sideジョナサン・ジョースター
訓練場が一気に3ON3の対戦状況になる。
八幡『おい、ジョジョ。勝てるのか?あいつらに』
ジョジョ『勝てるさ。言ったろ?ジジイと小町くらいしか百戦錬磨と言えるやつはいない。むしろこの地形は河川敷を挟んだ市街地か?大した苦戦をすることはまずないとふんでるがな。材木座くらいか。まともに相手になるのは』
八幡『俺はスタンドを持っているから良いが、一色と陽乃さんはどうするんだ?』
ジョジョ『それも問題ない。あのゴーグルとグローブはスタンド使いじゃあない人間でもスタンドが見えて触れることができるようにする道具だ。改良に改良を重ねてグローブを着けただけでも体のどこででもスタンドに触れるし、手に持っている武器もスタンドに効果がある』
何気にこれ、アーシス支援隊やスタンド使い矯正施設の標準装備だったりする。
エジプトの旅や杜王町での事件ではスタンド使いではない一般の財団の隊員が敵の攻撃によって犠牲になるケースが少なくなかった。
そういう被害をなるべく少なくするために注目されたのが藤崎沙織さん作のこのゴーグルとグローブだ。
これらによってスタンド使いの犯罪者や脱出を謀った矯正中の受刑者などから身を守る為に使っている。
いろは「先輩、頑張りましょう」
陽乃「気楽にいきましょう?八幡くん♪」
ジジイから聞いたな?余計な気負いはなくなっている。というより、平常心を取り戻した状態だろう。
八幡「散開!」
各人、一旦は姿をくらます。
一方アーシスチームは材木座は上手く隠れているが、大志と由比ヶ浜はまだ姿を晒したままだ。
まぁ、由比ヶ浜はわかる。前世持ちではないし、まだ素人に毛が生えた程度の練度だ。組織的な訓練を積んでいないのは仕方がない。
だが、大志はどうだろう。こいつは前世持ちで柱の一族…神話にも出てきた一族と戦っている。小町の前世であるオリジナルのリサリサと、ジョセフと共に…なのにこの体たらくは何だ?
まるで格闘技の試合程度…良くて戦国時代の戦闘スタイルだ。後で小町から説教を貰うな…これは。
八幡『攻撃して良いか?』
ジョジョ『どうぞどうぞ。キツいの一発やっちまえ。小町とジョセフの奮闘とスタンド能力にあぐらをかいて勘違いしているボケなすの目を覚まさせるには良い薬だ』
八幡『了解』「一色。由比ヶ浜を撃て」
八幡は通信で一色に攻撃指示を出した。
いろは『ホントに戦闘に関しては素人なんですね。貰いです』
一色から放出されたキューブが曲線を描いて由比ヶ浜を襲う。一色は射手か。
ガハマ「えっ……?」
R・T「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドバババババ!
意思のあるスタンド、リバース・タウンがオートで一色のキューブを拳で弾き飛ばす。
スタンドが半自動操縦で助けられたな。
R・T「マスターはバカですか!?何で広い開闊地で無防備に歩いてるんですか!?狙ってくれって言っているような物ですよ!」
ガハマ「え、でも…隠れるなんて卑怯じゃあ……」
R・T「サバイバルゲームでも何でも良いんで戦術を勉強してください!早く逃げます……」
あーあ…ありゃあダメだ。由比ヶ浜、戦術と殺気を感知する修行の量を追加しないとな。背後から迫っている陽乃さんに気付いてないや。
ほとんどリバース・タウンが本体を見限って自動で陽乃さんを迎撃している。
ガハマ「背後から卑怯だし!」
R・T「マスターが間抜けなんですよ!」
陽乃「本体よりもスタンドの方が物分かりが良いみたいだね。あなたはもっと戦術を学ぶべきよ。やる気は認めるけど、それだけじゃ戦争に勝てないわ」
陽乃さんは刀のトリガー……弧月と言ったか?それで斬り付けつつ弧月を拳で弾いていたリバース・タウンの足にローキックを放つ。
上手い。戦術も格闘技も未熟な由比ヶ浜は戦闘はリバース・タウンに頼りきりだ。そのリバース・タウンがダメージを受ければスタンドのルールにより本体である由比ヶ浜もダメージを受ける。
トリオン体同士の戦いにおいて、スタンド能力は有利に働くかと言えばそうでもない。
むしろ、スタンドは本体の精神エネルギーの塊である為、通常はトリガーを通じてでしかダメージを与えられないトリオン体でもスタンドがダメージを受けた場合は話が別だ。
むしろ格闘によるダメージはトリオン体となっている本体で受けた方が良いとまである。
ガハマ「あ、足が……」
R・T「ぐうっ!この人は私達の世界の雪ノ下陽乃様並みに戦い慣れてます!私共々今のマスターでは……」
陽乃「ジョセフさんの言うとおりね。いくら能力が優れていても使用者が未熟では宝の持ち腐れ。良い機会だから、ガハマちゃんはC級の訓練を受けるべきよ。これで終わり」
陽乃さんは弧月を振り抜き、リバースの足を切り落とす。当然、本体の由比ヶ浜の足も切り落とされ、とどめに首を切り落とされた。
ガハマ(リバース・タウン)…
由比ヶ浜……後で説教だな。
一学期での訓練がまるで活かされていない。
よくスタンド能力を無くしていたとはいえ、綾瀬絢斗に勝てたな…(第3章「絶望の戦闘潮流」参照)
八幡『本当に陽乃さんが圧勝したな』
ジョジョ『リバース・タウンの能力は拳が当たれば相手の運を最悪に落とすが、逆を言えば当たらなければどうということはない……って奴だ。その為に拳を当てる戦術を考えるべきなのだが、模擬戦というのもあって完全にスポーツ感覚だ。陽乃さんの敵じゃあない。むしろあの陽乃さんはうちの陽乃さんに匹敵するセンスだな。いっそ波紋の戦士にしてみるか。より一層強いスーパーはるのんの完成だな』
八幡『ゾッとするな……それは』
多分、こちらの陽乃さんも波紋の素質は高いだろう。そうなれば大志と良い勝負になる。
八幡『その大志が何らかの攻撃を放って来たな。射手のような攻撃を放ってきた』
ジョジョ『服の石鹸水をシャボン玉に生成してから撃ってきたシャボンランチャーを……なにっ!』
こいつ……何で大志のシャボンランチャーがわかった?
まさか…有り余るトリオンの副作用でスタンド使いのような能力を得られるというサイドエフェクト…という奴か?
八幡『よくわかったな。俺のサイドエフェクトは2キロ以内にある全ての存在を感知する能力だ。お前が波紋とやらでやっている事と同じ能力だと思えば良い』
それは凄いな。ジョジョ(静・ジョースター)のアクトン・クリスタルの天敵のような能力だ。この世界に来たのがジョジョだったらこいつに勝つのは至難の業だっただろう。アクトン・クリスタルの物質を透明化する能力がまるで意味を成さないんだからな。
スタンド能力にしろなんにしろ、相性の良し悪しは必ずあるものだな。
この世界の俺も凄いじゃあないか。
ジョジョ『あのシャボンカッターには波紋が込められている。円月輪のような力が込められているから迂闊に当たらない方が良い』
八幡『了解だ』「陽乃さん!後退だ!一色、姿を晒している大志を押さえ込め!」
陽乃・いろは『了解(です!)』
陽乃さんが後退を始め、その援護を一色がトリオンの弾で大志を釘付けにするべく弾幕を張る。
良い連携だな。こいつら、相当ランクが高い位置にいる。相手がアーシスの母体となったクリスタル・クルセイダーズクラスではないとキツイ。転生組もナチス将校の材木座や川崎姉、三浦や海老名、留美がやっと戦えるクラスだな。
八幡「一色に集中しすぎだな。シーザーとかいう大志。本当にお前らは能力に頼りすぎだ」
八幡は自身もアステロイドと呼ばれる銃を取り出して大志を狙い撃ちにする。大志も八幡の殺気を感じ取っていたが、一色の猛攻に手が一杯で回避が間に合わないだろう。
そして…。
八幡「シュトロハイムとか言ったか?そっちの材木座も不意討ちとしては見事だが、俺のサイドエフェクトを嘗めたな」
大志を狙いつつも材木座の物陰からの攻撃を読んでいた八幡は腕を刃に変えた材木座の攻撃をザ・ワールドで白刃取りする。
八幡「お前の力を使うぞ。ザ・ワールド!時よ止まれ!」
時を止めた八幡は白刃取りした材木座の刃から手を離し、そして……。
八幡「止められるのが一瞬だろうと、ザ・ワールドなら十分すぎる隙だ。材木座…音速の拳を食らえ!」
T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
無駄無駄ラッシュを受けた材木座にぶっ飛ばす事を主眼に置いたラッシュが叩き込まれる。
八幡「そして時は動き出す」
世界に彩りが戻り、材木座が吹き飛ばされる。
SH「ゆうううっ!ドジこいた!八幡のザ・ワールドの時間停止かっ!」
八幡「ザ・ワールド…便利な能力だな。これでお前は終わりだ。シーザー」
バシュゥゥゥゥゥン!
八幡が撃ったアステロイドが大志の足を撃ち抜く。バランスを崩した大志はそのまま一色のトリオンキューブの弾幕を全弾くらい、
シーザー・アントニオ・ツェペリ(ビッツロール・トパーズ)…
凄いな…大志と材木座なら一色か陽乃さんを討ち取れると思っていたが、まさか完封するとは…。
凄いのは八幡の判断力だ。こいつのサイドエフェクトが不意討ちを看破し、それを今さっき感覚を掴んだばかりのザ・ワールドの力を最大限に利用してギリギリまで引き付け、材木座を押さえつけた冷静さと剛胆さだ。
しかも、吹き飛ばした材木座には目もくれず、先に大志を倒した判断力も凄い。
こいつも並の修羅場を潜ってないな。
だが、材木座はどうする?こいつの防御力は折り紙付きだ。何せ俺、小町、仗助、ジョジョ、徐倫の五人の近距離パワー型のスタンド使いの集中攻撃を受けても…それもルビーレーザーをまともに受けてもけろっとしている奴だからな。ザ・ワールドのラッシュくらいではダメージにもなっていないはずだ。
対策はあるが、気付くか?
八幡「お前自身が言っていただろ?このフィールドなら材木座だって問題は無いと。全身金属になる能力…。そこが弱点だな?」
やっぱり気が付いたか。ガンズ・アンド・ローゼズの弱点を。
八幡は材木座が飛んで行った方向に波紋を使ってダッシュをする。トリオン体と波紋をミックスした身体能力ですぐさま材木座の隠れた位置に追い付く。サイドエフェクトを利用して何処に材木座が隠れたかわかっているのであっさり材木座を捕まえる。
八幡「そのまま橋の上まで飛んでいけ!ザ・ワールド!時よ止まれ!」
T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
再び時間を止めて材木座を橋までぶっ飛ばす。慣れて来たのか止める時間も0.5秒まで伸びている。
SH「ぬうううう!」
八幡「川に落ちろ。金属体では重くて浮き上がれないだろ?メテオラ!」
ドオオオオオオオオン!
八幡が放った炸裂弾が橋を破壊して材木座を川に突き落とす。
SH「ゆううう!スタンドを使っていては浮き上がれぬ!能力を解除……」
八幡「そうせざる得ないだろうな。終わりだ、シュトロハイム」
波紋の力で川に立っていた八幡がただのトリオン体となって浮かんできた材木座の頭にアステロイドを打ち込んだ。
本当になんて判断力だ…。
ヒントを与えたとは言え、スタンド使い三人に完勝しやがった…。
それも、元ナチス将校の材木座まで…。
強いな…このチームは…。
シュトロハイム(ガンズ・アンド・ローゼズ)…
綾辻『模擬戦終了。比企谷隊の勝利です』
綾辻の声が響く。
だが……次の奴は簡単にはいかないぞ?
ジョセフ「次はワシが相手じゃ。お手柔らかにな」
出てきたか……。ジジイ……。
スタンド能力は戦闘向きではない。だが、一筋縄じゃあいかないぞ?八幡。
←To be continued
今回はここまでです。
この作品の比企谷隊はボーダー最強のチーム。
如何に能力が優れていたところで作戦次第ではスタンド使いとてボーダー隊員の敵じゃない。
今回はそこを出してみましたがいかがでしたか?
次は戦いの年季、ジョセフ・ジョースターが相手です。
それでは次回もお願いします。