side海老名姫菜
海老名「よしよし、サブレ、頑張ったね♪」
わたしはコーヒーガムをサブレにあげながらその頭を撫でた。花京院の時はイギーと入れ替わりだったしね。
特に交流がないままお互いに死んじゃったから可愛くて仕方がない。結衣の愛犬だしね。
一方で、文ちゃんにもコーヒーガムをすすめたら機嫌が治った。
あ、幻想郷ってガムとか無さそうだもんね。
数種類のガムを渡したら凄い喜ばれた。え?製造法?
ごめん、わたしはあまり知らないんだ。
文ちゃんは特に風船ガムが気に入ったみたいで、クチャクチャプーっとガムを膨らませている。
三浦「海老名、大分慣れたみたいだね」
海老名「まぁねぇ。よくよく考えたらハイエロファントも触手を伸ばしたりしながら飛行みたいな事が出来たから」
三浦「あーしのマジシャンズ・レッドも飛べるタイプのスタンドだったら良かったのに…」
承太郎「ゆっくり慣れれば良い。こればかりは本人の資質だからな」
三浦「あ、ありがとう…こっちの承太郎と一緒で根は優しいんだ…」
承太郎「女性には優しく…師の教えだ」
三浦「あーし、前世は男だったんだけど…」
承太郎「だが、今は女性だ。それに、この集団のなかでは数少ない常識人枠だしな」
三浦「あんたからは苦労人の臭いがするし…」
承太郎「ああ…今回のようなコラボの時は一癖もふた癖もあるやつらばかりの奴らでな…特に今回は癖が強すぎるやつらばかりで胃が痛くて仕方がない…」メメタァ!
三浦「あー…ヒキオやジョジョや海老名やイギーは癖が強すぎるし、特にヒキオとジョジョは根性が悪いから。あと、作者の本城も…。でも、海老名はBLが関わらなければ常識人枠だと思うんだけどね」メメタァ!
空条「というか、数だけは常識人と非常識人のバランスが取れているんだがな」
承太郎「マイナスに傾く比重が重すぎる…」
三浦「ふぅ…やっと慣れてきたし」
移動開始から約六時間ほど。
湖らしきものが見えてきた。
承太郎「霧の湖か……ちょうど良い。昼食を兼ねてここで休憩を取ろう。霧の湖の先が目的地の紅魔館だからな。休息を取るならここが最後の場所だろう」
私達はポルナレフが運んだココ・ジャンボからおにぎりを取り出す。
博士じゃあない方の承太郎が作ったシンプルな梅おにぎりと塩おにぎり、それに沢庵が付いている。
時間が無い中で作ったにしては贅沢なおにぎりだった。
海老名「ありふれたおにぎりなのに美味しい!」
三浦「承太郎。あんた料理の天才っしょ!」
ミドラー「アラブ人のあたしでも素直に上手いと思えるよ。大したもんだねぇ。ほらエンポリオ。あんたも育ち盛りなんだから沢山食べな」
エンポリオ「ありがとう、ミドラーさん」
静「シンプルな物ほど腕の差というのは出るものよ。つまり、承太郎さんは料理の腕も一流…」
空条「お世辞抜きに上手い…。こんなところでこんな絶品のおにぎりに出会えるとはな…」
サブレ「バウバウ!」
文「俺の飯は?と言っています」
承太郎「わかっている。ほれ、骨付き肉だ。軽く焼いただけだから味気無いかも知れんがな」
承太郎はイギーの前に竹の皮の包みをほどく。イギーは夢中でそれにかぶりつき始めた。
文「気に入ったようですよ?」
魔理沙「シンプルさが逆に良かったみたいだぜ」
慧音「軽く焼いただけで犬が絶賛するとは…女としては少し自信を無くすな」
霊夢「今さらよ。対抗する気にもならないわ」
承太郎「いや、お前は少しでも良いから家事の腕を上げるべきだと思うぞ」
霊夢「なに?女性は家庭に入れ的な発想?」
空条「いや、独り暮らしの嗜みとしてだろう。俺もバツイチだからな。面倒でもやらなければ生活が成り立たん。今は娘の友人がハウスキーパーとして働いてくれているし、エンポリオも手伝ってくれているから仕事に集中出来るが、数年前までは苦労した…」
うちの承太郎は家事とか苦手そうだからねぇ。
わたしも得意とは言えないけど。
裁縫は得意なんだけどね?コミケのコス作りの為とかで作ってたら自然と上手くなった。
承太郎「さて…後はお茶を飲んで一休みしたら出発するぞ」
三浦「あ、お湯なら任せるし。ポルナレフ。やかんと水をお願い出来る?」
ポルナレフ「お湯を沸かすためにスタンド使うのかよ」
三浦「ガスコンロなんてこの世界じゃあ…」
承太郎「あるぞ。だが、マジシャンズ・レッドの方が早く沸かせるな」
何でこの世界にガスコンロがあるのかは気にしない事に決めた。なんかこの承太郎なら何でもありのような気がし、気にしたら負けのような気がする。
お湯が沸き、いざ承太郎が急須と湯飲みを承太郎のココ・ジャンボから取り出してお茶を淹れようとしたその時…
承太郎「ぬ……やかんのお湯が…凍っている。こんなイタズラをするのは…」
慧音「妖精しかいないな。しかもこんなに直ぐにお湯を氷に変える事が出来る真似が出来るのは…」
霊夢「チルノね。出てきなさい!」
妖精がイタズラ好きだというのはどの世界でも共通認識みたいだね。
でも、優美子の沸かしたお湯を一瞬で凍らせるのは不味いなぁ…。
優美子とは相性が悪いかも。
チルノ「幻想郷最強のチルノ様がお前達をやっつけるのだー!」
大妖精「チ、チルノちゃん。慧音先生と承太郎先生に戦いを挑むのはまずいよぉ!というか、この12人と一匹はかなりやばそうだよ!イタズラ仕掛ける相手を間違えてるよ!」
チルノ「大ちゃん!弱気はダメだよ!この幻想郷最強のチルノ様が一緒なんだから強気になるのだぁ!」
へぇ。やる気なんだ。だったら…
海老名「ねぇ、承太郎と承太郎博士。わたしに戦わせてくれない?」
わたしが立ち上がって二人の妖精を睨む。
承太郎「ほぅ。だが、チルノも大妖精も弱くはない。大丈夫なのか?花京院」
海老名「わたしが花京院と知っているなら、わたしだって決して弱くは無いってわかるよね?それとも、信用ないかな?」
承太郎「……その殺気。ただの女子高生にしては凄まじい殺気だな…」
そりゃあ打倒DIO…ヒキタニ君を掲げて優美子と特訓を重ねて来たからね。
ジョジョっちやヒキタニ君、小町ちゃん、いろはちゃん、歴代ジョジョを相手にしたらわたしは弱いかも知れない。だけど、わたしだって弱くはないと言い切れる。
千葉村では並みいる屍生人の群れやマニッシュを倒したんだ。
それに…
わたしはこの場にいる全員を見渡す。
ここにいるのは一人一人が百戦錬磨の強者達。
弱くはないと言ってもこの人たちの中ではわたしは弱い方だ。
少しでもみんなの消耗を押さえる為にも、ここでわたしが出るのが一番良い。
慧音「待て。私が援護に入ろう。こいつらは私の生徒だ。生徒の不始末は教師が取るべきだろう?それに人間は弱い。承太郎のような例外は滅多にいない」
うーん。何か嫌悪感。
平塚先生みたいだなぁ…。面倒見は良いけど、物事を思い込みで判断したりするところなんてそっくり。
それに、頭突きとかの体罰も好感持てないんだよね。
海老名「あくまでもサポートでお願いします。じゃあチルノちゃん…だったっけ?わたしの名は花京院典明を前世に持つ海老名姫菜。イタズラ妖精にはお仕置きの時間だよ?ベイビー」
チルノ「べいびーってなんだぁ?なら正々堂々と勝負するのだぁ!」
大妖精「もう自棄だよ!覚悟して!海老名姫菜!」
覚悟か…。ここに来たのがパッショーネじゃあなくて良かったね?その言葉を軽々しく言う者に対しては厳しいのがパッショーネだから。
海老名「
わたしからメロンのような形のスタンドが出現する。
魔理沙「おおっ!あれは確かに花京院のハイエロファント・グリーン!」
チルノ「メロンみたいで弱そうなのだ!凍らせて氷メロンにしてやるのだー!氷符「アイシクル・フォール!」」
氷の弾丸と黄色い弾丸が襲ってくる。
だけどね、ペットショップの氷の弾丸に比べたら遅いしホーミング性も全く無いよ?
チルノを大した脅威じゃあないと判断した私。
彼女よりも、あっちの緑髪のやけになっている妖精から片付けよう。
海老名「ハイエメラルド・スプラッシュ!」
わたしのハイエメラルド・スプラッシュが大妖精を襲う。大妖精は弾幕で防ごうとするけど無駄だよ。
ハイエメラルド・スプラッシュはペットショップの氷のミサイルをも相殺する威力を持つ。
大妖精「っ!!」
大妖精はもう少しで命中するという段階で突然姿を消し、ハイスプラッシュは回避された。
チルノ「キャハハハハハ!食らうのだ!ヘイルストーム!」
上手い連携でくるじゃあないの!
スカって体勢を崩しているときに横から氷の竜巻なんて!
辛うじて凶悪な氷の竜巻の勢力圏から逃げれる。
海老名「横っ腹を狙うなんてなかなかね」
チルノ「横っ腹?腹なんて狙ってないよ?」
え?もしかしてこの子は…。
海老名「悪事千里を走る」
チルノ「悪事が千里を走る訳が無いのだー!」
えー…わりと古めの諺だよ?
海老名「風吹けば?」
チルノ「京葉線が止まる」
千葉県横断ウルトラクイズは知ってるんだ。
結衣と同じレベルかな…?
なんでこの世界にいるのに京葉線を知っているかわからないけど。
海老名「45×5」
チルノ「9」
ポルナレフ「フーゴがいたら切れてるな…なんで45より少なくなるんだ!って」
ホントだよ。このくらい暗算で直ぐに答を出しなさいよ。結衣だって間違えないよ?
そう思っていたら…般若の顔をした慧音さんがあり得ない速度でチルノちゃんの背後から肩を掴む‼
慧音「悪事千里を走るや風吹けば桶屋が儲かる…は昨日寺子屋で教えたばかりだったはずだよな?」
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
あ、これはヤバイパターンだ。具体的には東方社長が気分転換にリーゼントにした時、それを突っ込んだ時みたいなパターンだ。
チルノ「ガタガタガタガタ…(ガチビビリ)」
慧音「少しは頭を使えと普段から言っているだろ!宿題を真面目にやらないからこうなる!お仕置きだ!」
ゴンッ!(頭突き)
見事な頭の使い方だね?頭の使い方を間違っているね。
いま、ちらりと「やはり上白沢慧音の頭の使い方はまちがっている。」と浮かんだよ。
チルノちゃんは見事に目を回して湖上が流氷になっている部分に落ちていった。あ、大きな蛙に飲み込まれた。
あれ、大丈夫なのかな?
慧音「妖精は死んでもすぐに再生する。奴らに死の概念はないから安心しろ」
それはそれで何か違うんじゃあないかな…。
大妖精「チ、チルノちゃぁぁぁぁん!」
海老名「気を取り直して…あとは君だけだね?ハイエメラルド・スプラッシュ!」
わたしは再度ハイエメラルド・スプラッシュを放つ。
大妖精「瞬間移動!」
甘いんだよね。それがあるとわかっているならば、やりようはあるんだよ?
彼女が出てきた先には…。
大妖精「え?その先に糸みたいな物が…」
海老名「幻想郷的に言えば『緑石符・半径20メートルのハイエロファントの結界』って所かな?四方からのハイエメラルド・スプラッシュを食らっちゃってよ!」
ドババババババババババババババ!
四方八方からのハイエメラルド・スプラッシュのオールレンジ攻撃により大妖精ちゃんは撃ち抜かれ、そのままチルノちゃんと同じように落下した。
大妖精「うう……あんな攻撃が……」
ポン♪
ゴゴゴゴゴゴゴ……
大妖精が振り向いた先にはまたしても慧音さんが。
慧音「…大妖精……あんたもチルノと一緒だ。毎度毎度すぐに瞬間移動に頼るなと体育の弾幕ごっこ訓練で言っているだろう!」
ゴンッ!(頭突き)
大妖精「タコスッ!」
うん。わたし、別にいらなくなかったかな?
全部美味しいところを持っていかれた気がする。
でもやっぱり…
一同『やはり上白沢慧音の頭の使い方はまちがっている!』
これに尽きるよね。
空条「あれがお前の雇い主と生徒か?」
承太郎「ああ…いつも苦労している」
空条「お前、下手したら俺以上に苦労しているな」
承太郎「ヤレヤレだぜ…は毎日言っている」
空条「……異変が終わったらうちの世界に来い。トニオ・トラサルディか一色いろはを紹介しよう。胃薬の多用は良くない…。胃を大切にな…」
承太郎「パールジャムの胃に効く料理か自分の怪我も病気も治せるナイチンゲール・エメラルドか…助かる」
空条「ヤレヤレだ」
チルノ(氷を操る程度の能力)…
大妖精(瞬間移動が出来る程度の能力?)…
←To be continued
本気で承太郎の胃が心配になりました。
トニオさんに胃に効く料理を教えてもらうかナイチンゲール・エメラルドをブラッドがコピー出来るようになるか…どちらかが出来れば良いですね。
それでは次回は中国との戦いです。
次回もよろしくお願いいたします。