side比企谷八幡
視界に山の稜線が見えてきた。
結衣「わぁ!ゆきのん、優美子、姫菜、山だよ!」
雪乃「ほんと、山ね」
材木座「ふむ。山だな」
三浦「山だね」
海老名「山だねー」
静「なに?このオウム返し」
由比ヶ浜がはしゃいだ言葉にみんなが答える。
ジョジョや俺達には毎年恒例となって見覚えのある山々だが、日々広大な関東平野に抱かれて暮らす千葉人にとって山は珍しいものだ。
よく晴れた日には海岸線沿いに富士山が見えたりもするが、それ以外の山、特にこういう深い山々を見る機会はあまりない。それゆえ、ちょっとした山を見かけただけでもテンションが上がるのだろう。あの無感動そうな雪ノ下や三浦ですら、感嘆のため息を漏らすほどだ。
京華「わぁー!なつかしー!ジョーちゃん!懐かしいねー!」
ジョセフ「おお、スージーも二回ほど来た事があったのう!覚えとったか!」
京華「うんっ!また来たいって思ってたんだー!今回は自分の足で山に登れるんだー!嬉しいなぁ!」
ジョセフ「うんうん。けーちゃんや、一緒にのぼるかのう?お手てをつないでのう」
京華「わあい!ジョーちゃんとさーちゃんでお手てつないで登るー!」
スージーさん改めけーちゃんは大はしゃぎだ。
エンポリオ「僕たちは初めてだね」
エルメェス「あたしもだ」
アナスイ「俺も初めてだ。徐倫との最初のデートがキャンプというのも悪くない」
何気に普通にいるアナスイさん。出所したわけではない。
徐倫「デートじゃあなくて、一応は任務ということで特別に閣下直々の命令で仮出所したんでしょ?アナスイ。まぁ、悪い気はしなわね」
というわけだ。忙しい閣下の代わりにアナスイさんが仮出所して来たと言うわけだ。
間田さんと未起隆さん、噴上さん、玉美さん、京さんは杜王町で待機だ。導かれし小道があるように杜王町は重要なパワースポットであり、あそこの守りも欠かせない。水族館の一件は例外中の例外だ。
千葉もキナ臭いので広瀬夫人や康穂、ダービーさん、一部のストーン・オーシャンの生き残りのスタンド使いが守りに就いている。F・Fさんとは違うフー・ファイターズという本体のいないスタンドやマライア、オインゴ、ボインゴもそれに含まれている。
さて、何でエルメェスさんとアナスイさんが普通に日本語を喋れているのか?
露伴「ヘブンズ・ドアーでの翻訳は調子が良いようだね?エルメェス、アナスイ」
アナスイ「露伴、君にはまた世話になったな」
露伴「構わない。ウンガロとの戦いではお互い協力しあった仲じゃあないか。なぁ、音石くん」
音石「そうだな。林間で静かなフォークギターを奏でて語り合うか。露伴先生、アナスイ。いや、徐倫やめぐりとの愛の語らいの方で忙しいか?」
めぐり「いいね~、ナイスだよ!音石さん!」
徐倫「柄じゃあ無いんだけどね」
お馴染みヘブンズ・ドアー翻訳こんにゃくだ。
露伴先生、音石さん、アナスイさんの三人は対ウンガロ戦で共闘して以来、仲が良好だ。
エルメェス「間田と噴上もいないのは残念だぜ。特に間田と会えないのは…」
エルメェスさんは間田さんに本気でアタックしている。対リキエル戦で勇気を出した間田さんに惚れたらしい。案外間田さんも自分を認めてくれたエルメェスさんに対して満更でもない様子だと言うのを先程億泰さんから聞いた。
その億泰さんは今はマイクロバスを運転している。前回はミスタさんに任せっきりだったから、今回は自分が運転手を買って出てくれた。ミスタさん的にも日本の左側車線の運転には余り慣れていないという事で有り難がっていた。
億泰「ミスタよう、オメェも後ろの方でゆっくりしてても良かったんだぜ?」
ミスタ「まぁそう言うなって。オメェとは中々会えねぇんだからよ、こうしてたまには話してぇだろ?なぁ?ミドラーさん」
ミドラー「そうそう。それにしてもアンタも物好きだねぇ?若いハイスクールの女の子がいっぱいいるのに、こんなオバサンを話相手に選ぶなんて」
ミスタ「俺だってもう良い歳だからよう、ティーンエイジャーは苦手なんだよ。ジョルノが新人の時はティーンエイジャーばかりだったってのに、いつの間にか俺も歳取っちまったもんだぜ」
アメリカ以来、気が合う億泰さんとミスタさん。そしてヴェルサスとの戦いでミスタさんと共闘したミドラーさんが固まって喋っている。
あのさ、一応はウンガロ、リキエル、ヴェルサスは俺の前世の息子達なんだけど?始末しておいて何だけどさ。
一方学生組-
山で騒いでいた連中以外は眠っていた。一部を除いてジョースターの面々も眠っている。俺も意識は起きているが、目は閉じている。きたる戦いの為に力を温存するためだ。
由比ヶ浜達は最初はウノやらトランプやらで騒いでいたが、飽きたらしい。今はペチャクチャと喋っている。
けど、こういう光景は懐かしいな。修学旅行や林間学校の帰りのバスみたいだ。はしゃぎ疲れたクラスメイト達は……
静「ハッチハッチ。心の中のモノローグにツッコミ入れるのもなんだけど、その件は四年前にやってるから。ニューヨークからデラウェアでの時に(第二章「東方仗助は恋人に遭う」より)」
高速道路の高い塀と、それを圧迫するようにそびえ立つ山並み。ぽっかりと闇の口を開けたトンネルに煌々と光るオレンジ色。
窓を流れる風景を見ていて何かを思い出したのか、由比ヶ浜が叫ぶ。
結衣「あ、千葉村って中学のとき、自然教室で行ったところだ」
雪乃「確か、群馬県にある千葉市の保養施設、だったわね」
雪ノ下が補足するように言った。
結衣「うん。ゆきのんも千葉村行ったの?」
雪乃「私は三年の時にこちらへ戻ってきたから、自然教室には参加してないの。卒業アルバムのおかげで行事の存在はしっているけどね」
結衣「戻ってきた?どっか行ってたの?」
おい、忘れてるのかよ。あ、由比ヶ浜のまえでは言ってないか。
雪乃「留学していたのよ。前に言わなかったかしら?川崎さんを説得するときに。由比ヶ浜さん、相手の情報はちゃんと覚えていた方がいいわよ?フロッピーディスク並みでは困るわ?期末も平均ギリギリだったんじゃあなかったかしら?」
容量すくなっ!磁石とか向けるなよ?データ飛ぶぞ?ただでさえ、飛びやすいんだから。
ジョセフ「お前さんらの時代じゃあフロッピーディスクは知らんじゃろ。開発された当時は画期的な発明じゃったのじゃがな」
ジジイが呆れたように言った。が、中古のパソコンで初期型のXPくらいのパソコンならばギリギリFDドライブが付いていたりする。ファミコンのディスクシステムもフロッピーディスクだったっけ?
雪乃「生まれた前後くらいはまだあったと思います」
ジョセフ「よく覚えておるのぅ。USB並の記憶力じゃあないか?」
ジジイくらいの年齢ならMOを出してくるかと思ったが、案外新しめだった。
結衣「ジョースターさんって結構新しめの例えを出すよね?見た目もそうだけど、ホントに百歳?」あの平塚先生ならMDとか言いそうだよ?」
甘いな。あの人こそMOディスクを出す。下手したらレコードを出して来そうだ。
ジョセフ「そうかのう?USBメモリーも今では古いような気がするがのう?」
まぁ、いずれもフロッピーディスクよりは断然容量がでかいけどな。
車は一路、千葉村へ向かう。
平日だと言うのに道はそれなりの込み合いを見せていた。時折、1キロの短い渋滞などが発生している。
ミスタ「案外混むもんだな。日本の交通事情は大変だな」
徐倫「この辺りはキャンプ場も多いし、温泉地もあるからね。後でレンタカー借りて行く?アナスイ」
アナスイ「魅力的な誘いだが、仮出所の身なのでな。そうそう自由にも出来ない」
露伴「それは残念だね。こっちとしては助かったが」
めぐり「川では水着を期待してね?露伴ちゃん♪」
露伴「あざといよ?城廻めぐり」
めぐり「もう!昔みたいにお姉ちゃんでも良いんだよ?」
露伴「何で20以上も歳が離れているのにお姉ちゃんなんて呼ばなくちゃあならないんだ!」
めぐり「でも空条博士のお母さんは小町ちゃんのことをたまにおばあちゃんって呼ぶよ?」
小町「ぐふぅ!」
めぐりの攻撃。効果は抜群だ。
比企谷小町(サンシャイン・ルビー)…精神的に
めぐり「あと、ジョースターさんってたまに一色さんをおばあちゃんっていうし?」
いろは「がはぁっ!」
KO!めぐり、WON!
一色いろは(ナイチンゲール・エメラルド)…精神的に
さしものナイチンゲールでも心のダメージは治せない。
天然めぐりのメグリッシュ……が世間の評判だが、天然めぐりのザラキーマが発動している。
即死呪文に殺られないように気を付けよう。ついでに武器も手入れしておく。
切れ味の鋭いステンレスのアーミーナイフ、牛の首をも一降りで切り落とせるグルカナイフ、投げナイフ、ルパン三世でお馴染みワルサーシリーズのPP(自己防衛用の小型自動拳銃。某怪盗はワルサーP32という別物だが、劇中のような名銃ではなく、案外トラブル発生もの。PPは名銃として有名)、ミスタさんのS&W M36と同じ型の銃、シティーハンターでお馴染みコルト・パイソン357。そして拳銃としては最大火力を誇るイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社のデザートイーグル50AE弾
実際のところ、この程度の武器などスタンド使いには豆鉄砲も良いところだ。だが、射程の短いものには射程を補う手段も必要だ。
他にも武器用の荷物には発煙筒、発光弾、即効性の薬物各種、簡易医療セット、簡易手術キット、研磨済みシャベル、免許が必要な通信機、簡易拘束具、ワイヤーロープ、引っ掛かったら首くらいは軽く切断できる繊維糸。
個人が用意できるあらゆる武器を持ってきた。
マ高速を降りて、下道から更に山間の道へと入っていく。
細くくねるような山道をマイクロバスはすいすいとかけ上がっていった。
バスを降りると、濃厚な草の匂いがした。心なしか酸素が多そうだ。緑深い森がそう感じさせるのだろう。
やや開けた場所にはバスが数台止まっている。千葉村の駐車場だ。億泰さんはそこに車を止めた。
とうとうこの場に来てしまった。ついにあの予言が訪れる時か………。
小町「んんー!気持ちいいー!」
静「マーチ…あんたあのままホントにガチ寝するし…しかも私の肩を枕にすればそれは気持ちいいよね?」
小町「いやぁ、夕べは中々寝付けなくて。ごめん、ジョジョお姉ちゃん」
ジョジョのチクリとした言葉に小町が両手を合わせて謝った。
戸塚「わぁ、本当に山だなぁ」
前世ではフィールドワークをそれなりにやっていた戸塚だが、今世ではそれほど山の経験はないのか山に感動している。平地で暮らすがゆえに山に憧れを抱くあたり、やはり千葉人である。俺達も毎年来ているが、深呼吸していたりそれなりに楽しんでいる。
心地よい木漏れ日と高原の涼しい風は確かにきもちがいい。俺の最後になるかも知れない場所には相応しい。
承太郎「うむ、空気がうまいな」
そう言って承太郎はタバコを吸い始めようとして…
徐倫「はい、父さんは健康の為に禁煙。大体未成年の前で、しかも指定喫煙場所以外の場所で煙草を吸い始めない。いっそ健康の為に煙草をやめたら?」
徐倫にくわえた煙草を取り上げられた。
承太郎「む…しかし普段は会社の喫煙所くらいでしか吸えないし、キャンプの時くらい…」
三浦「そう言えば承太郎は高校生の時には既に吸ってたっけ。ホント、よく学者になれたもんだし」
海老名「とにかく承太郎は三日間禁煙だよ?」
承太郎「お前達、あの一発芸を面白がっていたじゃあないか」
三浦「あのときは確かに面白くてやってもらってたけどさ、今は法律もうるさいし。この際だから本格的な禁煙にちょうせんしてみたら?」
承太郎「…………やれやれだ。ここからは歩いて移動する。各人は荷物を下ろしておけ」
承太郎は諦めたのか、ため息を吐いた後に全員に指示を飛ばす。
いろは「う~んっ!ちょっと多くもってきちゃいましたかねー。ハチ君、手伝ってもらって良いですか?」
八幡「ああ…って俺の荷物とほとんど変わらないじゃあないか。遠距離操作型のスタンドだし飛び道具持ってるだろ」
いろは「柱の一族相手ならこれでも不足なくらいですよ?本当なら重機関銃くらいは欲しかったんですけど、さすがに個人で携帯できる武器じゃあありませんでしたから」
軽機関銃だって一人で扱うにはキツイ武器だぞ?弾を含めれば。重機関銃ともなると撃つのだって専用の台が必要になるし、何より目立つ。とてもではないが俺達の戦いには必要ない。
八幡「まぁ、運ぶくらいなら軽いものだ。ほれ」
いろは「はい、どうせなら手をつないでいきませんか?」
八幡「もちろんだ」
いろはは俺が自分の荷物を肩に担いだ後に空いている手に自分の手を重ねてきた。
指示の通り、マイクロから荷物を下ろして行こうとすると、ワンボックスがやって来た。来たな…。車から降りてきたのは男女5人の集団。
平塚「貴様ら……」
八幡「けりを付けようぜ。柱の一族の眷族。いや、その捨て駒ども」
平塚先生、葉山、戸部、大岡、相模だった…。
←To be continued
今回は以上です。
役者が徐々に揃いつつあります。
それでは原作との相違点。
山に感嘆のため息を漏らすのは八幡➡毎年来ているので無理がある為、由比ヶ浜。三浦と海老名も感嘆の息をもらす。
八幡の発言のほとんどを由比ヶ浜に差し替え。
眠っていたのは由比ヶ浜、小町、戸塚➡ジョースター達、八幡、いろは、小町、戸塚
バスでのはしゃぐ場面は静のツッコミで削除。第二章に既にやってます。
小町は去年だけ来ている➡小町も毎年来ている
平塚先生のMOディスクネタはジョセフが代行。
地理ネタについてはジョジョキャラが代行。
しつこいようだが八幡は騙されて来たわけではなきので自分の荷物は自分で用意した。
雪ノ下の肩を枕に寝ていたのは由比ヶ浜➡静の肩を枕に寝ていたのは小町
煙草を吸うのは平塚先生➡承太郎
ワンボックスから出てきたのは葉山、戸部、三浦、海老名➡平塚先生以下ブラッディ・アロー&肉の芽の被害者
それでは次回もお願いいたします。