やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの八幡の日常

いろはの部屋にスマキで転がされ、一泊した翌日。
トリッシュのバースデーパーティーの日、日中には比企谷兄妹にとっては年中行事である東京ワンニャンショーに八幡はいろはと小町を伴って幕張メッセを訪れる。
途中、誘われなかった事にむくれる静を伴った東方兄妹と合流した八幡。
鳥エリアを進むなか、億泰一家とミドラー一家を見て震えている雪ノ下を発見した。一体、何があった?


東京ワンニャンショー2

side比企谷八幡

 

仗助「おーい、億泰ぅ!ミドラーさん!来ていたんっすかぁ!」

 

億泰「おぅ!仗助じゃあないか!ここで会うとは思わなかったぜ!八幡達もさっきぶりだな」

 

ミドラー『あら?東方日本支部長。お久しぶりです。八幡達も小町の誕生日以来だね(英語)』

 

ンドゥール『あ、八幡達!久しぶり!』

 

ネーナ『久しぶり!八幡達!』

 

もうじき50にもなるというのに、相変わらず美人な人だな、ミドラーさん。

ジョルノに治してもらって、入れ歯はもう自前の歯になっている。ジョルノの能力を使ったジョースター家からのお礼として。

だが、結婚はするつもりはないらしい。今となっては自分のことよりも、ンドゥールやネーナの事に夢中なのだとか。自分の幸せを掴んでも良い気はするが、幸せの形は人それぞれ。ミドラーさんの幸せは二人の養子なのだろう。

俺達に気付いたミドラーさんの養子のンドゥールとネーナが走り寄ってきた。

ミドラーさんの嘘偽りのない愛情を受けてすくすく育っている二人。すごいイケメンと美少女になったな。

特にネーナは名前の元になった人がアレだったからヒヤヒヤしたものだ。

 

八幡『よー、ンドゥール。ネーナ。元気だったか?ミドラーさんもお久しぶりです』

 

いろは&小町&静『お久しぶりです。ミドラーさん。ンドゥールとネーナも!』

 

イスラム圏の人間の未婚の男女の会話は厳しいのではないのかって?あー、いるんだよ、イスラム教を勘違いしている奴。それ、一昔前の原理主義とかの考え方だからな?ミドラーさんが住んでいる地域は戒律が緩い地域だ。そういう地域の配属にしたから。

アメリカでの戦い直後こそ険悪だったが、4年が経った今では普通に仲良しだ。

特にンドゥールは英才教育も施されており、将来的には西アジア方面の支部長候補とも言われている。

エンポリオみたいな感じだな。

エンポリオは技術方面に進むそうだが。

 

ところで、問題なのは…

 

雪乃「ひ、比企谷くん、この人達は知り合い?」

 

八幡「よう、雪ノ下。何を怯えてるんだ?」

 

雪乃「だって、この人って、二ヶ月前の夢に出てきたソフトモヒカンの……」

 

八幡「二ヶ月前の夢?」

 

億泰「ああ、そう言えば、オメェらから一時期やたらと処理を任されていたセラミック製の容器のバイトが入ったのも二ヶ月前だよなぁ?最近は無くなったけど。あれ?そう言えば、その時オーソンで…」

 

んんんん?何かを思い出しそうになったぞ?なんだったっけ?

 

いろは「あ……もしかして…」

 

仗助「それ、小町以外は関わってるわ。頼む億泰。それ以上は思い出すな。思い出しても口に出すな。話がややこしくなるから。な?」

 

億泰「お、おう。オメェがそう言うなら、そうすっけどよぉ」

 

静「あ……ほらハッチ。クッキー作りの時の…」

 

八幡「クッキー作りって…あっ!」

 

あったな、そんな事!そして雪ノ下と由比ヶ浜は何度も杜王町に飛んでいったわ!そして、あの二人は何度も億泰さんに会ってるわ!魂だけで(第3章「由比ヶ浜結衣は導かれし小道に何度迷い込む?」~「由比ヶ浜結衣のリバース・タウン」参照)。

いやぁ、あれから色々ありすぎてすっかり忘れてた。

そりゃ、億泰さんと会えばこうなるわ。お化け嫌いのこいつじゃあ、説明もなしに億泰さんと会えばそうなるわ。

 

仗助「あ~雪ノ下。紹介するわ。俺の故郷、杜王町に住んでいるアーシスの一人、虹村億泰とその家族だ。俺と康一の高校時代からの親友でよ。見た目はイカツイけど、人情深くて友達思いの良いやつなんだぜ?あんまり怯えるなよ。で、億泰。コイツは雪ノ下雪乃。陽乃の妹だ」

 

仗助が億泰さん一家を雪ノ下に紹介する。

 

億泰「おう!俺は虹村億泰。陽乃の妹か!よく似ているじゃあねぇか!よろしくな!」

 

雪乃「は、初めまして。雪ノ下雪乃です。あなたもスタンド使いですか?」

 

億泰「おうよ!オメェもアーシスに入ったんだってな!仗助や康一、陽乃から聞いてるぜ。頭良さそうじゃあねぇか。俺は頭悪いからよぉ、何かあったらフォローを頼んだぜ?あれ?陽乃といえばよぉ…ミドラーさん」

 

ミドラー『日本語で話さないでよ億泰。あたしは日本語を話せないんだから。で、陽乃?ああ、さっき必死で何かを探している様子だったねぇ。話しかけても気が付いていないようだったし。八幡、ついでにあたし達も紹介してくれない?話の流れから陽乃の関係者だろ?』

 

陽乃さんも来ているのか。先に紹介をしておくか。

 

八幡『ミドラーさん。お察しの通り、コイツは陽乃さんの妹の雪ノ下雪乃です。あの事件の時、コイツはアメリカ留学中だったので、英語は伝わります。雪ノ下、この人はミドラーさんとその子供のンドゥールとネーナ。トルコ支部の本部広報部で勤務している人だ。うちで言うならトリッシュさんの臨時ポジションと同じだな。もちろん、この人も今日のパーティーに招待されるくらいにはアーシスでの信頼とジョルノとの関係を築いている人だ。ンドゥールとネーナはスタンド使いではない』

 

雪乃『雪ノ下陽乃の妹、雪ノ下雪乃です。よろしくお願い致します。ミドラーさん、ンドゥール君、ネーナさん』

 

雪ノ下が頭を下げると…。

 

ミドラー『雪ノ下陽乃?ああ、陽乃はそっちが本名だったっけ。出会った時の陽乃は茅ヶ崎陽乃(第2章参照)と名乗っていたから、本名を名乗られるとどうも調子が狂うねぇ。とりあえず、よろしくね?雪乃』

 

ンドゥール『初めまして、雪乃さん』

 

ネーナ『初めまして。陽乃にそっくりだね?あ、そうだ!陽乃、雪乃の事を呼んで走り回っていたよ?はぐれたの?』

 

八幡『雪ノ下……まさかとは思うけど、お前…』

 

俺の嫌な予感は当たっていた。

雪ノ下は泣きそうな表情になる。

 

雪乃『そうよ。方向音痴よ…。姉さんと一緒に来たけれど、はぐれちゃったのよ』

 

あ~……だから陽乃さん、必死で探していたのか。

俺は陽乃さんのプライベート用の携帯にコールする。

 

陽乃『八幡君!?プライベートナンバーで電話をくれたのは嬉しいんだけど、今はそれどころじゃあないの!ごめんね!』

 

八幡「いえ、鳥エリアに来て下さい。雪ノ下なら俺達と一緒にいます」

 

陽乃『ホントに!?ありがとう!八幡君!後でたっぷりとお礼をしてあげるからね?体で!』

 

八幡「そういうのは良いんで、早く来て下さい」

 

陽乃『わかった!ジョセフさん、承太郎会長、ポルナレフ、ジョルノ兄さん、徐倫ちゃん、ミスタさん、海老名ちゃん、優美子ちゃん!雪乃ちゃんが見つかったって!八幡君が見付けてくれてたみたい!』

 

おいおい、今日の主賓夫婦やスタクルメンバー、ミスタさんまで巻き込んでの大騒動かよ。

 

八幡「それだけ妹が大事なのか、それとも雪ノ下の方向音痴がそれだけ酷いのか…」

 

陽乃『八幡君…………どっちもだよ。見取り図があっても迷っちゃうのが雪乃ちゃんなの。とにかくすぐに行くから、目を離さないで!』

 

うわぁ。そこまでかぁ。雪ノ下……。

俺が頭を抱えていると…

 

??「あー!首輪壊れてるじゃん!サブレ、逃げないでぇぇぇぇ!なんで人間になつきやすい犬種なのにいっこうになつかないのぉ!」

 

んっ?また聞き覚えのある声が聞こえたぞ?

何かミニチュア・ダックスフンドが足元を走り抜ける…ところを普段カマクラを捕まえるのに慣れた俺が、ザ・ジェムストーンで捕まえた。

 

犬「ガルルルル!…………クゥン?」

 

雪乃「い、犬…」

 

ああ、お前、犬が苦手らしいものな。

何だよこの犬。ミニチュアダックスフンドがするような目じゃあない。まるで俺のように目が腐ってる…て、この犬、どこかで…

 

犬「ペロペロペロペロ」

 

おや?中々動物になつかれない俺なのに、コイツは違う。まさか…コイツは…。

 

結衣「あ、ヒッキー!サブレを捕まえてくれてありがとう!あれ?ヒッキー、すごいなつかれてるね?この子は飼い主にもなつかないのに」

 

八幡「………だろうね?な、イギー?」

 

サブレ「!?ばうっ!」

 

イギー改めサブレは警戒体勢に入る。

やはり、この犬は頭が良い。既に自分がイギーの転生であることも思い出しているし、人の言葉も理解している。うわっ!ザ・フールまで出している。

 

結衣「あれ?さっきまでなついていたのに急にスタンドまで出して警戒し始めた!どうしたの?サブレ。サンド・ドッグまで出しちゃって!」

 

サブレ「ガルルルル!」

 

サブレは由比ヶ浜の顔に張り付き、オナラをした後に、髪の毛に噛み付き始めた。

 

結衣「ヒヤァァァァァ!やめてサブレ!何が気に入らないの!」

 

八幡「多分、スタンド名だ。そうだろ?イギー」

 

サブレ「バウッ!」

 

八幡「正解だってよ。今度からこのスタンドはザ・フールって呼んでやれ」

 

結衣「ザ・フール?」

 

雪乃「『愚者』?失礼な名前だと思うのだけれど」

 

サブレ「キャン!」

 

サプレはその通りだと言わんばかりに肯定のひと吠えをした。

 

結衣「ねぇ、ヒッキー。イギーって何?ザ・フールって?」

 

八幡「こいつの前世の名前とスタンド名さ。実はこいつの前世は事故の時からわかっていた。なぁ、イギー。承太郎やジョセフ、アヴドゥル、花京院、ポルナレフに会いたいか?もうじきここに来る…………っ!」

 

そう思って話しかけていると、1羽の隼がザ・ジェムストーンに降りて来た。そして、やけにキラキラした目で俺を見てくる。逆にイギーは凄く警戒している。

え?え?何この隼。

 

小町「普段は動物になつかれないお兄ちゃんが今日はなつかれまくってる。……どういう事?」

 

隼は泊まり木みたいなスタンドを出して、何かを急かすようにバサバサと訴える。

そうか。お前も転生したか。本当に神がいるのだとしたら、俺達の元にそういうのを集めてくれたんだな。それだけ今がヤバいと言うことになるが。

とりあえず、この再会ラッシュに感謝しよう。

 

八幡「ペットショップ」

 

ペットショップ「クエエエエエ♪♪♪」

 

そりゃ、ホルス神を出されればわかる。

だが、先にイギーの警戒を何とかしないとな。

 

八幡「イギー、ペットショップ。前世のいさかいはあるだろうけど、大人しくしてくれ」

 

ペットショップ「クェェェェ!」

 

ペットショップは俺の言葉に反応し、ザ・ジェムストーンで大人しくした。

 

ペットショップ「クェェェェ!」

 

サブレ「バウッ!」

 

ペットショップとサブレは何度か鳴き声を交わし合うと、サブレもその場でお座りの体勢をとった。

 

いろは「ありがとう。イギーちゃん、ペットショップちゃん」

 

サブレ「バウッ!」

 

ペットショップ「クェッ!」

 

ミドラー『あんたとまた会えるとはね。ペットショップ。覚えているかい?DIO様の元部下のミドラーさ』

 

ペットショップ「クェッ!」

 

ミドラー『やっぱり、隼にしておくには惜しいくらい、頭が良いね?あんた。すぐにDIO様がわかったようだし』

 

sideサブレ

※これはサプレとペットショップの会話です。

 

サブレ「おい、クソ鳥」

 

ペットショップ「………何だ。あのときの犬か。転生してまで会いたくなかったんだが?」

 

サブレ「それはこっちのセリフだ!で、前世のやり直しをやるのか?」

 

ペットショップ「それは生まれ変わったDIO様とお前が敵対するならばそうするが?お前は?」

 

サブレ「DIOって…この腐った目の兄ちゃんのことか?」

 

俺は以前、俺を助けてくれようとしたこの兄ちゃんを見上げる。こいつがDIOの生まれ変わりだなんてな。

 

サブレ「何でこの兄ちゃんがDIOの転生だってわかるんだ?」

 

ペットショップ「ならば何故、お前は俺がペットショップだとわかった?逆に何故、俺はお前があの時のクソ犬だと気付いたと思う?」

 

サブレ「そりゃ、お前…スタンドがあの時と変わっていないからに…そうか!このスタンド!」

 

ペットショップ「俺がDIO様のザ・ワールドを見間違えるはずがない。少し変わったが、間違いなくこのお方は我が主、DIO様の生まれ変わりだ。それでクソ犬。お前はどうなんだ?DIO様の敵か?味方か?」

 

サブレ「前世の事なんてどうでも良いぜ。この人間は…DIOは、俺の為に身を呈して守ってくれた過去がある。恩ある人間に牙は向けねぇよ。飼い主とも仲が良いみたいだしな」

 

たまげたぜ。承太郎とかポルナレフの名前を久々にきくわ、クソ鳥と再会するわ、おまけにクソ鳥やDIOと関わりを持つなんて、前世の俺が聞いたらたまげるだろうな。

だが、恩義には恩義で返してやるよ。腐り目のDIOの生まれ変わり。俺は義理堅いんだぜ?

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。多分、ペットショップ登場は誰もが予想外だったのではないかと思います。


それでは原作との相違点

雪ノ下は迷子➡億泰一家に怯える。理由は杜王町に飛んでいったとき

雪ノ下は一人で来場➡陽乃と来場

サブレの騒動は犬エリアで発生➡ペットショップの登場に合わせて鳥エリアで発生


それでは次回もお願いいたします!

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