ダンガンロンパ リアルの絶望と学園の希望   作:ニタ

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 プロローグを終えて、新たなステージへ突入


Episode 1 「絶望印メイド隊」
episode 1 パート 1 (非)日常編


『誰かを殺した生徒だけがここから出れる』

 

 僕の思考と身体は、その言葉に雁字搦め(がんじがらめ)にされていた。

 誠ちゃんの味わった恐怖、不安。今まさに、それが現在進行形で僕自身も感じている。

 それはゆっくりと浸透していき……全身に浸かっていく。

 背中が凍りつくように寒い。

 あたりの漂う重い空気は、全てを奪い、恐怖を乗せていく。それは次第に重くなる。

 もう、凄く、家に帰りたかった。

 

 

 

 

         絶望印メイド隊        (非)日常編

 

 

 

 

 

霧「それで、これからどうする気?

  このまま……ずっと、にらめっこしている気?」

 

 彼女のトゲのある言葉は、全員に向けられていた。

 だけど、そのトゲで……僕らをリアルへと引き戻した。

 

石「そ、その通りだ……そうだな……怖かろうと不安だろうと、歩みを進めなければならぬ時がある! そんな簡単な事を忘れてしまうとは……僕は自分が情けない……

  誰か! 僕を殴ってくれないか! 僕は自分が許せないんだ! お願いだ! 誰か僕を殴ってくれ!」

守「何をあほな事言ってるんや……」

紋「騒いでるヒマがあんなら、さっさと体を動かせや……」

山「しかし……具体的にはどのようなミッションを行えば……」

桑「バァカ! 逃げ道を探すに決まってんじゃん!」

江「ついでに、あの変なヌイグルミを操ってる奴を見つけて、袋叩きっしょ」

千「……でもさぁ、その前に、電子生徒手帳っていうのを見ておこうよ。動き回る前に、モノクマが言ってた()()を確認していたほうが良いと思うんだ」

守「そうかもしれんな……」

セ「ルールも知らずに行動して、さっきのようにドカンとなっては困りものですものね」

紋「チッ……」

江「それじゃ、さっそくその校則を確認しよっか」

守「そ、そういえばさ……僕だけ貰ってへんねんよ」

江「え? 何で?」

守「ん……なんでやろね?」

苗「そうなの? じゃあ、僕の見せようか?」

 

 誠ちゃん、なんて優しいんや……天使や……。

 

守「ありがとな。恩に着る」

苗「そんな大袈裟な……」

 

 実際、結構大袈裟な話でもある。誰かに僕の存在を怪しまれたら、そこで全てが終わる。少し目立って言った方が、多少は怪しまれずに済む。ある一人を除いては。

 

江「? まあ確認できたらいっか」

 

 何か、明らかに失言とも思えるけど(考えすぎかもしれないけど)、とりあえず、生徒手帳の確認しておかないと、ゲームと変更点があったら困る。

 誠ちゃんが電子生徒手帳を起動させると、『苗木 誠』と名前が始めに浮かび上がった。

 

守「何か、すごいな」

 

 感想は適当だが、純粋に凄かった。

 タブレットの進化系とでも言うべきか。時代の最先端だった。

 誠ちゃんは次に表示されたメニュー画面の中から『校則』のアイコンを選択すると画面上に、箇条書きの文章が浮かび上がる。

 とまあ、書いてあったことはやっぱり同じだったんで、だからと言って、一から順に書くと凄く長くなるので、モノクマが言ってなかったものだけを抜粋すると、

 

 

2条…夜10時から朝7時までを()()()とします。

   夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

 

3条…就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室でのみ可能です。

   他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

 

4条…希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。

   特に行動に制限は課せられません。

 

6条…仲間の誰かを殺したクロは()()となりますが、

   自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

 

7条…なお、校則は順次増えていく場合があります。

 

 

 うん、他人事にしか思えなくなってきた。

 それほど、まだ現実を受け入れきれてないということか。

 ふと見ると、他の全員も渋い顔を浮かべている。

 

紋「ざけんな、何が校則だ! そんなモンに支配されてたまっかよ!」

セ「でしたら、校則など気にせず行動してみてはいかがですか?

  わたくしとしても、校則を破った場合どうなるか気になりますし」

山「しかし……万一そんなことになれば、大和田紋土殿は、残機ゼロ状態に……」

紋「………………」

 

 大和田が押し黙り、渋い表情で口を開く。

 

紋「オレはなぁ……ガキん時から兄貴にしつけーくらいに言われて育ったんだ

  『男の約束』は死んでも守れってよぉ……」

江「……で?」

紋「オレには、まだ守りきれてねー約束があんだよ……

  だから、ここで死ぬ訳にゃいかねーんだよッ!」

セ「よくわかりませんが、とりあえず校則は守るという事でよろしくて?」

紋「……ん? あぁ……そうなるかな……」

舞「あの、ちょっと良いですか?

  校則の6項目なんですけど……これってどういう意味だと思います?」

 

 僕は上記の校則を確認する。

 我ながらせこい。

 

苗「後半の『他の生徒に知られてはならない』の部分だよね?

  確かに気になってたんだよね……」

十「卒業したいのなら、誰にも知られないように殺せということだろう」

腐「な、なんで……どうして……?」

十「……そんなこと、気にする必要はない」

 

 これはやっぱり、学級裁判のことを書いてるのかな。

 

十「与えられたルールは守るもの……お前らは、それだけ覚えていればいいんだ……

  他人に言われないと動けないお前らには、与えられたことだけやっていればいいんだ」

腐「グッとくるわね」

桑「グサッとじゃなく?」

守「グシャっとだろ」

朝「……とりあえずさ、殺人とかどうとか馬鹿げた話は置いといて……

  校則もちゃんとわかった事だし、そろそろ学園内を探索してみようよ!」

石「ここはどこなのか? 食糧や生活用品はあるか? 脱出口は無いのか?

  僕らには知らなければならないことが山積みだ!」

桑「よっしゃー! それじゃ皆で学園内探索始めるぞー!」

十「俺は一人で行くぞ」

江「は? 今の流れでおかしくない?」

十「既に人を殺そうと目論んでいる奴もいるかもしれんしな……

  そんな奴と一緒に行動しろというのか?」

舞「ちょ、ちょっと待ってください。そんな事……!」

十「ないと言い切れるのか?

  では何故恐怖した。そういう可能性があると思ったから恐怖したのだろ。

  違うか?」

舞「そ、それは……」

十「俺は思ったとおりに行動させてもらう」

紋「待てコラ……んな勝手は許すさねぇぞ……」

十「……どけプランクトン」

紋「プラッ……!? ……どういう意味だゴラァ!!」

十「大海原にいる1万匹いる中のプランクトン。

  そこで何をしようが、広い海に何も影響を及ぼす事のない、ちっぽけな存在だ……」

紋「……ころがされてぇみてーだな!」

苗「ちょ、ちょっと待ってよ! ケンカはマズイって!!」

紋「あぁ? なんだオメェ……今キレイ事言ったな?

  そいつは説教かぁ? 俺に教えを説くっつーのか!?」

苗「いや、そういうわけじゃ……」

紋「るせぇ!!」

 

 殴られた。

 誠ちゃんが。

 まるでマンガを見てるかのように綺麗に吹っ飛んだ。

 雲行きは怪しかったが、あまりに唐突で突発的すきで反応に遅れた。

 殴られて吹っ飛ぶ。

 超高校級だからこそ、非常識だからこそ、ゲームだからこそ、常識なんて通用しない。

 状況に中々ついて行けずに、追いかけるのがやっとだった。

 だから僕は、ようやく、といっても、数秒だろうけど、今起きている状況を理解できた。

 誠ちゃんが滅茶苦茶吹っ飛んで体育館の橋の椅子に激突した。

 

守「誠ちゃん!」

舞「苗木君!」

 僕は気づくと誠ちゃんの所まで走っていた。

守「おい、大丈夫かいな! 誠ちゃん!!」

十「ふん。これだから血の気が多い奴は面倒なんだ……」

紋「んだとぉ……」

さ「やめぬか! 争いからは何も生まれぬ……」

紋「ッ……」

守「舞園さん、運ぶの手伝ってもらうで」

舞「は、はい!」

 

 僕は誠ちゃんの右肩を僕の左肩に乗せ、反対側で舞園さんも同じようにする。

 

守「あと大和田。後でちゃんと誠ちゃんに、苗木に謝っときや」

紋「……あーってるよ」

 

 渋々と言った所だが、承諾はしてくれた。

 

守「それじゃ、行くで」

 

 いっせーのーせ、の合図で誠ちゃんを持ち上げ、リズムよく、急いで保健室に向かった。

 しかし、何故か保健室は閉じられていたので、寄宿舎の方へ向かい、誠ちゃんの部屋で寝かせることにした。

 




 酷いタイトルだけど、意味はないです。あるアニメのタイトルを改変して使いました。

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