やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの八幡の冒険!

連戦に次ぐ連戦!
東方仗助を退けた八幡に次はジョルノ・ジョバーナと広瀬康一が襲いかかる。
体勢を整えるために八幡は最上階のラウンジバーに逃げる。
だが、康一のエコーズを振りきれず、そのまま戦闘になってしまう。
エコーズact1、act2を使い分けられ、攻めるも退くも出来ないまま、ジョルノが追い付いてしまった!
果たして八幡は乗り切る事が出来るのか!

少し残酷な表現があります。
注意して下さい。


僕はギャングスターに手を焼く

side 比企谷八幡

 

ジョルノ「ヒキガヤ君。僕はギャングだ。戦うというのなら、覚悟は出来ているよね?僕に危害を加えるつもりならば、逆に自分が危害を加えられる覚悟は出来ているんだよね?僕は出来ている!」

 

……いやいや、危害を加えるつもりで加えたの一度もないから。全部正当防衛だから。弁解も説明の余地なく危害加えて来たのって全部そっちだから。

何の心の準備なく襲いかかられて覚悟がどうとか無いからね?

なんなの?5歳児に対していい大人がよってたかって戦いを挑んでくるって、これなんていじめ?

幼児虐待だよ?訴えられるよ?

ヤバい…泣きそう。

 

…うん。品のいい店内がいつの間にかアマゾォーンな密林になっちゃっていて理解が追い付かない上に、明らかにヤバいのがわかるんだけど、何か一周回って慌てるよりも逆に冷静になってきた。

 

木々はどんどん成長し、何か鋭くて刺さったら痛そうな枝がニョキニョキ生えてくる。

うん。明らかに滅多刺しにする気、満々ですね?わかります。

ってなにこれ!この捕まえるとか通り越して殺意しか感じない攻撃!

密度高過ぎだし範囲は広いし、俺じゃなければ避けられないよ?

 

八幡「ザ・ワールド。時よ止まれ」

 

一本のワインボトルを掴んでカウンター全体に狙いをつけている枝の下から脱出する。

うわっ!店内が完全に林になってるじゃん!

時間を止めている間にジョルノに波紋流してやろうと思ったが、木を避けながら近付いている間に時間切れでとても無理だ。

とりあえず、木の影に隠れる。

木があいつのスタンドの仕業である以上、隠れられてる保証が一切無いけどね!

時は動きだし、さっきまで俺が隠れていたカウンター内に枝がドスドスと容赦なく刺さる。

ヤッバ…逃げてなければ人生終了だったわ。

俺として意識が芽生えたその日に死ぬなんて嫌すぎる。

安心するのは早い。

次の枝がまたニョキニョキ生えてきた。

 

ドスドスドスドス!

 

走って跳んで転がってと避けまくるも、避けた先でもう既に次の枝が生えている。

 

八幡「ザ・ワールド!」

 

時間停止に頼りきりになりそうで、あまり多用はしたくないのだが、当たってしまっては元も子もないので、避けるのが困難な場合は時間停止を使わざるを得ない。

俺は逃げながら葉っぱを何枚か掴む。

 

八幡「コオォォォ!波紋カッター!」

 

ボトルの波紋でアイツのいる方向は既にわかっている。

直接波紋を当てられないなら、こっちも飛び道具を使うしかない。

そして、投げた葉っぱは俺の手から離れて少ししたら時間停止の影響で空中に制止する。

そして俺は別の位置へと移動。

そこで何枚か葉っぱカッター(リーフスラッシャーと名付けよう)を投げ、そして別の位置へと逃げる。

最初の位置からジョルノを中心に時計回りで45度を円運動した位置取りだ。

時は動き出す。

 

ジョルノ「!!」

 

カツカツ!

ジョルノは合間を移動し、木を盾にしてリーフスラッシャーを防ぐ。

 

だが、リーフスラッシャーの発射位置で撹乱…されていない、チラリと見るとジョルノはまっすぐこっちを見ている。

解せぬ!

アイツは俺を見失わない何らかの方法を使っている!

何だ!?何を目印に俺を見つけられる?

 

何度か続けている内に体に酔いが回ってきた。

この体は酒に慣れていない。

さっきカウンター内で割れたボトルの酒を浴びて服についた酒の臭いで酔って来た。

 

八幡(幼児が酒臭いなんて事案も良いところだぞ…アルコール度数の高いウォッカだし…。待てよ?酒臭い…?そうか!アルコールの臭いで位置を見破られていたのか!)

 

これを狙ってやっていたのなら、あんな短時間に足止め以外の意味をあの行動に含めてやっていたのなら、広瀬康一も、その意図を瞬時に読み取ったジョルノも何て凄い発想力の持ち主なんだ!

だが、感心してばかりもいられない。仕掛けがわかったのならば、それを使わない手はない。

レーダー代わりにしようとワインボトルを持ってきていたが、これを持ち出していて良かった。

ジョナサン時代に見たツェペリさんがやっていたアレが使える。

俺はワインの瓶の口元を手刀で切り、中身を煽る。

飲むためではない。口の中で充分に波紋を纏わせてから時間を止めてジョルノの死角へ移動し、吐き出す。

「パパウ!パウパウ!波紋カッター!」

一瞬だけジョルノの視界から消えられればそれで良い。

吐き出されたワインは何枚かの円盤状態で固定され、回転を伴ってジョルノの方へと飛んでゆくようにセット。

 

ジョルノ「やけになって直接攻撃してきたか。そろそろしびれを切らす頃だと思っていたんだ」

 

案の定、ジョルノはワインの波紋カッターを俺と誤認し、枝で迎撃をする。

しかし、細い枝など波紋カッターは容易く切り裂く!

 

ジョルノ「しまった!こんな攻撃も!?」

 

とっさに致命傷を避けたのはさすがだ。

だけど、もう遅い。

波紋カッターはジョルノの右腕を切断した。

 

よし、当たった!

目論見が当たって油断した。ジョルノはダメージを負いながらも反撃してきていた。俺に枝が迫ってきていたのに気付き、回避行動を取ったものの、気付くのが遅すぎた。

ドスドス!

枝が俺の左腕と左膝から下の何ヵ所かを枝を貫いた。

超痛い!

 

ジョルノ「とっさの発想でこんな作戦を思い付くなんて、やはり君は油断ならない相手みたいだ。シズカや仗助君が負けたのもわかる気がする。だけど、君には覚悟が足りない。僕は言ったはずだよ。覚悟はできている…と。ギャングが覚悟を決めた時、それはどんな状態になっても、目的を成し遂げる時なんだ。例え最終的に命を落とすことになってもね。腕を一本無くしたくらいで、わめいて叫び転げるとでも思ったのか?」

 

なんて精神力なんだ!

覚悟とは、そこまでの物なの!?

ならば、俺もその覚悟を学ばせてもらう!

 

康一「ジョルノ君!大丈夫!?」

 

康一が窓から入ってくる。

最悪だ。一人一人でも厄介なのに…

そうならないように早目の決着を狙っていたのに、結局二人揃ってしまった!

ヤバい、どうしよう…覚悟、決めなきゃダメ?

 

side 広瀬康一

 

ジョルノ「康一さん、来てくれましたか」

康一「ジョルノ君、腕を!」

ジョルノ「ちょっと切断されたくらいです。めちゃくちゃ痛いですけど、気になりません」

康一「言ってることがワケわからないよ。でも、敵を誉めるのもおかしな話だけれど、凄いね比企谷君。あの歳で静ちゃんや仗助君を負かして、君に手傷を負わせるなんて、将来が末恐ろしい子供だよ」

ジョルノ「でも、今は彼は敵です」

康一「そうだね。君は腕を治療するんだ。僕が時間を稼ぐから」

ジョルノ「…康一さん。アルコールの臭いを辿るのは危険です。彼はスタンドではない、何か特別な力を使ってワインで攻撃してきます」

康一「ジョースターさんの波紋だね?わかった、気を付けるよ」

 

僕は臭いを辿って近付く。ような音をact1で作って様子を伺う。

シュルルルッ!ドスッ!ドスッ!

危ない…迂闊に近寄ったら致命傷をもらっていた。

ジョルノ君が言うように、臭いで辿るのは危険だ。

だったら、他に彼を探す方法は無いか?

 

あるっ!エコーズは音のスタンド。音を能力にしたからか、本体である僕も音に関して敏感になっている。

耳をすませると微かにコオォォォ…という呼吸音が聞こえる。

見つけた!

僕は別の方向から飛んでくるアルコールの臭いを無視して接近する。

射程五メートル以内!肉眼で彼を捉える!

 

康一「行けっ!エコーズ、act3、スリーフリーズ!」

八幡「があぁ!」

 

重力で重くなって崩れる比企谷君。

元々の負傷に加えての重力の加圧が加わり、立っていられなくなったみたいだ。

このまま重圧を加え続けていれば勝てそうだけど、その間に何をしてくるかわからない彼だ。

それに、いくら強いといっても子供をこれ以上痛め付けるのは心苦しい。

だから

康一「終わらせるよ。比企谷君」

僕はトドメを刺すために一気に殴りかかる。

 

ジョルノ「いけない!罠だ康一さん!崩れ落ちた振りをしたんだ!」

八幡「イグザクトリー」

 

え?

 

side 比企谷八幡

 

花京院が眠る墓地で暴走していた時の記憶を何も覚えていなかった訳じゃあない。

ジョセフのじいさんにやられる直前、俺に襲いかかった突然の重圧。

それが康一の攻撃だったと朧気ながらに覚えていた。

賭けだった。

二人を相手にさっきまでみたいなチマチマした攻撃をしていたのではいずれ負ける。

出血とアルコールでジワジワ消耗してしまうのも問題だった。

ならば、ダメージを受けるのを覚悟で賭けにでるしかない。

ジョルノが動かないのならば、先に康一を誘い込んで倒す。

ワインスラッシャーでの分身攻撃での臭いの分身。

あんなのが何度も通用するなんて考えてはいない。

あれだけの天才に同じ手が通用しないのはわかっていた。

相手もそうだろう。別の方法で俺を特定してくる。ならばこちらからわざと位置を特定させれば良い。

康一のスタンドは音を扱う。ならば音に敏感だろう。

そう当たりを付けていたが、正解だった。

確信があったわけではないから不安だったが。

普通ならば聞こえないくらいの小さな波紋の呼吸。

それをわざと漏らした。

耳聡く聞いた康一は俺に接近してきた。コレが第一の賭けで、罠だ。

上手く誘い込ませた俺は、それを悟られないように驚いた表情を作る。

ジョナサンもその手の演技が苦手で、それが俺にも受け継がれてしまったから、ニヤケ顔が表に出ないようにするのは苦労した。

ジョセフとかだったら、その鋭い洞察力で見破られていたかも知れないが、どうやら成功したようだ。

 

康一「スリーフリーズ!」

八幡「があぁ!」

 

予想通り、重力攻撃が来た。

これも敢えて食らう。半径五メートル。まだ射程外。

足をやられて機動力が落ちた今の俺ではまだ遠い。

這いつくばり、痛みに耐える。

超痛いが、ここが耐えどころだ。

第2の賭け。

ここでその場で留まられては俺の負け。

だが、康一の雰囲気は根本的に優しく、そして甘い。

必要以上に俺を苦しませることはしてこない。

そしてその賭けにも勝った。

 

康一「終わらせるよ。比企谷君」

 

康一は俺にトドメを刺しに来る!

 

八幡「相手の優しさに付け込むやり方は好きじゃあないが、ポリシーを棄てる…それも一つの覚悟だ!あんたの優しさを利用するようで本当に心が痛む…でも、もう余裕が無いんだ。…もう作戦は上手くいっちゃってさ…気の毒だけど…」

 

ジョルノ「いけない!罠だ!」

 

もう遅い!

 

八幡「ザ・ワールド!」

 

世界が止まる。

重力の圧力もそのままだが、痛みを我慢して立ち上がる。

 

八幡「時間停止で聞こえないだろうが、言ってやる。お前は覚悟がある人だよな?俺にトドメを刺しに来たのなら、逆に俺にトドメを刺される危険が常にあると来ている人だよな?」

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!無駄ァ!」

八幡「そして時は動き出す…」

 

ドバギャアン!

 

八幡「コレが、俺の覚悟だ。見たか?ジョルノ・ジョバーナ」

 

広瀬康一、再起不能(リタイア)

 

←To be continue

 

 




なっが!

元々ジョルノ戦はネーミングの段階でも長くので分割してやるつもりでしたが、本当はここで終わらせるつもりだったのですが…。

ジョルノ戦も佳境に入り、残るやり取りも少ない予定ですが、心理とかを描写すると、また予想外に長くなるかも…(^_^;)
行程や戦闘のやりとりは幼少期編の最後まで決まっていますが、台詞や心理描写は書きながら考えていますので、どこにどんなネタを持ってくるかはその場のノリでやっています。
よくあるキャラクターが勝手に動いてくれるというやつです。
手綱を握るのが毎回本当に大変なんですよね(^_^;)

前回と今回のサブタイトルは「広瀬康一(エコーズ)」と「僕はギャングスターに憧れる」からもじりました。
本当にタイトル通り、二人には手を焼いてますしね♪
(作者も手を焼いているので、皮肉にしかない)


さて、前回でリスペクトした康一君にリタイアしてもらいましたが、八幡が康一に言った「心が痛む」のくだりの台詞に気付いてもらえましたでしょうか?
奇しくも第5部でジョルノが康一の荷物を売り払った後に口では謝罪しながらも、一切心がこもっていない言葉をしていましたが、それの焼き増しをさせていただきました。ジョルノと康一が揃っているこの場面にピッタリはまっていると思って頂ければ幸いです。

また、ジョルノの言う覚悟。原作の八幡に覚悟はないのか?と聞かれれば、形は違えど答は否。
と作者は考えています。
高校の入学式には八幡は犬を庇って車にひかれ、文化祭や修学旅行では奉仕部が受けた依頼だから…という理由だけで自分の立場が相当に悪くなるとわかりきっていることを承知でほとんど関わりのない相手を庇いました。
結果は誰にも感謝されなかったどころか、中には庇われたことにすら気付かなかった者達からのさらなる追い討ちが待っていましたが…(解釈はひとそれぞれでしたから何とも言えませんが)。
そんな八幡とジョルノ達ブチャラティのチーム。
何か似たような物を作者は感じました。

では、次回もまたよろしくお願いします。

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