side比企谷八幡
平塚「貴様ら…顧問である私のメールや電話を無視し、あまつさえ着信拒否をした言い訳を聞こうか?」
開口一番、独神は因縁をふっかけてくる。
八幡「もうお前らとは暫定敵対関係じゃあない。完全な敵対関係だ。それ以外の関係はお前らとはない」
静「大体、何でお前らの電話やメールに応じる必要があるのか聞きたいくらいだ。平塚静、もうあんたは奉仕部の顧問でも何でもない。でしゃばってくんな」
カチャッとそれぞれが携帯していたデザートイーグルの銃口を向ける。
平塚「どうあっても逆らうつもりだな?比企谷、ジョースター…」
臨戦体勢に入る平塚と俺たち二人。ここで仕掛けてくるなら好都合だ。
平塚「ザ・オーガ!」
平塚は筋肉を膨張させて殴りかかってくる!
いなそうとするが、バカ力で二人とも捌ききれず、軽く吹き飛ばされる。
結衣「リバース!」
R・T「うわぁぁぁぁぁ!」
雪乃「エンジェル・ダスト!」
E・D「ウリャウリャウリャウリャ!」
平塚「甘い!」
材木座のように自身がスタンドを纏うタイプなのか、二人のスタンドを捌いてして逆に殴り返す。
雪乃&由比ヶ浜「きゃあああ!」
初めて受けた肉体的なダメージ。それにより二人はすぐには立てなくなる。訓練で受ける手加減されたダメージではない。
いろは「ナイチンゲール・エメラルド!雪乃先輩、結衣先輩!エメラルド・ヒーリング!」
結衣「あ、ありがとう…いろはちゃん」
雪乃「助かったわ。一色さん」
二人はやや苦しそうにしながら立ち上がる。
肉体的なダメージよりも精神がダメージを受けているのだろう。
海老名「エメラルド・スプラッシュ!」
三浦「クロスファイヤー!」
サブレ「ガルルルル!」
友達と飼い主をやられて怒った海老名と三浦とサブレは
攻撃を飛ばす。
戸部「サード・ノース・アイランド」
ドカァァァァン!
戸部から現れたスタンドは平塚を庇って攻撃をうける。しかし、ダメージが入ったようには見えない。
それどころか……
戸部「返すっしょ!」
TNI「ベエエエエエエエエエエ!」
掛け声と同時にエメラルド・スプラッシュ、クロスファイヤー、ザ・フールが跳ね返ってくる!
三浦&海老名「だにぃっ!」
サブレ「あぎ?」
咄嗟に反応した二人は横飛びで回避、サブレは急降下していたペットショップが掴んで上空へと助け出された。
雪ノ下夏樹「そこまでだ、平塚玄武。こんなところで神の誕生は困るのだ」
雪ノ下秋乃「ジョースターも退きなさい。さもないと林間学校で来ている子供達の安全は保証しませんよ?」
こいつらは地下に潜伏した雪ノ下夫妻…。つまり陽乃さんや雪ノ下の両親。
平塚「しかし、こいつらは……」
夏樹「命令が聞けないのならお前は即始末しても構わない。既に用済みだ」
用済み?このバカ力のスタンドの持ち主がか?
それに、子供達が人質に取られたか…。その中にはもしかしたら最後の黄金の精神を持つ仲間がいるかも知れないのに…。
ジョセフ「貴様ら…。ワシらをどうするつもりじゃ?」
夏樹「時が来たら消えてもらうさ。散々好き放題してくれたようだしな。我らの足場をよくも消してくれた」
秋乃「本当なら今すぐ消したいところですが、こちらにも都合と言うものがあります」
夏樹「我が神の御掲示により、今はキャンプやボランティアを楽しむが良い」
くそ、手が出せないのか……。
秋乃「陽乃さん、雪乃さん。こちらに戻ってくる気は無いのですか?」
陽乃さんと雪ノ下は両親をにらみ返す。
葉山「陽乃さん、雪乃ちゃん!戻ってくるんだ!ジョースターと関わるべきじゃあない!君達はジョースター家やヒキタニくんに騙されているんだ!」
葉山が叫び声を上げる。
夏樹「黙れ、隼人」
雪ノ下の父が葉山を睨むと葉山は苦し気に頭を押さえて踞る。
葉山「ぐううぅぅぅぅ!」
葉山の前髪に隠れていた肉の芽が露になる。予想はしていたけど、葉山を始め、戸部、大岡、相模も肉の芽を埋め込まれているな?そうじゃあなければ単純に始末するだけで良かったが、そうもいかなくなった。
陽乃「私を肉の芽で使い捨てにしたくせに良くもいけしゃあしゃあと…お断りよ」
雪乃「もうあなた達は私の親でも何でもない。私の家族は姉さんとジョルノ兄さん、トリッシュ姉さんだけ…」
二人が憤怒の声で返す。
秋乃「そう。でも陽乃さんはともかく、あなたはもう逃れられませんよ?雪乃さん」
雪乃「どういう意味?」
秋乃「時が来ればわかる。そして後悔するぞ?陽乃。貴様はもう…子でも親でもない」
陽乃「こっちから願い下げよ。戻ったところで私はまた肉の芽を埋め込まれてじわじわ死を待つだけになる。四年前みたいに」
肉の芽はただ洗脳するだけの物ではない。取り付いた人間を意のままに操りつつ、じわじわと脳細胞を冒し、最終的にはその脳味噌を食い破って死に至らせる。または万作さんのように人とも言えない姿に変貌する。
葉山達はともかく、埋め込まれて一月半。もう独神は手遅れかもしれない。
汐華によって歪められ、問題教師だったとはいえ、平塚はそれなりには生徒思いだった。しっかりとした家庭で育てられていればまだまともな教師だったかも知れなかったのに…哀れだ。聞けば葉山の父親も…。
夏樹「汐華初留乃。貴様もか?偉大なる神の息子だと言うのに…」
ジョルノ「縁が切れてむしろせいせいしている。僕はジョルノ・ジョバァーナ。汐華初留乃の名はとっくに捨て去って名前だ。汐華冬乃にそう伝えろ」
秋乃「残念ですね。初留乃さん。それでは二日後、あなた方には消えてもらいますよ?それまでは大人しくしている事です。妙な動きを見せればわかってますよね?」
雪ノ下の両親はそう言って悠々と森の中へと消えて行った。
八幡「ちっ!不本意だがこいつらと一緒にボランティアをするとか何の罰ゲームだ…」
葉山「それはこっちのセリフだよヒキタニ」
メンチを切り合う俺と葉山。
戸部「優美子に海老名さーん。さっきは悪かったベー。謝るからグループに戻ってくるっしょ?」
三浦「はぁ?何でだし。あと気安くあーしらを呼ぶなし。あーしらは今のグループで充分楽しくやってるし」
大岡「いや、うちら友達じゃん?あり得なくね?」
海老名「優美子と結衣は友達だけど、君達は違うかな」
三浦「ちがうっしょ?海老名」
戸部「だべぇ?俺たちも…」
三浦「勘違いすんなし。あーしらの友達はここにいるジョースターさん達やアーシス、それに奉仕部の仲間達。あんたらなんか一度足りとて友達なんかとは思ったことなかったし」
戸部「一時期はヒキタニくんの事をめっちゃ睨んでいたくせに一体どんな洗脳をうけたんだべー?洗脳なんて卑怯っしょ?ヒキタニくん」
何でそうなる?むしろ肉の芽で洗脳されているのは君たちだって自覚ある?無いよなぁ……そもそも洗脳って受けてる本人は自覚ないのが当たり前だし。
にらみ合う戸部と元葉山グループの二人組。
南「結衣、戻ってくるつもりはないの?三浦さんや雪ノ下さんとかならともかく、あんなダサい奴らと一緒にいたってつまらなくない?」
結衣「ハァ……ハァ……スタッチや沙希、ヒッキーや中2をバカにするのは許さないし。みんなはあたしの大事な仲間なんだから」
大岡「可愛そうな結衣、どこまでも洗脳されちゃっていたんだね」
沙希「黙っていなよこの童貞風見鶏。一度のみならず二度も洗脳されておきながら言える度胸に感服するよ」
大志「容赦する気は全くないけどな。やる気ならいつでも来いよ。相手になってやる」
京華「はーちゃんに酷いことしたら許さない!ジョースター家のみんなにも!」
大岡と由比ヶ浜、川崎兄弟がにらみ合う。けーちゃんの怒った顔なんて滅多に見られないぞ。あの子の周りは基本、幸せが溢れているからいつもニコニコしているからな。
平塚「ちっ。東方仗助、空条徐倫。この千葉村が貴様達の最期の地だ。ジョースターの血はここで全て始末してやる」
仗助「やれるもんならやってみやがれ。誰一人としてやらせはしねぇ!」
徐倫「あんたはここで終わる。例えあたし達に勝っても」
億泰「肉の芽の末路は俺が良く知ってるからよぉ。まだ自我を保ててるんなら、今の内に治してもらっとけ?まだ間に合うと思うからよぉ」
平塚「神の巫女である私が何故貴様らの施しを受けなければならない?」
平塚はもうほとんど手遅れだ。肉の芽に脳を冒されまくっている。
あの盲信ぶり…あれではまるで…
承太郎「エンヤ婆を思い出すな」
そう、あれはまるでエンヤ婆だ。狂信者…
最近ではプッチやヴァニラアイスを思い出す。やはり綾瀬に縁があるものか…
平塚「行くぞ、お前達。決戦の時…それまでは平和なキャンプを楽しもうではないか…」
独神は葉山達を連れて先へと進んで行った。
俺達は息を整え、集合する。
八幡「なんてパワーだ。波紋で高めた身体能力を無視した威力だった…」
静「ちょっとかすっただけでも吹っ飛ばされた。ザ・オーガのパワー…半端じゃあないわ」
海老名「戸部っちの跳ね返す能力も厄介だったね」
三浦「あれは厄介だった…」
結衣「大岡、葉山くん、さがみんの能力とかもわからなかったし…それにゆきのんの両親の能力もわからない」
みんながお通夜のような雰囲気になる。
陽乃「大した能力じゃあないわ。ブラッディ・スタンドに適するだけならせいぜい肉の芽を操る程度の簡単なもの。逆に完全に適合したのは普通のスタンドのように何か特殊な力が出てくる」
めぐり「葉山くんのお父さんのスタンドはパワーがあったよ?」
陽乃「パワーだけはね。それに、ハーヴェストやシンデレラはパワーが低いもの。そう思えても仕方ないんじゃない?めぐり」
承太郎「つまりはあの5人と汐華冬乃が今回の最大ターゲット…と言うわけか…」
つまり親世代のブラッディ・スタンドはそれほど厄介ではない…と。ただ、警戒は怠ってはいけない。
肉の芽だって波紋の戦士以外は脅威なのだから。
仗助「とりあえず、奴等は明日の夜までは仕掛けて来ねぇんだ。まずは財団の仕事であるボランティアを遂行するぞ。ただ仕事をするだけじゃあつまらないからな。あと八幡」
八幡「??」
仗助「お前は絶対にジョースター家の大人組の誰かと行動しろ。ジョルノも焦るんじゃあないぞ」
ちっ、信用ねえな。子供達が人質に取られているんなら滅多な行動に出れねぇよ。
雪ノ下「それにしても、何で総武高校の人間がここにいるんですか?空条先生」
徐倫「学校の掲示板にあったボランティアの枠できたんでしょうね。財団とは別に、総武高校もこのボランティアは受けているから。そこに平塚は単位を餌に募集をかけていたみたいよ。ただでキャンプが出来るとか言って単位も貰える…。大和の件で上から目を付けられていた葉山とか戸部はのこのこ餌に釣られてブラッディ・アローの餌食になったみたいだけど…」
承太郎「学校の方面からというのが厄介だった。元々権力でごり押しして好き放題やっていた俺達では学校の行事を潰すのは遠慮していたからな」
仗助「教師達もこの仕事をやりたがらない。柱の一族の聖地である千葉村がボランティア先であった平塚以外は全員断っていたからな」
ジョースター家の面々が苦々しい顔を作る。
ついでに葉山グループはイケイケリアリアな集団だ。そういう連中を独神は嬉々として巻き込んだのだろう。
普段ならともかく、肉の芽によって欲望や嫉妬が増大している平塚なら…。
誰かもらってやれよ。
徐倫「あたしは今回は総武の人間として来ている訳じゃあないけど、教師としては一応平等に扱わなくちゃあならないわけね…やれやれだわ」
俺達が絡むと途端に苦労性になるな?徐倫。
贔屓とかは叩かれるからな。今更だけど。
俺も組織に属する人間だからわかる。
組織に所属すると負の側面も担わなければならないからな。
下げたくもない頭を下げ、未成年なのに行きたくもない飲み会に行き、嫌な話を聞かされ、嫌いな顔と顔を付き合わせながら一緒に仕事をしなければならない。
徐倫「まぁ、あんたらもこれが仕事だと思えば汐華の連中とでも上手く付き合えるでしょ?」
まぁ、社畜生活は長いからな。多方面の支部長とかでも嫌いな奴はいるし。関西支部の奴らとか。
徐倫「もしろ、社会生活では雪ノ下と由比ヶ浜、川崎大志が心配だわ。他は前世で社会人をやっていたからあまり心配してないけど、上手くフォローしてね?陽乃。子供達の命が懸かっているから」
陽乃「了解だよ。徐倫ちゃん」
ち、キャンプに来てまで仕事モードかよ。まぁ、元々仕事だったし、アーシス方面でも任務だから全然構わないけれど、あの連中ともなるとそれなりに不安だ。さっきは一当てしたわけだし。
この借りは必ず返すぞ、平塚…葉山グループ…。
既に外道に堕ちた身だが、関係ない者を平然と巻き込む程まで外道に落ちちゃあいない。ましてや子供を…!
その先に運命が待っていようが…
←To be continued
はい、今回はここまでです。
前哨戦となりました。案外強いです、平塚先生と葉山グループ。
それでは原作との相違点。
…………あまり原作は進んでないですね?
それでは次回もお願いします。