がってくる花火を楽しみにしているようだった。

屋台の連なっている道から続く、メイン会場となる広場は既に人で溢れかえっている。

隙間なく敷き詰められたビニールシート、始まる前から杯をかわす人々、遠く子供の泣き声がこだまし、かと思えば近くでは怒号が飛び交っている。

おかげで座るところも身の置き場もない。

我一人ならどうとでもなるし、どこぞに腰掛けるなり遠く離れるなりして花火を眺めていれば良いが、由比ヶ浜嬢がおるなら話は別だ。

さすがに終始立ちっぱなしというわけにもいかぬので、二人揃って座れそうな場所を探すことにした。

とはいえ、ビニールシートはおろか新聞紙もない。由比ヶ浜嬢は浴衣なので地面に直座りというわけにもいかぬだろう。手頃なベンチでも、と思っても考えることは皆同じなのか、既に占領されてしまっておる。

ベンチ代わりになりそうな手刷り等にも既に寄りかかったり座ったりされておる。

行き場がないとかまるで学校行事の我みたいだ。上手いことを考えてる場合ではないわ!

 

結衣「いやー、混んでるねぇ……」

 

たははと困ったように笑いながら由比ヶ浜嬢がいう。まったくだ。

 

材木座「こんなに混むと知っておったら小さなビニールでも用意すれば良かったのかも知れぬな」

 

結衣「うん……ごめんね?誘ったのがあたしだったんだから用意しておけば良かったのに…」

 

材木座「や、由比ヶ浜嬢は悪くない。ライブと同じだと思えば良かったのだ。そこまで頭が回らなかったのだ。申し訳あらぬ」

 

少し考えれば予想出来たことだというのに自分のいたらなさにげんなりする。

戦いは準備の段階で決まるというのを軍人の前世の時からいやというほど痛感していたというのに。

ジョセフのようにもてる男というのは用意周到準備していてちゃんと気配り出来る男なのだろうな。それは成功する男という点でも言える事だ。

まぁ、我はそういうのは無理だと思うがな。

戦いとかなら話は別だが、もてるとかの点では絶対に無理だ。

あ、戦いと言えばスタンド…

 

材木座「ガンズ・アンド・ローゼズで我が椅子に変身するというのはどうであろうか?」

 

我ながら名案だとおもった。

だが………

 

結衣「え………ヨッシー、それってヨッシーにあたしが座るって事だよね?さすがにそれはちょっと………」

 

…………ドジこいたーー!

我は何を盛大なセクハラ発言しておるのだ!

大体、こんなところでガンズ・アンド・ローゼズを使ってしまったら騒ぎになるではないか!

ガンズ・アンド・ローゼズは一般人でも見えるのだから!

 

結衣「それに、あたしはせっかく来たんだから普段のヨッシーと一緒にいたいな。立ちっぱなしでも、二人で花火をみていたい……」

 

ぬぬぅ!なんて威力だ!

あまりの威力に告白して振られるところであったぞ!

振られるのかい!

 

結衣「でも、ヨッシーの気遣いは嬉しいよ。優しいのは知ってたけどね。向こうの世界の時だって、一緒にいてくれたし………」

 

材木座「いや、我はそれほど優しくはないぞ。優しくなれるとすれば……」

 

ここで由比ヶ浜嬢だけだと言えれば良いのだが、それを口にしてはどこか嘘くさく感じてしまい、言葉を続けることが出来ない。

 

結衣「………………ねぇ、ヨッシー」

 

材木座「む?」

 

結衣「やっぱりヨッシーはどこかヒッキーに似ているのかも。ううん、浮き世離れしているヒッキーと違ってヨッシーは身近に感じる。そっかぁ………そうなんだ。だからあたしは………」

 

そう言って由比ヶ浜嬢は何かを納得して頷き、そして魅力的な微笑みを向けてくる。

な、何か照れ臭い……

 

材木座「む?あちらの方が空いておるようだから行ってみよう」

 

結衣「うん!」

 

そう言って進み始めたものの、始まる寸前の駆け込みで屋台やトイレに向かう人が多く、人の流れに逆らって進まねばならない。

ゴタゴタと人が入り乱れる中、間を縫うようにして歩く。

斥候などでは音を消して歩かねばならぬからな。前世の軍人スキルが子供の頃から癖になっておる。

草を踏まぬように前進する癖がついておる我にすればこの程度の人の波などどうということはない。

木人拳の修行とて我には造作もないことよ。

人の波を捌きながら歩き、人が途切れ始めるエリアまで出た。

ここで忘れてはならぬのが由比ヶ浜嬢の事だ。

軍人たるもの、集団行動の中で長をするものは他の者も付いてきておるかを確かめながら行動せねばならん。

一人の突出や遅延は集団行動を乱す。乱れた集団行動が命に直結する場合も少なくない。

功を焦って偵察だけで良いものを、命令違反して無駄な戦闘を仕掛けた挙げ句に返り討ちに遭い、その上官も放っておけば良いものを、「よくも○ーンをぉぉぉぉ!」と言いながら報復に出るなど愚の骨頂よ。どのみちあのアニメでガン○ムを倒せておったとしても待っておるのは勲功ではなく命令違反をしたジー○とそれを押さえられなかったデ○ム曹長の罰則だ。

この場合の優先任務は由比ヶ浜嬢と二人で人の波をかき分け、目的地に到達することだ。

我は由比ヶ浜嬢の手を取り、斥候で鍛えた足を発揮しておったのだ。

由比ヶ浜嬢の支援射撃も中々であった。

「すいませーん」「ごめんなさーい」「失礼しまーす」と手刀切りしながら行軍をスムーズにしてくれておる。

我と由比ヶ浜嬢のコンビは最強なのでは無いか!

 

side比企谷八幡

 

イラッ!(# ゜Д゜)

 

いろは「ハチ君?どうしたの?」

 

八幡「なんかイラッと来た。具体的には材木座と由比ヶ浜が最強コンビとか言っている気がした」

 

最強コンビは俺といろはだ。異論は認めん!

 

静「最強コンビは私とお兄ちゃんよ。異論は認めない!」

 

八幡「あ?」

 

静「お?」

 

いろは「何でそこで喧嘩腰になるんですか!」

 

 

side材木座義輝

 

材木座「とりあえず人が少ない方へ来てみたは良いが…」

 

結衣「ここ、有料エリアだね。それよりもヨッシー…手が///」

 

材木座「す、すまぬ!」

 

無意識に繋いでしまっておったが、由比ヶ浜嬢の手を持ったままであった!

 

結衣「ううん。はぐれるといけないからこのままで//」

 

ぬう!何てラッキーイベントばかりなのだ!

リバース・タウンact3は運勢を奪うだけではなく、我にとっては幸運を呼び寄せる能力があるのではないのか!思わずそう錯覚してしまう!

 

だが、浮かれてばかりもおれん。

由比ヶ浜嬢が言うように、ここはトラロープが張られ、明らかに区切られておる。

このエリアは全体が木々で囲まれており、普通に座っておったら花火が観測しづらい。だが、有料エリアは小高い丘となっており、絶好の観測地点となっておる。

警備体制も万全で、バイトの歩哨がうろうろ巡察しておる。

この付近で立ち止まっていては追い払われてしまう。

 

材木座「もう少し探してみるとするか?」

 

ロープ沿いは人通りがいくぶんかましなので、由比ヶ浜嬢を促して歩き始める。

 

陽乃「あれ?材木座くんと……」

 

雪乃「由比ヶ浜さん」

 

宵闇になお際立つ濃紺の地は風雅さを漂わせ、大百合と秋草模様が涼しげなお揃いの浴衣姿。

そこにおったのは久々に会った雪ノ下姉妹であった。

彼女達だけではない。

周囲にはジョセフ老、空条博士、ジョルノ殿もそこにおった。

そうか、ジョースター家は来賓として呼ばれておると言っておったな。

 

←To be continued




はい、短いですが今回はここまでです。
着実に距離を縮めている材木座と由比ヶ浜でした。
さて次回はどうなるでしょうか?

それでは恒例の。

ガンズ・アンド・ローゼズで椅子になるネタを挿入。いや、それはちょっと不味いでしょ。いろんな意味で。

由比ヶ浜のセリフが細かく違う。

八幡はステルスヒッキーを使って人の波をかき分けた。由比ヶ浜の事を忘れて➡材木座は軍人スキルを使って人の波をかき分けた。また、由比ヶ浜の手を取って進んでいた。

ガ○ダム第1話のディスり。

有料エリアにいたのは陽乃のみ➡プラス一部のジョースター家と雪乃。八幡達もぼちぼち戻りつつある。


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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