原作のキャラの死亡があります。
幕間 あの導かれし小道へ
side東方仗助
八幡達との出会いから2年。
俺はアメリカ留学を終え、日本に帰って来た。
一時帰宅ではない。
完全な帰国だ。
……余計な物まで付いて来たけど。
親父のジョセフ・ジョースターとその妻、スージーQ・ジョースター。
唯一、余計な物ではないのが妹の静・ジョースターだ。
高齢のジョースター夫婦…特に奥さんのスージーQさんはもう自分では立つことも叶わない程、老齢に達していた。
俺がもうSPW財団とジョースター不動産の仕事をある程度物に出来たので、後は経験だけ…という事で、一時的にSPW財団にジョースター不動産本社を任せジジイは完全に隠居。残された余生を妻と子供で送りたいという事で、日本の空条ホリィさんの家に同居することになった。
一方で俺は日本支部の支部長として、日本で勤務する事になった。
いくらノウハウは教えたと言っても、色々と経験をしてからでないと会頭には出来ない。まずは支部長からという事らしい。
在任期間は10年から20年。
この間に決着を付けろと言うあの人の命令だろう。
俺の兄貴分であり、隠居したジジイの代わりに正式にジョースター家の当主に就任した空条承太郎さんの…
日本支部の本拠地は千葉。
居住地は八幡達の家から1分とかからない。
家は普通よりは大きめの一軒家だ。兄妹二人きりで生活するには広い気もするが、じきに慣れるだろう。
俺達が日本支部に来て、わざわざ八幡達の近くに居を構えるには理由がある。
俺と静が八幡ただ一人の為に護衛となるためだ。
八幡ただ一人の為に…SPW財団&ジョースター不動産の日本のトップの俺が…だ。
天国の阻止…俺に課せられたのは「世界を守ること」、仮に守りきれなくても「世界を捨てさせない」事が俺の役目だ。
世界…それは八幡のスタンド、「ザ・ワールド」の事だ。
世界を守るとは、八幡を守ること。
世界を捨てさせないとは、八幡を取り返すか、最悪条件を満たさない状態で八幡を殺すこと。
そのために派遣されたのが俺だった。
俺としても八幡を護ることは本望である。
八幡「仗助、久々だな」
仗助「おう、八幡。正月以来だな」
八幡「ああ。それにしても…ぷくくく…」
仗助「…テメェ…」
八幡は俺の頭を見て笑い出した。
八幡「だって、おまえ…リーゼントじゃないお前って…」
そう、俺の髪型は今、リーゼントではない。
さすがに会社の代表がプライベートならともかく、公の場でリーゼントはどうなのか?
という指摘を受けてしまった。
その結果、今は前髪を何房か残して後はオールバックで後ろにまとめて束ねる形にした。
公式の場ではこうしている。
妥協点としてプライベートでは今まで通りリーゼントにしている。
4歳の時に助けてくれた俺憧れのヒーローと同じ髪型。
こればかりは譲れない。
ちなみに、この髪型は静が考えてくれた髪型だ。
俺からすれば違和感を感じるが、周囲からの評判は好評だ。
リーゼント以外の他の髪型で、前髪を切らずに活かすやり方として考えられた。
ちなみに、この髪型はどんなに忙しくても静がやってくれる。
というか俺自身も含めて静が触らせてくれない。リーゼント以外の別のに変えようとすると泣き出す。
仗助「まあ、この跳ねた前髪が八幡とお揃いっぽくて良い感じだけど」
八幡「それは触覚といってまた別の物だ。俺や小町のアホ毛とはまた違う。比企谷家伝統の遺伝なめるな。あと、お揃いとかの発想はやめろ下さい!何故か知らんけど、とても危険な予感がするから!どこからか、『ジョジョ八、キマシタワー!』とか聞こえてはいけない幻聴が聴こえたから!」
八幡の顔が真っ青になり、呼吸が荒くなって滝のような汗をダラダラ流している。
…おい、恐怖を自らの物にしてねぇぞ。波紋の呼吸が乱れまくっているじゃぁないか?
八幡「バカ!世の中には支配してはいけない恐怖もあるんだよ!今感じた恐怖はその類いだ!」
八幡は何か「花京院…貴様、おまえを殺したディオへの雪辱をこのような形で返してくるつもりか…我が運命に現れる新たな天敵は貴様だったのか…」とかなんとかブツブツ言い始めた。
お、おう…何かゴメン。
何で俺が謝らなければならないのか知らねぇけど、そうしなくちゃいけない気がしてきた。
静「兄ちゃん、準備できたよー。あ、ハッチ」
八幡「よー静。今日からよろ…」
静「ジョジョ」
静が八幡の言葉を遮る。
こいつは親しい人間にはニックネームで呼ばれないと気がすまないからなぁ。
八幡「…しず…」
静「ジョジョ」
八幡「…し「ジョジョ」…東方」
静「それはそれで嬉しいけどジョジョ」
八幡よぉ、何故東方と呼んだ?
そして何故嬉しがるんッスか?ジョジョ?
八幡「ジョジョ、これからよろしくな」
静「うん。よろしくね、ハッチ」
ジョジョと八幡は今年から小学生だ。
近所なので同じ学校に通うことになる。
俺は何故かPTA会長をやらされる羽目になった。
まあ、何にせよ、たのしい日々が始まりそうだ。
sideスージーQ・ジョースター
二年後、ある日の昼。
空条家スージーQの寝室。
今日、この空条家の私の部屋に皆が集まっていました。
仗助達と共に日本へやってきから早いもので2年が経ちました。
一月前にリサリサ様…小町さんの小学校の入学式がありましたが、小町さんの晴れ姿はとても可愛らしく、立派な物でした。
去年のいろはさん、一昨年の静や八幡君の入学式も感動したものです…
もっとこの子たちの成長を見ていたかったですが、それは叶わなそうです。
おそらく、私は今日、間もなく天へと召されなけばならないようです。それを察してか、承太郎と徐倫もアメリカから駆けつけてくれました。
承太郎「おばあちゃん…」
スージー「承太郎…後は頼むわね…」
承太郎「…わかった」
口数の少ない承太郎は、普段なら「ああ…」で済ませますが、今日ははっきりと答えてくれました。
ホリィ「ママ…ママ!」
スージー「何ですかホリィ…息子の承太郎がしっかりしているのに、あなたという人は…これでは安心して主の御元に行けないわ?」
ホリィ「だって…だって!」
スージー「最期にあなた達に囲まれて逝ける…こんな幸せはないわ…だから、笑って見送って…ホリィ」
もうじき60になるのに、最後まで甘えん坊ですこと。本当に安心して逝けません…
徐倫「大おばあちゃん…」
スージー「徐倫、来てくれてありがとう…最期に会えて嬉しかったわ…」
徐倫「おばあちゃん!」
徐倫は私に抱きついてワンワン泣いていました。
アメリカではヤンチャしているみたいですが、やはり年相応の優しい娘です。
朋子「スージーさん」
スージー「朋子さん…あなたには辛い思いをさせてしまいました…でも、あなたがいたからこそ、仗助が産まれてくれた。そして仗助がいたからこそ、静に出会えました。あなたのおかげでジョースターの立派な跡取りが二人も出来たのです…誇って良いのですよ?」
朋子「そんな…もったいない言葉を…」
スージー「もう20年も待ったのです…ジョセフはあなたが好きにすると良いでしょう…」
朋子「スージーさん…ありがとう…」
朋子さんはそう言って泣き崩れた。
仗助「スージーさん…」
スージー「仗助さん…あなたが今後はジョースターの舵取りを担うのです。私とジョセフはあなたをジョースター家の後継者として認めました…静、承太郎と共に、ジョースター家を頼みましたよ?」
仗助「わかりましたッス……俺のもう一人のお袋…」
仗助は最期に私をお袋と呼んでくれました。
血は繋がっていなくても、あなたは私の自慢の息子です。
あなたに母と呼ばれた事は、私の誇りとしてこれからの旅立ちの力になるでしょう。
そう言えば、仗助の故郷、杜王町には魂が主の御元に導かれる道があるそうですね?
この世の別れにあなたの故郷を通るのも悪くないかも知れません。
静「お母様」
スージー「静…私のカワイイ娘。最期くらい、昔のあなたを見せてちょうだい」
静「…ママ!ママァ!行っちゃ嫌だ!もっと一緒にいたい!嫌だよ!最期なんて嫌だ!」
スージー「ごめんなさい静…私もあなたの成長を見ていたかった…あなたのウェディングドレス姿を見届けたかった…でも、ダメみたいですね…残念ですが、これからは天国であなたをずっと見守っていますよ…静。私の自慢の娘」
静「ママァ!うわぁぁぁぁん!」
静は大号泣した。
私達とは血の繋がらない自慢の娘、静。
血の繋がらない故に、静は静なりに私達ジョースターの恩返しをしたくて、その小さな体で頑張ってくれました。
でも、静…血の繋がりとか、私達はどうでも良かったのですよ?
あなたは知らなかったでしょうけれど、小町さんの前世であるリサリサ様も、あなたと同じように親を失って孤児だったところを、いろはさんの前世、エリナおばあさまに拾われ、我が子同然に育てられたのです。
あなたもホリィと同様、私のカワイイ娘なのですよ?
スージー「静…あなたも私の大事な娘…胸を張って生きなさい…あなたも立派なジョースターの家族です」
私はもうほとんど動かない手で静の頭を撫でた。
いろは「スージーさん…」
小町「スージーさん…」
スージー「エリナ様、リサリサ様…最期くらいは他人でいるのは止めてください。私は嬉しいのです、尊敬していたあなた方に見守られ、私は旅立てるのですから」
いろは「スージーQ!」
小町「スージーQ…エリザベス・ジョースターとしてあなたには最上級の感謝の気持ちを捧げます。ジョセフを立派に支え、ジョースター家にはこんなにたくさんの笑顔が満ちるようになりました。これは一重にあなたなくして出来ることではありません。本当にありがとう。あとは安らかにお眠りなさい。……そして、ここからは小町として…また出会ってくれてありがとう!お兄ちゃんやいろはお姉ちゃん共々可愛がってくれてありがとう!もうお別れだなんて寂しいけれど、スージーQのことは忘れないよ!だから…だから…ぐすっ…うう…」
スージー「リサリサ様…勿体ない言葉をありがとうございました…その言葉で十分です」
最期にあなた方と再会出来てよかった…。
ジョセフ「スージーよ…お前と歩んだ人生、とても楽しかった。
苦労の連続ばかりじゃったし、好き勝手ばかりして、苦労をかけさてしまったことも多かったがのう。
それでもワシはお前と共にいられてとても楽しかった」
スージー「ジョセフ…あなたは最後まで、笑顔なのなのね?」
ジョセフ「ワシらの別れに、涙など似合わん。いつか来るこの時は、ワシは笑顔でお前と別れる。そう決めておった!涙など、お前を見送った後で好きなだけ流す時間はある!笑顔でお前を見送れるのは、今だけじゃ!」
スージー「あなたらしいわ。そして私も楽しかったわ、ジョセフ…先に逝ってるけど、あなたはゆっくり来てね?当分来なくて良いわ」
ジョセフ「わかっておる。…さらばじゃスージー。お前の旅が安らかなる物にならんことを祈っておるぞ?」
スージー「ええ…バイバイ、ジョセフ」
ああ…ついにこの時だ…体から意識が抜けるのを感じる。抜けた意識が霧のようになり、私の形を作って行く。
貞夫さんと朋子さん以外はその私の姿を追って見上げる。
親しいスタンド使いには天へと召される魂が見えることがあるというが、皆、思い思いの顔で文字通り私を見送ってくれる。
私の形は今の形から若い頃の…ジョジョと出会った頃の形に戻って行く。
美しかった頃の形に…
最期にキレイな私で見送られるなんて、神様も粋なことをしてくれるわ♪
スージー『元気でねぇ!先に行ってるからねぇ!もしかしたら、リサリサ様達のように別の私で会いに行くかも知れないけど!その時はよろしくねぇ!』
私は金色に耀く空へと昇る
私を見送るのは他にもあった。
水色の髪の毛が特徴の姉弟。
縦ロールが似合う金髪の女の子。
赤い眼鏡が似合う女の子。
何かのコスプレ?でもしている太めの男の子。
一見、女の子に見える男の子。
ホリィのようなホワホワな雰囲気の女の子。
そうか…この子達も、比企谷兄妹やいろはちゃんと共に歩む子達…そして同じ運命を行く魂…
飛んで行く私の魂は、望んだ為か杜王町のオーソンの横にある魂の小道に入る。
ストレイツォ『スージーQ。待っていたぞ』
スージー『ストレイツォ様…あなたがお迎えに来て頂けるとは思いませんでした』
ストレイツォ『本来なら、エリザベスや ◯◯◯◯が来るべきだったのだろうが、生憎とみな、出払っていてな』
スージー『来る途中で見送ってくれました。多分、あの人達の中に◯◯◯◯もいたのでしょう』
ストレイツォ『そうか。長い間、ご苦労だった、スージーQ、この街の守り神だった子も、お前によろしくと言っていた…それでは…行くぞ』
スージー『はい。ストレイツォ様』
私は振り向いてはいけない場所に入る前に、もう一度振り替える。
スージー『じゃあね。ジョジョ。また会いましょう♪』
ファンには申し訳ありませんが、スージーQさんにはここでお休みして頂くことになりました。
物語が熾烈になるストーンオーシャン外伝に進む前に、幸せの絶頂のまま第2部エリナさんのように皆に囲まれ、安らかに逝けて貰えれば…と思い、このような形にしました。
スージーのご冥福をお祈りします…
劇中、八幡とジョルノはその場にはいました。
が、二人ともスージーとはあまり面識がありませんでしたし、特に八幡は自分の別れよりも、より小町に与えたかったが為に黙っていました。
本当ですよ?決して書き忘れていて今さら無理だったわけではないですからね?
サブタイトルは第4部アニメの後期オープニング曲「Great days」のBパートにある歌詞「導かれし小道へ迷い混む」から取りました。
どうでも良い話ですが、Great daysは作者の携帯の着信に設定しています。
「wake down!wake down!」がやけに耳に残るんですよね♪
幼少期編で冗談で書いてしまった光源氏計画はスージーが立案したという設定になりました。
もう、仗助の髪型を変えるという禁忌の設定に踏み込んでしまった以上、もう後戻りは出来なくなってしまったんや…。
仗助&静には千葉の兄妹になってもらうしかないんや…!
仗助の公式の場での髪型はSNK格闘ゲーム、龍虎の拳のサブ主人公、ロバート・ガルシアをイメージしました。
そして最後、玲美やブチャラティのように天へと召されるスージーQを見送ったジョースター家以外の面々は誰で、誰の転生かわかりますか?若干1名、わかりやすすぎる組み合わせのフラグを建てましたが。
そして、そこで登場しなかったキャラについては、すみません。一部を除いて。アンチ組です。
例外の一部は以下の理由です。
まだ生まれていない
アンチではないけれど、ジョジョ原作の段階ではジョースターsideの敵だったのでスージーを見送る理由がない
また作者としましてはブチャラティ、ナランチャ、アバッキオの三人にも転生して欲しかったですが、時間軸の関係上、出来ても俺ガイルキャラに転生出きるのは1名2名だけになってしまいます。
…いや、ルミルミも可能?いずれにしてもTSですが。
では次回は八幡の学校生活をダイジェストします。
特にセリフ等はありません。
どちらかと言えばこの八幡が小学生になったらこうなるよなぁ…を想像した箇条書きになると思います。
読まなくても本編には影響ありません。
では次回に。