やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

277 / 731
千葉村から帰還した後の短編エピソードです。


五章までの幕間
短編のアレコレ


第1話「再会の比企谷八幡」

 

黄金の精神達との別れから約4時間。

長いバス移動を終えて、俺達はやっと家がある比企谷家、東方家、ジョースター家の仮住居がある千葉に帰って来た。

何だか懐かしいな…二度とここに帰って来れない覚悟で家を出たから…。

 

億泰「またな、八幡。あんまり無理をするんじゃあねえぞ?」

 

ミスタ「そうだぜ、本当に焦ったんだからよぉ」

 

八幡「はい、本当にありがとうございました。億泰さん、音石さん、ミドラーさん、ミスタさん、アナスイさん」

 

杜王町、東京、外国組はそのままホテルロイヤルオークラに泊まるそうだ。雪ノ下姉妹や由比ヶ浜、川崎兄弟、三浦、海老名、材木座、戸塚、城廻先輩、留美、康一さん、露伴先生も海浜幕張まで乗っていくらしい。

まぁ、仮住まいも含めて大半がここで降りるが。エルメェスさんとエンポリオは今日は承太郎の仮住まいに宿泊するそうだ。

 

陽乃「八幡君♪またね♪今度からは本気で行くから!」

 

雪乃「ヤレヤレだわ」

 

そう言ってバスは発進する。本当にありがとう…。

 

ジョセフ「さてと…ワシらも帰るとするかのう。かれこれ2ヶ月は帰っていない気がするわい」

 

承太郎「そうだな…徐倫、今日はこっちに泊まるか?」

 

徐倫「そうね。たまには親子水入らずも良いわね。エンポリオ、今日は一緒に寝る?」

 

エンポリオ「いや、お姉ちゃん…そんな歳じゃあないから」

 

エルメェス「良いじゃねぇかよ。1週間も会ってなかったんだからさ」

 

そう言って空条一家は帰路に付く。

 

ジョセフ「さて、ワシも朋子が待つ家に帰るかのう。仗助もたまには来んか?…と言うのは無理じゃな。お前は八幡を見ておれ。まったく、放っておくと何をやらかすかわからん奴じゃからな」

 

ジジイも承太郎を追って帰路に付く。承太郎の家とジジイの家は同じ家の二世帯住宅だ。

 

仗助「さてと、俺も帰るか。とはいってもすぐそこだがな。今日はしっかり親に甘えて来いよ?じゃあな、比企谷兄弟といろは」

 

静「大変な二泊三日だったわ。じゃあね、ハッチ、イーハ、マーチ」

 

仗助が歩き出すとジョジョはその腕に腕を組む。

本当にありがとう…みんな。

 

小町「じゃあ、入ろっか!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」

 

いろは「そうですね。いつもならわたしも比企谷家にいる時間ですし」

 

日はまだ高い。いつもならいろはもうちにいる時間だ。

帰って来た…その実感が湧く。

俺は玄関にカードキーをかざそうとして…

 

バァン!(ゴン!)

 

比企谷父「八幡!」

 

勢いよく開け放たれた玄関の扉に手を打たれた。

不意討ちだった為に中々痛い。

いくら鍛えようとも指先を強打されれば誰だって痛いだろう?

 

八幡「~~~~~~!」

 

あまりの痛みに右手をブンブン振って痛みに堪える。波紋の自己治癒力ですぐに治るけど。

 

八幡父「無事に戻ったか!良かった…良かったぞ!八幡!うおおおぉぉぉぉぉぉん!」

 

親父が俺を号泣しながら抱き締める…。

そうだ。親父にもかなり心配かけたものな…。

 

八幡母「八幡!小町!いろはちゃん!」

 

母さんも俺達三人を抱き締める。

うん。やっぱり家族は良いな…心配かけてごめんな?

小町といろはは俺の脇腹をつつく…。

そうだな…

 

八幡「ただいま。親父、母さん…また、よろしくな」

 

八幡父「当たり前だバカ者!勝手にどこかへ行くなんて許さんからな!」

 

八幡母「そうよ!まるで今生の別れみたいなでかけ方をして!冗談にしてもタチが悪いわよ!どれだけ心配したと思っているのよ!」

 

親父…母さん…。本当に心配をかけてごめんな。

もう…こんなことにはならないように気を付けるからさ。

 

八幡「ごめん…親父、母さん…改めて…ただいま」

 

八幡母「お帰り…八幡。小町。いろはちゃん…」

 

八幡父「ああ…お帰り。八幡…さぁ、入りなさい。いろはちゃんも」

 

色々な感謝の意味を込めて再び言葉を紡ぐ。

 

「ただいま」

 

 

第2話「その後…」

 

side空条徐倫

 

千葉村から帰還して2日が経過した。

千葉県にあるアーシスのスタンド使いの矯正施設。

今日はあたしと仗助兄さんやジョジョ達幼なじみーズが揃っていた。

そして、目的の人物が現れる。

 

平塚静()国語教諭だ。

 

平塚「東方会長、空条、ジョースター、比企谷達か…」

 

仗助「久し振りだな。平塚先生よぉ」

 

平塚「ええ。と言っても三日しか経っていないがな。今日はどうした?囚人の顔でも拝みに来たのか?」

 

徐倫「そんなところよ。どう?ここでの生活は」

 

平塚「まるで囚人だよ。まぁ、汐華の呪いが解けたことで妙にスッキリした気持ちだがね。あと比企谷。無事に助かって良かった。こんなことを言えた義理では無いけどな」

 

八幡「お陰さんでな」

 

ハッチは言葉少なげに返答する。まぁ、ハッチは平塚を嫌っていたようだから仕方ないけどね。まぁ、今後次第ってところじゃない?

 

平塚「つれない奴だが仕方がない。これは私のせいだからな。甘んじて受け止めよう」

 

呪いが解けたせいか、平塚先生は落ち着いている。

 

平塚「今日、正式に県の教育委員会と総武高校から解雇を言い渡された。晴れて私は君たちと縁が切れる」

 

千葉村のボランティアの苦情が入り、平塚先生は昨日の職員会議で解雇された事が伝えられた。元々数々のやらかしにより、時間の問題だったこともある。

奉仕部の無断設立、ハッチとジョジョの強制入部未遂等々。汐華の呪いのせいだとは思いたいが、それでも起こしてしまったことはもう戻らない。

平塚先生は煙草を取り出して火を付けようとするが…それを止めた。

 

平塚「何度も注意されたな。指定場所以外での喫煙は止めろ…と。そうした所からも私が教師失格だったかも知れない。今後は気を付けよう」

 

平塚先生は煙草を箱に戻して仕舞う。

少しは変わりつつあるようだ。

 

平塚「もう会うことはないだろうからここで言わせてくれ。済まなかった……」

 

平塚先生はガラス越しのテーブルに両手を突いて謝る。

 

仗助「まぁ、こっちは特に何も言うことはねぇぜ。ちゃんとしているかどうかを見に来ただけだからよぉ」

 

仗助兄さんが話すことは無くなったのか、席を立った。

続いてハッチ達も立ち上がり、退室していった。

 

平塚「空条先生。冬乃様は?」

 

徐倫「長い眠りに就いたわ。本人も二度と目覚める気は無いみたいよ」

 

平塚「そうか……実質亡くなられた訳か…」

 

平塚先生は目を瞑って合掌する。

最期のジョルノ兄さんとのやり取りで報われたらな…と思う。

 

徐倫「平塚先生。あなたは今後、どうするの?」

 

平塚「矯正施設を出た後か?まぁ、実家もここに入れられてしまったし…、幸い汐華から受け取っていたお金があるから蓄えは心配ない。教師失格の私には学校教師に復帰するつもりはないが、幸い授業の手腕は評価されていたのでな。元同僚が開いている塾の講師として雇って貰えるようだ。もうこんなことにはならないように気を付けて細々と暮らすよ」

 

平塚先生はもう話が無いのか、席を立つ。

 

平塚「そうだ。やはりこんなことを言えた義理では無いが、後任の空条先生に最後のお願いだ」

 

徐倫「聞くか聞かないかは内容によるわ」

 

平塚「葉山達の事だ。出来れば再び間違わないように見守って欲しい。教師では無くなってしまった事に未練があるとしたら、それくらいだ…。頼む」

 

何だ。教師らしいところもあったんじゃない。

汐華に狂わされなければ…まぁ、覆水盆に帰らずっていうから仕方ないか。

 

徐倫「善処はするわよ。元々あたしが教職を目指したのも、ああいった子供達を救うためだからね」

 

平塚「そうか…さらばだ。空条徐倫。私が言えた義理では無いが、良い教師になれよ」

 

そう言って平塚先生は施設へと戻って行った。

 

徐倫「goodlack。平塚先生。人生のやり直しを願うわ」

 

あたしももうここには用がない。

席を立ち、面会室から出る。

最後にもう一度、goodlackと言葉を言って…。

 

 

第3話 「再会のお墓参り」

 

side一色いろは

 

一色母「いろはー!ジョースターさん達が来たわよー!そろそろ行くわよー!」

 

いろは「はぁい!」

 

千葉村から帰還してから数日が経ったある日のこと。

今日は花京院典明おじさんの命日です。

つまり、今日がジョースター家と私達が縁を紡いだ日でもあります。

そして、今日は新たな縁が結ばれる…。そうであって欲しいものです。

 

八幡「いろはー!行くぞー!」

 

小町「置いてっちゃうよぉー!」

 

静「ホテルにも入れないよー」

 

ハチ君達の薄情者!

 

いろは「待って下さいよー!」

 

私は慌てて部屋を出ていった。

 

ー墓地ー

 

仗助とわたしのお父さんと比企谷家が運転する車から降りると、そこには既にジョースター家のみんなが揃っていた。そしてそこには……

 

海老名「ハロハロー。最後だよ?東方社長や空条先生達?」

 

わたしに誘われて今日ここに来た海老名姫菜さん…前世が花京院典明おじさんがいました。

他にも三浦先輩や城廻先輩もいる。

 

仗助「よく来てくれたな。海老名」

 

海老名「いやぁ~。変な気分だよね~。自分のお墓参りをするって」

 

それは同感ですね。この墓地にはわたし…エリナやリサリサ、ジョナサンやスピードワゴンさん、アヴドゥルやイギーのお墓もあるんですから。

 

三浦「あーしもだし。塵一つ残らなかったアヴドゥルのお墓まで作られているとは思わなかったし」

 

本当に変な話ですよね?

でも、今日の主役は海老名先輩です。

だって……。

 

一色母「この子が……典明君?」

 

お母さんが震える声で海老名先輩に声をかけます。

 

海老名「そうだよ~。のりこちゃん。三十年前は突然いなくなっちゃってごめんね?いろはちゃんにはお世話になってるよ。久しぶりだね?」

 

一色母「典明君!」

 

お母さんが海老名先輩に抱きついて泣き始めました。

 

一色母「典明君のバカ!死んだって聞いたときは泣いたんだからぁ!うう……」

 

海老名「のりこちゃん……。本当にごめんね…」

 

海老名先輩からポタポタと涙が溢れています。

これで約束が果たせました…。

 

海老名「この先で待ってるんだよね?……お父さんとお母さんが……」

 

海老名先輩は緊張した表情を見せる。

 

海老名「信じて貰えるかな?怒られるかな?何も言わないで出ていって…死んじゃったんだから…」

 

海老名先輩はガタガタ震えてます。

早く前世の両親に会いたい気持ちと怖い気持ちがせめぎあっているんだと思います。

 

八幡「………済まん。海老名……」

 

まぁたハチ君は!あんな騒ぎの後でもこれだけは変わらないですね!

 

海老名「何とも言えないかな?でも、もう昔の話なんだから」

 

そう言って海老名先輩は大きく深呼吸をする。

 

承太郎「良いのか?花京院」

 

海老名「うん。覚悟は決まったよ。今日を逃したら二度と会えないかも知れないから…だから行く。ありがとう、承太郎」

 

海老名先輩はゆっくりと階段を登っていく。その後をサブレと三浦先輩が追う。

スターダスト・クルセイダーズの絆は強いなぁ。

 

ジョセフ「見守ろう…花京院を」

 

わたし達も墓地へと入る。

既にそこには花京院典明さんの両親がお墓参りをしていた。

 

花京院父「ジョースターさん。お待ちしていました…おや?この子は…」

 

花京院母「いろはちゃんの新しいお友達?」

 

花京院さん達は先頭にいる海老名先輩を見て不思議そうな顔をしている。

海老名先輩はポロポロと大粒の涙を流していた。

 

海老名「お父さん…お母さん…」

 

花京院両親「???」

 

海老名「お父さん!お母さん!うわぁぁぁぁぁん!」

 

海老名先輩は花京院のおじさん達に走って抱き締める。

 

花京院父「お、おい!君…急に何を…」

 

花京院母「どうしたの?お嬢さん?誰かと勘違いしていないかしら?」

 

いきなり泣き付かれた花京院のおじさん達は混乱している。

 

海老名「うぅ……わたしは……わたしの前世は…花京院典明……。あなた達の息子でした………ぅぅぅ…」

 

花京院両親「!!!」

 

突然の事で更に混乱する花京院のおじさん達。

 

海老名「信じて貰えないかも知れないけど…わたしは」

 

花京院父「……………信じよう……。典明」

 

花京院母「ジョースターさん達は不思議な人達…。いろはちゃんの事もあるから、もしかしたら典明も…と思っていたのよ……よく帰って来てくれたわ…」

 

海老名「うん……三十年前は黙っていなくなっちゃってごめんなさい…。生きて帰れなくてごめんなさい…。ごめんなさい…ごめんなさい…ぅぅぅ…」

 

花京院父「顔を上げなさい。典明。言う言葉はごめんなさいじゃない」

 

花京院母「そうよ……典明が死んだのは悲しいけれど…こうして帰って来てくれたんだから…言う言葉は一つでしょ?典明」

 

海老名「うん……ただいま……ただいま!お父さん、お母さん!うわぁぁぁぁぁん!」

 

花京院母「典明………どんな形でもいい!帰って来てくれてありがとう!お帰り…典明!」

 

花京院父「ああ…ジョースターさん。三十年前はあなたを恨んだ…。十二年前の決断の時は正直に申し上げれば迷っていました……花京院本家とあなた方…どちらとも縁を切ってしまおうかとも考えていました……ですが、いろはちゃんの後見人になるというあなた方を信じて花京院本家を見限りました…。あの時、あの決断をした自分に感謝します……どんな形であれ、典明は私達の元に帰って来てくれた…その事実がどれだけ救いか!ぅぅ…ウオォォォォォン!」

 

抱き合って泣く魂の親子達。それを見ていたわたし達もついついもらい泣きをしてしまう。

 

海老名父「良かったな…姫菜」

 

海老名母「ええ……まさかこんなことがあるなんてね」

 

海老名「お父さん!お母さん!」

 

海老名父「花京院さん…ですね。この子の今の両親です。前世とかは今一つ信じられませんが、昔からこの子は何かを隠していた…」

 

海老名母「これだったんだね?姫菜」

 

海老名「………うん」

 

すると海老名先輩のご両親が花京院のおじさん達に手を差しのべる。

 

海老名父「花京院さん。いつでもまた、姫菜に会いに来て下さい。我々は歓迎します」

 

花京院父「よろしいのですか?」

 

海老名父「ええ…。せっかく再会できた親子です。年に数回しか会えないのは寂しいではありませんか。取り戻しましょう、花京院さん。失った息子さんとの時間を…そして育てていきましょう。私達とあなた達の娘を。姫菜はあなた方の娘でもあるのです」

 

海老名「お父さん…お母さん…うわぁぁぁぁぁん!」

 

花京院両親「ありがとう……海老名さん…ありがとう!」

 

出会った前世と現世の親子達の泣き声が墓地に響く。

今日、この日…新しい素敵な思い出がまた一つ増えました。

後ろでは承太郎とハチ君が軽く拳を合わせている。

あなた達ですね?海老名先輩のご両親をここに呼んだのは…。

こんな素敵な企みならばわたし達も大歓迎ですよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただいま』

 

『お帰りなさい』

 

それは素敵な言葉……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現世と前世に………幸あれです。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

次回もまた、よろしくお願いいたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。