やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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比企谷隊VS二代目ジョジョ

sideエリザベス・ジョースター

 

ジョセフおじいちゃんが訓練室に入り、代わりに撃破された三人はトボトボと出てきた。小町は三人を一瞥する。

 

リサリサ「シュトロハイムさんは頑張りました。あの八幡さんのサイドエフェクトと相性が悪かったゆえですので仕方ありません。ただ、あまりガンズ・アンド・ローゼズを過信しないことです」

 

SH「ぬう…世界は違えど八幡は八幡なのだな。強さとかよりも瞬時にあんな作戦…しかも十分に使いこなせていないスタンド能力で自分等をああも容易くやられてしまうとは…」

 

リサリサ「無敵の能力なんて存在しない。今後は気をつけて下さい。それよりも…」

 

呆れるのはこの二人だよ。小町に睨まれてビクゥ!となるガハマさんとシーザー。

 

リサリサ「結衣さんはまだ仕方ありません。戦術とかは勉強中なんですから。それよりもシーザー。あなたの体たらくは何?」

 

小町のジト目を受けてシーザーが後ずさる。

 

シーザー「し、師匠…いえ、これはですね…お兄さんが強すぎたのであって…」

 

リサリサ「八十年前と違うんだから、少しは戦術を勉強しなさいって言ったよね?あと、何度も言うけど小町には彼氏も弟もいないからね?あと、あの八幡さんは確かにお兄ちゃんの魂を宿してるけど、お兄ちゃんじゃあないからね?強いのは認めるけど。今後はジョセフや材木座さんに戦術を教わること!それまではシーザーは霊長類ヒト科のアカノタニン!いいね!」

 

でも、八幡さんだけじゃあない。特殊な力を持たなくてもこの世界のお姉ちゃん……一色さんと陽乃さんも強い。力とか技術とかじゃあなく、互いの息がピッタリなんだ。

少ない言葉のやり取りで互いをフォローしあいながら、的確に攻撃をしていた。あれはなかなか勝つのは難しいね。小町のサンシャイン・ルビーの力のごり押しも、上手くやられたら足元を掬われる。

それに八幡さん…まだ何かを隠している…。

現に材木座さんとの一騎討ちではまだ余裕を感じられた。

 

リサリサ「綾辻さん。八幡さんはまだ何かを隠していますよね?」

 

遥「わかるんだね?小町ちゃん……じゃなくてリサリサちゃん。ビックリするよ?八幡くんの切り札は」

 

綾辻さんはゴーグル越しにモニターを見ている。

 

遥「凄いのはそっちの八幡くんのスタンドと……トリオンに似た力の波紋も凄いね…」

 

リサリサ「ザ・ワールドと波紋を初めて使ってあそこまで使いこなせる八幡さんの才能も……ですよ。普通なら振り回されますね」

 

承太郎おじさんだってスタープラチナには振り回されてたんだし。あの度胸と判断力は大したものだね。

 

リサリサ「でも、ジョセフ相手は一筋縄じゃあいかないよ」

 

遥「そんなに能力が強いの?ジョセフさんは」

 

弱いよ?ジョセフのハーミット・パープルは。力も弱ければ能力だって念写で戦いには向かないスタンド。

普通の人なら戦いに利用しようだなんて思わない。だけど、それを思いもよらない使い方をするのがジョセフを百戦錬磨にしているところなんだよ。

今頃は八幡さん達もジョセフを侮っているかも知れない。だとしたら、今度足元を掬われるのは比企谷隊の方だよ?

 

 

sideジョセフ・ジョースター

 

いろは「ジョセフ・ジョースターさん…でしたよね?あなたのあのツタのスタンドは念写以外にも何か能力はあるんですか?」

 

ジョセフ「ないぞ?いろはよ。ワシのスタンドは先の三人に比べても弱い。まぁ、簡単には負けるつもりはないがな。ハッピー、ウレピー、ヨロピクねー♪じゃ」

 

ワシは八十年前と同じポーズでいろは達を挑発する。

さて、始めるかのう?

 

ズンッ!

 

場の空気が一気に重くなる。

 

陽乃「こ、これは……ハーミット・パープルは念写の力が能力じゃなかったの?」

 

八幡「違う……スタンドの力でも波紋の力でも何でもない……異様なまでの殺気が場を支配している!これはヤバい!経験している修羅場が段違いだ!散るぞ!」

 

ほう、ワシの殺気をまともに受けて動けるだけ大したものじゃ。並の者ならそれだけで身動き一つ出来なくなるものじゃが、場数は踏んでる様じゃな。

 

ジョセフ「バイパーじゃったかの?そうれ!もっと動き回るのじゃ!」

 

ワシは設定した動きで弾道を変化させるトリガーを上空に向けて発射する。

 

陽乃「初めてトリガーを使うくせにハウンドを使いこなしてる!ただのじじいじゃないわ!」

 

ホルホースの『皇帝(エンペラー)』やミスタの『セックス・ピストルズ』じゃと思えばそれほど難しくはないわい。事前に弾道を決める辺りはセックス・ピストルズに似ておるかのう?

 

いろは「その歳でなんてトリオン量!こんな老人は見たことないですよー!」

 

ワシの波紋は折り紙付じゃからのう。生命力が力となるならば、波紋の応用力でトリオンとやらも増量するわい。老人じゃから舐めとるかもしれんのう。

 

八幡「場に呑まれるな!このジジイはタダ者じゃない!何をしてくるかわからん!動き回れ!」

 

ほほう。散会して集中攻撃でもやるつもりか。じゃが、先の四人のようにはいかんぞ?

まずは厄介ないろはから行かせてもらうか。

 

 

sideエリザベス・ジョースター

 

陽乃『消えた!見えるのにまるで気配がない!見失ったら厄介よ!』

 

お兄ちゃん風に言うなら『ステルスヒッキー』だね。

波紋の応用力で気配を消したんだ。

 

めぐり「えっ?レーダーにもモニターにも写ってるし、別に何かしているようには見えないのに、何でハルさんは驚いているの?」

 

リサリサ「波紋の応用だよ。気配を遮断する技術。機械的な物は誤魔化せないけど、その場にいるものにはまるで消えたように見える。戦闘力は無いに等しいスタンドの力に恵まれていないジョセフはそれ以外の技術で敵と戦うしかなかった。その分だけジョセフは技術や戦術を磨いてきたの。達人…と言われるくらいにはね?」

 

ジョセフの技術は天才的だ。沙希さんですら羨むくらいに…そして、その戦術は…お兄ちゃんですら舌を巻くくらいイヤらしい。

 

八幡『一色!気を付けろ!ジョセフさんの狙いは陽乃さんに見せかけてお前だ!何かを投げたぞ!』

 

いろは『え?キャア!なになにっ!?何ですか!?クラッカー!?』

 

ジョセフの十八番、鋼鉄のアメリカンクラッカーを武器にするクラッカーヴォレイだね。あれは厄介だよ。

いろはさんは最初の投擲は避けたけど…。

 

八幡『動きがおかしい!投げた物から目をそらすな!』

 

もしかしてこの八幡さんのトリオンの特技って…。空間把握能力!?ジョジョお姉ちゃん殺しの能力じゃん。

警告を受けたいろはさんは慌ててジャンプして回避する。

 

いろは『何で鎖と鉄球のクラッカーがブーメランみたいに戻って来るんですかぁ!訳がわかりませんよぉ!』

 

うん。八幡さんのせいでクラッカーヴォレイでダメージを与えるのは叶わなかった。だけどね?

ジョセフが射ったバイパーのトリオンの弾丸がいろはさんの跳んだ位置で上に曲がり、その体を蜂の巣にする。

 

いろは『うそっ!?那須さんだってこんな芸当なんて…キャアアアアアア!』

 

ジョセフは甘くない。クラッカーヴォレイが避けられた場合を考えてバイパーを射っていたんだ。

 

一色いろは…ベイルアウト(リタイア)

 

八幡『最初から避けられる事を考えて射撃していた…だと?スタンドを使わずに一色がベイルアウトさせる…まじで化け物だな……ジョセフ・ジョースター!だけどな!』

 

八幡さんはアステロイドでジョセフを射撃。だけどジョセフも読んでいた。どこかで手に入れたコップに水を少しだけ入れており、それを狙われていた頭部の前にかざす。

 

ジョセフ『トリオンが弾ならこういう反射のさせ方があるのじゃ』

 

水に波紋を通してトリオンの弾丸をヘアピン状にカーブさせ、八幡さんに跳ね返す。弾は八幡さんの肩にヒットした。

 

八幡『ぐっ!銃手の攻撃すら跳ね返す能力があるのかよ!なんだこのジジイはっ!戦い方がトリッキー過ぎる!』

 

ジョセフ相手に普通の戦い方が通用しないと判断した八幡さんは戦略的撤退で姿を眩ます。

 

ジョセフ『引き際が見事じゃのう。さて…不意討ちならもう少し上手くやるもんじゃよ。陽乃』

 

背を向けていたジョセフを狙って屋根の上から弧月で背中を斬りつけようと急襲する陽乃さん。だけどジョセフは刃に当たらないように逆に間合いを詰めて陽乃さんの手に背中をぶつける。

 

ジョセフ『八幡に意識を集中させて不意討ちをするのは見事じゃ。やはりお前さん達は良い連携をしておるのう。じゃが、連携が得意というのが解っておれば対処のしようもあるというものじゃ』

 

バリバリバリバリ!

 

ジョセフは服の下に巻き付けてあったハーミット・パープルのいばらを通して陽乃さんに波紋を流す。

 

陽乃『スタンドのいばらを体に…!高圧電流に自ら当たりに行ったようなものっ!』

 

ジョセフはそのまま感電している陽乃さんの手を掴む。

 

ジョセフ『どんなに強い能力も戦い方次第で負ける。逆を言えばどんなに弱い能力でも工夫次第でいかようにも出来るものじゃ。捕まえたぞ陽乃よ』

 

ジョセフは波紋を流しながら柔術の技で何度も陽乃さんの体をアスファルトに叩きつける。投げその物にはトリオン体に意味はないけれど、生命エネルギーの波紋を流されながらだと意味は違う。柔術技は陽乃さんの三半規管を狂わせる為にやっているだけで、本命は波紋によるダメージの蓄積。陽乃さんのトリオンがみるみる減っているのがわかる。

 

ジョセフ『とどめじゃ!紫水晶の波紋疾走(アメジスト・パープルオーバードライブ)!』

 

ジョセフは陽乃さんにハーミット・パープルを全身に巻き付けて波紋を流す。さっきまでの波紋とは段違いの波紋を浴びた陽乃さんのトリオン体が全身に皹が入る。

 

陽乃『強い……これが戦いの達人、ジョセフ・ジョースター…』

 

陽乃さんはそのままトリオン不足でベイルアウトした。

ジョセフ最強の技を食らえばそうなるよね。

普通の人が相手ならさっきの不意討ちで終わってたけど、相手が悪すぎる。

小町だってジョセフ相手だと一筋縄じゃあいかないしね。何をしてくるかわからないから。それがジョセフの強さの秘密。

 

雪ノ下陽乃…ベイルアウト(リタイア)

 

八幡『能力が強いんじゃない…戦い方が上手すぎる』

 

ジョセフ『お前さんはちと骨が折れそうじゃのう。逃げさせて貰うぞ』

 

ジョセフはノーモーションで屋根に飛び上がる。爪先の力だけで飛び上がったんだ。そしてそのまま逃げ始める。

 

ジョセフ『逃げるんじゃよォォォ!』

 

八幡『な、なんなんだこのジジイはっ!』

 

出た…ジョースター伝統芸。逃げる…これを惜しみなくやるのがジョセフなんだよね…。

 

 

sideジョナサン・ジョースター

 

八幡はジョセフを追いかけながら戦い方を考えている。

 

ジョジョ『銃は使わんのか?』

 

八幡『殺気でバレる。射てば確実に対処される。そう思わせるのも作戦の1つというのはわかるが、俺ははまっちまった…。迂闊に射てばやり返されるあの怖さ…。あのペテン師ジジイのどこが弱いだ…。一色も陽乃さんもあんなに簡単にやられるような奴等じゃない』

 

八幡は逃げながらジジイが投げてくる葉っぱの波紋カッターをスコーピオンで叩き落としながら追う。やるな。ジジイの精神的戦略まで読むか。

ジジイは川を飛び越えながら再び波紋カッター。

八幡はスコーピオンで再び叩き落とす。ん?ジョースター家の家訓には、『同じ戦法を二度使うことは、それ即ち既に凡策』があったよな?ジョースター家の家訓はジジイが勝手に作った兵法の在り方…しつこく葉っぱの手裏剣を投げてくるには何かを狙っている…。まさかっ!

俺は八幡が叩き落とした葉っぱの行方の先に意識を向ける。そこは…川。

 

八幡「なっ!」

 

川に落ちた葉っぱから波紋が流れ、水の弾丸が八幡を襲う。

 

八幡「ザ・ワールド!」

 

ドババババッ!

時を止めてザ・ワールドで水の弾丸を弾く八幡。

やはりな…。本命はこれか。

 

八幡『ジョジョ…てめぇ、これを読んでいたな?』

 

ジョジョ『ああ。あのペテン師が普通に通用しない攻撃を何度もやるわけがない。あのジジイがそれをやるということは何か意味がある。もしくはなんの意味がなくても意味があるように思わせる。で、ザ・ワールドで攻撃しないのか?』

 

八幡『ハッ!てめえまで俺をペテンにはめる気か?陽乃さんにやった高圧電流でカウンター食らうだけだろう。一見俺を味方しているようでお前はどちらの味方もしていない。ただ、俺を試しているだけだ。罠にはまってないか、判断違いをしていないか。舐めてるんじゃねえ』

 

ジョジョ『グレート。その通りだ。だからジジイの狙いに気付いても教えない。これはお前とジジイの戦争だからな』

 

へえ…やっぱただもんじゃあないわ。この男、俺がやっても苦戦するぞ。やる時は催眠術でもやるか?

そう思っていると、ジョセフはマンションのような建物の壁を蹴って一気に八幡に肉薄してきた。

 

八幡「くっ!メテオラ!炸裂しろ!」

 

ジョセフ「ぬおっ!」

 

急接近してきたジジイに火力で応戦する八幡。

ジジイのパンチが八幡の腹を捉えた代わりにジジイも爆発に巻き込まれて互いに吹き飛ぶ。だが、老獪なジジイは吹き飛びながらもハーミット・パープルを八幡に巻き付けていた。

 

八幡「殴るついでにスタンドを巻き付けてきただと!?引っ張られる!」

 

八幡はスコーピオンでハーミット・パープルを切断する。良い判断だ。紫水晶の波紋疾走を警戒しての判断なのだろう。二人揃ってマンションの壁に叩きつけられる。そのまま落ちる八幡に対してジジイはくっつく波紋で壁にへばりつく。

ジジイの体からはところどころに傷が出来ており、緑色のトリオンが流出していた。

いくら波紋でガードしていてもメテオラの威力は防ぎ切れなかったのだろう。

一方で八幡も波紋のパンチが効いており、殴られた腹からトリオン体を抉られてトリオンが流れ出ている。

 

ジョセフ「やるのう八幡よ。腹を抉られながらも反撃してくるか」

 

八幡「それはこっちのセリフだ。スパイダーマンかよ。どこまで応用力が高いんだ?波紋って奴は。その辺にある物を何でも武器にするわ防具にするわ。大体、なんださっきのパンチは。腕のリーチ以上に伸びて来たぞ」

 

ジョセフ「ズームパンチと言っての?肩や腕の関節を外して射程を伸ばしたのよ。生身でやる時は波紋で関節を外した痛みを相殺しておる」

 

八幡「ダルシムかよ。しかもまた波紋の技か。マジでお前のどこが弱いんだ?」

 

能力は弱いとは言ったが、ジジイ本人は強いと言ったじゃあないか。言ったよね?言わなかったっけ?

 

八幡「言ってねぇよ。くそ…このままじゃもうすぐベイルアウトだ…。自信を無くすぞ。お前らは」

 

ジョセフ「ワシも良いのをもらったわい。あんな至近距離で炸裂弾を使ってくるとは思いもしなかった。自爆覚悟でやって来るとはのう」

 

八幡「まともに食らっておいてベイルアウトしないなんて化け物か?……袖の白雪」

 

八幡の体が変わり、白い和服のような姿になる。

 

八幡「模擬戦でこれを使うつもりは無かったがな。あんた相手じゃノーマルトリガーでやっていたんじゃこっちが先に負ける」

 

ジョセフ「ぬっ!なんじゃそれは!」

 

ブラックトリガーか。

 

八幡「卍解、白霞罸!」

 

ピッキーン!

 

絶対零度の能力だと!?気化冷凍法みたいにビルごとジジイを氷浸けにしやがった!ジジイの負けだ。

 

八幡「ジョセフ・ジョースター。あんたはとても強かった……。まさか戦術で負けそうになるなんていつ以来だ?袖の白雪の白霞罸まで引っ張り出されるなんて思わなかった。もし、サイドエフェクトがなければもっとあっさりやられていたと思うとゾッとする。だが……」

 

八幡はグラスホッパーを使ってジジイが張り付いていた位置まで飛び上がる。

 

八幡「どんな手段を使おうが……」

 

白い刀を振り抜いてジジイを粉々に砕く。

 

八幡「勝ちは勝ちだ。ジョセフ・ジョースター」

 

八幡は華麗に着地し、刀を納めた。

 

ジョセフ・ジョースター(ハーミット・パープル)…ベイルアウト(リタイア)

 

←To be continued




今回はここまでです。

ジョセフ無双からの敗北。

これは舐めていたというよりも、奥の手を最後まで隠していた八幡の作戦の勝利ですね。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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