やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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定められた邂逅③

side広瀬康一

 

朱乃「了解ですわ! 私達もすぐに向かいます」

 

子猫「……始まった」

 

露伴「相手側はなんと?」

 

朱乃「合流したもう一班の仲間達と共に現場に突入したみたいですわ。オールバックの男の方はかなりの痛手を負っているみたいです」

 

なんだって!?仗助君が!?

いくら情緒不安定だからと言ってもまさか仗助君が負けるとは思わなかった。

どうしよう…閣下に頼んでいろはちゃんを連れてきてもらうか何かしないと…。

 

露伴「やはりか……君達が探しているリーゼントの不良に手酷くやられたようだね」

 

子猫「……その通りです」

 

偶然出会った二人組の女性に導かれ、僕達は彼女らの仲間が集結しているという現場に向かっていた。途中の追伸により、仗助君は深手を負っているところを助けられた様子だ。

怪我の程度は不明だが、ひとまず一命は取り留めているという。

 

 

康一「よかった、仗助君が無事で!」

 

音石「でも安心はできねぇぜ。あの可愛こちゃんが探しているリーゼントの仗s…じゃなかった、不良がまだ残ってる」

 

音石さん…。今、謎のリーゼントの人物を仗助って言いかけたでしょ…。

 

康一「そうだった! 早くしないと!」

 

子猫「……それなら、もう対処済み」

 

仗助君を保護することはできたけど、その傷を負わせた張本人を忘れてはいけない。

そう思って気を引き締めてると、子猫ちゃんがもう対処済みだという。

どういうことなんだろ?

 

朱乃「さっき話した彼がその不良の対処に当たっていますわ。彼ならきっとこの状況をなんとかしてくれます」

 

さっき話した彼?八幡君によく似た人物だっていう人?

 

子猫「……勝算はあります」

 

アーシス組「………………」

 

 

僕達は不思議に思っていた。

先程からこの二人は危険な存在を相手にしているはずなのに、余裕な態度を一切崩していないのだ。

その様子には全員気付いていたのが、どうにも聞きづらかった。というのも案内してくれているこの二人から感じるものが段々と人のそれとは異なる事に気付いた。

スタンド使い故の勘でか、それともただの考えすぎか。

だけど、僕達は考えすぎで…警戒しすぎに越したことはないということをよく知っている。

主にジョルノ君が持ち込んでくるパッショーネのトラブルのせいで。

 

そして一拍置いた後、遂に我慢しきれなくなった露伴先生が口を開いた。

 

露伴「……一ついいかね?」

 

朱乃「? 何でしょうか?」

 

露伴「ずっと疑問に思っていた。君達二人はどうしてそんな風に落ち着いていられるんだい? まるで最初っから結果がわかっているみたいじゃあないか。その自信は一体どこから来るのか、現場に着く前に是非とも聞きたいところだね」

 

いつもの露伴先生節が出た。高圧的ではあるものの、露伴先生らしい真実を求める決断。下手をしたらヘブンズ・ドアーを使うことも辞さない姿勢だ。リアリティーを求める露伴先生からしたらわからないままだというのは我慢ならないのだろう。

この問いかけに二人がどう返すのか、僕達が見守っていると……

 

子猫「……百聞は一見にしかず、です」

 

朱乃「その答えは、現場に着いてから見ていただければ納得すると思いますわ。私の言った通りの男の子なので。ウフフ…」

 

先入観を持たずに見てみろって事かな?

訓練の時の承太郎さんの言葉を思い出す。

 

承太郎『良いか?康一君。よく見るということは良く観察するということだ。よく聴くということはただ聞くんじゃなく、吟味して聴くと言うことだ。知識というのは知るというのはただ知ると言うのではなく、知った上で活用し、本質を識るということ。百聞は一見に如かず…この場合の一見はただ見るだけじゃない。ただ見るだけでは百聞と変わらない。一験だ。その事柄を経験してこそ初めて一見と言える。今の君ならわかるだろう?』

 

そのときの承太郎さんの言葉を念頭に置くなら、言葉で聞く彼女達のいう彼を直接見て、人柄と力を見ろ…。そして僕たちの目で識って見極めろ。

彼女はそう言ってる…。そう言うことですよね?承太郎さん。

露伴先生ははぐらかされたと判断して不信感を募らせるが、少なくとも現場に行けば分かると信じ、僕達は現場へと急いだ。

 

 

side東方仗助

 

二階の床をブチ抜いてニセ者の若い頃の俺を叩き落とし、DIOモードの八幡に似た男は一階へダイナミック降下。

 

ジョジョ(仮)「WRYYYYYYY────────ッッ!」

 

波紋の戦士のようにあり得ない力を振るって追撃を仕掛けた男は、ところがすんでのところでかわされてしまう。すぐに回避した方向に跳び、距離を詰める。

 

ジョジョ「逃がさんッ!!」

 

偽仗助「ッ………!?」

 

防御しようとして両腕を交差するニセ者の俺。しかし彼が拳を振り上げた瞬間、脇から飛び出した『エコーズ ACT2』が尻尾文字を投擲した。

ザ・ハンドを使ってたと思ったら康一のエコーズだと!?

複数のスタンドを持っているなんて八幡や承一郎、後はディスクの力を得たプッチくらいしか知らねぇぞ!

しかも、俺の知り合いと同じスタンドを使えるなんて何者だ!?

 

ジョジョ「尻尾文字を食らえ!」

 

エコーズ『ドラララララララララララァッ!!』

 

偽仗助「!!」

 

 

間接的なドララララッシュであった。

巧い…康一だって千葉村で追い込まれるまで中々思い付かなかった戦法だ…。それも蘇った吉良にアドバイスを受けて『コォォォォォ』という波紋の呼吸を喉に貼り付けるというやり方…。

それを発想力だけでやりやがった!act2の力の使い方を熟知してやがる!

ニセ仗助は外へ顔面から吹っ飛んでいき、反対側の塀に叩きつけられる。

 

ジョジョ「こいつも持っていきなァッ! 『シアーハートアタック』!」

 

更にキラークイーンだとっ!?どれだけのスタンドを持ってやがるんだ!?

大抵の事には驚かないつもりでもこれには驚いた!たった今、吉良の事を思い出しただけに尚更だ!

続け様に出した『キラークイーン』を出した男はダメ押しとばかりに『シアーハートアタック』を発射。そのまま直進した『シアーハートアタック』はキャタピラでニセ者の顔面を削って飛び上がった後、重力に従って落下する。

 

S・H・A『コッチヲ見ロォッ!』

 

ジョジョ「『シアーハートアタック』に、『弱点』はない………」

(バグォォン!!)

 

おめぇは吉良吉影かっ!?

だが、キラークイーンは有効だ。特にシアーハートアタックは承太郎さんや康一を追い込んだ強力な技だしよぉ!そのまま奴を『始末』しちまえ!

吉良吉影の決め台詞と共に『シアーハートアタック』が爆発し、大きく花開いた爆炎がニセ仗助を一瞬にして包み込んだ。その爆発の衝撃は凄まじく、彼の仲間や俺がいる場所まで及ぶほど。

おいおい!自分まで巻き込まれているじゃあねぇか!

……と思ったら、ケロッとしてやがる…。瀕死の承太郎さんだって重症を負ったってのに、なんつー耐久力をしてやがるんだ。

ぶっ飛んでやがる…。下手しなくても俺以上に…。

 

イケメン(木場)「やったかい? ジョジョ君」

 

ジョジョ「わかんね。これまでのダメージが蓄積されているのなら多分倒したと思うけど……どうにもあいつを殴っても手応えがあったとは思えないんだよな」

 

青髪女「どういう事だ?」

 

ジョジョ「なんつーかこー……硬めの蒟蒻とか心太ぶん殴った時の感触に近かった、かな? とにかく生身の人間とは全く違かったんだ。骨の感覚もなかったし……」

 

近寄ったイケメンや青髪のに腑に落ちない表情を見せるジョジョと言われた男。自身の拳を閉じたり開いたりして感じた違和感の正体を探るも、結局わかんないとばかりに肩をすくめた。

 

仗助「蒟蒻……」

 

三人の会話を俺も言われて気が付く。

 

シスター「どうかされました?」

 

仗助「俺の力が衰えていたんじゃなかった……? あいつの肉体自体が違うものだったから、そう感じただけだったのか……?」

 

紅髪「そういえば私たちが駆けつけるよりも先にあのスタンド使いと戦っていたわね。その時はどうだったの?」

 

挙動不審になる俺に戦闘の経緯を聞いてくる紅髪の女。俺もまたジョジョと同じように殴った手を確かめる。

殴った者にしかわからない共通の反応…。

 

仗助「言われてみりゃ、確かに殴っても殴っても全然ダメージを与えた感覚がなかった。まるでデブの腹にパンチしてるみてぇな……さっきあいつが言ったみたいな感じだったよ」

 

くそっ!俺もまだまだだ!ジジイや承太郎さんの教えを活かしきれていねぇ!

このジョジョっていう謎のスタンド使いの方が分析出来てるじゃあねぇか!

だから俺は歴代ジョジョの中でもジョースターらしくねぇって呆れられちまうんだよ!弟分のジョルノにまでよぉ!

 

ジョジョ「やっぱその力はただのパチモンってわけじゃねぇみてーだな。あんた」

 

あ?パチモン?僕がか?

確かに俺は(いるとしたらだけど)この世界の東方仗助にしたらパチモンの東方仗助だろうけどよ。

疑問符を浮かべる俺の元へ、ニセ者を片付けたジョジョが歩み寄ってくる。こいつの目には俺がどう映っているのか。少なくとも俺には複数のスタンドを使うジョジョという名前を名乗る謎のガキとしか見えない。

少なくとも敵では無さそうだ…と言うのが救いだけどよぉ…。ザ・ハンド、エコーズ、キラークイーンを操る奴が敵だなんてゾッとするぜ。

 

仗助「パチモンだとォ? 俺をあいつと一緒にすんな」

 

とりあえず、あんなのと一緒にされたくねぇから抗議はしておく。

そもそも俺は偽物じゃあねぇ。異世界とはいえ、本物の東方仗助だっつーの!

……思わずジョジョ(静・ジョースター)の口癖がでちまうくれぇグレートに頭きた。

 

ジョジョ「……悪い。そーゆー意味で言ったわけじゃないんだが、一応確認のために聞いただけなんだ。ちゃんと意思疎通が可能な奴なのかどうかをな」

 

状況が飲み込めてねぇ俺は更に混乱する。

 

仗助「……どういう事だ?」

 

ジョジョ「今まで遭遇してきたあの手のスタンド使いどもはまるで話が噛み合わなかったからさ。今回の件も然り。だからあんたもこれまでのと同じスタンド使いじゃないかって思っていたんだよ。まぁ、ちゃんと受け答えは出来るようだから違うって確かめる事が出来ただけでも良かったよ」

 

仗助「………………………」

 

言っている事は出来ても更に訳がわからねぇ。ジジイや承太郎さんやジョルノならわかるか?

そう言ってフッと微笑むと、彼の目の前で『クレイジーダイヤモンド』を出現。俺は驚いた表情をするも、ジョジョの仲間達に見せた程仰々しいものではなかった。

 

仗助「もう驚かねぇぞ」

 

どうやらクレイジー・ダイヤモンドを彼女達は知ってたみたいだからよぉ。もしかして…程度には思っていた。それくれぇは分析できるぜ。

 

ジョジョ「別にウケ狙いで出したわけじゃないっての。あんたからは敵意を感じないし、とりあえず同じスタンドを持つ者に対しての挨拶ってとこかな」

 

俺はジョジョの目を見て完全にこの男が俺に対しては敵意が無いことに安堵する。似た者…八幡を知っているから分かる。

認めた者に見せる優しさ…こいつの目には八幡と似たそれがあった。

確かにこいつには黄金の精神がある。ジョジョの名に相応しいくらいに。

 

仗助「お、おぅ……お前、強いんだな。色々聞きたいことがあるんだが……頭がこんがらがって何から聞いていいかわかんねぇ。えーっと、まず何から聞こう……?」

 

ホントにグレートなまでにぐちゃぐちゃに頭が混乱していやがる。マジでグレートなまでに…。八幡風にいうなら大事な事だから二度言っちまったぜ。

そりゃ目の前で俺が苦戦した相手をボッコボコにした人間が平然と対話してくれば混乱もするだろうよ。それにスタンドの事や何故ジョジョと名乗っているのか…。更にジョジョの話を聞いていると、この偽物の他にも似たようなスタンド使いがいるような口振りだし、何よりこの世界の事がさっぱりだ。

俺は一呼吸置いて考え、聞きたい内容を纏めたその時だった。

 

仗助「あっ、じゃあ……。ッ!? オイ後ろ!!」

 

異様な事が起こった。

 

ジョジョ&その仲間達「「「「「!?」」」」」

 

俺は目を大きく見開き、ジョジョの後ろを指差した。それにつられたジョジョ達が振り向く。キラークイーンの爆発で粉塵が舞う向かいの塀に人影が見える。人影は粉塵を手で払うと、まるで屍生人のように体を揺らしながら前へ出た。

 

シスター「! キャアアアァッ!!」

 

青髪「なんだあれは!?」

 

人影の正体は『シアーハートアタック』によって更にボロボロになった偽物であった。ジョジョや俺が感じたの手応えのなさは的を射ていたらしい。

驚いたのは奴の状態だ。その容姿を見た一同は、そのあまりの異形さに戦慄を覚えた。

 

リーゼントは岩が砕けたように割れ、ボロボロの衣服の間からは流血の代わりに黒い粒子が吹き出している。そして……

 

 

 

 

 

偽仗助だった何か「…ガァッ…uh…ヴ……ゥギギgギgェ……」

 

 

 

 

 

壊れた機械のような唸り声をあげ、顔面が歪んだように裂けた偽物の東方仗助"だったもの"が、そこに佇んでいたのだ。

 

 

ジョジョ&仗助「「さ、裂いたァァァァ────────ッッ!?」」

 

紅髪「二人とも、それ他作品ネタよ………」(メメタァ!)

 

何を言ってんだろうな?これは俺の役目なんかじゃあない!八幡の役目だ!

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

ホントに偽仗助は何者なんでしょう?
そして丈城は前回の承太郎ばりに強いですね。
間違っても八幡にどうこう出来るタイプじゃありません。
性格的にも似た者同士ですし、前回の承太郎にあった心の隙も無さそうですし。

それでは次回も(尾川さん、執筆)お願いします!

ホントに今回はこちらがわ視点に書き直すくらいしかやってないですね(^_^;)

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