side比企谷八幡
材木座「遊戯部という、今年新設された部活です。師匠」
材木座の目標をバカにし、露伴先生の事の悪口を言ったこの学校の生徒は遊戯部というらしい。
遊戯部は材木座の正当性を示したいならゲームで決着着けることになったとの事だが、どんな理屈だよ。
ゲームと露伴先生の正当性がどう関係するんだよ。他にも色々と方法というか、決着つけるべきところがあるだろうが。
だが、露伴先生には自分の作品の正当性とかはどうでもいいとのこと。まぁ、他人にどう思われようが露伴先生にとっては自分の作品の全てが正当だからな。そんなことよりはこの下らない一連の事件すらもリアリティーの材料として取材したいらしい。
露伴「で、遊戯部とは?どこの学校にでもあるゲーム研究会的なものかね?」
メモ帳片手に材木座を問い詰める露伴先生。
仗助「ちょっと待ってろ露伴」
仗助はマウスとキーボードを操作する。
仗助「総武高校遊戯部。遊戯全般、エンターテイメントについて研究しているというのが提出されている活動内容だな」
学校資料をまとめたファイルを開いたのか。
PTA会長として入れているらしい。
露伴「情報は感謝する。東方仗助。だが、はっきり言って君と僕は絶対に相容れない」
仗助「わーってるよ。こいつは材木座のサポートとしてやってることだ。気にすんな」
やっぱり二人の間柄はそういうものなのね?
どちらかといえば仗助の方が上手く扱いを覚えたっていう感じだけど。
八幡「まぁ、ゲームで決着なら健全で良いんじゃあねぇの?キッチリ決めれば」
材木座「それは無理だ。格ゲーだとむこうのほうが断然強いのだ」
戸塚「え?君、強いんじゃあないの?」
材木座「まぁ、一般人に負けることはまずなかろう。だが、上はいくらでもいる。一流の格ゲーマーにはプロ契約をしている人だっているのだぞ」
三浦「プロって…そんなんいるんだ」
材木座「肯定だ。奥が深く、業も深いのが格ゲーだ。その男もプロというほどの腕前ではないが我よりは確実に強い」
材木座が悔しげに言うと、雪ノ下が材木座のレポート用紙をくしゃくしゃに丸め始めた。
雪乃「それで、あなたはこんなものを書き始めた訳ね」
材木座「肯定だ…。格ゲーというのは一朝一夕でどうにかなるものではない。このまま師匠の名誉を回復できぬままではこの部活にもアーシスにも胸を張って所属していることなど出来ん。ならば矯正施設でもどこへでも入れてくれ」
なんだその平家のような発想は。アーシスあらずばスタンド使いであらず…って訳じゃあないんだけど。
矯正施設はスタンド使い犯罪者の刑務所みたいなところであって、アーシスに所属していないスタンド使いの収容所ではない。
露伴「ふむ、ならば格ゲー以外で勝負すれば良い」
八幡「まぁ、一応は行ってみますか。露伴先生の取材の為に」
キングクリムゾン
遊戯部に行くのは俺、ジョジョ、いろは、雪ノ下、由比ヶ浜、材木座、露伴先生、仗助だ。小町は仕事へ向かっていった。
あんまりぞろぞろ向かうのも良くない。
遊戯部の部室は特別棟にあった。ただ、階が違う。俺達の部室は4階、彼らの部室は二階に位置している。その中でも準備室とされている小さい部屋の方が彼らの部屋だ。
部室はまだ真新しい部活然としており、マジックで「遊戯部」とだけ書かれた紙がドアに貼ってあった。
八幡「じゃあ行くか」
何だかんだでぞろぞろとここまで来てしまった。
露伴先生はリアリティーが得られる為か、上機嫌な様子でトントンと扉を叩く。
すると、小さく気だるげな声で「はい」と帰ってきた。
おそらく入って良いということだろう。
戸を開くとそこにあったのはうずたかくつまれた箱、本、パッケージ。それらがまるで壁のように、あるいは衝立のように聳え立ち、迷宮を作り出していた。
近い情景を連想するならビブリオマニアの書斎と昔ながらの町のおもちゃ屋さんを混ぜたような感じだ。
結衣「はぁ?ここユーギ部じゃあないの?」
由比ヶ浜がぽけっと口を開けながら手近にあった箱を見る。薔薇とドクロの意匠が使われたやや渋めのパッケージだ。ボードゲームのスカル&ローゼズだったか?やったことはないけど。
結衣「なんかゲームっぽくない」
露伴「ふむ、君くらいの年ならゲームといえばテレビゲームの事だろうからね。ボードゲームやカードゲームは馴染みが無いのは仕方がない」
俺の場合はギャンブル性の高いゲームが多いか?接待とか。
雪乃「私はピコピコよりはこっちの方がしっくりくるわね」
仗助「ピコピコって、承太郎さんだってファミコンって言うぜ?」
雪乃「だって、ピコピコいうじゃない…」
雪ノ下が不満げに漏らすが、俺の知る限り最近のゲームはピコピコ言わない。
結衣「まぁ、ゆきのんゲームやんなさそうだし」
雪乃「由比ヶ浜さんはやるの?」
結衣「んー、パパがゲーム好きだからやっててそれを見てるのは結構好きかな?あたしはちょっとやるくらい。マリカーとかぷよぷよとか。ちっさいのだとどうぶつの森とか牧場物語とか」
携帯ゲーム機の事か?
八幡「意外にやってんだな、ゲーム」
結衣「やー、周りがやってるとつい、ねー」
まぁ最近のゲームには一側面としてコミュニケーションツールとして特化している部分もあるからな。由比ヶ浜みたいな楽しみかたもありだろう。
結衣「あとは、新しいFFとか。画面超綺麗だし、超かっこいいよ!しかも映画みたいで超泣けるから!それとチョコボとか超カワイイし」
材木座「ぺっ」
由比ヶ浜の声を聞いた瞬間、材木座が唾をはく仕草を見せる。さすがに室内だから仕草だけだ。仕草だけだよな?
結衣「何かイヤな感じ…」
ムッとした由比ヶ浜がこそっと仗助の陰に入る。この中では一番体格がいいからなぁ。そこへ材木座が追い討ちをかけた。
材木座「………にわかめ」
結衣「意味はわかんないけど超ムカつくんですけど」
仗助「やめとけ、材木座。楽しみかたは人それぞれだ。解釈や遊び方を強要する方が器の小さな事なんじゃあ無いのか?一方的な価値観の押し付けの他人への評価はそこまま自分への器や人間性への評価だと思え」
露伴「たまには良いことを言うな、東方仗助。そして義輝くん。例えば由比ヶ浜結衣が言っている画像を楽しむこともキャラの造型を楽しむことも、作り手としてはそれを楽しんで貰うために血へどを吐くほど努力して作り上げたものだ。今の君の発言はその作り手の努力を全否定しているという自覚はあるかい?ラノベ作家もエンターテイナーの端くれだ。楽しみかた、解釈の仕方を強要する考えは改めることだね」
材木座「そうでした。すまぬ、由比ヶ浜嬢」
露伴先生は怒っていた。同じエンターテイナーとしては許せない発言だったのだろう。
雪乃「申し訳ないのですけど、私には理解できそうもありません」
露伴「それならそれで仕方のない事だ。例えば僕と東方仗助のように、永久にわかり合えないものだって世の中には必ずあるのだから。だが、それを理由もなく全否定する事はやってはならない。一色いろはだって言っているじゃあないか。『趣味や趣向は人それぞれ。許せないのは人が好きなものを公然と侮辱すること』だと」
いろは「それ、全然違いますから。『主義や主張は人それぞれ。許せないのはわたし共の友人を公然と侮辱すること』ですから。勝手にわたしの座右の銘を作り替えないで下さい。あと、パンさんのゲームもありますよ?雪乃先輩」
あ、前世の名言を勝手に変えられていろはが怒ってる。
そして、雪ノ下にこっそり耳打ちをする。
雪乃「一色さん?後で詳しく。あと、あまり人には知られたくないから、あまり人前ではその話題はやめてもらえると助かるのだけれど」
自分のイメージが崩れるのはイヤなのね?まぁ、わざわざおおっぴらにしても何のメリットもないから黙っておくけど。
静「それにしても部員はどこにいるんだろ?」
露伴「そうだね。声はしたのはずだ」
部室の広さ自体は準備室の大きさに準拠しているので決して広くはない。ただ積み上げられた箱や無造作に置かれた本棚のせいで見通しはよくない。
露伴「整頓がなっていない。仮にもエンターテイメントを研究する集団であるのならば、研究場所や資料、仕事場を整頓しないとは呆れてものが言えない。整頓とはいつ、何が必要となっても良いように掌握するために行うこと。これではどこに何があるかわからないし、わかったとしてもすぐに取り出すのは不可能だ。僕の事を悪く言うのは構わないが、その前に自分を知るべきだね」
露伴先生はこの状態を見て吐き捨てるようにいう。露伴先生の家には研究者かと疑うくらいに資料に溢れている。リアリティーを追及する露伴先生は知識を吸収することに余念はない。その大量の資料を露伴先生はキチッと整頓しており、家は常に清潔で綺麗だ。
それは綺麗好きというのもあるが、露伴先生の発言通り資料等をいつでも取り出せるようにしてあるからだ。
仗助「そう言えば、チンチロチンをやった時も普段は使わないサイコロをすぐに持って来ていたものな、露伴は」
露伴「サイコロの出目の確率を実験したこともあるからね。あれも資料の1つとして使ってたのさ」
仗助「どんぶりもか?」
露伴「普通に生活道具だろ」
仗助「ルーペは普段から持ち歩いているよな?」
露伴「いつどこで観察対象と鉢合わせるか分からないからね。ルーペとメモ帳とスケッチセットは肌身離すことはできないよ」
材木座「自分も師匠に指導されて以来、メモ帳とデジカメは持ち歩くようにしております、社長!さて、こういう積みゲー、積み読はもっとも多く時間を過ごす場所ほど高く積まれます。故に、一番高いところを目指せばおのずと居場所はわかる」
……………それ以前の問題だがな。
とりあえずは材木座のアドバイス通り、一番高く積まれてるタワーを目指した。
すると、衝立になった本や箱が邪魔で見えないが、確かに声がする。
回り込んで見ると、男子が二人、そこにいた。
八幡「おい、そこのクズ野郎ども。ちょっと話を聞かせろや。というか、まずは詫びをいれろや」
材木座「うむっ!まずは我に!そして…」
八幡「その事じゃあねぇ!たった今の事だ!」
男子二人は顔見合わせるだけでなにも答えない。
さて、僕は何でいきなり喧嘩腰なのでしょうか?
みんな考えよう!
チックタックチックタックチックタック
チーン!
八幡「ノックした時返事したよな?来客に気付いていたよな?何でこんな迷路みたいな所を探させるんだ?入ってすぐわかる所にいるならともかく、普通なら来客を出迎えるのが当たり前じゃあ無いのか?常識だろ。それと、何で話しかけてるのに返事しねぇんだ?あ?どこまで偉いんだ?その程度の常識だったら小学生からやり直した方が良くねぇか?」
はい、ここです。
遊戯部員達「す、すいませんでした」
謝りながらも二人はじろじろ俺達を見る。
静「なに見てるの、一年生?不躾に相手をじろじろ見るのはマナー違反じゃあない?国が国なら逮捕されるわよ?シンガポールじゃあゴミをポイ捨てしただけで前科が付く時もあったんだけど?」
遊戯部員1「や、やべえ…この人、比企谷先輩やジョースター先輩だ…敵対したら消されるって噂の…」
遊戯部員2「た、多分…」
八幡「人の目の前でヒソヒソしてるんじゃあない。理由もなくむやみやたらに消すわけないだろ」
遊戯部員達「すみませんでしたぁ!」
八幡「おい、色々と指導したいところはあるが、お前らはこの男に用があるだろ?」
俺は材木座を前に差し出した。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
ええ、改めて原作を読み返して見ると容赦出来ませんわこやつら。
何回叩きのめして一回スッキリした後に書き直したか解りません!
それでは殺意マシマシで恒例の原作との相違点!
うん、色々と違う。原型がほとんどないけど…
材木座のにわか発言に対して八幡はある意味肯定➡マナー違反じゃなければどんな楽しみ方をしても良くね?人の楽しみ方に文句を言う奴は許さん!
遊戯部の失礼に対して原作八幡はスルー➡社会人的にそれはあり得ない。八幡激怒。
ちょっとばかり考える事があるエピソードが多いです。社会人的に。それでは次回もお願いします。