やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ぼーなすとらっく『例えばこんなバースデーソング』4

side比企谷八幡

 

由比ヶ浜がケーキを口に運ぶと、数秒してから感嘆のため息をついた。

 

結衣「んん~、ゆきのんの手作りケーキ、おいっしー!」

 

雪乃「そう、喜んでもらえてよかったわ」

 

海老名「ほんとに美味しい!雪ノ下さん、結婚しても余裕だね!ね?承太郎」

 

承太郎「俺は既にバツイチだ……ん?外が騒がしいな」

 

確かにガヤガヤうるさい。なんな独神の声が聞こえるような気がしたが…。

 

平塚「何故だ!何故私が追い出される!くそっ!カラオケでも行って憂さ晴らしだぁ!ラブソングなんて歌わんぞ!詐欺で欺瞞で嘘ばかりだ…。ぅぅ…汐華からは何の指示も来ないし…」

 

何かが走り去る音が聞こえる。まぁ、あの様子なら何かを仕掛けてくる事もしばらくないだろう。休職しているのも汐華の指示だろうし。確か隣の小ホールは婚活パーティーの会場だったよな?案外生活には余裕あるのかも知れない。

あんな高級車(基本世界情報。あっちではストレスに任せてめっちゃ破壊しました)を乗り回しているくらいだし。

そう言えば綾瀬香澄が死んだ今、誰が独神に指示を出しているんだろ?まぁ、今は泳がせておこう。

出来れば泳いだままでいてもらいたい。柱の一族の聖地なんてもうしばらくは出てこないでくれ。

そう思いながら、俺もケーキを口にする。雪ノ下が作ったケーキを食べることは残念ながら会社の命令で不可能だが、ホリィさんが作ったケーキならば許可は下りている。お?ウマイ。オリジナルと同じように作ったと言うから、雪ノ下の料理の腕は相当な物だと推測できる。

オリジナルを食べられないのは本当に残念だ。

 

戸塚「あれ?これって桃が入ってるの?」

 

雪乃「ええ。良いのが出回り始めたから、お給料で買ってみたわ」

 

実際、レプリカとはいえ雪ノ下のケーキは新鮮な桃がふんだんに使われた上品な物だった。その美味しさに舌鼓を打っていると、材木座がおもむろに語り出す。

 

材木座「八幡、桃はな古代中国では不老長寿の秘薬として重宝されていたのだ。実にめでたい食べ物なのだぞ?」

 

八幡「へえ……その雑学は凄いな。もし雪ノ下がそれにちなんで使ったのなら、縁起があって誕生日ケーキにふさわしい食材だな。直接由比ヶ浜達に言ってやれば雪ノ下と由比ヶ浜的にはポイント高かったと思うぞ?」

 

雪乃「よく知っていたわね?材木座くん。その通りよ」

 

結衣「へぇ!さすが中二!ゆきのんの隠された気持ちがわかって幸せだったよ!」

 

材木座「う、うむ……実は露伴先生の資料に書いてあったのだ。自分だけの知識ではない」

 

材木座は女子二人に誉められて頭を書いて照れていた。

何だって良いんだよ。お前だって青春を謳歌する権利はあるんだ。

 

露伴「そう言えば、今日総武高校から帰る時に生徒会室から出てきた女の子が僕を見て驚いていた。その後に頭痛に耐えるような仕草をしていたのだが何だったのだろうな?」

 

陽乃「生徒会室から?多分、めぐりだと思うけど、どうしたんだろ」

 

生徒会長の城廻先輩と露伴先生?共通点なんてないぞ?

城廻先輩は千葉支部の顧問弁護士だから、会社としては接点があるが、城廻弁護士事務所は外注組織だし、露伴先生だってアーシスではあるけれど、普段は会社の人間ではない。たまに会社の商品やイベントのポスターで依頼するだけだ。城廻先輩はどうしたんだろ。

俺達も城廻先輩とはまったく接点がない。あるのは会社と城廻弁護士の間を取り持った陽乃さんくらいだ。

その陽乃さんにしたって小首をかしげて本気でわからないといった顔をしている。

そんな事に気付いていない小町はレプリカのケーキを頬張って幸せそうな顔をしている。

 

小町「ん~!雪乃さんって料理上手ですね!ホリィさんも特にレシピに手は加えて無いんですよね?」

 

ホリィ「そうですよ?おばあちゃん。全部雪乃ちゃんのレシピ通りよ?雪乃ちゃんってお料理上手よねぇ。エンポリオちゃんのお嫁さんにどう?」

 

小町「やめておばあちゃんって言わないで前世の現実を突き付けないで」

 

そう言えば魂の血縁上、リサリサはホリィの祖母だったっけ。ややこしい。天然なホリィさんだから何度注意をしても小町をおばあちゃんって言う。俺の事もたまにひいおじいちゃん、いろはをひいおばあちゃんって言うしな。確かに半分はそうだけどさ!

 

京華「ホリィちゃんはリサリサ様が大好きだったもんね!リサリサ様……じゃあなくてまーちゃん!」

 

小町「スージー…」

 

雪乃「仲が良いわね。小町さん」

 

小町「ええ…たまにおばあちゃんって言われてへこみますけど……。それよりも雪乃さんのケーキの事ですよ!プロ級に美味しいじゃあないですか!ホリィが絶賛するほど!」

 

雪乃「エンポリオくんのお嫁さんはともかくとして、料理の腕はそれほどでもないわ。小町さんだって家では料理しているのでしょう?」

 

小町「はいー、うちは両親共働きですから小町が作ってますね。小町達兄妹も働いてますけど、まだ学生と言うこともあって、残業はあまりないですから。決算期以外は……」

 

八幡「あとドンパチ中もな」

 

小町「やめてお兄ちゃん…だから今はお祝いの席なんだから血生臭くしないでドンパチの現実を突き付けないで…ポイント低いよゴミぃちゃん…。でも、昔はお兄ちゃんやお姉ちゃん達が料理を作っていたんですよね」

 

すると雪ノ下と由比ヶ浜、それに川崎一家以外の最近アーシス入りした奉仕部の面々が目を見開く。

 

三浦「うそっ!ヒキオが?あのDIOが!?」

 

海老名「嘘でしょ!いろはすやジョジョっちはわかるとしても!」

 

戸塚「ディオはともかく、ジョースターさんだって料理は得意じゃあなかったのに!?」

 

そんなに驚く事か?

 

八幡「まぁ、確かにジョナサンもディオも前世では料理なんてしてこなかったけどな?小町が小学校高学年に上がるまでは俺とジョジョといろはで作ってた。おかげで下地が出来てたからイタリアンレストランで修行して、今ではパッショーネでも納得して貰えるレベルだ」

 

トニオさん直伝だな。昔は苦労したけど、ある意味天才的才能のディオのおかげかもな。

 

DIO『大いに感謝するが良い!八幡!』

 

ジョナサン『そこで黙っていれば株があがるんだけどね?ディオ?』

 

やかましいわ前世ども。

 

八幡「この比企谷八幡は小学生にしてこの世の家事の頂点に立ったのだ!いつでも専業主夫としていろはに嫁ぐ覚悟は出来ているのだ!フハハハハハハ!」

 

俺が声高々に宣言すると、ジョースター家が頭痛でもするかのようにこめかみを押さえる。

 

仗助「グレート……まだ諦めてないのか…」

 

承太郎「それもいつも以上に目を腐らせて…」

 

ジョセフ「こんな奴の前世相手にワシらは危うく全滅しかけたのか…人生そのものが戦いから逃げておるというか……」

 

ジョルノ「12年前もですよね……覚悟のレベルが下過ぎる。ある意味で暗闇の荒野に一筋の道を作っているけれど」

 

徐倫「アメリカ式、イギリス式、イタリアナポリ式、日本のフィンガー、くそったれはこれで会ってる?」

 

好き放題歴代ジョジョ達に言われまくってるな…

 

いろは「良いですよ?その代わり、ハチ君は仕事で疲れたわたしをたっぷりと癒して貰いますよ?毎晩たーっぷりと♪」

 

小町「小町にもね♪」

 

陽乃「お姉さんにもたっぷりと」

 

結衣「こっちはこっちで何か違う……」

 

持つかな?体が。それに………そんな未来でも…俺は欲しかった(・・・・・)

 

雪乃「あ、料理で思い出したわ。はい、由比ヶ浜さん」

 

雪ノ下は鞄からがさごそと何かを取り出し、由比ヶ浜に手渡した。

 

結衣「な、何かな?」

 

雪乃「誕生日プレゼントよ。あなたの趣味に合うかはわからないけれども」

 

八幡「三浦とかにも相談にのってもらっていたよな」

 

三浦「余計なこと言うなし、ヒキオ」

 

三浦がマジシャンズ・レッドを出すときの構えを取る。

やめて、怖い。

 

結衣「ゆきのん…優美子…あたしのために…ありがとう!開けて良い?」

 

雪乃「ええ…どうぞご勝手に」

 

少し照れた雪ノ下に一際明るい笑顔を見せて由比ヶ浜がラッピングを解く。

 

結衣「エプロン…ありがと!大事にするね?」

 

本当に嬉しそうな笑顔に雪ノ下はほっとした表情をする。

 

雪乃「私としては飾られるよりも使ってもらった方が嬉しいのだけれど」

 

結衣「うん!大事に使う!」

 

小町「じゃあ次は小町から。写真立てですよ?」

 

結衣「小町ちゃんもありがとね!」

 

小町「写真はこれなんてどうですか?土曜日にアーシスのみんなで撮った写真です。ミドラーさんやダービーさん、ミスタさんやアナスイさん、杜王町の人達も写っていますし、丁度良いと思うんですよ」

 

結衣「うわ………アメリカ大統領まで写っちゃってるけど大丈夫なのかな…あたしみたいなただの高校生と一緒に写っちゃってて……」

 

ヴァレンタイン「構わない。私自身が許可しよう」

 

……………………。

閣下ーーーーー!いつの間に現れたんですかー!

 

結衣「はっはー!」

 

何で億泰さんみたいに土下座する!イッシキもやってたな!

 

ヴァレンタイン「日本のその風習は実に面白い。楽にしたまえユイ・ユイガハマ」

 

承太郎「それで、閣下。まだ日本にいらしたのですか?」

 

ヴァレンタイン「いや、D4Cで来た。すぐに戻らなければならないのでね。会議の休憩時間を利用してここまで来たのだよ」

 

立派に密入国ですよ?閣下。

言ってもナプキンを取れる者理論が炸裂するだけだし、絶対に敵に回してもいけない人だけど。

あ、でも一巡した世界のジョニー・ジョースターと戦った人とは敵対したっけ。

勝手にどジャアァァァンされたから頭に来たし、閣下もやっていいってお許し下さったし。

あいつのジョニーは、あのジョニーと関係あるのか?

まぁ、今はどうでも良いか。偽名を名乗っていたからには何か理由があったのだろう。

偽名を名乗っていた腹いせは何回かやったし。

リバース・タウンで不幸にしたり、声が似ている奴等で関係者を呼びつけてジョジョに演技させたり、川崎仕込みの催眠術で海の上で自分同士で精神世界でドンパチさせたり。仕返しもされたけどな。

仕舞いには閣下直々にいい加減にしろと怒られたけど。自分もノリノリだったくせに…。やっぱり世界のトップともなるとストレス解消も普通じゃあないのか?

 

あ、気が付いたらプレゼント渡しは俺が最後になっていた。閣下も待ってくれているし、モタモタしていたら失礼だ。

 

八幡「俺のは…由比ヶ浜自身へでは無いんけどいいか?」

 

結衣「う、うん…」

 

八幡「イギー。こっちへ」

 

サブレ「あう?」

 

結衣「イギーじゃあなくてサブレ!サブレも返事しないで!」

 

サブレ「バウバウ!」

 

俺に呼ばれてイギー……ではなく、サブレがこっちに来る。

 

八幡「ほれ、特製のコーヒーガムMAXコーヒー味」

 

一同「おいコラ(# ゜Д゜)最低の誕生日プレゼントだな」

 

全員がずっこけて(承太郎やジョルノ、ダービーさん達のずっこけなんて珍しい。大統領は爆笑している)、総ツッコミをもらう。

イギー本人?はめっちゃ嬉しそうだけどな。

でも、本命はこれじゃあない。

夢中でガムを食べているイギー…じゃあなく、サブレの壊れている首輪を外し、代わりにららぽで買った首輪を着けてやる。

 

サブレ「あう?」

 

結衣「首輪?サブレの?」

 

八幡「ああ。思えばイギーの転生である俺とこいつの出会いが全ての始まりだったからな。だから、出会いの証も兼ねて、サブレの首輪を贈ってみようと思った。どうだ?気に入ってくれたか?イギー」

 

サブレ「ハッハッハッハッ!」

 

ペロペロ……。

イギーのやつ、本当にあのひねた犬だったのかね?

カワイイじゃあないか………ん?

イギーは俺の顔までよじ登り…。

 

ポルナレフ「お?これは…」

 

プゥ~………

 

………………やっぱりお前は安定のイギーだ。

やってくれるじゃあないか。アホ毛をむしろうとしてるし!

 

海老名「フハハッ クックックッ ヒヒヒヒヒケケケケケ ノォホホノォホヘラヘラヘラヘラ アヘアヘアヘ」

 

承太郎&ポルナレフ&三浦「ギャハハハハハハハハ!」

 

ジョセフ「おい、海老名、承太郎、ポルナレフ。失礼じゃあないか………ププッ……ブフフ…ワァッハッハッハッハッハッ!」

 

いるんだよな…。クラスに一人は必ず「やめてあげてよー!」とか言いながら積極的に参加してくるヤツが…。

 

八幡「ジジイ………表出ろ……」

 

ジョセフ「ワァッハッハッハッハッハッ!悪かった!落ち着け八幡!ブフフフフ…逃げるんじゃよォォォー!」

 

八幡「待てこのクソジジイ!」

 

俺とジジイの追いかけっこが始まった。

 

承太郎「やれやれだぜ。なぁイギー?」

 

サブレ「バウッ!」

 

承太郎「いつの間に俺の帽子にガムをくっつけやがった…やっぱりただ者じゃあねぇ…」

 

←To be continued




次回で第3巻ラストです。

そして…第3章のラストを飾る第四巻へと続きます。

それでは次回もお願いします!

原作との相違点

平塚先生は婚活パーティーで追い出され、カラオケボックスで憂さ晴らしに八幡は遭遇➡追い出される現場を聞いてしまう。

材木座の桃に関する雑学は八幡のみ聞いていた➡雪ノ下
と由比ヶ浜も聞いており、ポイントアップ。

めぐり先行登場のフラグ

八幡の嫁候補として小町が雪ノ下と由比ヶ浜をロックオン➡孫のエンポリオの嫁候補としてホリィが雪ノ下をロックオン。

八幡が犬の首輪を渡すのは教室で➡少し遅れて会場で。

首輪を由比ヶ浜が自分のチョーカーと勘違いしてはめ、勘違いとわかったら早く言え、と包み紙を八幡に投げつける➡前者はともかく後者このシーンは酷い!直接サブレに渡す。

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