ダンガンロンパ リアルの絶望と学園の希望   作:ニタ

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お正月です。もう過ぎましたけど。
今年もよろしくお願いします。


Episode 3 「サスペンス 密会の秘密は濃密でもない秘密が隠されていた!」
episode 3 パート1 (非)日常編


 指きりげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます、指切った。

 果たして僕はどれぐらいハリセンボンを飲む事になるのだろうか。百匹なんて生易しい数ではないだろう。しかも全世界の人間に食わすとなると、需要と供給が追いつかない程の数が必要になってくる。

 恐ろしい話だ。しかもそれは、たった小さな嘘であろうと指きりしたらハリセンボンを一匹飲まされる。どんな小さなことであろうとも、指きりしたらアウトだ。勿論大きい嘘だろうが関係ない。一回嘘ついたらハリセンボン飲まされるのだ。

 平等に。

 だから僕はこの約束ごと決まりごとは廃止すべきだと思うけれど、しかしながら一体どれだけの人間がこの歌を歌いながら約束をしているだろうか。この歳になってから、んな歌は聴いたことない(といっても精々十代後半だけど)。まあ、単に世間知らずなだけかもしれないけれど。今も小学生はしょっちゅうハリセンボンを飲ませているに違いない。

 そして最後の指切ったの部分だ。まあ普通に考えれば『約束したよ』的な意味合いなんだろうけれど、言葉そのものとしてあまり良しとしない。怖いだろ、指を切るなんて。どんだけ痛めつけるんだよ。ハリセンボン飲ますわ、指切るわで、どんな拷問だよ。いや処刑かもしれない。

 まあそんな残虐非道な歌について、今この時に語っていても仕方ない。では何故語ったのかといえば、何となくだ。そんな気分だったのだ。

 気分だけで昔っからの歌を非難するのもどうかと思うが、僕は捻くれ者なのだ。そう。人間界の頂点に立つ、もはや誰も追いつけないような嫌なやつなのだ。

 果たしてそれが嫌なやつなのか、凄い奴なのかは到底検討はつかないが、決してなりたくはない。

 だが僕は、嫌な奴なのだ、だから八つ当たりしまくるのだ。

 八つ当たりだ。

 僕が今いるのは、学級裁判が終わった後の会場だった。人がまた大袈裟なおしおきで死んで、雰囲気が暗い中、僕は一人昔の歌についてのうのうと非難し、語っていたのだ。

 騙っていたのだ。自らの心に。

 いい忘れたが、二回目の学級裁判の続きかと思う方が多いかもしれないが、それは違う。実はもう三回目の学級裁判なのだ。しかも、もう閉廷したばかりで、モノクマはとっくにいなくなった後だった。

 ならば何故僕が終盤になっていきなり語りだしたかって? そこは、何となくだよ。そう何となく。そういう気分だったからだ。

 まあ、こう言ってはいるが、さっき言ったように八つ当たりだ。読み手に対して、憂さ晴らしといったところか。……いやはや、失敬。最近何故か器がでかくなったなぁ、と個人的に尊敬していたんだけれど、どうやらそうじゃないらしい。前と変わらない、器のでかさだった。

 器の小さいままだ。

 八つ当たりの原因。

 今回の学級裁判は、第三回の学級裁判は、僕が想像していた結末と違い、結末を軽く見ていたのと違い、悲しい結末を招いたのだ。

 一人は助けることに、一人は助けるがために。

 助け合いが呼んだ絆の(もつ)れが、千切れてしまったのだ。誰かのためにやったことが、悲劇を生み、悲劇が惨劇を招いた。絶望というよりも、悲哀が(まさ)った。悲しい。こんなに悲しい。

 こんなに悔しいことがあるのか!

 僕は苦しかった。

 それは、自分が招いた、招かれた事によって起こってしまった事件だったからだ。

 心を、騙してでも現実逃避をしていた。したかった。

 していたかった。

 しかしこうなってしまった以上、今までのプロセスを語らずには終わらないだろう。いや、終わらせはしない。僕らが生み出した惨劇を、語らないなんて、それこそ悲劇だ。長く悔やみ続けるかもしれない。しかし、自分が招いた今回の事件を、自身で語らずいつ語るつもりだ。

 惨劇に招かれたあいつらの為にも、僕はこれから、一つの悲劇を、惨劇を語らないと気がすまない。

 


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