sideサブレ
サブレ「!!」
花京院…いや、海老名の生命力が弱まってる!大丈夫なのか!?
三浦「イギー!海老名を信じろし!あいつが簡単に死ぬなんてありえねーし!」
空条「海老名!」
老けた方の承太郎が止まって下に戻ろうとする。
ポルナレフ「承太郎!海老名を信じて進むぞ!お前が花京院を信じないで誰があいつを信じる!」
承太郎「海老名には慧音が付いているんだから大丈夫だ!」
空条「くっ!花京院……死ぬなよ……」
俺も無事だと信じてるぜ!花京院……。
俺は前世でも現世でも花京院とはあまり交流がなかった。だけど、あいつは前足を無くした俺を気遣ってくれたし、現世では飼い主である由比ヶ浜結衣の友達だ。
結衣はアーシスと関わるようになってからどんどん変わっていった。
その裏には海老名姫菜の影響が少なからずあったと思う。間接的にではあるけれど、海老名姫菜は俺にとっても恩人だ。
だから、生きて再会するんだ。前世のように
死ぬんじゃあねえぜ!
サブレ「!?」
人の心配ばかりしている暇は無さそうだ。
下から新しい敵が追ってきている…。
サブレ「ガルルルルルル!」
ポルナレフ「イギー!」
サブレ「バウバウ!(お前らは先に進め!俺がここで食い止める!)」
文「サブレさんがここで食い止めるから先に行けと言っています!」
ポツポツ……
下から光が迫ってくる…弾幕だ!
サブレ「バウッ!(ザ・フール!)」
俺はザ・フールを広域展開して砂のバリアを展開する。
砂のバリアは全ての弾幕を防ぎきり、攻撃が承太郎達と承太郎2号達に及ばないように出来た。
けど、ここは砂とは無縁の上空。
どこまで俺の力が及ぶかわからねぇ。
ここから上は更に砂が集まりにくいだろう。
残念だが俺がまともに戦えそうなのはここくらいまでだ。だったらやっぱりここで戦うのは俺だろう。
サブレ「ワン!(行け!二人の承太郎!)」
空条「く………無理はするなよ!お前が死んだら由比ヶ浜が悲しむんだからな!」
承太郎が更に上空へと飛んでいく。
ポルナレフ「生きて再会するぞ!イギー!」
魔理沙「粋な犬なんだぜ…イギー。行くんだぜ!みんな!」
それぞれが俺に声をかけて上空へと飛んでいく。
無理をするなは俺のセリフだ。
特にポルナレフ…お前はすぐに無茶をするじゃあねえか!
ギャングでの戦いなんて死ぬまで頑張りやがって…。
一番放っておけねぇ奴が何を言ってやがる!
ポツポツポツポツ。
更に層の厚い弾幕が承太郎達を襲うために迫ってくる。
サブレ「全部防ぎきってやるぜ!」
俺は更に砂を展開して弾幕を防ぎきる。
?「犬のスタンド使いだにゃ!こんなのもいるんだ」
猫耳を生やした幼女と金髪の女が俺の高さまでやって来た。黒いしょう気を纏った二人は明らかに普通じゃあねえ!
猫耳の幼女は初めて見るが、金髪の女は見覚えがある。
確か魔理沙に吹っ飛ばされていた魔法使いのアリスとかという奴だ。
アリス「魔理沙はいないみたいね。先に行ったのかな?私は先にいくわ。この犬は任せるわよ、橙」
金髪が魔理沙を追って上に行こうとする。
サブレ「ワウウウウウ!(行かせるかよ!)」
俺はアリスを叩き落とそうとザ・フールを操作しようするが…。
橙「私に隙を見せるなんてバカだにゃ!仙符・鳳凰卵」
しまった!
橙が放ってきた弾幕をまともに背後から食らい、落下する俺。
サブレ「キャイィィィィン!(ちくしょお!すまねぇ、魔理沙!承太郎!金髪を行かせてしまった!)」
俺は痛みに耐えながらも何とか落下速度を落として体勢を建て直す。
橙「犬のスタンド使いはここで倒すのにゃー!仙符・飛翔韋駄天!」
俺を追ってきた橙は高速で飛び抜けながら弾幕を打ってくる。
俺はボール状に砂をまとめてバリアにし、ガードするが俺に集中攻撃を仕掛けられている為、徐々にザ・フールのバリアが剥がされていく。
本体に影響が出ないタイプのスタンドで助かったが、いつまで持つかわからねぇ!
時々俺の横を掠める時は引っ掻き攻撃も加えて来やがるからなお防御層が薄くなる!
このくそ猫!同じ猫なら比企谷家のカマクラの方がまだ可愛いげがあるぜ!
橙「ほらほら!砂のボールがなくなるよ?大丈夫なのかなぁ!?」
とうとうバリアに穴があき、その穴から橙が俺を覗き込むくそ猫。
サブレ「(ニヤリ)調子に乗るんじゃあない!くそ猫ぉ!わざと剥ぎ取られてたんだよ!動きを止めたのが運の付きだったなぁ!」
俺は再び砂を集めて橙の手足を掴み取る。
橙「ニャッ!放せ!くそ犬!」
じたばた暴れる橙。
サブレ「誰が離すか!食らえ!ザ・フールのラッシュを!」
ボコボコボコボコボコボコ!
やっと掴んだチャンスだ!これでこの猫の妖怪を倒してやる!
橙「ニャアアアアアア!」
橙は悲鳴をあげながら落下していく。
頭脳勝負は俺の勝ちだった…「ドオン!」…な…っ!
突然訪れた衝撃に意識を持っていかれそうになる俺。
背中を見ると、弾幕が命中したように煙が出ている。
橙「藍様の式神の橙を舐めるにゃぁ!よくもやってくれたな犬っころ!犬に負けるような橙さまじゃないにゃぁぁぁぁ!」
サブレ「けほっ…けほっ…」
やべぇ……ちっこいくせになんて生命力だ。
倒したと思っていたのに逆にこっちがやられちまった。
けどなぁ…俺だってスターダスト・クルセイダーズの一員だ…心だけは意地でも負けねぇ…ぜ。
俺は落下しそうになりながらも気力でフワフワと橙に近付く。
橙「降参かにゃ?猫なら許すけど犬は許さないにゃ!」
橙は俺をはたき落とそうとするが、辛うじて回避してその体にしがみつく。
橙「なついたふりしても無駄にゃ!離れるにゃ!」
なついてなんかいねぇよ!俺の意地を食らえ!
俺はザ・フールを再び出現させ、一気に顔にへばりつく。
そして……
プゥ~…
その顔に屁を放つ。
ざまぁみやがれ…倒せなくても、意地だけは見せてやったぜ!
橙「このくそ犬……地面に叩きつけられて雪の中に埋もれるニャッ!」
橙は俺の体を鷲掴みにして振り上げる。
殺すなら殺しやがれ!
俺は戦いではテメェに負けても心じゃあ…頭脳では勝っていたんだ!
神の式神妖怪がただの犬にいっぱい食わされたんだ!その屈辱を一生抱えて生きていきやがれ!
橙「死ぬにゃ!犬っころぉ!」
橙は俺を地面に叩きつける為に下に投げ落とした。
サブレ(あばよ。承太郎、ポルナレフ、花京院、アヴドゥル、ミドラー、静、八幡……結衣に謝っておいてくれ…)
俺は迫り来る死を覚悟する。
……が、その瞬間は訪れなかった。
それどころか柔らかくて暖かい感覚が俺を包む。
サブレ「あれ?」
目を開けると黒い翼が舞っていた。
文「イヤな感じがして戻ってきて正解でした。ダメですよ?天狗にいっぱい食わせた勇敢な犬がこんなところで死ぬなんて許しません」
射命丸……文……。
射命丸は妖気で俺を治癒しながら俺をだき抱える。
文「すごいですね。猫又妖怪…それも八雲の式神に対してここまで戦えたんですから。やっぱりあなたはただ者ではありません」
サブレ「結局負けちまったんじゃあ意味がないぜ…」
文「いえいえ。身体能力の差で負けたのであって、あなたは戦術でも気持ちでも橙さんに勝ってましたよ?それがこの天狗の心を動かしたんです。サブレさん、異変が終わっても幻想郷に残りませんか?狛天狗として人化してみてはどうでしょう?」
それはそれで魅力的かもな。けど…
サブレ「俺はただのミニチュアダックスフンドとしてあの能天気な飼い主の元で生きていきたい。花京院やアヴドゥルと一緒にな…ポルナレフも見送ってやりたい」
やっぱりここで暮らすよりもただの犬として生きていきたい。それに、ただの犬だからこそ、人にいっぱい食わすのが楽しいんじゃあないか。
文「あややや。振られちゃいました。狛天狗となったあなたなら、並の天狗よりも魅力的な方になったでしょうに。同じ狛天狗のカワイイ犬走さんのお婿さんとかでもとか思いましたけど、残念ですね」
射命丸は傷付いた俺の体を懐に入れ、橙に向き直る。
文「さて、お待たせしました。八雲の式神、橙さん。サブレさんに代わって、この鴉天狗の射命丸文があなたのお相手をいたしましょう」
橙「妖怪山の天狗が相手でも負けるかぁ!仙符・飛翔韋駄天!」
橙は再び素早く動き出す。
だけど、この鴉天狗相手にはそれは無駄だぜ?
この射命丸は下手すれば比企谷小町だって敵わないほど素早く動ける。
射命丸は衝撃波を伴って移動した。
お、音速のスピードぉっ!?
文「あなたは既に直接攻撃に出ていました。これは既に弾幕ごっこではありません。天狗の力をその身で受けるのですよ。橙さん」
ドゴォォォン!
射命丸の全力の拳骨が橙を襲う。
なんて力だよ…。これが本気の天狗の力か…。
橙「ふにゃぁ……」
クラクラしている橙。
文「止めです。安心してください。異変に操られているあなたを殺しはしません。風神
ギャアアアアアア!
音速で飛び回るなぁ!目が回るぅ!
射命丸は音速で飛び回りながら弾幕を橙に集中させる。
それは奇しくも橙がやった飛翔韋駄天という技に似ていた。
その速さと威力は飛翔韋駄天の比ではないが。
ドドドドドドドド!
橙「プギニャァァァァァァ!」
橙は蜂の巣にされ、地面に落下していった。
文「あややや。このままでは死んでしまいますね。どうしましょう?」
おいおい……。
考えてないで追って助けてやれよ。
文「なんてね♪ビックリしました?ちゃんと落ちる場所も考えて攻撃しましたよ~♪」
え?
俺は橙が落下した方に目を向けると、下からは傷だらけの海老名と上白沢慧音が黒猫を抱いて上昇してきた。
慧音「なんか猫又が落ちてきたのだが…これは八雲藍の式神の橙ではないか?」
文「ええ。サブレさんがやられそうになっていたので私が代わりにやっつけました」
海老名「え?イギーが!?イギーは無事なの!?」
心配してくれるのはありがてぇけどよ、お前だってボロボロじゃあねぇか。花京院よぉ。
サブレ「あうあう!(射命丸のおかげで無事だぜ。おめぇも無事だったんだな。花京院)」
俺は射命丸の服をよじ登り、胸元から顔を出す。
射命丸「あん♪服の中で動かないでくださいよ、サブレさん」
海老名「イギー!酷い傷じゃない!無事で良かった……良かったよぉ!」
海老名は射命丸の胸元から俺を受け取り、泣きながら抱き締める。
イテテテテ!
生命力は射命丸からもらって息を吹き返したが、傷自体は治ってないんだから思いっきり抱きしめるな!
俺は悲鳴をあげながらも射命丸に振り返る。
サブレ「あう!(ありがとな。射命丸。助かったぜ)」
文「いえいえ。無事で良かったですね♪サブレさん♪」
本当に八幡に対する一色いろは並にあざといぜ。いったいどれが本当の射命丸文なのかわかったものじゃあねぇ。
橙「う、うぅぅぅん……」
猫モードの橙が目を覚ました。
その体からは例のしょう気が無くなっている。
橙「はっ!紫様!藍様は!」
文「今、博麗の巫女が向かっていますよ?橙さんは大丈夫なんですか?見たところ正気を取り戻しているようですが」
橙「お願い!紫様と藍様に酷いことしないで!この異変は紫様の意思じゃない!あの男が紫様を狂わせたからこんな異変が起きているんだ!」
文「あの男?」
射命丸が尋ねると、相当恐ろしい目にあったのか橙はブルブルと震えだした。
橙「水色の肌で…長く後ろに伸びる金髪の男…そいつがスタンドを出して殴ったら、紫様はおかしくなって…藍様も…私も…」
橙はこれ以上思い出したくないのか、ポロポロと涙を流しながら震えだす。
慧音「わかった。わたし達が二人を助けよう。橙よ、地上までは自力で降りられるか?」
橙「うん…本当は私も紫様達を助けに行きたい…でも」
文「無理はよくありません。私がやったこととはいえ、体も妖力もガタガタです。早くあなたの猫の楽園にお戻り下さい。後はこの天狗達に任せるのです」
橙「うん……お願い……」
橙はそういってフラフラと地上へと降りていった。
金髪で水色の男…いったい誰かはわからねぇけど、このままじゃあ終わらせねぇぜ!
体はボロボロだけど、この礼はキッチリ返すぜ!
待ってろよ!黒幕!
橙(妖術を操る程度の能力)…
サブレ(ザ・フール)…
←To be continued
今回は以上です。
サブレの視点を借りての射命丸回でした。
次々とアーシスのメンバーが傷を負っていきます。
果たして異変は無事に解決するのか!?
そして水色の男とは誰なのか!?
次回は人形使いの回です!
最近評価が低くてやる気がなくなってきてますが、次回もよろしくお願いいたします!