八幡が敗北し、続いてジョセフと沙希の戦いになった。
技で攻める沙希に対して元祖、騙しの手品のジョセフが応戦。
沙希のサマーハプノ・サファイアにより低血糖になったと思われたジョセフだが、命中したのは義手になっていた左腕。
更に、その義手こそがジョセフの切り札だった。
材木座=シュトロハイムの旧ナチスの極秘の技術、エンポリオの医学技術、そして杜王町の川尻隼人のロボット工学の技術が合わさり、脳波で飛ばせるワイヤーハンドのギミックが隠されていた。
更に、ノリノリで最悪のギミックも加えられて。
本物のエイジャの赤石が仕込まれており、銀色の波紋疾走から放たれた凶悪な必殺技、ルビーレーザー…。
波紋の技術と騙しの技術の勝負は、騙しの技術に軍配が上がった。
実にジョセフらしい…
今回、あのお方が帰ってきます!
side比企谷八幡
沙希「はっ!」
ジョジョの気付けの波紋によって、川崎は息を吹き返した。
沙希「生きてる…。あんなボロボロにされたのに…」
大志「姉ちゃん!良かった!」
復活した川崎に大志が泣きつく。
そう言えばシスコンだったな、大志は。
小町がリサリサだと知ったあとは小町も気にしているようだけど。
しかし、大志でなくとも家族なら肝が冷えるよな?あれは死んでいてもおかしくなかったわ。エイジャの赤石を使うなんてやりすぎだ。
川崎が意識を失った直後に速攻でいろはがエメラルド・ヒーリングで回復の弾丸を飛ばし、俺と承太郎が時間を止めてジョルノと仗助を運んで治療させた。
特に、エイジャの赤石によって溶かされた喉はエメラルド・ヒーリングでは治らない。
ジョルノが喉と血液を作ってはめさせ、仗助が治さなければ命に関わっていた。俺といい、川崎といい、今回はデモンストレーションと言いながら、やたらと致命傷が多すぎやしませんね?
沙希「負けた…か。手段はどうあれ、あんたが言った通り、確かに強かったね。ジョセフ・ジョースターは」
八幡「それでもあれは酷すぎたけどな。威力も手段も」
沙希「ジョセフ・ジョースターは?」
八幡「承太郎以下数名によってあそこで絞られてる」
俺が指差した方向を指差すと、ジジイ、材木座、エンポリオが正座をさせられ、歴代ジョジョ達にこってりと絞られている。
そりゃあワイヤーハンドまでなら許されるが、エイジャの赤石まで仕込むのはやりすぎだもんな。リアルルビーレーザーは小町のルビーレーザーと違い、どこまでも飛んでいく。重力に左右されないから地球の丸みで途中で宇宙に飛んでいくが、それでも俺達兄妹が逸らさなければ、沿線上にある物に被害が及ぶ。
マジで上手くいって良かった…。ルビーレーザーを反射させたことによって俺の手まで溶けてしまったが。スーパーエイジャがなかったらどうなっていたかと思うとゾッとする…。小粒の石で助かった…。スーパーエイジャクラスの奴だったら俺まで瀕死の重症を負いかねなかった。ジジイがやった反射の波紋なんて、今まで秘密にされていたから俺には出来ないし。
ホント、発想と度胸と行動力は一級品だな。流石は一代でアメリカの不動産王になった男と言うべきか、やることなすことハチャメチャだと言うべきか…。
沙希「ねぇ、比企谷」
八幡「何です?ツェペリさん」
沙希「ツェペリさんも敬語もやめて」
川崎は本当に嫌そうな顔をして俺を睨む。
八幡「了解。で、何だ?川崎」
沙希「あたしのサマーハプノ・サファイアの攻撃は義手越しとはいえ、確実に命中した。なのに何でジョセフはケロッとしていたの?わずかでも影響があるはずなのに…」
八幡「ああ、それはお前が俺によこしたこれを使ったんだよ。のたうち回る振りをしてな」
俺は包装が破られたそれを取り出す。聞かれると思って回収しておいたのだ。
それは医薬用のブドウ糖の粉末の包み。低血糖用の応急薬だ。血液に含まれる糖分はブドウ糖。砂糖よりも早く体内に吸収される為、低血糖の特効薬になる。
ジジイは俺を運ぶ際に、川崎から寄越されたそれを俺からくすね、もしも自分が川崎から攻撃を食らったときの対策として持っていたのだ。そうでなければMAXコーヒーなんかではなく、このブドウ糖を俺に飲ませるだけで応急処置はできたんだから。
沙希「そう、あんたの敗北まで逆に利用したの。本当に食えないジジイだわ」
八幡「サマーハプノ・サファイアは効かないように見せかけてお前の動揺を誘う。お前の能力と同様に分かってしまえばなんて事はないペテンだよ。ドウヨウだけに」
いろは「は?5点」
雪乃「2点」
結衣「10点!」
静「8点」
小町「ゴミィちゃん…3点」
八幡「君達それ、何点満点?いつ説教から帰って来たの?」
川崎はクスリと笑う。
沙希「ねぇ。比企谷と小町とジョースター。あたしの弟子にならない?特に比企谷。あんたには素質があるよ。ジョセフ・ジョースターにもっとも近いアンタなら、あたしの技術を受け継いで貰えそうだし。代わりにあたしも比企谷小町の波紋を鍛える弟子になるからさ」
京華「あ!それ良いね!はーちゃん、さーちゃんの弟子になって!」
川崎の妹、けーちゃんこと京華が俺に抱きついて言ってきた。この人は、相変わらずだな。
八幡「よー、けーちゃん。それも良いかもなー。もう川崎兄弟と俺達は家族みたいなもんだもんなー」
いろは「家族?どういうこと?ハチ君」
なんだよ。まだ気が付かないのか?
八幡「首筋を見ろよ。意味がわかるから。川崎と大志のも」
小町「首筋?」
そう、俺がエンジェルラダーで大志の襟首をわざわざ掴んだのはこの確認の為。
静「え?………これは………なんでコレが川崎兄弟にあるの!?」
承太郎「星形の痣……まさかジジイ!またオメェか!前科があるしなぁ!」
徐倫「いや、父さんにも疑いはあるんだけど。おばあちゃんは流石になさそうだし」
静「まさか…お兄ちゃん?」
トリッシュ「ジョルノや八幡の疑いはないわね。DIOの特徴がないから」
あってたまるか。時期的に一番下の京華ちゃんだって、生まれたのは俺が中学生の時だぞ。まだ四歳なんだからな。時期的にGDstに突入していた時だ。それに、同級生の川崎がこの誰かの子供というのはあり得ない。まだ仗助の存在だってジョースター家が把握していなかった頃だぞ?ジジイだってヨボヨボだった頃だ。
承太郎・仗助「違う!俺じゃあない!」
そう、川崎兄弟にもジョースターの星形の痣がある。だが、ジジイや承太郎、仗助の子供でもない。理由はわかっている。この子…京華の前世だ。
八幡「お前達にその痣が現れたのはつい最近。この子が前世を思い出した時から現れたんだろ?俺がジョナサンの記憶を取り戻した時のように。血縁の繋がりで。川崎や大志があまりにも俺達の事情を知っていたからな。おかしいとは思っていたんだ?そうだろ?」
沙希「う、うん…やっぱり、わかっちゃってた?」
大志「あちゃー…やっぱバレるか…だけど、八幡さん。よくそこまで分析できますね?」
川崎兄弟は困惑している。まぁ、そうだろう。
八幡「いろはと小町にもあるからな。同じ理由でその痣が」
ジョセフ「いい加減、正体を明かしてくれんか?のう?スージーQ」
八幡とジョセフ、総武高校以外のアーシス「はぁ?」
…
……
………
…………
京華「プッ!クスクス……アハハハハハハ!ただいま、みんな!宣言通り、けーかは帰ってきたよ!さすがだね?はーちゃん♪ジョーちゃん♪自力で気付くなんてすごい!みんなを驚かせようとしていたのに、逆に驚かされちゃった!」
そう言ってけーちゃんはジョセフに抱き付いた。もうバレた以上、好きなだけ甘えるつもりのようだし。
小町「スージー……?」
いろは「ま、まさか…こんなに早く転生してくるなんて思わなかった…」
仗助「スージーのお袋…だと?」
承太郎「ヤレヤレだ…八幡やジジイが気付いたのに俺が気付けないとは。まさかおばあちゃんだったとは…」
けーちゃんは今度は小町に抱きつく。
京華「リサリサ様ぁ!また会えて嬉しいよ!承太郎も仗助もしーちゃんも徐倫もジョルノもいーちゃんもただいま!」
ジョースター家「スージー!(それぞれの敬称)」
ジョースター家の者達がけーちゃんを囲んで嬉し涙を流す。悪巧み成功。コレが見たかったんだよ、コレが。
決闘なんてほとんどついでだ。スージーさんの転生であるけーちゃんをみんなに会わせたかったから呼び出したんだよ。大志の話を聞いたときから、何となくそうではないかと思ってお膳立てを整えていたからな。
雪乃「まさか、一連のあなたの行動にこんな意味があるとは思わなかったわ。てっきりエンジェルラダーや川崎さんの事だけだと思っていたのだけれど」
結衣「そうだしヒッキー!あんなに必死だったから、エンジェルラダーの事だと思っていたし!」
陽乃「さすがは八幡くん♪お姉さんでもわからなかったよ?こんなサプライズ。やるね♪惚れ直しちゃった♪」
八幡「いえ、確信を持ったのは昨日でした。大志の痣を見たときから。まぁ、そうであれば良いなぁとは思ってましたが。ジジイにはバレましたけど。ちなみに、今回の黒幕はスージーさん…いや、けーちゃんです」
陽乃「京華ちゃんが?何で?」
八幡「川崎の事を止めたかったんでしょうね。俺達なら何とかしてくれる…と。だから大志をけしかけたんだと思います。前世を思い出したからには早く再会したかったのもあるかもしれませんが。俺もスージーさんに早く会いたかったしな」
陽乃「そっか…。でも良かったよ。ホント、八幡くんの悪巧みも、いつもこんなのだったらお姉さん的にはポイント高いんだぞ?」
そう言って陽乃さんは俺に抱き付いてくる。すみませんね。いつもはろくでもない悪巧みで。
で、気になるのは…
八幡「けーちゃん。けーちゃんのスタンドはどういうスタンドなのかな~?はーちゃんに教えてくれると嬉しいんだけど」
京華「けーかのスタンド?良いよ?出て、リーシャウロン・アクアマリン!」
ポンッ!けーちゃんの体から、ゆるキャラのような水色の人型スタンドが出現する。
R・A「けーちゃん!アクアを出してどうしたの?」
見た目通りのカワイイ声を出してそのスタンドはけーちゃんに話しかける。
京華「んっとね、みんなに挨拶して?」
そして、リーシャウロン・アクアマリンは俺達に向き直る。
R・A「はじめまして!僕はけーちゃんのスタンドのリーシャウロン・アクアマリンです。能力は…」
リーシャウロン・アクアマリンはいきなりギャグマンガのような爆弾を取り出した。
仗助「ば、爆弾!?キラークイーンのような能力か?!」
R・A「キラークイーン?何ですか?それ?」
康一「昔いた殺人鬼が持っていたスタンドだ。触れたものを爆弾にして人を殺すスタンドだ」
それを聞いたリーシャウロン・アクアマリンはムッとした顔をした。
R・A「そんな物騒な能力じゃあないですよ!説明するよりも見てもらった方が早いです!百聞は一見に如かずとも言いますし!え~い♪」
え~い♪じゃあない!こっちに爆弾を投げるな!
うわあああああああ!爆発する!
沙希「安心して。始めはあたし達もビックリしてたけど、この子のスタンドは戦闘向きじゃあないから」
爆弾のスタンドが無害なわけないだろ!ギャアアア!
ポンッ!
うわっ!爆発した……ってあれ?爆発の音がまるでホントにギャグマンガのような軽い音。しかも、爆発した箇所から星のような物が飛び散ったと思ったら、それに当たった人間は屈託のない笑いをニコニコとしはじめた。
R・A「コレが僕の能力、微笑みの爆弾です。どうですか?素敵な能力でしょ?あの星に当たった人は、みんなおおらかな気持ちになって、ああやってニコニコと笑うんです」
うん、確かに戦闘向けのスタンドではないな。
でもさ…承太郎やジョルノの屈託のない微笑みって却って怖いんだけど。昔、承太郎は一度だけそんな微笑みをしたことがあったらしいけどさ。
ジョルノ「ハハハハ…しょうもない能力ですね」
八幡「ハハハハ!良いんじゃあね?こういう優しいスタンド能力があっても。スージーさんやけーちゃんにはピッタリの良いスタンドだと思うけどな!」
いろは「フフフフフ!でもハチ君の屈託のない微笑みって、何か逆に裏で何か企んでそう!」
小町「エヘヘヘヘ…でも、お兄ちゃんが言うとおり、スージーらしくて好きだよ?小町的にはポイント高い!」
ジョセフ「ワッハッハッハッハ!さすがはスージーじゃ!らしいスタンドじゃわい!ワッハッハッハッハ!」
ヴァレンタイン「ハハハハ!世界が優しい笑いに包まれたようなスタンドだ!これは素晴らしい!ハハハハ!」
京華「アハハハ!みんなニコニコでけーかも嬉しい!」
この日、早朝の千葉マリンスタジアムにはアーシスメンバーの微笑みがこだましていた。
こうして、思い出のエンジェルラダーに新しい素敵な思い出が刻まれ、川崎兄弟の一件は幕を閉じた。
←To be continued
今回はここまでです。お帰りなさい、スージーQ。
川崎兄弟のお話は今回で終了です。
そして、今回は転生ラッシュでしたね?
まとめると
川崎沙希➡ウィル・A・ツェペリ
川崎大志➡シーザー・アントニオ・ツェペリ
川崎弟➡ジャイロ・ツェペリ(ネタのみ)
川崎京華➡スージーQ・ジョースター
となります。
なお、星形の痣のネタは緑の赤ちゃんと融合したプッチに痣が発現した際に、弟のドメニコ(ウェザー)にも星形の痣が出現した現象を利用しました。小町(半分)、沙希、大志はこちらの枠ですね。
結婚相手がジョースターだから、転生後の魂のあり方がジョースター家だから、それが痣として出現した無理矢理のオリジナル設定。
いろはや京華、小町(半分)はこちらの枠です。精神はジョースターだからというこじつけでやりました。かなり無理矢理ですけど。
トパーズとサファイア。何故ジョースター家チックな名前にしたか、コレが理由だったのです。
次回は職場見学です。かなり短いですが。
それでは次回もよろしくお願いいたします。