やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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DIOの息子達

sideDIO

 

仗助、ジョルノと合流した翌朝、俺達はGDstに潜入する組と引き続きフロリダで囮をする組に別れて行動することになった。

潜入する組の目的はDIOの骨とスタンドのディスク、フー・ファイターズの説得又は始末、ウェザー・リポートの問題、エンポリオの保護、エルメェスさん個人的目的ではあるがスポーツマックスの始末である。

メンバーは八幡、いろは、徐倫、エルメェスさん、アナスイさん、川崎である。八幡がいる以上、弥七も同行するだろう。

 

一方で囮組の目的は主にウンガロ、リキエル、ヴェルサスの迎撃だ。魂の繋がりでわかる。

俺達の世界では黄金の精神を持たなかったディオの息子達が俺とジョルノの魂に導かれて近くに来ているのがわかる。

だが、もしプッチが関わっていなければ…もし先入観無しでアイツらを導くことが出来るならば…救えるかもしれない。

それが出来ると見込んでいるのはスピードワゴン、陽乃さん、雪ノ下、小町、材木座、風鈴、戸塚、仗助、ジョルノだ。

スピードワゴンとこの世界の八幡の仲間達、そして修羅場は踏んでるがこの世界では俺達ほど裏に浸かっていない仗助、そして彼らの実兄であるジョルノ。

彼等ならばウンガロ達を救えると信じている。

 

陽乃「気を付けてね?八幡」

 

八幡「ああ。といっても、俺はほとんどサポートだと思うけどな」

 

多分そうなるだろう。だが、油断は出来ない。

 

いろは「ハルさん。先輩は守ります。命に代えても。そしてスピードワゴンさん…皆さんをお願いします」

 

いろははそう言ってバスに乗り込む。それに続くように八幡達もバスに乗る。

行くぞ…前回ほど派手ではないし、ここが最終決戦の場でもない。だが、目的の物はあそこにある…。あれらを手に入れる事が、最終決戦よりも重要な事だ。

 

徐倫「行くわよ。F・Fとウェザーとエンポリオを助けに。出発!」

 

徐倫の号令で、俺にとっては2度目のGDst攻略戦が始まった。

 

 

sideロバート・E・O・スピードワゴン

 

僕たちは囮としてフロリダの街を闊歩する。

僕と仗助さんとジョルノさんを中心に3チームに分かれて行動していた。

僕のチームは材木座君と風野さん。

仗助さんのチームは彩加と小町ちゃん。

ジョルノさんのチームは雪ノ下さん姉妹だ。

 

材木座「スピードワゴン氏。敵は来ると思うか?」

 

SPW「僕達の方はわからないな。前回はプッチの甘言に踊らされて戦わざる得なかったみたいだけど、今回は必ず敵になるとは関わらないんだから」

 

ジョルノさんの弟達はディオの魂を持つ八幡と惹かれあって寄ってきているだけだ。必ずしも敵になるとは限らない。

 

風野「ねぇスピードワゴンさん。あそこに人が倒れています」

 

見ると確かに人が倒れている!

走り寄って見てみると…この人は千葉村で見た屍生人の中に混じっていた人…間違いない!ディオの息子の一人だ!

 

SPW「これは…薬物の過剰接種に見られるオーバードース…」

 

材木座「オーバードース?」

 

SPW「一色さんのエメラルド・エクセスはわかるよね?」

 

風野「確か過剰回復によって逆に体を守る機能が活性化し、それが守るべき体を逆に攻撃するという本末転倒の回復技……ですよね?」

 

SPW「そう。一色さんは前世が看護師だった故に得た豊富な医学知識を使って自己回復力を暴走させているんだ。薬も過ぎれば毒だと知ってるからね。通常の薬でも過剰に接種すれば人体にとっては毒。ただの薬でもそうなんだ…この人のオーバードースは……違法薬物のオーバードース…つまり麻薬だ……」

 

僕は小風を起こすようにホール・シンクスで適当な紙を扇風機代わりに回す。すると、激痛が走ったように暴れだす。

 

SPW「もっとも依存症が高く、禁断症状は地獄以外に何物でもないと言われるヘロインやモルヒネ系の薬物に見られる症状…致死性が高い…。ここに一色さんがいないのが悔やまれるね」

 

材木座「凄い知識であるなスピードワゴン氏」

 

SPW「スピードワゴン財団は医学や薬学を中心に力を注いで来たからね。もちろん麻薬も研究してたんだ。スピードワゴンは医者ではなかったけど、そのくらいの知識は会長としても必要だったから。それに、ジョルノさんのパッショーネは麻薬撲滅に力を入れているから、アーシスは必然的に麻薬にも詳しくなるんだよ。症状が出ていると言うことは麻薬が身近にある…と言うことだからね」

 

僕は倒れている人……ウンガロさんを観る。

 

ウンガロ「うう……薬を……何の希望もない…」

 

風鈴「可愛そうな人……辛い人生だったんですね」

 

ウンガロ「俺を……憐れんだ眼で見るなぁ!」

 

ウンガロが持っていたピノキオの絵本からキャラクターが出てくる。ボヘミアン・ラプソディー…か。だけど、そのスタンドは風野さんのマリン・スケッチのまえでは意味を成さない。

そのスタンドの事はアナスイさんから聞いている。

ピノキオを消滅させてしまえばスタンド能力は封じられるはずだ。

 

風鈴「ごめんなさい。マリン・スケッチ。消しゴムの絵を!」

 

風野さんが書いた消しゴムの絵がピノキオを消す。するとウンガロの目はDIO八幡以上に目を腐れて倒れた。

 

風鈴「ねぇ、ウンガロさん。まだ希望はあるかもしれないですよ。あなたのお兄さんが、近くに来ています。もしかしたら貴方の薬物依存症をどうにかしてくれるかも知れませんし、親身になってくれるかも知れません。まだ、希望を失うのは早すぎませんか?」

 

風野さんはウンガロさんを優しく説得する。

 

風野「私も昔はそうだったんです。実の両親が亡くなった後、親戚に預けられたんです。でもその人たちは私に虐待を…辛くて…貴方のように何の希望も無かったんです。そんな私を助けてくれたのが、そこにいる義輝さんでした。希望のなかった心に一筋の光が照らしたみたいに…。もしかしたらあなたにとって、ジョルノお兄さんが希望になるかも知れません」

 

風野さんに名を呼ばれて照れる材木座君。

君から風野さんへ、そして風野さんからウンガロさんへと優しさの連鎖は紡がれる。

 

ウンガロ「兄……貴?俺に?」

 

風野「ええ。一緒に活きませんか?ウンガロさん。貴方の希望を見つける為にも」

 

風野さんはウンガロさんに手を差し伸べる。

 

ウンガロ「ありがとう……会わせて欲しい…兄に」

 

ウンガロさんは風野さんの手を取った。腐らせていた目に、僅かな希望を灯して…。

 

ウンガロ(ボヘミアン・ラプソディー)…再起可能。風鈴の説得に応じて兄のジョルノに会う決意をする。

 

 

side東方仗助

 

おう、俺は東方仗助だ。

昨夜にフロリダに到着してジジィから連絡のあった比企谷八幡と雪ノ下陽乃という奴ら、そして異世界の徐倫と合流した。…のは良いんだけどよぉ、実際に何をして良いのかわかんねぇんだよな?

吉良の事件以降は杜王町も平和でよぉ。なんていうか、平和のぬるま湯に浸かっていた俺なんかが役に立つのかどうか疑問なんだよなぁ。プレッシャ~…。

だが…。

 

小町「おっでっかけ♪おっでっかけ♪」

 

俺と戸塚という奴の手を取って上機嫌に歩くこの女の子。互いにこの世界の人間だから特に思う所はないけど、向こうのこの子は静の幼馴染みで、俺にもなついているのだとか…。そう聞いちゃあ少しは愛着ってのがわくよなぁ。なんか戦いを控えているにしては能天気だけどよぉ。

 

小町「おっでっ……んん?」

 

戸塚「どうしたの?小町ちゃん」

 

小町「あのさ、あの広場に空いている穴ってさ、もしかしてDIOお兄ちゃんが言っていた…」

 

ああ。あからさまに怪しい穴が空いてるよな。あれがアンダー・ワールドの能力か…だけど、何で大穴が空いてるんだ?

 

戸塚「とりあえず、呼び掛けてみますか?」

 

仗助「うーん……とりあえずそうするしかねぇのか…おーい!ドナテロ・ヴェルサスー!いるっすかー!」

 

ヴェルサス「サツがもうここを嗅ぎ付けたのか!何で俺がここにいることがわかった!」

 

穴の中から声が聞こえる。どうやら警察に追われている状況らしい。

 

仗助「警察じゃあねーっスよー!ちょっと話がしてーだけっス!出て来てくんねーっスかぁー!」

 

ヴェルサス「うるせー!俺の人生はクソみたいなもんだ!ならここで死んでやる!何をやっても上手くいかねぇ人生なんて……もうイヤだ!」

 

……たく、しょうがねーっスねぇ…飛び込むしかねーっスか。

 

仗助「小町よぉ、ワリイけど上着を持っててくれねえ?汚したくねぇからよぉ」

 

俺は小町に上着を渡して穴に飛び込もうとすると、戸塚も俺の隣に立った。

 

戸塚「僕も行きます。行かせて下さい、仗助さん」

 

仗助「危ねぇかも知れねぇぞ?」

 

戸塚「わかっています。それを言ったら今回の旅は危ないことだらけでした。今さらです」

 

仗助「オメェ、グレートだぜ」

 

小町「戸塚さん…気を付けて下さい!」

 

戸塚「うん……行ってくるよ。小町ちゃん」

 

覚悟を決めた俺達は、一気にアンダーワールドが作ったであろう大穴に飛び込む。

そして着地した場所は……飛行機の機内?まさか、いろはから聞いていたヴェルサスのアンダーワールドの能力か!?

土地の記憶から再生されている墜落機の再現…。

 

ヴェルサス「追ってきたなサツめ!だがよぉ!この中に入って来たからにはオメェは俺と一緒に死ぬんだよ!この墜落機の機内でなぁ!」

 

こいつがヴェルサスか……。

 

戸塚「ヴェルサスさん。僕たちは警察じゃありません。あなたのお兄さんと一緒にあなたを助けに来たんです。僕の話を聞いてもらえませんか?」

 

ヴェルサス「兄貴ぃ?そんな奴がいるのかよ!どこにいるんだよ、そんな奴が!」

 

仗助「俺はオメェの兄貴じゃあねぇけどよぉ。血縁的には一応は親戚なんだぜぇ?ほれ」

 

俺はヴェルサスに首筋の星形のアザを見せた。

 

ヴェルサス「俺と同じアザ……」

 

ヴェルサスは驚いたように目を見開く。

今まで見たことが無かったのだろう。

 

戸塚「まだ間に合います!やり直しましょう!」

 

ヴェルサス「もうおせえ!この飛行機はあと二分で墜落する!助からねぇんだ!」

 

戸塚「二人だけ…助かります。確実に助かる方法が…」

 

戸塚が言ってきた。どういう方法なんだ?

 

戸塚「仗助さん。天井をクレイジー・ダイヤモンドで開けられますか?」

 

仗助「お、おう………」

 

C・D「ドララララララ!」

 

俺は言われた通り天井に穴を開ける。そこに戸塚は俺にラケットを当てる。

 

戸塚「ホールシンクス!飛んで行けぇ!」

 

あのバカ!自分を犠牲に俺とヴェルサスを助け出す気かよ!

俺は戸塚に弾き出され、穴の外へと飛ばされた。

続いてヴェルサスも弾き出される。

 

仗助「あのバカ野郎!小町!戸塚の身につけているもので何かお前が持っているものってないか!?」

 

小町「え?ええっと………このペンダント、もともと1つのペンダントだったのを戸塚さんと二人で分けたヤツだけど……」

 

仗助「よこせ!クレイジーダイヤモンド!」

 

俺はそのペンダントをクレイジーダイヤモンドの力で直す。すると……

 

ドオオオオン!

飛行機が墜落した音が響き渡った。

間に合わなかったのか……?

と思った次の瞬間にペンダントに引っ張られる形で戸塚が飛んで来た。

 

仗助「よかった……間に合ったのか……」

 

すると戸塚は頬を膨らませて俺に詰め寄る。

 

戸塚「仗助さん!却って危なかったじゃないですか!」

 

仗助「え?」

 

戸塚「やっぱり昨日のミーティング、本気で寝てたんですね?」

 

俺は戸塚から目をそらす。

確かにミーティングの最中に何を言っているのかわからず、ボヘミアン・ラプソディーのところの説明を聞いている辺りから居眠りをしてしまったので、内容を全然覚えていない。

 

戸塚「ヴェルサスさんのアンダー・ワールドで再現していた旅客機には生存者がいたんですよ。もしその旅客機に取り込まれてしまったらその生存者の席に何としてでも座れという指示が出ていたんです。勝算もなくあんな事をするわけが無いじゃないですか!避難しおえて一安心している時にいきなり体を引っ張られた時は肝を冷やしましたよ!あと少し遅かったら墜落に巻き込まれてたんですからね!」

 

おおう!大胆な事をするなぁ…とは思っていたけど、そんな作戦があったのか…。戸塚も小町も冷たい視線で見てくる…。確かにミーティングで居眠りをこいちまったのは悪かった。下手をしたら俺が戸塚を殺してしまっていた…。運に助けられたな…。

 

戸塚「でも、一生懸命助けようとしてくれた気持ちは嬉しかったですよ。ありがとうございました」

 

ほとんどNGだったのに嬉しい事を言ってくれるじゃあないか。これがホントに女の子だったら惚れてたぜ。

取り敢えず、場を取り繕うべくヴェルサスの傷を治す。

聞いた話では生活に困って強盗に踏み切ったところ、失敗して撃たれた上にビルから転落したみてえだからな。

まぁ、ジョルノのパッショーネはそんな人生の人間の集まりみてぇだし、後はジョルノに任せるか。

 

仗助「取り敢えずジョルノと合流しようぜ?ヴェルサスもそれで良いな?」

 

ヴェルサス「ああ…取り敢えず会ってみるよ。兄貴に」

 

仗助「決まりだ!行こうぜ」

 

ドナテロ・ヴェルサス(アンダー・ワールド)…再起可能。戸塚の説得に応じてジョルノと会う決意をする。

 

 

sideジョルノ・ジョバァーナ

 

僕は八幡という父の魂を持った少年と別れたあと、雪ノ下陽乃と雪ノ下雪乃という姉妹と一緒にオーランドの街を歩いていた。

 

刑事「お前がロメオだな!逮捕状が出ている!容疑はひき逃げによる遺体損壊と死体遺棄、そして自らの罪を他者に擦り付けた罪だ!」

 

ロメオ「なっ!何で!?徐倫がやったことになっているのに!」

 

刑事「白状したな!○○○○時、逮捕!」

 

ロメオ「うわぁぁぁぁぁ!」

 

途中、豪邸でロメオという男が警察に逮捕されているのが見えた。アイツが承太郎さんの娘に罪を擦り付けた男か。当然の末路だな。

 

陽乃「あれって、空条先生の元恋人?当時の空条先生って男を見る目が無いわね」

 

全くだ。だが、親戚であるこの世界の彼女が前科持ちにならなくて良かった。既にレディース時代に窃盗で前科があるみたいだけどね。それよりも今は弟達の事だ。

あっちの世界での彼らの経歴は既にヴァレンタイン大統領から聞いている。家族の愛に飢え、麻薬中毒者になったりパニック障害に陥ったり、僕のように育児放棄をされて転落人生を歩んだり…。

平行世界の彼らは最終的にはプッチという神父に踊らされ、向こうの僕や父の生まれ変わりによって始末されてしまったようだ。それは仕方がない。向こうの僕もどうしようも無かったのだろう。

だが、この世界ではまだ間に合う。まだ彼らはプッチに踊らされていない。今ならば説得出来るはずだ。

 

雪乃「あら?あそこで何か交通事故が起きているみたいなのだけれど…」

 

雪乃が何かを見つけたようだ。あれは……逆走による交通事故?

確か昨日のミーティングでは弟の一人、リキエルが逆走による交通事故でオーランドの病院に搬送され、そこでプッチと出会ったと聞いている。もしかしたら…

 

陽乃「ジョルノ兄さん!」

 

ジョルノ「わかっている!急ぐぞ!」

 

僕たちは現場へと急ぐ。

 

雪乃「これは……未確認生物のロッズ?」

 

ロッズだって?確かミーティングではリキエルの能力はロッズを操る事…そしてロッツの能力は…。

 

ジョルノ「ロッズにうかつに触らないで!局部的に体温を下げられる!下げられた場所次第では病気を起こしたり、下手をしたら殺される!脳幹に触れさてはダメだ!そこに当たったら死ぬ!」

 

雪乃「エンジェル・ラフレシア!」

 

雪乃がスタンドの能力で氷のプロテクターを纏う。あれはホワイト・アルバムの…。

 

雪乃「一か八かだったけど、向こうの私のスタンド能力にこういう使い方があると聞いたわ。やってみるものね?スタンド能力のお陰で氷には耐性があるみたい。可愛そうだけど、ロッズは倒させてもらうわ。ごめんなさい」

 

雪乃は生み出した巨大な氷の円月輪を操ってロッズを次々と切り裂く。

 

陽乃「アヌビス神!」

 

アヌビス「ウリャリャリャリャリャリャ!」

 

陽乃のアヌビス神が手に持っている刀でロッズを次々と切り裂く。途中、一発食らってしまうが…

 

陽乃「これがロッズのスピードね。覚えたわ!」

 

アヌビス「ウリャリャリャリャリャリャ!」

 

………向こうの戦士達は結構苦戦したらしいけれど、この二人には全く問題が無いようだ。やはりスタンド使いの戦いというのに強いとか弱いとかはあまり関係無いんだね。相性の良し悪しなんだとつくづく思う。

 

リキエル「こんな力があるなんて……俺は初めて知ったよ。こんな世界を知ったのなら、俺はもっと色々な事が出来る……月に降りたアポロ11号。俺はそれを成し遂げたのはロケットを作った技術者が凄いのだとずっと思っていた。だけど、それだけじゃあない。月面に立ったのは人間の「精神」なんだってな!人間はあの時地球を越えて成長したんだ!価値のあるものは「精神の成長」なんだ!」

 

パニック障害に陥った僕の弟のリキエルがうわ言のように呟いている…。恐らく事故に遭ったときに何かの弾みで歴史が変わり、プッチの力なしでスタンド能力に目覚めたのだろう。そして、病んでいた精神が成長し、心の病を振り切った…。今の彼ならば。

 

ジョルノ「リキエル君…だね?」

 

リキエル「お前は?それに、彼女達は…」

 

ジョルノ「僕は君の兄、ジョルノ・ジョバァーナ。僕たちは何か惹かれ合う物を感じる。そう思わないかい?」

 

リキエル「僕の兄さん…確かに、最近俺の中で何かに呼ばれるような感覚があった。それがお前なのか?」

 

ジョルノ「多分そうだと思う。ロッズを収めて、話し合いは出来ないか?僕はせっかく会えた君と争いたく無いんだ。この地にいる他の弟達とも…それに、君が自力で精神の成長に至ったその精神を…僕は尊重したい」

 

リキエルは少し考えた後に……。

 

リキエル「わかりました。あなたは間違いなく俺の兄です。そして、ロッズ達を苦もなく倒してきた彼女達にも興味はあります。ぜひ、ゆっくりとお話したいです」

 

説得に応じてくれた…。良かった。兄弟同士で争わずに済んで…。

リキエルはロッズを帰らせ、スタンド能力を解除してくれた。僕たちは彼と握手をする。

 

リキエル(スカイ・ハイ)…再起可能。ジョルノと和解する。

 

仗助「お、そっちも終わったみてぇだな。ジョルノ、弟を連れて来たぜ!」

 

SPW「こっちもウンガロさんと合流できました!財団を呼んで下さい!オーバードースを起こしてます!」

 

仗助さんとSPW君も二人を連れてやって来た。

そして、落ち着いて話をする。

三人は僕がギャングと知ると凄く驚いていた。そしてイタリアに移住を提案する。

 

ジョルノ「僕はギャングですが、あなた達をその道に引き込むことはしません。ですが、あなた達の平穏な生活を守ると約束しますし、社会復帰が出来るように協力します。ですから、兄弟四人で仲良くイタリアで生活してみませんか?」

 

ウンガロ「兄さんの言葉には嘘がねぇのがわかる。こんな兄さんの元でなら、俺は薬には頼らねぇで済む…」

 

リキエル「兄さんの元でなら、俺は更に精神の成長が出来る気がする。連れていってくれ!兄さん!」

 

ヴェルサス「法を司るお偉いさんよりもギャングの兄さんの方が澄んだ瞳だなんてのは皮肉だぜ。だけど、そっちの方が人間としてまっとうな生き方が出来そうな気がする。兄さんの所で人生を考える時間をくれ!」

 

三人の瞳には澄んだ瞳が宿っていた。良かった。向こうの世界のように兄弟が殺し合う悲惨な結末にならなくて……。

 

ジョルノ「みんなのお陰で兄弟同士が殺し合う事なく1つになることが出来ました。みんなの協力に感謝します」

 

ウンガロ「風鈴、材木座、スピードワゴン。助けてくれただけじゃあなく、兄弟に会わせてありがとな。もう薬には頼らねぇ。自力で自分の幸せを見つけていくぜ。薬に逃げねぇようにな」

 

SPW「きっと出来ると信じてます。兄弟仲良く」

 

風鈴「ぐすっ……良かったです!皆さんが仲良くなれて!」

 

材木座「うむっ!ウンガロ殿の幸運を願うぞ!」

 

ウンガロは三人と抱き合う。

 

ヴェルサス「世の中を恨んでるだけじゃあダメなんだな。俺も兄弟達ともう一度人生をやり直してみせるよ。ありがとう。サイカ、コマチ、ジョウスケ」

 

仗助「おう!お前らを見ていたら俺も兄弟に会いたくなったぜ。親子ほど年の離れた姉と妹だけどよ。お前らも兄弟一緒に仲良くなぁ!」

 

小町「小町にも兄がいて、とっても頼りになるんです!ジョルノお兄ちゃんもきっと頼りになりますよ!あ、小町はジョルノお兄ちゃんの妹分だから三人も小町のお兄ちゃんですね!いっぱいお兄ちゃんが出来てうれしいです!あ、これ小町的にポイント高い」

 

戸塚「小町ちゃん…良い言葉が台無しだよ?でも、本当に良かったですね。ヴェルサスさん」

 

ヴェルサスと仗助さん達も笑顔で握手する。

 

リキエル「ハルノ、ユキノ。俺も君達姉妹に負けないような兄弟関係を作れるように頑張るよ。君達は俺の目標だ」

 

陽乃「きっとなれますよ!今のリキエルさん達の目は輝いてます。またお会いしましょう!」

 

雪乃「小町さんじゃないですが、あなた方も私達姉妹にとっては兄のようなものです。困ったときには私達もお手伝いします。それが私達の理念ですから」

 

リキエルが雪ノ下姉妹を抱きしめる。

そして、僕たちの様子をスピードワゴンは動画で撮影していた。

 

ウンガロ「スピードワゴン?動画なんて録ってどうしたんだ?」

 

SPW「僕の世界の小町ちゃんのお兄さん…八幡はウンガロさん達のお父さんの生まれ変わりなんです。今は大変な事になっていますけど、元に戻った時に前世の息子達が和解できたと知ったら喜ぶんじゃあないかって。僕たちの世界のジョルノさんも…」

 

リキエル「父の生まれ変わり?」

 

ヴェルサス「どういう事だ?」

 

スピードワゴンが三人に事情を話す。

 

ウンガロ「そうか…お前達はもしかしたら死ぬかも知れなかった運命から救ってくれたんだな。お前達には何度礼を言っても足りねぇ。ありがとう!本当にありがとう!」

 

リキエル「俺達は今は自分の事で手がいっぱいで手伝えないが、お前達の成功を祈ってる」

 

ヴェルサス「砕けた親父の魂を必ず救ってくれ!頑張れよ!」

 

三人はそう言った後にSPW財団のヘリに乗ってこの場を後にした。後日パッショーネの人間が彼らをイタリアに連れていってくれるように手はずしてくれるはずだ。

僕は彼らの代わりに八幡達の力になり、異世界の仲間達が安心して帰り、父の生まれ変わりが蘇れるように力を貸そう。いや、この世界の事だ。そうしなくてはいけないんだ。せっかく出会え、わかり合えた新たな兄弟の元に胸を張って帰れるように。そして、別の世界で頑張っているもう一人…いや、一条というもう一人の弟がいる世界にいる僕も含め、二人の僕がこの結果に満足できるように。

それが僕に出来る唯一のお礼なのだから。

 

←To be continued




はい、長くなりましたが第2章では原作以上に悲惨な結果に終わってしまったウンガロ、リキエル、ヴェルサスの救済ルートで終わるお話です。
第2章もこういった終わりかたでも良かったのではないかと今では思います(第3章で二度殺ししといて言うなというツッコミは聞こえません)。

それでは次回はGDstに潜入したチームのお話になります。

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