やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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DIOとDIO

sideエルメェス・コステロ

 

所長「どうぞ。大統領から連絡は受けています。空条徐倫さん、エルメェス・コステロさん、もう一人のナルシソ・アナスイさん、比企谷八幡さん、一色いろはさん、川崎沙希さん。これがフリーパスIDのカードです」

 

不思議な気分だぜ。前のあたしは受刑者として収容され、次はプッチと決着をつける為に、そして今度は探し物を見付ける為に……。

 

徐倫「所長。エンリコ・プッチは既にこの刑務所にはいないんですよね?」

 

所長「はい。既に彼は教会からも破門にされ、既にテロリストとして指名手配を受けています」

 

徐倫「その後に何か奇妙な事件とかは起きていませんか?」

 

所長「さぁ……私としましては、今回みたいな件が既に奇妙と申しますか……」

 

言外に早く用事を済ませて出ていけと言っている。出てってやるさ。あたしだってこんなところに長居したくねぇよ。

 

いろは「とにかく行きましょう。目的を果たすんです」

 

イーハは先陣を切って歩き出した。前にも一度来ているから内部構造はある程度掌握してるしね。

 

中に入ったあたし達はそれぞれ役割を分担することにした。

 

徐倫「あたしはF・Fの所にいくわ」

 

いろは「わたしも行きます」

 

アナスイ「俺はウェザーとエンポリオを捜す。もしかしたらこっちの俺もいるかもしれん」

 

沙希「アナスイさんはともかくウェザーは危険だ。あたしも付いていく」

 

エルメェス「あたしはスポーツマックスの方か…」

 

八幡「正確にはDIOの骨ですね。エルメェスさん。グロリアさんの仇を討ちたいのはわかりますが…」

 

ハッチはあたしを諫めようとするが、この世界のあたしはグロリアの仇を討つためにわざと強盗の真似事をしてまでこの刑務所に入ろうとしたんだ。そのチャンスを奪われて別の刑務所に入れられる事になっちまったあたしが浮かばれねぇ。なにより、この世界のグロリア…あたしの姉が浮かばれねぇんだ!

 

八幡「エルメェスさんには俺が付いていきます。向こうの世界では空条先生とF・Fさんの三人で何とか倒した敵ですよね。どうもDIOの目的もそのスポーツマックスっていうヤクザが関係しているようですし、そちらに行かせて下さい」

 

ハッチも付いてきてくれるのか。ありがてぇ。こいつの根性と能力は大したものだからな。

それぞれが目的の場所へと散って行動を開始した。

徐倫といろはは農作業をやる湿地帯へ、アナスイと沙希はエンポリオが隠れ住んでいるであろう通路の方へ。

そしてあたしとハッチは……例の骨が転がっている懲罰独房の方へと向かった。そこであたしは前回のGDstでは見たことのない光景が広がっているのを目にした。

 

sideDIO

 

エルメェス「な、何だこの光景は!植物のような得体の知れない物が生えている!人が植物に変わっている!」

 

これは……誰かが骨に何かをしやがったな?恐らくはスポーツマックスの何かが関わっている…知ってか知らずか36の極罪の魂を集めたんだ!

 

スポーツマックス「何だ……俺は何をしたんだリンプ・ビズキッドの能力じゃあない!こんなのは俺は知らない!」

 

スポーツマックスらしき男は狼狽して腰を抜かしている。

 

エルメェス「スポーツマックスぅ!テメェだけはあたしは許さねぇ!例え世界が違っても、あんたには絶望の悲鳴を上げさせてやるぅ!」

 

ドカァ!

エルメェスさんのキックがスポーツマックスの頭にヒットする。そして、飛んで行った先にはパイプが…

 

エルメェス「例え世界が違っても、テメェの最期はどぶパイプの中で溺死する!キッス!この男を…」

 

八幡「ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

八幡は時間を止めてパイプの穴に落ちるスポーツマックスを救い出す。

 

エルメェス「ハッチ……テメェ……」

 

八幡「落ち着いて下さいエルメェスさん。この男がどれほど憎いのは分かりません。ですが、こんな男の為にエルメェスさんが何度も罪を重ねる必要はありません。あなたの大切な人である間田さんの為にも」

 

八幡はスポーツマックスの体を捨てる。

 

スポーツマックス「げほっ!げほっ!テメェ……覚悟は出来てるんだろうな」

 

DIO『先にやることがある。すぐに代わるから一旦俺に代われ。八幡』

 

騙すようで悪いが、チャンスは今しかない。俺は植物から出てきた緑色の赤ん坊の方へと目を向ける。

 

八幡『DIO!』

 

DIO「らせん階段、カブト虫、廃墟の街、イチジクのタルト、カブト虫、ドロローサへの道、カブト虫、特異点、ジョット、天使(エンジェル)、紫陽花、カブト虫、特異点、秘密の皇帝」

 

俺は14の言葉を緑色の赤ん坊へと向けて放つ。すると興味を持った赤ん坊は俺の方へと近寄ってきた。

そして、俺はその赤ん坊に触れる。

 

エルメェス「ハッチ…オメェはあたし達の世界のハッチだな!…14の言葉。テメェ!オーバーヘブンをやる気なのか!?」

 

八幡『な……おいDIO!』

 

DIO「安心してくれ。俺はザ・ワールドを捨てるつもりもなければメイドイン・ヘブンをやるつもりはない。目的は……こいつの中に眠るDIOとジョナサンの魂だ!こいつを押さえればプッチは天国に到達できない」

 

本当の目的は別にある。だが、この魂さえ押さえておけばこの世界のメイドイン・ヘブンは2度と起こらない。

さぁ……来い!この世界のDIOとジョナサン!

緑色の赤ん坊が魂となり、俺の魂と融合する。

後はジョナサンと共にDIOを押さえるだけだ!

体を返すぜ!八幡!

 

DIO(オリジナル)『何だ貴様はぁ!このDIOをどうするつもりだ!』

 

DIO(八幡)『俺の力となってもらうぞディオ!俺は別の世界のジョナサンとお前の生まれ変わり!俺の中でもう一人の俺となるがいい!ジョナサン!協力しろ!』

 

ジョナサン『もう一人の僕であり、ディオ…何が目的かはわからないが…天国はやらないんだな?』

 

DIO(八幡)『ああ!それだけは誓う!ザ・ジェムストーン!大人しく運命を受け入れろぉ!ディオォォォ!』

 

DIO(オリジナル)『天国の阻止だとぉぉぉ!やらせるかぁ!この体を乗っ取り、覚悟ある美しい世界を作るんだぁぁぁぁ!邪魔をするんじゃあない!ザ・ワールド!』

 

ジョナサン『その野望を僕は認めない!止めて見せるぞぉ!ディオォォォ!ハーミット・パープル!』

 

DIO(八幡)『八幡!悪いが俺は自分のスタンドを心の中で使う!何とか現実の方は自力で頼む!』

 

心の中で俺とジョナサン対ディオの戦いが始まった。

その間は八幡は俺のスタンドが使えない!何とか持ちこたえてくれ!

 

八幡「あのやろう…やっぱり何か企んでいやがった。それにスタンドなしで戦えだと?空条先生とエルメェスさんが苦戦した相手にかよ!くそっ!」

 

 

sideエルメェス・コステロ

 

DIOとジョナサンの魂を手に入れるのがハッチの目的だっただと?確かにそれならこの世界のメイドイン・ヘブンを防ぐ事はできる。だけど、それならばあの赤ん坊を消すことでどうにか出来たはずだ。わざわざ取り込んでしまう理由がわからねぇ。

まぁ、ハッチの事だからあたしなんかが想像出来ない事を企んでいるんだろうけど…。

 

八幡「エルメェスさん。すみません。DIOの奴が心の中でこの世界のDIOと戦っているので今の俺はスタンド能力が無くなっているそうです」

 

エルメェス「ハッチ。あんたは無理はすんなよ?スポーツマックスはあたしが倒す」

 

八幡「殺人だけは避けて下さいよ?あなたの手がこれ以上汚れるのは見たくないですから」

 

ハッチ……どこまでも良い男じゃあないか。うちの世界のハッチとは違って裏がねぇ。

 

いろは「せんぱぁぁぁぁい!」

 

イーハが駆けつけてくる。F・Fの方は済んだのか?

 

スポーツマックス「グロリア・コステロの妹と女子供が二人か…よくも俺の任務の邪魔をしてくれた。お前らだけでも殺してやる!」

 

こいつの能力は透明のゾンビを作ること…。屍生人のゾンビと同質かどうかはわからねぇが、もし波紋が通用するならハッチだって戦える!

 

いろは「!!エルメェスさん!その場から離れてくださーい!何かいます!」

 

ガブッ!

 

エルメェス「ぐああああ!あたしの足が!」

 

しまった!既にワニのゾンビを作っていたのか!

 

八幡「エルメェスさん!コオオオオ!波紋疾走(オーバードライブ)!」

 

ハッチの波紋のキックが透明のワニを蹴り飛ばす!

 

八幡「倒せたか!?一色!」

 

いろは「ダメです!波紋が効いていません!吸血鬼のゾンビとは違います!ナイチンゲール・エメラルド!エメラルド・ストラーイク!」

 

イーハがエメラルド・ストライクを放った。けど、エメラルド・ストライクの粒があたしの知っているストライクよりも大きい。あれではまるでエメラルド・スプラッシュ…。

 

ワニ「ガアオオオオオ!」

 

ワニが苦悶の声をあげる。……待て。何でイーハは…そういう事か!やっとあたしにもわかった!

 

八幡「………何で俺はスタンドが見えている?今はスタンドの能力が無くなってるんじゃないのか?」

 

何だって!?まさか……

 

スポーツマックス「あのガキは厄介だな…あのガキから先に殺してやろう」

 

何だって!?狙いはハッチ!?

 

エルメェス「ハッチ!気を付けて!狙われているぞぉォォォ!」

 

いろは「天井から狙われて…この位置からじゃあ先輩にエメラルド・ストライクが……」

 

エルメェス「イーハ!」

 

あたしはスポーツマックスを指差す!

イーハもあたしの意図に気が付いた。

 

いろは「こっちを先に!エメラルド…」

 

スポーツマックス「もう遅い!死ね!クソガキィィ!」

 

くそっ!あたしからもハッチの位置は遠くて助けに入れない!

ハッチィィィィィ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「出ろ!俺自身のスタンド!ザ・ワールド!」

 

T・W「無駄ぁ!」

 

どこぉぉぉぉぉん!

ハッチから出現したザ・ワールドが何かを…恐らくは透明のワニのゾンビを殴り飛ばした。

 

エルメェス「ハッチ……スタンドが使えないんじゃあ無かったのかよ!?」

 

八幡「どうして今まで気付かなかったんだ…。陽乃や雪乃、小町がDIOの影響でスタンドが使えるようになったというのなら、俺自身にもスタンド能力が発現していた可能性だってあったじゃないか…」

 

ハッチが次の瞬間にはワープしたように一瞬で場所が変わる。

 

八幡「馴染む……馴染むぞ!このザ・ワールド!10秒は時を止めていられる!俺本来のザ・ワールドだからか!?」

 

T・W「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

ワニ「ギャオオオオォォォォォォ!」

 

いろは「凄いパワー………あのザ・ジェムストーンと同じくらいの威力……ワニがバラバラになって消えた…」

 

エルメェス「イーハ!」

 

いろは「はっ!そうでした!殺さない程度に……エメラルド・ストラァァァァァァイク!」

 

イーハのエメラルド・ストライクがスポーツマックスに命中する!

 

スポーツマックス「タコォォォォォォォス!」

 

スポーツマックスは壁に叩きつけられ、気絶したようだ。

 

いろは「エメラルド・ヒーリング!」

 

イーハはあたしに回復の弾丸を打ち込んだ…。やっぱりね。注意深く見てみると……。

苦労しているわね、あんた。

 

エルメェス「こっちは十分だよイーハ。あんたは早く別の場所に行きな。あんたの回復力は別の場所でも必要だよ」

 

いろは「わかりました!後は頑張って下さいね♪エルメェスさん。あと、これは回収していきます!弥七もいるみたいなんで、渡してきますね!」

 

そう言ってイーハはスポーツマックスの襟首を掴んで引きずりながら走って行った。

弥七の所に運んで行ったみたいね。

 

八幡「どうやらDIOの方も終わったみたいだ。ジョナサン・ジョースターがこの世界のDIOを吸収したらしい。それをあいつが取り込んだ。砕けた魂の補完までしやがった……」

 

そう言ってハッチは水色のザ・ワールド…ザ・ジェムストーンを発現する。

 

G・S「よぉ~、エルメェスさん。上手くいきましたよ。比企谷八幡。復活しました。これで他が失敗しても俺は復活できる」

 

ザ・ジェムストーンが喋っている。これはあたし達のハッチだね。

 

八幡「で、これが俺のザ・ワールドです」

 

生身のハッチの方が黄色いザ・ワールドを出現させた。完全にスタンドに目覚めたみたいね。

 

八幡「ハーミット・パープルの方は使えないですけどね」

 

エルメェス「スタンドは1人につき1体のみ。ハッチのザ・ジェムストーンは二人の魂が1つに融合しているから出来た例外中の例外よ。でも、土壇場で自分のスタンドに目覚めるなんて流石だね」

 

G・S「まったくだ。まさか目覚めていたなんてな。それに、最後まで諦めなかったその座った根性がなければ土壇場で気付く事は無かっただろう。本当に大した男だよ、お前は」

 

ザ・ジェムストーンはザ・ジェムストーンで完全に独立したスタンドになっている。まさかこんなことを狙っていたなんてね。とりあえず……。

 

エルメェス「とりあえずDIOハッチ……一発殴っていい?またあんたは1人でこんなことを企んで…」

 

クルッ♪シュゴォォォォ!

 

G・S「逃げるんだよォォォー!」

 

DIOハッチはハッチの中に飛び込んで逃げた。

 

八幡「結局はDIOも俺が本体だから離れられないらしい。遺体自体は俺の中にあるから。ヤレヤレだ」

 

エルメェス「ならばハッチ!この際だからお前を殴る!殴らせろ!」

 

クルッ♪シュゴォォォォ!

 

八幡「何でだよォォォー!俺は関係ねぇよォォォー!」

 

ハッチは脱兎の如く逃げ始めた。

 

エルメェス「待て!どっちでも良いから殴らせろぉ!波紋の戦士が本気で逃げるんじゃあない!追い付けないだろぅがぁぁぁ!」

 

それからハッチとあたしの鬼ごっこが始まった。

途中、エーテロの姿になっているF・Fをイーハと徐倫が、アナスイとウェザーとエンポリオを連れたアナスイと沙希と合流し、全てを話した。

イーハはハッチの魂が復活したことに喜び、他のメンバーは怒ったり呆れたりで反応は様々だった。

 

アナスイ(DIO世界)「ウェザー……良いのか?お前の本来の記憶は……」

 

ウェザー「もう俺にドメニコ・プッチの記憶はいらない。俺はもう、ウェザー・リポートとしての1つの人格が形成されている。このドメニコ・プッチの記憶はそっちで処分してくれ。他のスタンドと共に」

 

ナルシソ(この世界のアナスイ)「俺はこれからもエンポリオとウェザーとF・Fと共に生きていく。俺達四人はこれから一緒に生きていくと決めた」

 

F・F「あたしらを助けてくれた感謝の気持ちは今後も変わらない。みんなが出所したら、こっちの世界の空条徐倫に会いに行こうって決めた。そして友達になるんだ。エルメェスは残念だけどね」

 

徐倫「あの子ならきっと良い友達になってくれるわよ。こっちのエルメェスにも伝えておくわ。弥七を通してだけど」

 

スポーツマックスは多分、財団に処分される。根から腐ったアイツは多分更正できないだろう。

だからこの世界のエルメェス・コステロ。自分でグロリアの仇を討てないのは悔しいだろうが、我慢して欲しい。あんたにもこの世界のハッチ達のように幸せを掴む事は出来るんだ。あたしのようになる必要はない。

 

ナルシソ「じゃあな、あっちの世界の俺。その空条徐倫を幸せにしろよ。俺は自分の力で空条徐倫を振り向かせてみせる」

 

アナスイ「やっぱりお前は俺だな。徐倫の良さが分かったか」

 

ウェザー「沙希。お前のお陰で過去の記憶とかに拘らずに済んだ。これからはウェザー・リポートとして胸を張って生きていこう」

 

沙希「頑張りなさいよウェザー。あんたは素敵な男だよ。はぁ…あたしの世界ではあんたは死んじゃっているのが惜しいね」

 

エンポリオ「徐倫。いつかまた、君とは会いたい…」

 

徐倫「残念だけど、お互いの為に2度と会えないのが一番良いんだ。大丈夫、こっちのあたしも大したものよ?父さんには話しておくから、親子として元気で頑張りなさい」

 

それぞれが別れの挨拶をして、あたし達はGDstから出ていく。

そして……最後の決戦を告げる報告がもたらされた。

 

『日の満ちーるこのー○ーやー♪』

 

ハッチの携帯が鳴る。

 

八幡「七里ヶ浜から電話?何だ?」

 

ハッチが電話に出て通話をする。

 

八幡「プッチを発見?場所は…ケープカナデラルのケネディ宇宙センター?」

 

最後の決戦が近付いてきた。

 

スポーツマックス(リンプ・ビズキッド)…再起不能(リタイア)。いろはから弥七に引き渡され、SPW財団へ。

 

←To be continued




はい、今回はここまてです。

DIOの企みに気が付いた方はいらっしゃいましたか?

そして決戦の場所はGDstではなく、原作通りのケープカナデラルです。
第4章ー1のクライマックスです。

それでは次回もお願いします。

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