やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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4-4の続きです。


堕天使と吸血鬼

side比企谷八幡

 

丈城「成程…『隠者の紫』と『ストーン・フリー』のロープマジックか。攻守共に優れているバランスのいい組み合わせだな! ならこんなのはどうだろう? 『サバイバー』と『エアロスミス』の組み合わせ! 打たれた相手は君がッ、死ぬまでッ、殴るのをやめないッ!!」

 

雪ノ下のエンジェル・ダストが正にこれだな。

対サバイバー訓練なんてアホな事をやるのは俺たちだけだろうし、有効かもな。

 

八幡「ウハハハッ、多勢相手に有効だなそりゃ! 他にもあるぜ。『パープル・ヘイズ』の手甲にはウイルスを培養するカプセルがある。ちょっとの衝撃でも割れちまうが、『ソフト&ウェット』のシャボン玉で吸い取るだけなら、たとえ割れてしまったとしてもシャボン玉からはウイルスは漏れない。それを敵の身体のどこかに仕込んでおく」

 

吉良吉影の空気爆弾のようにな。

 

丈城「わかった! 好きなタイミングで弾かせて病死させる!」

 

八幡「大正解!」

 

八幡&丈城「「YEAAAH!!」」

(ピシ、ガシ、グッ、グッ)

 

姫島の淹れてくれた紅茶を肴に、二人会話に花を咲かせるスタンド使い達。

俺達が何をしているかと言えばこいつは俺のザ・ジェムストーンの技術に目を付けた。2つ同時にスタンドを使い、パワー配分バランスを整える俺だけの技術。

やるな。ザ・ワールドはともかく、ハーミット・パープルの応用力に目を付ける奴はなかなかいない。

こいつは鍛えがいがあるかもな。

 

 

side東方仗助

 

八幡達がスタンド談義に華を咲かせている一方で。

 

リアス「アザゼルには連絡を入れたけれど……あの能力コレクターが余計な事をしないで欲しいのが心情ね」

 

プッチみたいな奴か?

 

ゼノヴィア「一応警戒はしておいたほうがいいかもしれんな。あの男は油断ならん」

 

ジジイみたいな奴かもしれん。

 

朱箆「小猫ちゃんはギャスパー君を迎えに行ったのかしら?」

 

木場「みたいですね。今回の件については関わってはいないんだけど、眷属だし形だけでもアーシスの人達に挨拶させるって言ってました」

 

八幡達を無視して今後のことについて話し合う悪魔四人。

 

康一「あの二人達結構物騒な話をしてるなぁ……」

 

億泰「康一、多分あれは気にしちゃいけないと思うぜ。見ろよあのスルースキル。きっと関わったら負けだと思ってるんじゃないか?」

 

露伴「寧ろ僕としては是非とも話を聞きたいところだ。なぜ止めるのかね?」

 

仗助「露伴までアレに関わったら混沌になるからやめてくれって。これ以上悪い意味で波長が合う人間が増えたらえらいことになる」

 

ボヘミアン・ラプソディーがあるしな。

露伴の絵と八幡が扱うボヘミアン・ラプソディー……地獄絵図しか浮かばない。

 

口を尖らせる露伴に俺は若干遠い目で答える。

あいつらのスタンド談義はかれこれ20分以上もノンストップで行われており、内容は聞くも恐ろしい殺戮戦法の数々。

加わろうとした露伴を必死で止めなければある意味大惨事になるところであった。

仕方なくリアス達に悪魔の事情やその他の人外に関する話を聞くだけで留めたらしいが、未だその相貌には未練がましいものが宿っている。例え自分がボコられていてもそれを資料の一つとして利用する奴だからな。

 

めぐり「へぇーっ、貴方の能力って『聖母の微笑』って言うんだ! 実は私も『シンデレラ・ハーヴェスト』っていう能力を持っているの。幸せを集める事ができるんだよ~」

 

アーシア「素晴らしい力ですね!

 

そしてこちらではめぐりとアーシアによるのほほんとした雑談が交わされている。音声のみなら何故か一人芝居をしているようにも思えるのだから不思議である。

 

と、三箇所で様々な会話がなされている部室内に新たな関係者が現れた。

 

アザゼル「なんか知らん連中と意気投合してるな、ジョジョの奴」

 

子猫「……ただのゲス会議です」

 

ギャスパー「ひえー…知らない人がいっぱいですぅ……!」

 

ヒツギー『ギャルッ、ギャルッ♪』

 

リアの報告を受けてやってきた、『神の子を見張る者』総督・堕天使のアザゼル。小猫に連れられて二階から降りてきたもう一人の『僧侶』ギャスパー・ヴラディである。

 

ギャスパーは人見知りのため、外を出歩く際は自身の使い魔である魔生物『ドレミファソラティ・ド』ヒツギーの中に必ず入るようにしている。だが完全には扉を閉じずに入口の隙間から覗いているため、その目は赤く揺らめいている。不気味ったらありゃしない。

 

リアス「来たわね、み◯にの旦那」

 

アザゼル「だァ〜から小◯違いだっつってるだろーが! 忍者でもねぇし!」

 

朱乃「あらあら、アザゼルさん。あまり騒がしいようでしたら、法曹界の女王をお呼びしますわよ?」

 

アザゼル「合ってるけど違うっつーの!」

 

 

先手を打って、リアスと朱乃のダブルアタックがアザゼルの余裕を崩す。この間の会談で明かされた彼の攻略法は早々に眷属が習得しており、彼のペースに流されないよう気をつけている。

なるほど、ジジイタイプの奴か。

 

億泰「……なんかあのオッサン、何処かであったような気がするなァ」

 

億泰は既視感があるのか、アザゼルの顔を見てポツリと呟く。別に彼の前世が死亡者数ナンバーワンの町で演者の名前をした刑事だからではない。というか勝手に殉職扱いすな。

それに、吉良の奴とも声が似てるよな。

 

アザゼル「ったく…こっちは徹夜2日目でそんな気分じゃねぇっつーの。あんまり突っ込ませないでくれ」

 

リアス、子猫、朱乃、木場「「「「「フリ (かしら) (ですか) (か)?」」」」」

 

アザゼル「やめれ!!」

 

 

とまぁ安心安全なアザゼル行動包囲網が完成したところで、一方のヒツギーはギャスパーの他に懐いている丈城の元へ一直線。

 

ヒツギー『ギャルルルッ、ギャルッ!!』

 

丈城「おーワン公、相変わらずデケェな」

 

康一「ワン公って…これ犬? 犬なの?」

 

丈城「いや、こいつは岩で構成された魔生物だ。なんか顔とか仕草が犬っぽいし、俺が勝手にそう呼んでるだけ」

 

そう言って頭を撫でる丈城。ヒツギーは喜んで跳ねるが、中に飼い主であるギャスパーが入れっぱなしなのを忘れている。

 

ギャスパー「わ、わぁっ! ちょちょっと、ヒツギー! やめてぇー!」

 

丈城「よ、引き篭もり。相変わらずビビってんな」

 

ギャスパー「ひうっ!? その声は……ジョジョ先輩?」

 

ヒツギー「客人がいるんだ、顔ぐらい見せてやれって。ワン公、開けゴマ」

 

ヒツギー『ギャル!』

 

 

ヒツギーは扉を勢い良くオープン。中に鎮座していたギャスパーは身を守っていたはずの扉が取り払われた事で挙動不審となり、最終的には涙目状態。

 

ギャスパー「わああっ! 何で簡単に扉開けちゃうの!? ひゃあー見ないで下さい見ないで下さい! お外怖いーっ!」

 

side比企谷八幡

 

八幡(……なんか、声だけ聞くとあいつ (いろは) みたいだ)

 

俺の脳裏に彼女の顔が思い浮かぶ。

最後に見たあの表情は悲しみでくしゃくしゃとしており、とてもじゃないが見ているのが辛かった。せめて笑顔が見たかったが、どうにもあの状況じゃそれは叶わなかっただろう。

元に戻ったらちゃんと謝ろう。改めて目の前に意識を向ける。想い人と同じ声色をした少女は身を屈め、まるで土下座するように外界に目を向けようとしない。

 

丈城「八幡、今こいつの事女って思ったろ?」

 

すると兵藤が心を読んだようにそう話しかけた。引っかかったと言わんばかりの意地悪そうな笑みだったが、一先ず八幡はその真意を聞く。

ん?その言いっぷりだともしかしてこいつは…。

 

八幡「いや女だろ。どうみても」

 

丈城「ところがどっこい。コイツ女装趣味付きの野郎なんだ」

 

八幡「はッ? この子……男!?」

 

丈城「うん」

 

うわぁぁぁ……戸塚みたいに男の娘ってやつかよ。

まぁ、戸塚の場合は同じ男の娘でもこいつのように女みたいな服装を嫌う為、ボーイッシュな女の子に見える。

それを突っ込むと髪型や静をバカにされた仗助並み…それ以上にキレてチンピラ口調になるが。

中身がスピードワゴンだしな。

驚愕の真実に兵藤とギャスパーを交互に見やる俺。そりゃ初見で男の娘でしたとカミングアウトされればそうなる。初めて戸塚に会ったときも混乱したしな。

声はいろはな戸塚…しかも女装趣味。

あざとい引きこもり…キャラが濃いなんてものじゃあない。腐女子に転生した花京院(海老名)並みに濃い!

俺も初めて会った時ゃ騙されたもんよと、兵藤はギャスパーを猫でもつまみ上げるように持ち上げる。しかしその顔は手で覆ったまま一向に退かそうとしない。

声はいろはなタイプ別あざとさ一色(基本世界のいろは)で劣化戸塚と言ったところか?

 

丈城「でもこれじゃあ話にならねぇな……しょうがねぇ。"アレ"飲ますか」

 

八幡「"アレ"?」

 

懐に手を伸ばした兵藤の手には、何やら赤黒い液体が入った小瓶が。器用に片手で開封すると、手で覆った隙間から口元らへんにそれを持って行く。

ギャスパーは目を覆っているため何を飲んでいるのか分からなかったが、一口それを飲んだ次の瞬間。

 

ギャスパー「!」

 

一瞬ビクッと痙攣して手を下ろし、ぐったりと脱力してしまう。しかしそれは一時的なものであり、直後の豹変ぶりに俺はさらに驚愕することになる。

ギャスパーの足底を床につかせると、脱力している割にはしっかりと立った。そして

 

ギャスパー「……ヒャ─────ッハハハハハァァァ─────ッ!! 昂ぶってきたぜェェェッッ!! UREYYYYY────ッ!!」

 

八幡「いや何事!?」

 

大きく体を仰け反らせ、喉が潰れそうな勢いで咆哮。その目は先程のような怯えに染まったものではなく、明らかに邪悪な意思が宿っている。

当然大声は部室内に響くため、事情を知らないアーシスは唖然。把握しているグレモリー眷属はまたやっていると生温かい目を向けていた。

 

リアス「ジョジョ、またギャスパーに血を飲ませたのね?」

 

丈城「しょうがねぇじゃん。これしかコミュ症取っ払える方法がないんだから」

 

木場「取っ払うどころか悪化してるんだけどな……」

 

ギャスパー・ヴラディは吸血鬼らしい。

その為血液摂取は必要不可欠なのであるが、どうもギャスパーは生臭いといって飲むことができないのだ。まぁ最近は丈城やアーシアの尽力で一口二口は飲めるようにはなったが。

そして兵藤の血液を摂取すると、性格がご覧の通りヒャッハーしてしまうのだ。と同時に自身の神器『停止世界の邪眼』の支配力も増強。兵藤がエジプト時代のディオとするならば、今のギャスパーはイギリス時代のディオといった所だろう。

 

ギャスパー「なんだァ? 随分とまぁ食い応えのある連中がズラッといやがるな……特にこの男。ジョジョパイセンみてぇな波長を感じる。中々楽しめそうだ……♪」

 

ジュルリと涎を啜るその姿は正に外道。目が完全にイッている。

 

八幡「テメェ…初対面の割に随分と偉そうな態度だな? いろはみてぇな声でビクビクしてると思いきや調子にのってやがってこの野郎。その首引っこ抜いてやろうかアアン?」

 

腐れ目とイカれ目のいがみ合い勃発。ヤンキーみたいに睨み合う両者は一歩も譲らず、八幡は自身のスタンドである『ザ・ジェムストーン』を、ギャスパーは相貌を赤く染め上げて神器『停止世界の邪眼』をいつでも使用可能にする。

吸血鬼なら問題はない。こちとら免許皆伝の波紋の戦士だ。どうもデイウォーカーと呼ばれる太陽が効かない種族ではあるが、サンタナだと思えば手段はいくらでもある。

それをやれやれといった感じで呆れ目の丈城がギャスパーの目を展開した『赤龍帝の籠手』で塞ぎ、俺達の間に割り込む。

 

丈城「ハイハイ喧嘩しないの。俺と同じ気配がして当然だろうよ、こっちの肉体は平行世界の俺なんだから。まぁ魂まではわかんねぇけど……とりあえず落ち着け、ギャスパー」

 

『停止世界の邪眼』は視界に入るものなら何でも行動不能に陥らせてしまう。無論八幡がそれに簡単に引っかかる奴ではないことは重々承知しているが、もし周りに被害が拡散したら面倒事である。

 

丈城「八幡もそう簡単にプッツンすんなって。一時の感情に惑わされるようじゃ、この先が思いやられるぜ?」

 

いや、しねぇよ?本気でプッツンしたら静かにキレるタイプだからな?

静かにパッショーネになるだけだ。

 

八幡「ハァー……しょうがねぇ。ここはお前に免じて許してやるよ」

 

『ザ・ジェムストーン』を下げて肩の力を抜く俺。お互いまだ不服そうだったが、これ以上のトラブルは話が拗れる原因になりかねない。ここいらが潮時であろう。

次に調子に乗ったら川に流すからな?

 

←To be continued




タイプ別ジョセフのアザゼルとタイプ別戸塚のギャスパー登場です。
既に戸塚という前例があるためそれほど驚いていません。
女装は純粋に驚いていますが。


それでは次回もよろしくお願いいたします。


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