苗木誠 →苗 舞園さやか →舞
石丸清多夏 →石 霧切響子 →霧
十神白夜 →十 朝日奈葵 →朝
大和田紋土 →紋 腐川冬子 →腐
桑田怜恩 →桑 大神さくら →さ
山田一二三 →山 セレスティア・ルーデンベルク →セ
葉隠康比呂 →葉 江ノ島盾子 →江
不二咲千尋 →千
河上守 →守 モノクマ →モ
僕はようやく理解した。自らの置かれている状況に。
詳しく理解したという意味ではないけれど、でも、自分はかなり危ない状況に陥っていた。
僕は、『ダンガンロンパ』の世界へ来てしまった。理由はわからない。とりあえず、一つ言える事は、自分は危ない所へ来たという認識だけ。それ以外はない。
「ん、誰か来たべ」と葉隠
「おや、二人組ですかな?」と山田
「まだいたのか。のんびりした奴らだな」と十神
「あの、君たちももしかして……」と誠ちゃん
「そうです。私たちも希望ヶ峰学園の新入生、ですわ」とセレス。
どうしてわかったか。それは明白。皆が特徴的すぎたからだ。そして皆の背中にある金庫扉みたいなのを見て、すぐに理解した。
ああ、僕終わったかもしれない。
これからのことを考えると、ただただ絶望を感じてしまった。
山「これで全員ですかな。16人と、少し中途半端な人数ですが」
石「それより君たち! 一体何分の遅刻だと思っているのだ! 酷すぎるぞ!」
朝「いいじゃないの、それぐらい。こんな状況だもん、仕方ないよ」
紋「それよりもさ。どうすりゃここから出られるんだよ」
さ「そういえば、教室の壁に鉄板が貼り付けていたな」
千「もしかして、出口がないのかな……」
葉「そんなことないって」
千「え、そうなの?」
葉「考えてみろよ。こんなでっかい扉や壁にあった鉄板、普通に考えたらおかしいべ。何かのオリエンテーションかなんかだべ」
江「能天気ね、あんたは……」
葉「それに俺の占った結果によると、これは学園の行事だと出てるべ」
腐「そ、それって、当たるの……?」
葉「おう! 2割か3割は絶対に当たる!」
腐「なんなのよそれ……」
そんな呑気な会話を聞いていても、中々頭に入らなかった。
その後、苗木はみんなを知るために、自己紹介を始めていた。
「大丈夫ですか、貴方」
「ほえ?」
そして誰かの声によって僕は現実に引き戻された。
「何だか絶対に勝てると思い博打をしたが、全てがパーとなり人生に絶望してしまった人間の悲壮の顔をしていますが」
「はは、えらく具体的やね……」
「それはそうですわよ。私、超高校級のギャンブラーことセレスティア・ルーデンベルクとは私のことですもの」
「なるほどね……」
「何を納得したのですか?」
「……んいや、超高校級のギャンブラーって、君のことやってんな」
「ええ、それよりも……えらく憔悴しきってるようですが、自己紹介お願いでしますか?」
「……ああ、ごめん。僕は河上守。自分の持っていた才能は、何でか覚えてないんや」
「あらそうですの。それにしても、貴方の喋り方って、関西弁に似てますわね」
「……そらそうや。関西出身やからな」
「そうでしたの。どうりで何か他の人達と違うオーラがあったのですね」
「オーラ?」
「ええ、今まで見たことのないようなオーラが」
「……というと?」
「まるで女という獲物を眼光だけで全てを従わすような──」
「なんでやねん! 今までそんなオーラ利いた女おらんわ!」
「なんですって!? いつも人の子をそのような目で……!?」
「なわけないやろ!」
「ふふ」
「んにゃ、なんや?」
「いいえ、案外面白い方だなと思いまして」
「どういう意味や? 今のツッコミが面白かったんか? それとも、僕の変態性について嘲笑ったんか?」
「どちらもです」
「ひどい! そんなん言われたの初めてや!」
今までにない仕打ちを食らった気がする。何もしてないのに。初対面の女に。
「それよりも、もう大丈夫そうですわね」
「え」
「貴方の状態ですわ。他の方よりも一層に酷かったですから」
そういえば、重くなっていた心も幾分かマシになった気がする。
ついでに軽くジャンプしてみる。
「ありがとう、セレスさん。身体が軽くなったよ。恩に着るよ」
「いえいえ、当然のことをしたまでですわ。でも今の会話で身体が軽くなったのはおかしいと思います」
笑顔でセレスさんは答えてくれたが、何か僕、おかしなこと言った?
十「それよりも本題へ入るぞ」
苗「え?」
舞「さっき気付いたら教室で目が覚めたと言いましたよね? 実は私たちも同じなんです」
苗「ええ!?」
桑「学校へきたと思ったら突然目の前が真っ暗になって、気付いたら教室で寝てたんだよ」
苗「なんでそんなことが……」
十「それが分かればこんな話はしない」
苗「そ、そうだね……」
どうやら皆が今までに起きた状況を確認しあっているようだった。
自分の所持品がないことを確認したり、玄関の壁はなんだ、と話していた。
少しすると、葉隠は「だからオリエンテーションかなんかだべ」と言い張り、それに終結させようとしていた。
葉「それにしても、音沙汰ないのも変か」
朝「やっぱり怪しいって!」
桑「そうだよな。待ちくたびれたぜ」
葉「仕方ない。昼寝でもするか!」
桑「え、寝て大丈夫なのかよ。ま、いいよな。こんだけ俺たちを待てせてんだからな」
石「そんな呑気なことを言っている場合か! 地震が来たらどうするのだ!」
江「問題って、そこ?」
桑「いいっていいって。それに俺さ、昨日2時間しか寝てないんだよな。だから眠くて眠くて」
石「学生なら規則正しい生活リズムを心がけなくてどうする! それでも学生か!」
桑「学生だよ……」
紋「呑気なものだな」
さ「まったくだ」
朝「どういう状況かわかってんのかな、あいつら……」
キーンコーン カーンコーン
突然、鳴り響くチャイムに皆が戸惑う。僕らはその音の鳴ったモニターの方へと目にやった。
すると突然、あることが始まろうとしていることに、僕は気付いた。
『えー、マイクテス。マイクテス。
校内放送。校内放送。
ねー聞こえてる? 聞こえてるよね?
えー、ではでは。
新入生の皆さん。今から、入学式を執り行いたいと思いますので、
至急、体育館へお集まりくださ~い。
ボイコットはダメだからね』
それはあまりにもこの場所ではお門違い甚だしい、能天気な声だった。
ゲームをやった時、僕は何が始まるのかと思ってわくわくしていたが、いざこの立場になると途端に違和感を感じているのだった。
それは事件現場に笑い声が聞こえてくるような、そんな違和感。
モニターの画面が消えて、一瞬の静寂。
江「……なに? なんなの今の……?」
十「俺は先に行くぞ」
江「ちょ、何で先に行くのよ!」
葉「なるほど。入学式ね……もしかすっと、これらは全部入学式の催し物だったのか……。こら笑えんべ! 爆笑ものだべ! よし、じゃあ俺もさっさと行くとすっか。」
桑「ったく、一眠りしようと思ったのによ……。KYかよ……」
千「ああ、待ってよ! 置いていかないで!」
セ「では私も行くとしましょうか。皆さん、ごきげんよう」
腐「皆が行くんなら……私も行くしかないじゃない……」
ぞろぞろと体育館へ向かう面々を傍目に、僕は考えていた。
どんなことがおきるかは理解していたが、それでも足を踏み出せずにいた。
自分の勇気の無さに、笑えてくる。
舞「本当に、大丈夫なのでしょうか……」
江「今の校内放送にしても、かなりやばげだったもんね……」
霧「でも、ここへ残っていても危険から逃げられる訳じゃない……。それに、貴方たちも気になるでしょ? 今、自分の身に何が起きているか……」
さ「進まぬ限り、道は見えてこぬということか。ならば、行くほかあるまい……」
そうか。僕はいつも傍観者だったから忘れていた。皆も怖いんだ。自分の身に何が起きているのか……。
守「行くしか、ないんやな」
おそらく、僕が初めて皆に聞こえるように喋った言葉だった……と思う。
苗「そうだね。場所は、体育館だったよな」
皆喋ってるかな? 何となく不安に感じも、次回は体育館へ場面移動