戦友との別れ。
八色。
第1話「最大の敵」
side由比ヶ浜結衣
今、あたしはこの夏休み最大の敵と戦っている。
綾瀬絢斗、汐華冬乃、柱の一族のあたし、ワムウ、カーズ以上の強敵と!
あの世界で戦った陽乃さんやいろはちゃん、あのキモイあたしやゆきのんよりも強敵と!
その強敵の名前は……
「夏休みの課題」
これである。
だってわかんないんだもん!もうやる気がないよ…。
あ、やる気が無いときのリバースact1があった!
R・T「残念ながらマスター。act1、act2は完全に使用不能です。大体マスターは状況に応じて使い分けるなんて器用な事が出来ますか?」
……出来ない。役立たず!ホントにact1は役立たずだよ!本当に欲しい時こそ使えないなんて!
R・T「それでどうにかしようとしているマスターも大概だと思いますよ?」
結衣「だったら教えてよぉ!リバース!」
R・T「申し訳ありませんけど、私はマスターの写し身ですよ?そんな学力があるわけないじゃあ無いですか。もう下らない事で呼び出さないで下さい!」
うわぁぁぁぁぁん!普段は呼び出さなくても出てくるクセに薄情者!何故か本体よりもヒッキーが仲良くなったスタンドみたいに余計な時に出てくるクセにぃ!
じゃあヒッキーなら教えてくれるかなぁ?
☆★ゆい★☆『宿題写させて(σ*´∀`)』
ピンローン!
ヒッキー『だが断る』
即答!?
☆★ゆい★☆『えー!助けに行ったじゃん(# ̄З ̄)』
ピンローン!
ヒッキー『それはそれ、これはこれ』
☆★ゆい★☆『そこを何とか・゜・(つД`)・゜・』
ヒッキー『アリーヴェデルチ』
☆★ゆい★☆『助けてよぉ!ヒッキー!』
代わりにメーラー大門五郎さんからメールが来た。
ブロックされたぁ!ヒッキーの薄情者ぉ!恩知らず!
じゃあスタッチだ!
☆★ゆい★☆『スタッチ!お願い!宿題写させて!』
スタッチ『だが断る』
全く同じ返信だよ!
☆★ゆい★☆『友達でしょ!部長でしょ!(´・ω・`)?』
スタッチ『ハッチ同様にブロックするよ?』
☆★ゆい★☆『何で知ってるの?(◎-◎;)』
スタッチ『仕事中だから同じ部屋にいるっつーの!教えてとかならともかく写すのはダメだろ!』
めっちゃ怒ってるぅぅぅぅぅ!藁をつついたぁ!
天の声『藪だ!』
じゃあ、いろはちゃんを!
☆★ゆい★☆『宿題を写させて!( ^∀^)』
いろはちゃん『だが断る』
何で同じ返答!?
☆★ゆい★☆『良いじゃん!教えてよぉ!(# ̄З ̄)』
いろはちゃん『そもそも学年が違うんですけど?』
☆★ゆい★☆『でもいろはちゃんも大学出てるじゃん!・゜・(つД`)・゜・』
いろはちゃん『あのぉ……筒抜けですよ?ハチ君とジョジョ先輩に』
まさかいろはちゃんも仕事中!?
だったらこま……
小町ちゃん『だが断る』
先手を打たれたぁ!・゜・(つД`)・゜・
じゃあ、マイダーリン中二に!あ、写させて貰うんじゃ無くて勉強教えて貰おう♪
天の声『まだ付き合ってないだろ!』
☆★ゆい★☆『宿題教えてくれる?(*≧∀≦*)』
岸辺露伴先生『だが断る』
何で岸辺露伴先生から返ってくるし!?
☆★ゆい★☆『何で露伴先生が!?』
岸辺露伴先生『義輝君の指導中だからに決まっている。彼の携帯は僕が預かってるからだ。安易なパクリをネットから拾わない為にね。君も悪あがきしていないで自力でやりたまえ』
岸辺露伴先生のケチィ!だったらゆきのん!
ゆきのん♪『残念だけど、今は会社の千葉支部でアルバイト中なのよ。あと、姉さん通じてジョースターさんから通達が来たわよ?写させるなって。ジョースターさんがカンカンよ?私も反対だわ。解くヒントを教えるならともかく、答えを教えてしまっては課題の意味が無いもの。課題テストで泣くのは由比ヶ浜さんよ。それでは奉仕部の理念に反するわ』
うー……何でみんな財団にいるのよ!あたしの関係者って大半が財団の人じゃん!
うー……誰かいないかなぁ…
ヒッキー『仕方ねぇなぁ…明日、海浜幕張駅に行け。特別講師を頼んでおいたから』
え?!ヒッキー何だかんだで優しい☆★☆★
やったー!
ー翌日ー
海浜幕張駅
待ち合わせ場所に行くと……
エンポリオ「待ってたよ、結衣。ハッチに頼まれて来た」
あたし達の世代で一番頭の良いことで有名な空条先生の弟、エンポリオ君。
雪乃「時間通りね。写すのはダメだけど、一緒に問題を解いていく手助けならいくらでも協力するわ」
あたしの親友、ゆきのん。
材木座「露伴先生からお許しが出た。共に頑張ろう!」
マイダーリン、中二改めヨッシー!
早人「初めまして、由比ヶ浜さん。僕は東北支部所属の川尻早人です」
知ってる…東北支部の理工学研究のエース、川尻早人さんは有名な人だ…。こんな人にまで手伝って貰えるなんて。
アン「初めまして。アーシス支援隊臨床心理士のアンよ。昔、少しだけ空条博士と一緒に旅していた事があるわ。今日はよろしくね」
褐色美人の人が来た。へぇ…こんな人もいたんだ。
康穂「お久しぶりです。由比ヶ浜さん。本当はママが来る予定だったんだけど、ママは過激だから…代わりにあたしが来たの。ハッチの頼みじゃ断れないしね」
あ、康一さんの娘の康穂ちゃんだ!滅多に会えないけど相変わらずカワイイなぁ。
ンドゥール「久し振り。お母さんに頼まれて来たよ。一緒に頑張ろう」
ミドラーさんの息子さんのンドゥール君だ!アラビア支部の幹部候補生だよね?凄い凄い!
静「まったく、昨日言ったでしょ?教えるならともかくって。ハッチも人が良いっていうか…あんたも運がいいわよね。こんな豪華な教師陣は中々いないわよ?イーハやハッチも待ってるから、日本支部本部に行くわよ?」
スタッチ!信じていたよ!
この日、あたしはみんなに教えてもらいながら、夏休みの課題を終わらせることが出来た。
みんな、ありがとう・゜・(つД`)・゜・
第2話 『さよなら千葉ー黄金の精神の帰還ー』
side比企谷八幡
千葉村から帰還した翌日
千葉駅
億康「じゃあ、またしばらくお別れだな」
音石「俺も一旦杜王町に帰ってから海外巡業に出るぜ」
今日、杜王町組は帰還する。
八幡「億康さん、音石さん、本当にありがとうございました!」
すると億康さんはバシバシ俺の肩を叩く。
億康「良いってことよ。俺とおめぇの仲じゃあねぇか」
音石さんはギターをギュオンギュオン鳴らす。
音石「君の存在が長年しこりだった億康との仲を繋いでくれた。これくらいの事はお安いご用だ」
二人は改札へと入っていく。
仗助「またな億康、音石!また遊ぼうぜ!」
康一「またね!億康君、音石さん!」
二人は肩越しに手を上げて応え、ホームへと消えていく。本当にありがとうございました…。億康さん、音石さん。
そして、別れはそれだけじゃあなかった。
数日後の成田空港。
今日はミスタさん、ミドラーさん、ネーナ、ンドゥール、アナスイさんが帰る日だ。
八幡「ミスタさん、ミドラーさん、アナスイさん…本当にありがとうございました!」
ミスタ「億康じゃねぇけどよぉ、俺とおまえの仲じゃあないか。気にすんなよ」
ミドラー「全部がうまくいって良かったよ。もう二度とあんなことになるんじゃあないよ」
アナスイ「もし何かあれば呼べ。脱走してでも駆けつける」
それだと刑期が延びますよ?アナスイさん。
ミドラー「行くよ。ンドゥール、ネーナ」
ンドゥール「名残惜しいけど、さようなら」
ネーナ「また会おうね」
ありがとうございました。
ここで言うのはさようならではない。
八幡「また会いましょう!みんなで!」
そうだろ?五人の黄金の精神達……。
第3話 「あの夕陽を眺めながら………」
side一色いろは
ボランティアの後始末も終わり、全てが平常に戻ったある日。
普通の学生は夏休みだけれど、わたし達は半ば社会人。普通に業務をこなさなければいけない。なので、夏休みはお盆くらいしかない。
そのお盆も終わりに近付いたある日。ハチ君からデートのお誘いがあった。
いろは「デート!?ハチ君から!?」
八幡「ああ。だって……お前が助けに来てくれた俺ならともかく、他の4つは長い間お前と離れていたからな。いろは欠乏症に陥っているんだよ」
ふふふー。こんな素直なハチ君は珍しいです♪
何でも理由がなくわたしと会えないとハチ君はイライラしてくるのだとか。
まぁ、他にももう二人だけ一色いろはがいたんですが、それは二人ともわたしでは無いですからね。
1つはあの規格外の彼女。3人の中ではもっともわたしに近い一色いろはとも言えます。ですが、彼女の世界の先にはわたし自身が行きました。それに、似ているとは言っても彼女はエリナ・ジョースターではありませんし、彼女には彼女の比企谷八幡がいますから、どうこうなるとは思えませんでしたけど。
二つ目はあの部隊のわたし。彼女も数ある平行世界の一色いろはの中ではわたしに近い存在であると言えます。
だけど、どれだけ異世界同位体のわたしが存在していてもハチ君が求めてくれる一色いろははわたしだけ…。
それが一番嬉しいですし、誇らしい。
だから今日は精一杯遊んで喋り倒しました。
ショッピングでは…。
いろは「ハチ君、どっちが似合います?」
八幡「むむむむむ……」
悩むハチ君。
普通ならばどちらが正解なのかを悩むのが世の男性です。普通のカップルの女の子ならば既に正解は決まっていて、男の子は女の子の機嫌を損なわないように悩むのが常です。
けど、わたし達は違う。
わたしは純粋にどちらがハチ君好みか聞きますし、ここでハチ君が悩むのはそれを着たわたしを想像しているからです。
今わたしが持っているのは秋物の服です。
いつもの可愛い系のピンク色か、少し大人の雰囲気を醸し出す落ち着いた色か…。
八幡「どちらも捨てがたい…カワイイいろはにピッタリなピンク色の方のいろはも見てみたいし、大人な雰囲気のいろはも見てみたい……。甲乙付けがたいとはこう言うことだな…。更に帽子やだて眼鏡を付けてみるのもいいな……ううむ。相変わらずセンスが良い」
いろは「ふっふっふー。悩め悩め♪どっちでもハチ君を悩殺しちゃいますよ?」
八幡「既に比企谷八幡は一色いろはという存在に悩殺されている。普段着のお前にさえ既に悩殺されていると言えるまである」
いろは「っ!!!ハチ君のたまにくるそういうあざといところ、本当に卑怯だと思いますよ?」
八幡「何を言う。お前という存在そのものが俺という人間にとっては卑怯だ。どんなスタンド攻撃よりも強烈と言える」
いろは「何ですか?口説いてますか?全力でわたしを悩殺にかかってますか?ホントにハチ君はわたしをどうしたいんですか?そろそろ本気でお持ち帰りしたいとか想ってませんか?」
八幡「そりゃ口説くだろ。何よりも一番大事ないろはなんだから」
いろは「////普段の捻デレはどうしたんですか!全力でストレート過ぎですよ!ハチ君ったらいけない人です」
急いで両方とも会計を済ませたわたしは、この後めちゃくちゃハチ君に甘えました。
ハチ君も顔を赤くしつつも全力でわたしを受け止めてくれます。
性悪…なんて言われてるハチ君ですけど、わたしにだけはこういうところを見せてくれます。
そのあともおしゃべりしながら二人で散歩を楽しみ、美浜海岸を歩いていると…。
ペットショップ「クエエエエ!」
バサバサバサバサ!
空の散歩中だったらしいペットショップちゃんがハチ君を見つけて降りてきました。
八幡「よぉ、ペットショップ。散歩か?」
ハチ君がペットショップちゃんを撫でながら尋ねる。
ペットショップ「クエ♪クルルルル♪………クエ?」
気持ち良く飛んでいる時にハチ君を見つけたからでしょうか?ペットショップちゃんはご機嫌に鳴いた後にわたしを見つけて首を傾げます。
『邪魔しちゃった?』
的な感じですかね?
いろは「大丈夫ですよ?ペッちゃん♪あなたも、わたしの大切な家族ですから♪」
ペットショップ「クルルルルル♪」
わたしがペットショップちゃんを撫でるとペットショップちゃんは気持ち良さそうに鳴く。
ホントにカワイイですね。ペットショップちゃん。
ペットショップ「クエエエ♪」
バサバサ!
ペットショップちゃんはもう一鳴きすると、再び空へと飛び立ちます。まだまだ飛び足りないみたいです。
八幡「ヘリや飛行機には気を付けろよー!」
いろは「楽しんでくるんですよー!」
ペットショップ「クエエエエ♪」
ペットショップちゃんは「はぁい♪」と返事するように一鳴きした後、わたし達の上空を旋空した後に日本支部のヘリポート方面へと飛び立って行きました。
八幡「俺達も行くか。カフェで一休みしたら、あそこに行くか」
いろは「………そうですね。わたし達のデートの締め括りは、やはりあそこですね」
ペットショップちゃんが飛んでいった日本支部のヘリポート…そこに目を向ければ、あそこも視界に入ります。
時刻は16時…。
夏の今だから日は長いけれど、カフェで休憩した後にあそこに向かって少しお話していれば丁度良いかもしれません。
いろは「じゃあ、行きましょっか♪ハチ君♪」
カフェではハチ君はブラックコーヒーとパンケーキ、わたしは紅茶と何点かのスイーツを頼みます。
まぁ、ここだけは予定外ですが、コースの範囲内ですし護衛からの苦言はありませんでした。
プライベートというのが無いのが上級幹部の辛いところですよね?お陰で未だにプラトニックな関係ですし。
立ち居降るまいが明らかな護衛の人に写真を撮ってもらい、お会計を済ませて目的の場所に向かいます。
……夕焼けに染まる、ホテルロイヤルオークラの屋上です。
いわば自社経営のホテルであり、わたし達も含めてアーシスの人々が度々利用しているホテル。
そこの屋上がわたしとハチ君の思い出の場所です。
殺風景で何の色気もないこの場所…。
でも、この殺風景な場所にこそわたしとハチ君には大きな意味があります。
いろは「思い出しますね?わたしとハチ君の決闘と、本当の意味での再会を…」
八幡「ああ。あの日、あの時……奇妙な運命の歯車が動いたんだよな」
いろは「また、ここにハチ君とわたしがそろって来れた…千葉村ではもう来れないと絶望したんですからね?」
わたしが目尻に涙を溜めて言う。
八幡「それは……済まん。何度謝っても足りない。そしてありがとう。これしか言う言葉が見つからない」
いろは「言葉だけでは足りません」
隣で腕を組んでいたわたしはハチ君の一歩前に出て、くるりと振りかえる。
いろは「頑張ったご褒美を……下さい」
わたしは左手の人差し指を唇に当てて小首を倒す。
薬指には今年作った「ヒデナイト」の婚約指輪がエメラルド色にキラリと光る。
八幡「………こんなんで良ければいくらでも……」
ハチ君はわたしを抱き締める。
八幡「ただいま…。いろは」
いろは「おかえりなさい。ハチ君」
わたしは目を閉じ……顎を上げて………
そして口付けを交わした……。
sideなし
夕焼けの中で長いキスを交わす二人を見下ろす3つの精神があった。
エリナ『おかえりなさい。ジョナサン、ディオ』
ジョナサン『ただいま。エリナ』
DIO『ふん』
比企谷八幡と一色いろはの前世…。
砕けてバラバラになった八幡と同時に彼ら3人もまた、バラバラになってしまった。
だけど、諦めなかった。諦めなかった結果がいま、ここにある。
彼らが再会を果たす場所は……ここ以外に無いだろう。
それぞれの転生としての自覚を持ち、本当の意味でのただいまを言う場所は……。
エリナ『おかえりなさい。八幡、いろは』
ジョナサン『よく、戻ってきたね』
DIO『………』
背中を向けたままのDIOだったが、顔だけを二人に向けたDIOの表情は、本当にDIOかと疑いたくなるほど穏やかな笑みだったのは気のせいなのか…。
DIO『
ジョナサン『
エリナ『穏やかな安らぎの…』
3人『幸あれ』
←To be continued
今回はここまでです。
たまにはこんな『やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。』を書いてみたくなりました。
戦いが二月以上も連続してましたからね。
第1話
由比ヶ浜ならあり得る話では無いでしょうか?
でも、最終的には由比ヶ浜を見捨てない!
これは彼女が変わり、そして勝ち取ってきた仲間との絆ではないかと思います。
第2話
それぞれへのありがとう。
頑張ったのは五人の主人公達だけではない。
八幡復活には彼ら、彼女ら無くしてあり得ない。
そんな彼らを見送る話。
第3話
ジョナサン&DIO八幡とエリナいろは。
二人が真に『ただいま』『おかえりなさい』を言うべき場所は『夕焼けのエンゲージ』の舞台となった夕陽に染まるホテルロイヤルオークラの屋上。
それを見守る3人の前世。
思い浮かんだら是非とも書きたくなりました。
それでは次回もよろしくお願いいたします。