やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ぼーなすとらっく『例えばこんなバースデーソング』2

side比企谷八幡

 

夕暮れの海浜幕張駅前は車や人が行き交い、喧騒に満ちている。その雑踏を俺達奉仕部は歩く。

 

八幡「悪いなみんな。無理に付き合わせて」

 

戸塚「ううん。そんなことないよ」

 

三浦「あーしらもユイにプレゼントを渡したかったし」

 

陽乃「ジョースター家が企画して、誘ってもらえて凄く嬉しいんだからね?」

 

みんなの心意気に全俺が泣いた。

 

八幡「ううう…みんなが良い奴過ぎてうれし…これで聖地が俺の誕生日の後に見つかってくれるなら、もしかしたら俺も…はっ!俺は比企谷八幡である前にDIO…。冷静になれ、使命を思い出すんだ比企谷八幡。誘惑に惑わされるな…。柱の一族を何とかするのが俺の使命…。邪悪の化身に幸福は不要。邪悪の化身に幸福は不要…」

 

沙希「………比企谷………あんたは……」

 

承太郎「…………」

 

雪乃「また何か企んでるの?比企谷くん?ホテルに着いたわよ?」

 

雪ノ下の冷めきった声で現実に引き戻された頃には目的地にたどり着いた。

そして、今日の小ホールはジョースター家ではなく、奉仕部で予約してある。カラオケ付き、食事持ち込みと、いつものパーティーに比べたら場所以外は派手な事は何一つないパーティー。

ただし、お祝いの心意気だけは充分に込めたつもりだ。

 

小ホールの階に着いたとき、小町が野暮ったい中学の制服で中から現れた。

 

小町「あ、お兄ちゃん」

 

先に社内の仕事を終わらせ、準備に来ていたであろう小町がエンボス手袋を外して駆け寄ってくる。

 

八幡「おお、小町。先に来ていたのか」

 

抱きついて来た小町を受け止め、頭を撫でながら尋ねる。

 

小町「うん……なんかにらみ合いながら仗助お兄ちゃんやお姉ちゃんや露伴先生が社長室(三部長室)に入ってきて屋上ヘリポート直通エレベーターに乗り込んだからさ…不穏な空気を感じて逃げてきた…雪乃さんのケーキをお姉ちゃんから預かったから、会場に届けにいくーって……あれ、ケンカだよね?遊戯部で何があったの?お姉ちゃんまで一緒になって…」

 

小町がげっそりして答えた。だよねー。好き好んでケンカの現場にいたくないよねー。あの二人が屋上ヘリポートに行ったときは本来の目的で使われる事はまずあり得ない。大抵殴り愛を始める為だし。

でも、いろはを巻き込んだのは下策だ。一見ナイチンゲール・エメラルドは戦闘に不向きに思われがちだが、まったく戦闘に向いていないかと言えばそうではない。

意識を失わず、欠損さえしなければいくらでも復活が出来る。ヘブンズ・ドアーを解除するエスナモードも含めて。

事実、いろはが本気を出して勝てなかった奴は綾瀬絢斗くらいのものだ。あいつにすら唯一勝てた奴だぞ?作戦勝ちだったけど。

 

結衣「やほー、小町ちゃん」

 

小町「どうもどうも。今日はお招きに応じてくれてありがとうございますー♪」

 

結衣「こっちこそ。招待してくれてありがとね?で、これって何の集まり?」

 

小町「それは始まってからのお楽しみですよ♪結衣さん♪」

 

由比ヶ浜は小町のかわいさにやられてため息を吐く。

 

結衣「う、うん。はぁ……小町ちゃん良いなぁ。こんな妹が欲しかったなぁ…。戦いや訓練となると凄く怖いけど。スタンドの能力も含めて…」

 

八幡「小町はやらん!小町は俺といろはだけの妹だ!誰にもやらん!百歩譲って仗助とジョジョとジョルノと徐倫の妹だ!」

 

絶対に誰にもやらん!エンポリオ以外は!

すると由比ヶ浜はさっきとは別種のため息を吐く。

 

結衣「出た、シスコン……はぁ…」

 

小町「この種の発言は昔からです。昔はゴミぃちゃんって言ってましたけど、今はこのシスコンが心地良かったりしています。絶対に落とします」

 

結衣「こっちはこっちで手遅れなブラコンだ…。ヒッキーの方がまだマシなくらいだ…」

 

む?小町相手ならジョースケ上等だぞ?でもエンポリオも頑張れ!俺にはいろはがいる!

 

八幡「とりあえず、雪ノ下と三浦と海老名と川崎兄弟は外で待っててくれ。俺も準備に加わってくる」

 

承太郎「俺達も行こう。少しはお袋や朋子さんの手伝いになるだろう」

 

徐倫「じゃあ、あたしも」

 

ジョルノ「いや、承太郎さんと徐倫も僕達と一緒に外で待ってますよ」

 

京華「はーちゃん!けーかも準備手伝うよ?ホリィや朋子さん達とも久しぶりに一緒にいたい!」

 

沙希「あ、あたしも。飲み物とか」

 

八幡「偉いぞー?けーちゃん。じゃあ、一緒に準備しようなー?川崎は由比ヶ浜と一緒に待っていてくれ。行くぞ?ジョジョ、小町。………いろはがいないとしまらないなぁ」

 

結衣「あたしもやるよ?」

 

主賓に手伝わせるか!主賓と知らないから、気を使うタイプの由比ヶ浜なら手伝いを申し出るか…いや、少し考えればわかるはずなのに失敗したな…。材木座風に言えばドジこいたー!

 

沙希「はぁ…わかったよ。由比ヶ浜、一緒に三浦達と話をしていよう。あたし達の為に準備してくれているんだから、招待客があまり気を使うもんじゃあないよ」

 

ナイスフォローだ川崎!8秒だけウッペリの件は忘れてやろう!

……8秒。金縛りの件は忘れん!ウッペリ!

………それに、余計な事は喋るなよ?

 

 

side由比ヶ浜結衣

 

ヒッキーと小町ちゃん、スタッチが会場に入ったいっちゃった。空条先生達は残ってお話をしている。

 

三浦「承太郎達は準備しないん?」

 

承太郎「アヴドゥル……俺達がこういうのが得意だと思えるのか?」

 

三浦「ごめん……むしろ逆の結果になりそうだし」

 

うーん。意外だなぁ。空条博士やジョルノさんがパーティー準備が苦手なのって。普段から慣れているかと思ったのに。

 

徐倫「主催するとか、会場の設置を指揮するとかなら確かに慣れてるんだけど、こういったホームパーティーの沿線上にあるものは苦手なのよ。ジョースター家の性よね」

 

仗助「その通りだ…」

 

声がして振り向いて見ると………

 

結衣「ヒイィィィィィィ!」

 

ボロボロになっている東方会長と岸辺露伴先生と中二がいた。

服だけはピシッとしているだけになおのこと顔中のアザや引っ掻き傷が余計に目立っていて怖いんですけど!

いろはちゃんだけはケロッとしている。

 

大志「社長…よくホテルに入館できましたね…さすがにオーナーと言えどもこれはまずくないですか?」

 

そっか。このホテルってコンチネンタルホテルの意味合いもあるからドレスコードは厳しいよね?さすがのオーナーでも止められる

 

仗助「ああ……オーナーだからこそ門前払いは避けられた…だけど、正面から入れて貰えずに裏口から入らされた…。頼むからいろは、治してくれ。クレイジー・ダイヤモンドは自分自身は治せないんだ…」

 

いろは「だったらケンカを売らなければ良いじゃあ無いですか。わたしの制服も1着ダメになったんですけどー?会社に予備を置いておかなければ今頃スーツ姿で来なければならなかったじゃあ無いですか。宝物のカーディガンまでボロボロにされていたらハチ君に泣きついてましたからね?」

 

いろはちゃんはプンスカ怒っていた。

ケンカはいろはちゃんが勝ったらしい。

 

仗助「自分自身を治せるって反則だよな…露伴」

 

露伴「まったくだ……一色いろは。頼むから治してくれないか?このままパーティーに出席するのはみっともない…」

 

材木座「ただ取材に行っただけでこの仕打ちはひどいのではないか?一色いろは嬢。そして東方会長!いろは嬢はともかく、会長だって自分を治してくれていないじゃあないですか!」

 

仗助「俺が治してくれていねぇのに、何でテメェらだけ治さねぇといけねぇんだよ!」

 

露伴「ふん、心が狭い君らしい発言だ。そんな事でSPW財団は大丈夫なのかい?候補を1つ下げるのが良いと僕は思うね」

 

仗助「余計なお世話だコラ!」

 

またケンカを始めそうな二人。

いやー、噂には聞いていたけど東方会長と岸辺露伴先生の仲の悪さは相当だ。両方と上手く付き合えてるヒッキーとスタッチは凄いなぁ。あたしには無理。東方会長はともかく、岸辺露伴先生は何度か顔を合わせたけど相容れないって言うか好きになれそうもない。

 

結衣「それにしても、いろはちゃんって強いんだね?」

 

仗助「強いというより、厄介なんだよ。戦闘力そのものは大したことはないんだが、一息に気絶させないと自分で傷を治して何度も何度も攻撃してくるからきりがねぇんだよ」

 

露伴「おまけに八幡くん譲りの死んだふりが得意だし、泣いたふりも得意だから隙を見せた瞬間にはかなり強烈な不意打ちをやってくる」

 

材木座「しかも隙を見せた振りには引っ掛からないんだ。本気で意識が他に向いた瞬間に攻撃が襲ってくるんだ。厄介にも程がある」

 

いろは「わたしに化かし合いで上に行こうだなんて甘いんです♪それに、ナイチンゲールをバカにしたんですから、その恩恵に預かれる訳がないじゃあないですか。反省してください♪」

 

仗助「これで男を手玉に取るような性格だったら刺されてるぞ…オメェ」

 

いろは「刺されても問題ありません♪いくらでも治しちゃいます♪」

 

いろはちゃんはもういいかなって感じで東方会長達に治療の弾を飛ばした。

 

ジョセフ「………八幡が陥る事態が、いろはの力で何とかなるレベルなら良いのじゃが…」

 

え?ジョセフさん、どういうこと?

ヒッキーに何か起きるの?嘘だよね?

 

小町「みんなー!準備できたよー!」

 

あ、じゃあ入ろう!

 

三浦「ユイ、あんただけは良いって言うまで待つ」

 

え?あたしだけ何で?

優美子は理由を言わずに中に入っていっちゃった。

 

そして待つこと十秒後………。

 

三浦「ユイ!入ってくるし!」

 

優美子に呼ばれ、あたしは扉を開けて中に入った。

 

パパパパパパパン!パン!

 

あたしが入った瞬間、沢山の人がクラッカーをあたしに向けて弾けさせた。

 

一同「happy birthday 由比ヶ浜結衣

 

自分に何が起きたのか理解したのはそれから数秒の後の事だった。

見たらパパやママ、サブレもいる。

今日助けてくれたダービーさんや、五十代なのにいまだにキレイな姿を維持しているミドラーさんとその二人の子供、アーシスの中でも最古参の人である大先輩のミスタさん、普段は滅多に会えない広瀬康穂ちゃんもいる。

 

わたしは嬉しくなって目から熱いものが流れた。誕生日をお祝いされたことは何度もある。

でも、こんなに沢山の人から心よりお祝いされたことなんてない。

 

八幡「おいおい。誕生日を祝われるなんて慣れっこだろ?何で泣いてんだよ」

 

結衣「うん……でも、誰もがみんなこんなに心からおめでとうって言ってくれた誕生日はなかったんだ。それがホントに幸せで……ううう……ありがとう……みんなありがとう!」

 

あたしは並んで立っている空条先生とゆきのん、それに優美子に飛び付いて嬉し涙を流した。

ホントに幸せな誕生日だ!

 

←To be continued




はい!まだまだ続きます!ぼーなすとらっく!
順番が変わったプレゼント渡しなどなど!
平塚先生の出番はないですけどね?

それでは原作との相違点。

由比ヶ浜と平塚先生のシーンはカット。平塚先生は休職中。

材木座が乱入するシーンはカット。最初から誘われています。

戸塚を誘うシーンもカット。最初から誘われています。

八幡が戸塚に対して急に誘った事に応じてくれた感謝の言葉➡みんなに対しての言葉。そして、自分の運命を受け入れている言葉

小町は誘われてやって来た➡小町も主催側

由比ヶ浜、八幡と何気に二人きりになりたがる➡八幡争奪戦から離脱してます。

義姉候補の由比ヶ浜と雪ノ下の品定めをする小町➡お姉ちゃんは決まってます!そして自分自身も候補に入れてます!康穂も含めてるかはまだ不明。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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