やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの八幡の冒険!

静を下した八幡に対し、妹をいじめられたと勘違いした東方仗助は、激怒して八幡に襲いかかる!
激しい猛攻の中、ついに八幡は自らの意思でザ・ワールドの力を使った!
しかし、仗助もアメリカで承太郎との訓練で時を止める戦いには慣れていた!
互いの読み合いの末(というほど立派ではない)、仗助の秘策を逆手に取った八幡は仗助に勝利。
二人が互いの健闘とシスコンを称え合い、意気投合したのも束の間、またもや八幡に試練が訪れる!
イタリアマフィアのボス、ジョルノとSPW財団の若きホープ、康一!
機転と奇策の天才に八幡は勝てるのか!

そして作者はこの二人を扱い切れるのか!?


僕は広瀬康一(エコーズ)に手を焼く

side 比企谷八幡

 

ホテルロイヤルオークラ最上階、高級ラウンジバー、エンジェルラダー天使の階。

下のスイートルームから逃げてきた俺は、展望窓をぶち破り、この店内に逃げ込んだ。

戦うにしてもやり過ごすにしても、二人相手に下の部屋では狭すぎる。

特にジョルノという男は仗助のように下手な油断はしなさそうに見える。

 

店員「な、何だ!?」

店員「窓が割られてる!」

店員「子供が飛び込んで来たぞ!一体どうやって!」

 

やば。そりゃ営業時間外でも、そりゃ準備とかで従業員はいるよな…却ってやり辛くなってしまった。

下手をしなくても通報されて問題が大きくなる。

 

康一のスタンド「逃がさないぞ!比企谷君!」

 

俺が侵入したコースから緑色の変な形をしたスタンドが浮いて入ってきた。

空を飛べるとか卑怯じゃね?

とりあえず、時間を止めて隠れよう!

 

八幡「ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

時を止めた俺はザ・ワールドで浮いているスタンドを一発殴ってカウンター内へと飛び込む。

時間稼ぎが目的なので、殴った威力は低い。だが、軽く吹っ飛ばせるくらいには出来るだろう。

時止めの時間も含めれば見失わせる事くらいは出来るはずだ。

 

八幡「そして時は動き出す」

 

世界は色を取り戻し、時間が流れ出す。

 

店員「え?子供が消えた?」

店員「え?錯覚?」

 

店員達が俺を見失い、ザワザワとし始める。

とりあえず、これで時間は…

 

ダダダダダダダダダ!

 

突然マシンガンのような射撃音がとどろく。

 

バリンバリンバリン!

 

カウンター内の酒瓶からも砕ける音がする。

 

店員「銃声だ!逃げろ!」

店員「俺が先だ!どけ!」

店員「うわぁぁぁぁ!死にたくない!どいてくれぇ!」

 

店員達は我先にと逃げ始める。

…極限状態になると人間って本性でるよね?

っていうか…

 

八幡(やるか普通!?子供一人捕まえるのに重火器を使うとか、やるか普通?!)

 

あまりのぶっ飛んだやり方に舌打ちをするが、ふと気付く。

 

八幡(ボトルが割れてなくね?)

 

瓶が割れていればカウンターの内部は割れたガラス片が転がっているはず。それが全く無かった。

 

八幡(そうか!あれは音を出すスタンドだったのか!)

 

ボトルをよく見ると、「バリン」と書かれている。

いつの間にあんなん書いたの?

あれが音を出してると見て良い。

店員を巻き込まない為に逃がす為、そして俺をあぶり出す為。

下手な所に隠れれば銃で撃たれれば逃げ出すし、動かなければ安全な場所に隠れている。

このカウンター内のように…

一般人の避難と俺の場所の特定。一石二鳥のやり方を打ってきた!

やられた…恐らくはもう、この場所は特定されていると考えて良い!

だが、一般人がいないなら攻撃に出ても良いだろ。

恐らくあのスタンドは遠距離型だ。

パワーはない。それに、音のスタンドという種はわかったのなら、そう警戒する必要はない。

本体やジョルノが来る前に倒してしまおう。

だが、動く事が出来なかった。

バリンバリン!

今度は瓶がいくつか割れだした!破片や酒のアルコールが降りかかる。

 

八幡(は?音を出すスタンドだったんじゃなかったの?何でホントに瓶がわれてるの?八幡わかんない)

 

 

side 広瀬康一

 

上の階に逃げた彼を、僕はエコーズを飛ばして後を追わせた。

スピードやパワーはact2やact3の方が上だけど、act1は射程が長い。

無理に上の階に侵入した彼は、しかしその階にある店員の注目の的だった。

一般人の存在が彼の動きを少し遅らせる。

 

康一「逃がさないぞ!」

 

僕の本体からはそれほど離れていない。act3は射程外だけど、act2ならばギリギリ使える!

だが、いきなり頬に衝撃を受けて視界が変わる。

時間を止められ、殴られたみたいだ。

視線を戻すと彼の姿は消えていた。

逃げるのを優先したのか僕の視線を外すための攻撃だったようだ。

視線を外させたということは、まだそれほど長くは時間は止められないのだろうと予想する。

そうでなければ本格的な攻撃を受けているか、エコーズを放っておいて遠くへ逃げていたはずだ。

中途半端な行動しかできなかった事を考えれば、まだ視界に入れられる範囲で隠れている可能性が高い。

 

康一(まずは足止めだ。act3を使える範囲内まで近付くかジョルノ君が追い付くまで、エコーズで何とかするしかない!ザ・ワールドを倒すことは無理でも、それくらいならば何とかなる!その前に関係ない人を逃がさないと!)

 

彼が承太郎さんの予測通り、DIOの生まれ変わりならば、無関係な人でも構わず巻き添えにするのも気にしないはずだ。あの吉良のように。

僕はエコーズで複数の文字を作り出す。

銃声と破壊音。パニックになった人にはこれで充分に効果的で、一般の人は一目散に逃げ出した。

よく見れば誰も銃を持っていない事や、何も壊れていない事なんて気付きもしない。

ここ一番で妙な落ち着きや覚悟を決めて逆転に導く発想が出来るジョースター家やその周りが異常だと思う。

そして、彼に動きはない。だとしたら、銃弾を防げて、僕の視界から隠れられる位置…

あのカウンターの内側だ!

エコーズをact2に切り替えて「バリン」のしっぽ文字を作って瓶に投げる。

瓶は本当に割れ、中身をばらまきながら砕け散る。

僕はact1でダミー音をまた連発してしっぽを回収。

回収が終わったらact2でまた瓶を割る。

この作業を繰り返した。

act2は書かれた文字を具現化する力はあるが、act1のように連発できない。

だが、今はこれで良い。

 

 

side ジョルノ・ジョバァーナ

 

康一君は意識を集中して動かないでいる。

スタンドの操作に集中しているからだろう。

本体からは見えず、スタンドの視点から操作している為、本体も同時に動くのは危険だからだろう。

普段の彼ならば、それも可能だろうが、そうできない程に集中が必要な程の状況。

つまり、戦っている。康一君は彼の逃亡を防ぐのに成功したと見ていい。

 

ジョルノ「ゴールドエクスペリエンス!」

 

ベッドに触って木に変え、その幹の上に乗って木を伸ばす。

そして、上の階の割れた窓から部屋に飛び込む。

康一君のエコーズはカウンター席の奥に向かって何かを投げていた。文字?

見ると文字からは「バリンバリン!」とやかましく音を出している。そういう能力か。

時々姿を変えて、物理干渉のある文字を飛ばす。

近くで見ているから虚実がわかるが、身を隠しながらでは見切るのは難しい。

単純だけど、足止めには有効な手だ。

 

ジョルノ「康一さん。出来る範囲で最大限の結果を出せるあなたは凄い方です。承太郎さんが認め、SPWがあなたという人材を欲しがる気持ちがわかる気がします」

 

以前のネアポリスで、彼の力を認めたとは言いつつも、僕は何故か彼を下に見ていたのかもしれない。

でも、もう僕は康一さんを「康一君」と呼ぶ気にはなれない。

 

ジョルノ「康一さん、後は僕がやります」

 

エコーズは頷いて床下に消える。

本体に戻ったのだろう。

さあ、覚悟は決まった。

さて、君はどうかな?

ハチマン・ヒキガヤ君?

 

ジョルノ「ゴールドエクスペリエンス!」

 

僕は周りの椅子やテーブル、その他物という物を植物に変化させる。

 

ジョルノ「ヒキガヤ君。僕はギャングだ。戦うというのなら、覚悟は出来ているよね?僕に危害を加えるつもりならば、逆に自分が危害を加えられる覚悟は出来ているんだよね?僕は…」

 

言っている間にバーの物は密林へと変わる。

まるで植物園みたいに。

 

ジョルノ「僕は出来ている!」

 

 

←To be continue




今回は康一がメインの回でした。

act3登場以降、スリーフリーズばかりが目立っていたエコーズですが、こういう使い方ならばまだまだ活躍出来ると思い、act1を中心に活躍させてみました。
act2以前はエコーズは決して強いスタンドではありません。
それでも康一は小林珠実を初めてスタンドを使ったのにも関わらず、単独で撃破し、山岸由花子も単独で撃破。
更には間田戦では仗助を見事にサポートするなど、限られた能力で見事に立ち回っていました。
本作では康一をここまで活躍させる事を当初は考えておらず、ただ今後の進路を踏まえて今は康一はこんなことをやっています、程度のチョイ役のつもりでしたが、どうせその場でいるのなら出番があってもいいかな?程度で参戦さてみれば、気がつけば暴走ザ・ワールド戦では空気から一転してトドメのサポートを上手くこなし、そして今回も「まだいたはずだったのに出し忘れてた」程度の思い付きで出してみれば、作者の意図を超えて大活躍。
第5部でジョルノは仲間から知らず知らずの内に仲間に従わせる何かがあると評されていましたが、作者にとっては康一がそうなのかもしれません。
康一……恐ろしい子。

次に戦いの舞台となった「エンジェルラダー天使の階」
俺ガイルで登場したサブヒロイン、川崎紗希が学校に内緒で年齢を偽って深夜にバイトをしていたドレスコードのある高級ラウンジバーです。
ホテルを出したのならばエンジェルラダーを出さない理由はありません。
俺ガイルの本編に入る前に一回はここを出したかったので登場させました。
本作の八幡にとっては忘れられない思い出の場所となったのでは無いでしょうか?

ではまた次回はジョルノ回で。

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