美浜大橋でぶつかり合う八幡と承太郎!
手加減、小細工一切なしの殴り合い!
因縁、思惑が存在しないライバル同士としての二人の戦い。
スタンド使いとしては珍しい、愉しく、美しく、誇り高く、見るものに感動を与えた!
互いの全てを出し尽くした二人の戦いの結果は、両者ノックアウトの引き分けで終わった!
黄金の旋風から石の海の狭間にあった、星の一族の小さな者が織り成す小さく、奇妙な冒険は、束の間の幕を閉じる!
side比企谷八幡
あの承太郎との激闘が終わった翌日、俺と承太郎はジョースター家が借りていた部屋に寝かされていた。
俺の横にはいろはと小町も添い寝していた。俺を真ん中にして川の字で。二人とも俺を抱き枕にしていた。
う、動けない…。
俺達はあの後の事を聞いた。
負傷した俺達を治したのはいろはのナイチンゲールエメラルドだった。
治せる物は生物限定だし、欠損も物をくっつけながらではないと不可能など、単純に元に戻すというだけなら、
クレイジーダイヤモンドやゴールドエクスペリエンスに一歩劣るナイチンゲールエメラルドだが、クレイジーダイヤモンドは自分を治せないし内科的な治療は不可能、失った血を戻すことも出来ない。
一方でゴールドエクスペリエンスは自分を治せるし失った血を戻すことも可能。内科的な治療も病巣を取り除いて入れ換えるという荒業限定で可能だが、そもそも体のパーツを作って付けるというどちらかと言えばメカニック的な部品交換。そもそも治療ではないので、痛みは残るし、今回の全身打撲等の治療には不向き。
だが、ナイチンゲールエメラルドは自然治癒力を高めての回復なので、内科的な治療も血の補充も痛みの除去にも万能な能力で、二人のジョジョよりも全身打撲と失血、バイ菌の除去には一番効果的なスタンドだった。
同じ治すでも色々と根本的に違うんだな。
次に、いい加減、表向きの理由で姿をくらますのも限界だったので、その日の深夜に俺といろははジョースター家の協力の元、コッソリと病室に忍び込み、更に翌朝に意識を取り戻した事にした。
二人揃って同じタイミングで目を覚ますなんて、どう考えても不自然なのだが、SPW財団の医師が、「そういう事もあるでしょう。現代医学では説明の付かない事は色々あるのです」という事で誤魔化した。
世界の最先端医学の権威であるSPWの医師に言われては、多少の不自然さなどどうとでもなると言うわけだ。
その際、俺達が目を覚ましたという事で、小町も病院に戻ってきた。
ジョースター家総出、でだ。
やりすぎじゃね?ジジイと仗助、静だけで良くね?
それはいろはが花京院家の親戚だった事を口実に、いろはの見舞いを目的に会いに来たという設定だった。
だからと言って一族総出はやりすぎだから。
だが、わざわざこうしてジョースター家が総出で現れたのも、俺達三人を囲い込むのが目的だったらしい。
生前、花京院はスタンド使いという事で、両親とも溝があり、他の親戚からも良く思われていなかった。
そして現在のいろはも両親からは愛されているが、他の花京院の親族からは虐待に近い扱いを受けていた。
それを聞いたジョースター家は大激怒。
そして静の演技発動。
預かられていた小町がスタンド使いで、俺といろはもスタンド使いだと知ったから、同じスタンド使いの仲間として友達になりたいと言い出した。
いや、もう俺達、この数日で勝手に友達扱いされてたよね?とは言えず、黙ってその通りにした。
元々静も同年代のスタンド使いがいなくて本当の意味での友達はいなくて寂しかったらしい。
その事実を織り混ぜての演技だ。君、転生者じゃないのに良くそこまで名子役演技が出来るね?頭も良いし、身体能力高いし、多芸だし、カワイイしで将来末恐ろしいよ。
有能すぎて嫁に出したくないジジイ達の気持ちがわかる。
光源氏計画に走るのも頷けるわ…
まぁ、光源氏計画はともかくとして、静の名演技によりジョセフの演技が発動。
「おおっ!静と同じスタンド使いか!君の親戚だった典明君と同じじゃの!よしっ!君達はワシの娘の大切な友達じゃ!ワシ、ジョースター家の当主自らが後見人になってやろう!近々ワシらも日本に移住するしのう!」
この提案に比企谷家は即乗った。
ジョセフが言ったのはジョースター家の当主としての発言。
言わば世界的な大企業、SPW財団と最近は土地や建築、鉄道など財団とかぶらない分野で世界進出を果たしているジョースター不動産の二つの後ろ楯を得ることが出来る。むしろ逆らった方が怖い。
一方、花京院家の面々は大反対。バケモノ一族が花京院家に関わるな!…と。
そこでジョセフが一喝。
「バケモノ?スタンド使いをバケモノと言いおったか…ならばワシらの親友で、ワシらの命の恩人であった典明をもバケモノ扱いしておったのじゃな?ふざけるな!恩ある花京院の親族と思って少々の誹謗中傷は耐えておったが、それもここまでじゃ!今この時をもって、花京院の両親といろはを除いては、花京院家はジョースター家の敵じゃ!それ相応の覚悟はすることじゃな!そして一色さん、あなたはどちらを取られますかな?あなたがいろはを取るか、花京院家との縁を取るか…後見人を申し出る以上はワシらにとって、いろはは既に家族同然、ワシにとっては孫同然とも言える。あなたの親族はスタンド使いをバケモノ呼ばわりする家系じゃ。このままいろはを関わらせてもいろはは虐待される未来しか見えん。花京院家の縁を優先するならば、ジョースター家はいろはをあらゆる手段を使ってでも引き取らせてもらうが、どうかするの?」
ジョセフの言葉に一色家は花京院家と縁を切ることに決めた。花京院の両親もだ。
両家とも、いろはや花京院を虐待していた花京院家には思うことがあったらしく、花京院の両親は花京院のお骨を別の墓に移し、二度と関わらないようにと宣言した。
一色家はジョースター家の申し出を受けた。
それから俺達は形だけの検査を受けて一旦帰宅。
俺達三人はそれぞれの家族にすごく泣かれた。罪悪感が半端じゃない。
そもそもの発端は俺の暴走だったんだから、すべてが良い方向に行ったとはいえ、本当に申し訳なかった。
戦いの舞台となったホテルロイヤルオークラは謎の怪奇現象のせいで大騒ぎ。
いくら報道管制を敷いたところで人の口に戸を建てる事は出来ない。
オカルトマニアとかには受けているが、本来の狙いである宿泊層からの客足は遠退き、ホテルの経営は悪化。
後で聞いた話ではジョースター不動産がホテルを買い取り、SPW財団と共同経営をして再建しているとか。
なんでも「ワシらの縁を繋いだ思い出の場所が無くなるのは寂しい」との事。
ジョースター家が日本に移住してからも、毎年花京院の命日前後は比企谷家、一色家、花京院の両親も交えてこのホテルで宿泊し、親交を深めている。
また、SPWとジョースター不動産は日本支部の拠点を千葉に移すようだ。
天国の阻止の為に、ディオの魂とザ・ワールドを持つ俺は警護対象となるからだ。
それに、俺の…というよりはディオの話に何か心当たりがあるらしい。
とりあえず、色々あったが、激動の数日間が過ぎ去り、ジョースター家が日本を去る日がやってきた。
成田空港
空港のロビーに集まる俺達見送り組とジョースター家。
見送り組は俺達三人と空条ホリィさんと空条貞夫さん夫婦、東方朋子さん、広瀬康一さん夫婦と娘さんだ。
この数日間で完全に仲良くなった俺達三人と静。
それ故に静は大号泣していた。
まあ、俺達三人は中身が大人だから割りきっているが、静はそうではない。
せっかく仲良くなったのに離れるのが寂しいのだ。
俺達も、割りきれてはいるが寂しくないわけではないしな。
八幡「いろいろ、助かった。お前達がいなければ、こんな結果にならなかったと思う」
いろは「また来年、お会いしましょう。家族として皆さんとお会いしたいです」
小町「家族として、みんなで会えるよ!だから静ちゃんも、笑顔で別れよう?」
ジョセフ「当然じゃ!ワシらは皆、大切な仲間じゃ!何かあったら、ワシらを頼れ!それがジョースターじゃ」
仗助「お前達とは、一生かけての付き合いになりそうな気がするぜ。だからよぅ、これからもよろしくな!お前らはもう、俺の弟、妹みたいなもんなんだからよぅ」
ジョルノ「あなた達とは、いつかまた大きな事で何度も力を合わせる事がある。そんな気がする…だから、Fino ad allora, sto bene(それまではお元気で)」
承太郎「八幡…お前は俺が求めていた希望かもしれない。もし、俺の娘に危機が訪れたならば…助けになって欲しい。DIOの転生に頼むのはおかしな気分になるがな」
八幡「…ああ、働きたくないが、お前の頼みなら、とんでいってやるよ」
いろは「もちろん、私もですよ?私もジョースター…ですから♪」
小町「お兄ちゃん達だけじゃ頼りないから、小町も行くよ。小町だけ除け者はポイント低いよ?」
俺達は全員で抱き合い、わかれを惜しんだ。
そしてジョースター家はそれぞれの国へと帰っていった…
また会おう、ジョースター!
side雪ノ下陽乃
陽乃(あれは…空条承太郎にジョセフ・ジョースター!……いや、前世の事は忘れよう。もしかしたら、彼らが私の救世主になるのかも…そして汐華初留乃…彼がいるのも…)
私は隣にいる妹を見る。
陽乃(雪乃ちゃんは…だいぶ染まってしまった…せめて私が成長するまでもってくれていれば…)
雪ノ下家は狂ってしまっている。
私が狂わずに済んだのは前世の記憶があるから…
だから…元々あるスタンド能力が「アレ」の餌食にならずに済んだ。
家としては落ちこぼれみたいだけど。
いくら他の才能があっても…雪ノ下家では「アレ」に適合しなければ落ちこぼれだ。
元々前世からスタンドを受け継いでいた私は生まれつき雪ノ下家の落ちこぼれだった。
高校に上がれば、私は実質家から追い出される。
その時が動き出す時だ!
前世の因縁なんてどうでも良い!ジョースターでもなんでも味方に引き込んで、そして断ち切る!
side空条承太郎
アメリカ行きでの機内
承太郎「大変だったが、楽しかったな、じじい」
ジョセフ「ああ…数年分若返ったきもちじゃ」
承太郎「このまま、離れてしまって良かったのか?」
ジョセフ「今はまだ、大丈夫じゃろう。それに、その時が来る頃には、もう本当にワシの出来る事はない。下手をすれば、もうおらんじゃろ。その時の為に仗助と静を向かわせるのじゃ」
承太郎「静もか…あいつを巻き込みたくはなかったのじゃぁないか?」
ジョセフ「出来ればそうしたかった…しかし、八幡からもたらされた二つのうち、片方は静の力が間違いなく必要になる…ワシが動ければ、良かった…出来ればもっと早くに、知っておればワシは老いぼれて無かったのに…運命は残酷じゃな…。すまん。八幡と小町、いろは…ワシの願いを、いつか引き継いでくれ。その黄金の精神で…ワシらがエジプトや杜王町で見た、あの黄金の精神を」
じじいが何を思っていたのかはわからない。
だが、黄金の精神が再び俺達を救うことになるのは、この日から8年後の事になるのだった。
やはり俺の奇妙な転生は間違っている 第1章
幼少期編 ジョジョエピソード5,5
スターエンゲージ 完
本編 次回
やはり俺の奇妙な転生は間違っている 第2章
中学編 第6部 ストーンオーシャン外伝 コラボ展開あり
やっと第1章が終わりました。章タイトルのスターエンゲージは第3部のスターダストクルセイダーズをもじりつつも、「夕焼けのエンゲージ」と同様にジョースター家と「戦い」、「迎え入れられる」のが幼少機編のテーマでしたので、この章タイトルになりました。
なかなかしっくりくる章タイトルだったと思いますがいかがでしたでしょうか?
ジョジョsideはほぼジョセフが主人公、そして美味しいところは承太郎がかっさらって行きました。
幼少期編が終わり、キレイなジョジョの戦いはここまでかもしれません。
残酷な表現のタグが仕事をかなりするはずです。
何故なら今度の敵達は正真正銘、殺意をもった敵だからです。
本文最後の通り、第2章は中学編で、第6部のストーンオーシャンが舞台となります。
……が、ストーンオーシャン外伝と書いてある通り、ストーンオーシャン本編には関わりません。
第6部のラストの設定では、実はあの場に仗助とジョルノも向かっていたそうです。
しかし、二人は間に合いませんでした。
多分、プッチの刺客達によって足止めを受けていたのだと思います。
もし、二人が間に合っていたら世界は一巡しなくても済んだかもしれない。
いくつかあるジョジョ創作の中にある、もし二人が間に合っていたら?のIFの世界。
本作ではIFに至るまでの仗助、ジョルノ達が徐輪達の元に到着するまでの仗助達視点にスポットを当てたいと思います。
そこに八幡達転生ジョースターチーム+静がいたら?
第4部と第5部からも一部登場。
他の先生とのコラボも予定!
似たような世界観を持つパラレルワールドから、あの先生の主人公が八幡の旅に参戦!
俺ガイルからは魔王参戦!人によってはアンチか非アンチかはっきりと別れる彼女は敵か味方か!?
なお、俺ガイル本編開始を期待されていた方はごめんなさい。天国の阻止を先にやらなければ時系列的に世界が一巡しているのに第6部以降の話を展開するという訳のわからない状態になるので、まだ始まりません。
申し訳ありません。
その代わり、登場が本来は俺ガイル編からになる予定だった魔王を先行登場させますのでお許し下さい。