やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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東方仗助を追え!

sideリアス・グレモリー

 

リアス「ソーナ! サジ君の容態は!?」

 

平穏なある日、いきなり生徒会の庶務である匙君の凶報を聞いた私は彼が運び込まれた病院へ急ぐ。

 

ソーナ「問題ないわ。全身を殴られたような打撲痕と軽い脳震盪だけで、命に別状はないわ。心配かけてごめんなさい」

 

ソーナは申し訳無さそうに頭を下げるがとんでもない。

匙君は親友であるソーニャの眷族よ。転生悪魔とはいえ、同族でも悪魔でもあるし、何より大切な仲間だもの。

 

リアス「良かったわ……。全く、驚いたわよ。サジ君が襲われたって気が動転したソーニャの声を聞いたときは本当に」

 

ソーナ「可愛い下僕があんな状態になっていれば、いくら私でも動揺するわよ。私だって眷属の事は家族のように愛しているのだから」

 

こういう所が私達は気が合う。だから親友をやってられるのだわ。

それにしても誰なのかしら…匙君をこんなにした者の犯人は…。

事の発端は生徒会役員の一人であり、ソーニャの眷属の『兵士』匙元士郎が何者かに襲撃を受けて病院に緊急搬送されたという連絡を受けた事から始まったわ。

それぞれの使い魔から報告を受けた私達はすぐに搬送先の病院へ向かった。一足先に駆けつけたソーニャ眷属一行はとりあえずサジの存命を確認し一安心したわ。

そこへ遅れて私達グレモリー眷族とスタンド使い・兵藤丈城が合流し、今に至る。

 

木場「それで、サジ君を襲撃した犯人については何か聞いていませんか?」

 

裕斗は怒りを圧し殺したような落ち着いた声でソーナに尋ねる。

 

ソーナ「…いいえ、何も。あるとするならサジが気を失う前に、何かを伝えようと口を動かしていたぐらいしか……」

 

リアス「……犯人の名前の可能性」

 

朱乃「あるいは特徴……ですわね」

 

現状、ソーナしか匙君に接触していない。だが彼が意識を手放す前に残した手掛かりは彼女しか知り得るものはなく、その内容も不明。これでは犯人を捜すことはかなり難しい。

 

アーシア「ジョジョさん、どうしましょう?」

 

丈城「要はそのメッセージを俺たちが見れるようにすればいいだけだろ? 簡単な話だ」

 

すると待ってましたとばかりにジョジョが割って入ってきたわ。何をするつもりかしら。

 

side兵藤丈城

 

木場「ジョジョ君、まさか……?」

 

グレモリー眷族の一人、騎士の木場裕斗が尋ねてくる。

 

丈城「あぁ、そのまさかだよ。スタンドを使うのさ。過去を『再生』するスタンドを、な」

 

こんな時に俺がスタンドを使わない訳が無いだろ。

 

木場「『再生』……?」

 

 

木場の言葉に口角を上げる俺。

直後その背後からムーディー・ブルースを出現をさせる。

俺は別の世界で一度死に、この世界に神様の力で転生させてもらった。ライトノベルとかでよくある手違いによる事故から始まる神転生ってやつだ。

その時の特典としてジョジョの奇妙な冒険の第3部、「スターダスト・クルセイダーズ」~第8部「ジョジョリオン」までに登場する全てのスタンドを使えるようにしてもらった。

ムーディ・ブルースはジョジョ第5部の「黄金の風」に登場する味方キャラクター、「レオーネ・アバッキオ」が使っていたスタンドだ。

能力は対象とする人物の行動の再生。

アバッキオはその能力が原因で正体を見破られるのを恐れた敵のラスボス、ディアボロに殺される羽目になったんだよな。

おっと、そんなことよりも今は匙の事だ。

原作の回想なんかしている暇はない。

 

丈城「サジが残した手掛かりの謎を解くッ! ムーディー・ブルース!」

 

ムーディー・ブルースは額のメーターを稼働させながら長椅子に寝そべる。その姿はみるみるうちにサジの姿へと変化していき、リア達グレモリー眷族とソーニャ達シトリー眷族はその有様に息を飲む。

 

丈城「……辛いんなら目ェ背けてろ。口の動きを俺らが目にすればいいだけからな」

 

ソーナ「…すみません」

 

ソーニャはその惨状に思わず目を背ける。無理もないだろう。

俺だって腹が煮えくり返る。

匙の姿はひどくボロボロだった。

制服は返り血で赤く染まり、痣や打撲が目立つ。そして顔面はまるで別人のように顔のパーツが歪んでおり、一瞬サジによく似た怪我人ようにも思える。

野郎…犯人め。思わず空条承太郎になってしまうくらいに怒りがこみ上げる。

 

リアス「これがサジ君……!?」

 

ゼノヴィア「襲撃してきた奴の気がしれんな……普通ここまでやらんぞ」

 

丈城「サジが治療室に担ぎ込まれた時間をソーニャに手掛かりを残した時間と仮定して逆算すると……大体5〜6分といったところか。まずはそこから再生するぞ」

 

俺がそう指定すると、ムーディー・ブルースの匙は虚ろな目でこちらを向いた。その口は確かに何かを伝えようと動いており、一同の目はその一点に集中する。

 

リアス「読み取れる? ジョジョ」

 

丈城「あぁ。再生の頭からは "会長、来てくれたんですか" って言ってる。ソーニャが来たことに安堵したんだろうな」

 

ソーナ「……………………」

 

解読された言葉に目に涙を浮かばせるソーニャ。更に解読を進めると、俺は目が大きく見開かせた。

 

ゼノヴィア「どうしたんだ? ジョジョ。匙元士郎は何と言っている?」

 

丈城「……"古臭いリーゼント…クレイジーダイヤモンド"…!!」

 

奴等か…クレイジー・ダイヤモンドの古臭いリーゼントと言ったならジョジョ第4部の主人公、東方仗助だ!

 

一同「「「「「ええっ!?」」」」」

 

匙が残した手掛かり。その犯人像として彼が口にしたのは、クレイジーダイヤモンドだった。

 

木場「『クレイジーダイヤモンド』って、ジョジョ君のスタンドですわよね?」

 

本当は俺のじゃあないが、この世界ではそういう事になっている。

 

アーシア「そうですよね……でもなんで?」

 

リアス「……ジョジョ、ひょっとして」

 

丈城「あぁ。多分、な」

 

"古臭いリーゼント"、"クレイジーダイヤモンド"のキーワードから、俺はすぐに察しがついた。

最近俺達の周囲で起きている異変……とうとう被害者が出ちまったか…。

再生を終えたムーディー・ブルースをしまい、俺はソーニャたちに向き直ると、以前起こったある出来事について話すことにした。

 

丈城「皆にはまだ話していなかったんだが、実はこの駒王町内で俺以外のスタンド使いによる事件が二件発生しているんだ。いずれも再起不能になると跡形もなく消滅して、しかもそいつらの使役するスタンドが星の白金(スター・プラチナ)黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)だったんだ」

 

ジョジョ第3部「スターダスト・クルセイダーズ」の主人公の空条承太郎のスター・プラチナと、ジョジョ第5部「黄金の風」の主人公のジョルノ・ジョバァーナのゴールド・エクスペリエンス…。ふざけやがって…。

 

一同「「「「「ええっ!?」」」」」

 

リアス「皆が知らないのも無理ないでしょう。現状知っているのはジョジョと私とアーシアだけだから。相手の目的や正体が不明な以上、不用意な詮索は避けた方が賢明だと思って敢えて伝えなかったの」

 

リアはジョルノの襲撃事件以降、使い魔を使役して町中の警戒にあたっていた。しかしこれといった動きがなく、俺がジョジョ第6部「ストーン・オーシャン」のラスボスの能力、ホワイト・スネイクの能力で取り出し、リアに貸した証拠のDISCも勿論スカ。ある程度のスタンドの知識しか身につかなかったという。

 

木場「ジョジョ君の他にも……スタンド使いがこの街に!?」

 

朱乃「あらあら、これは仰天ですわ」

 

丈城「奴らは恐らく俺に関わり合いのある人物を狙っているらしいんだ。アーシアの時はいきなり人影が消えて、その直後に襲われたからな」

 

アーシア「怖かったです」

 

俺の可愛いアーシアを傷つけようとするなんて許せん。

 

ゼノヴィア「つまり……サジを狙った犯人の真の目的はジョジョ君で、サジは彼を引っ張り出すために襲われた…と?」

 

丈城「無きにしも非ず、だろうな」

 

兎にも角にも、こうして謎のスタンド使いによる襲撃事件の三件目が発生してしまった。しかも初の被害者も出てしまっている。最早隠し続けることは不可能だった。

事態を重く見たリアはソーニャに注意喚起し、オカ研メンバーと生徒会の合同で本事案に立ち向かう事を決めた。

 

リアス「ソーナ、生徒会の皆にも伝えて頂戴。ひょっとするとあなたの眷属にも危害が加わる可能性があるから」

 

ソーナ「わかったわ。そっちも気をつけなさいよ、リアス」

 

リアス「ええ、覚えておくわ」

 

リアの言葉に首を縦に振るソーニャ。その目は怒りと決意に燃えていた。自らの眷属を不当な理由で傷つけられたのだ。当たり前の反応だろう。

早足にその場を立ち去る彼女の背を見送った後、リアは俺と眷属に檄を飛ばす。

 

 

リアス「皆、相手は正体不明な上にジョジョと同じスタンド使いよ。油断は禁物。周囲を警戒しながら捜索にあたって頂戴。尚単独で行動せず、常に二人以上で行動すること。発見次第私に連絡して。さぁ、サジ君の仇をとるわよ!」

 

一同「「「「「はい! (All right!)」」」」」

 

こうして、匙を再起不能に陥らせたスタンド使いを見つけるため、オカ研メンバーは夕闇迫る住宅街へ捜索に乗り出すのだった。

これが…まさか俺が平行世界を超えてやって来たジョジョ第4部の原作のキャラとその転生者…そしてこともあろうにあのジョナサン・ジョースターとDIOが融合して転生した奇妙な悪霊…いや、妙にウマの合う性格の悪い聖なる遺体となった自称・邪悪の化身、比企谷八幡と出会い、俺の体を共有するきっかけとなる、とても奇妙な事件の始まりだとは夢にも思わなかった。

 

キングクリムゾン!

 

丈城「………で、意気揚々と町に繰り出したはいいけどよ」

 

リアス「すっかり日が暮れてしまいましたね……」

 

現時刻午後8時。

太陽はとっくの昔に地平線の向こうに消え、俺、アーシア、リアの三名が捜索している住宅街では戸口の明かりと街灯だけが輝いている。

 

捜索を始めてからかれこれ二時間以上経過するが、一向にそれらしき人影は見当たらない。念のため定期的に他メンバーと連絡を取り合いあっているものの、未だ進展はないらしい。

 

リアス「むしろ私としてはここからが本番だと思っているわ。何せ夜は悪魔のゴールデンタイム。まだまだ序の口よ」

 

奴の時間が始まってしまった!ってかあ?

 

丈城「三名中一名人間混ざってんだけど」

 

リアス「あなたの場合心そのものが悪魔でしょ」

 

丈城「ハッハッハ、しまいにゃ泣くぞコンチクショウ」

 

まぁ否定できんがな。本人もそれなりに自覚はしている。直す気など毛頭ないに決まってるがなぁ!間抜けがぁ!

ネタは置いておくとして、こんなに日が暮れていてもメンバーの誰も中断しようとは思っていなかった。サジの仇を討つのもそうだが、スタンドの実力は俺を通して全員が認知している。

使い方次第でどんな能力でも危険になる…それがスタンドだ。

もしそれが一般人に振るわれるようなことがあれば一大事である。故に一分一秒でも早く見つけなくてはいけない。

 

アーシア「ジョジョさん、サジさんが襲われた場所には本当に何もなかったんですか?」

 

丈城「あぁ、きれーさっぱり。あと襲撃した奴の衣服や身体にサジの血液は絶対ついてるはずだと思って、さっきからハイウェイ・スターを使ってるんだが……どうも追跡がうまく行ってないらしい」

 

ジョジョ第4部の敵であり、スポットキャラの噴上祐哉のスタンド、ハイウェイ・スター。匂いに敏感なスタンドで、こういった追跡にはもってこいだと思ったんだがな。

 

リアス「正に手がかりなし……証拠も一切残さないなんて、まるで蜃気楼でも相手しているようだわ」

 

リアはそう言って嘆息する。アーシアも使い魔である『蒼雷龍』ライライに事のあらましを話して空に飛ばし、空にも捜索の手を伸ばした。そして俺はと言えば。

 

丈城(やっぱ『キラークイーン』で攻めるのもいいけど、『マン・イン・ザ・ミラー』でスタンドと本体を分断してから叩こうかな……。それか『ドギースタイル』と『ブレイン・ストーム』で距離をとりつつジワジワなぶり殺すとか……)

 

既に敵の処刑方法について考えていたりする。ちなみに後にこの時の事を件の悪霊に話したら。

 

悪霊「後者でじわじわやるべきだな」

 

と極上の黒い笑顔で笑い、意気投合した俺達はポルナレフ式ハンドシグナルをやったのはまた別の話だ。

 

一同『(まァたえげつない事考えているな、コイツ……)』

 

ちなみに俺の身に宿る神器『赤龍帝の籠手』ドライグが呆れた様子を見せる。

しかし今回もそうだが、相手は俺と同じ能力を兼ね備えている。加えて相手はクレイジー・ダイヤモンドを操る第4部主人公の東方仗助だ。正体が偽物だとしても油断出来ない相手であることは明白だ。

 

とりあえず残りの対策は遭遇したときにでも、と俺がハイウェイ・スターを戻したときだった。

 

リアス「こちらリアス。あら、裕斗。そっちは見つか……ええっ!? それどういう事!?」

 

丈城&アーシア「「?」」

 

リアの通信機器に、住宅街北西部を捜索していた木場とゼノヴィアから一報が入った。彼女は暫くの間やり取りを交わしていたが、一旦通信を切るとその内容を俺とアーシアに報告する。

 

丈城「リア、今のは……」

 

リアス「ええ、裕斗からよ。例のスタンド使いが見つかったみたい」

 

丈城「本当にか!?」

 

リアス「だけど……ちょっと奇妙なことが起こっているらしいの」

 

リアは一旦言葉を切ると、何故か躊躇う素振りを見せる。そして決心したように向き直ると、俺達に驚愕の内容を伝えた。

 

 

 

 

 

 

リアス「……二人、いるそうよ。『クレイジーダイヤモンド』を操るスタンド使いが……」

 

丈城&アーシア「「え……?」」

 

 

side東方仗助

 

ダブル仗助「「ハァー……ハァー……ハァー……」」

 

肩で息をする両者。

俺もこいつも着衣はボロボロ、鮮血が至る所に付着している。

くそ…戦術や技は俺の方が上でも相手は若い頃の俺…。

全盛期の頃の俺だ…。

知らず知らずの内に衰えが出ていたんだな…。訓練は欠かさなかったってのによぉ…。

 

このダボと戦闘を開始してから体感時間で二時間くれぇは経っている。戦い始めた場所からはグレートに離れちまっていて億泰達とは合流していねぇ…。

今は一軒の民家の中で一対一の殴り合いが行われている。

 

仗助「おいコラ……てめー何者なんだよ!? なんでクレイジーダイヤモンドを持っていやがる!?」

 

この世界が過去の時代で、こいつはそこでの俺なのか?そういった世界は何度か見ているし、自分同士が仲が悪いなんてのはざらだ。特に小町の奴は平行世界の自分を特に嫌ってるからな。

だから最初はその類いの奴かと思ったけどよぉ、いくらなんでも問答無用過ぎるしよぉ、何よりもこいつは…

 

仗助?「………………」

 

何を聞いても、こいつは全く喋ろうとしやがらねぇ。

クレイジー・ダイヤモンドである以上は俺であることは間違いはねぇ。何よりも俺の方がこの世界にとっては異物だからなぁ。だが、俺ってこんな寡黙な奴じゃぁねえ!むしろ、ジョジョと呼ばれた人間の中ではジジイの次くれぇには喋る方だ!

こいつはグレートに怪しいぜ…。

もっといえばこの環境自体もおかしいことに今気が付いた。普通であれば民家の塀をぶっ壊して、その中で殴り合うなど考えられないことだ。けどよぉ、この家にはどういうわけか明かりが点いてねぇしよ、住民はおろか人っ子一人姿を現さねぇって変じゃあねえか?これだけ派手に暴れまわっているならよぉ、この家の人間じゃあ無くともご近所の誰かが警察とかに通報している方が普通だってもんじゃねえか。

 

仗助(この均衡をどうにかしようとしているのに……全然破れねぇ! それに人ん家だっていうのになんで誰もいないんだ!?)

 

留守なのか?普通ならそう考えるけどよぉ、俺の危険センサーが何かが違うって警告してる。

高校時代の頃から妙に戦い慣れちまったからな。こういった第六感は鍛えられちまった。こいつぁやべぇ…。

何が解らねぇが、何かこいつの策に嵌まっちまっている!

焦って集中力を鈍らせたその一瞬が命取りになった。

 

仗助?(ニヤッ)

 

その胸くそわりぃニヤケ顔で反応すれば良かった。

八幡の野郎があんなことになっちまったせいか、それとも千葉村の戦いの疲労が抜けていねぇせいか…。

いつもならとっくに反応していたのに、今の俺はとにかく鈍っていた。

 

仗助「…? ぶグッ!?」

 

いきなり俺の背に、衝撃が走った。

最初はただの衝撃…しかしそれが激痛へと変わる。

衝撃の正体は、俺の身体を貫通して視界に入った。

ハート型のガラスの破片。その中央には固まった血痕が付着している。かつて俺が、家の外から空気弾で攻撃してきた吉良吉影に対して放った自動追尾弾。

俺の得意技だった…。

 

「ごふっ……!」

 

2度目か…クレイジー・ダイヤモンドの自動追尾弾を自分で食らう羽目になったのは…。あんときは…承一郎の奴と戦った時は正真正銘の自分の自動追尾弾を食らっちまった訳だけどよぉ…。(第二章参照)

血の塊が口から一気に溢れ出す。致命傷をもらっちまったか……。

意識が朦朧とし始め、思わず膝をついてしまう。

逆にあっちの若い頃の俺は不気味に顔を歪ませる。間違いなく俺の負けだった。

 

仗助(しまった……完全に裏をかかれた…!)

 

見た目と能力のインパクト、実力の同列に意識が集中した結果、敵の不意打ちをモロに食らった。薄暗くてよくわからねぇが、胸を抑える手には確かに流れる血の感覚がある。クレイジーダイヤモンドでは自身の修復は無理だ。もしジョルノやいろはがいれば手当が可能かもしれねぇけどよぉ、こんなところで『もし』の話をしても意味がねぇ。自分自身を治せるゴールド・エクスペリエンスやナイチンゲール・エメラルドが羨ましい。

死…。

そんな一文字俺彼の脳裏をよぎった。

 

仗助?「もう逃げ場はねぇようだなァ………」

 

ジリジリと迫り来る若い頃の俺。反撃しようにも、体が全く言う事を聞かない。

 

仗助(まじか……まさか最期がこんな形になるとは、な……)

 

八幡を救う筈が、かえって死に急ぐ羽目になっちまった。しかも露伴達に気を使わせた挙句このザマだ。全くもって笑えねぇ。しかし抵抗する力がもう残っていない。遂には力が入らず、その場に倒れ込んでしまった。

 

薄れゆく意識の中、俺は訪れる自らの運命を受け入れていた。

何故か承太郎さんとの出会い、高校時代の頃の事、ジョジョと…静とのこれまでの日々、八幡達との出会い、ジョルノと酒を飲んでいる時の事、クリスタル・クルセイダーズでのフロリダでの旅路…つい最近では由比ヶ浜との誕生会での出来事が何故か脳裏に浮かぶ…。

 

仗助(走馬灯を見るって、まさにこの事か……ハハッ、まじで楽しかった場面しか見えねぇもんだな、こりゃあ……)

 

幻覚だとわかっていても、死の間際ともなれば感傷に浸れる程の思い出が見れるらしい。

 

仗助(お…別れ…だ…な。もう……意識を…保つだけ…で……精…一杯……)

 

じゃあな…後は任せたぜ。康一…億泰…露伴…音石…。

ジョルノ…財団の事は…任せた…ぜ…。

視界に入る、歪んだ笑みを浮かべたクレイジーダイヤモンド。ゆらりと拳を振り上げ、俺の意識を刈り取ろうとする。

一つ確信したことは、こいつは俺なんかじゃあない。

 

 

 

 

悔しいぜ…。今頃になって気が付くなんてよぉ。

俺が静かに瞼を閉じようとした───────

 

 

 

 

 

(ガオン!)

 

 

次の瞬間、聞き慣れた削り取る音と共に、クレイジーダイヤモンドが視界の端へフェードアウトした。

 

仗助「…………?」

 

音に気がつき、虚ろな目で音の方向に俺が視線を向けると……

 

リーゼントの仗助を殴り飛ばし、親友のスタンドを側に従えた、謎の男がそこにいた。

 

 

 

 

 

??「削り取ってやる…『ザ・ハンド』ッ!」

 

 

仗助「億…泰……?」

 

 

(←To Be continued…)




いきなりピンチじゃあねぇか!Σ( ̄▽ ̄;)

しかし、尾川さんの戦闘描写は上手いですね。

今後どうなるのでしょうか!
ハラハラが止まりません!

それでは次回もよろしくお願いいたします!

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