ダンガンロンパ リアルの絶望と学園の希望   作:ニタ

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セリフが多くなる時があるので、ここでキャラクター達の見分けを記しておきます。
苗木誠   →苗          舞園さやか →舞  
石丸清多夏 →石          霧切響子  →霧
十神白夜  →十          朝日奈葵  →朝
大和田紋土 →紋          腐川冬子  →腐
桑田怜恩  →桑          大神さくら →さ
山田一二三 →山          セレスティア・ルーデンベルク  →セ
葉隠康比呂 →葉          江ノ島盾子 →江
                  不二咲千尋 →千

河上守   →守          モノクマ  →モ


プロローグ パート 3

 僕はようやく理解した。自らの置かれている状況に。

 詳しく理解したという意味ではないけれど、でも、自分はかなり危ない状況に陥っていた。

 僕は、『ダンガンロンパ』の世界へ来てしまった。理由はわからない。とりあえず、一つ言える事は、自分は危ない所へ来たという認識だけ。それ以外はない。

 

「ん、誰か来たべ」と葉隠

「おや、二人組ですかな?」と山田

「まだいたのか。のんびりした奴らだな」と十神

「あの、君たちももしかして……」と誠ちゃん

「そうです。私たちも希望ヶ峰学園の新入生、ですわ」とセレス。

 

 どうしてわかったか。それは明白。皆が特徴的すぎたからだ。そして皆の背中にある金庫扉みたいなのを見て、すぐに理解した。

 ああ、僕終わったかもしれない。

 これからのことを考えると、ただただ絶望を感じてしまった。

 

山「これで全員ですかな。16人と、少し中途半端な人数ですが」

石「それより君たち! 一体何分の遅刻だと思っているのだ! 酷すぎるぞ!」

朝「いいじゃないの、それぐらい。こんな状況だもん、仕方ないよ」

紋「それよりもさ。どうすりゃここから出られるんだよ」

さ「そういえば、教室の壁に鉄板が貼り付けていたな」

千「もしかして、出口がないのかな……」

葉「そんなことないって」

千「え、そうなの?」

葉「考えてみろよ。こんなでっかい扉や壁にあった鉄板、普通に考えたらおかしいべ。何かのオリエンテーションかなんかだべ」

江「能天気ね、あんたは……」

葉「それに俺の占った結果によると、これは学園の行事だと出てるべ」

腐「そ、それって、当たるの……?」

葉「おう! 2割か3割は絶対に当たる!」

腐「なんなのよそれ……」

 

 そんな呑気な会話を聞いていても、中々頭に入らなかった。

 その後、苗木はみんなを知るために、自己紹介を始めていた。

 

「大丈夫ですか、貴方」

「ほえ?」

 

 そして誰かの声によって僕は現実に引き戻された。

 

「何だか絶対に勝てると思い博打をしたが、全てがパーとなり人生に絶望してしまった人間の悲壮の顔をしていますが」

「はは、えらく具体的やね……」

「それはそうですわよ。私、超高校級のギャンブラーことセレスティア・ルーデンベルクとは私のことですもの」

「なるほどね……」

「何を納得したのですか?」

「……んいや、超高校級のギャンブラーって、君のことやってんな」

「ええ、それよりも……えらく憔悴しきってるようですが、自己紹介お願いでしますか?」

「……ああ、ごめん。僕は河上守。自分の持っていた才能は、何でか覚えてないんや」

「あらそうですの。それにしても、貴方の喋り方って、関西弁に似てますわね」

「……そらそうや。関西出身やからな」

「そうでしたの。どうりで何か他の人達と違うオーラがあったのですね」

「オーラ?」

「ええ、今まで見たことのないようなオーラが」

「……というと?」

「まるで女という獲物を眼光だけで全てを従わすような──」

「なんでやねん! 今までそんなオーラ利いた女おらんわ!」

「なんですって!? いつも人の子をそのような目で……!?」

「なわけないやろ!」

「ふふ」

「んにゃ、なんや?」

「いいえ、案外面白い方だなと思いまして」

「どういう意味や? 今のツッコミが面白かったんか? それとも、僕の変態性について嘲笑ったんか?」

「どちらもです」

「ひどい! そんなん言われたの初めてや!」

 

 今までにない仕打ちを食らった気がする。何もしてないのに。初対面の女に。

 

「それよりも、もう大丈夫そうですわね」

「え」

「貴方の状態ですわ。他の方よりも一層に酷かったですから」

 

 そういえば、重くなっていた心も幾分かマシになった気がする。

 ついでに軽くジャンプしてみる。

 

「ありがとう、セレスさん。身体が軽くなったよ。恩に着るよ」

「いえいえ、当然のことをしたまでですわ。でも今の会話で身体が軽くなったのはおかしいと思います」

 

 笑顔でセレスさんは答えてくれたが、何か僕、おかしなこと言った?

 

十「それよりも本題へ入るぞ」

苗「え?」

舞「さっき気付いたら教室で目が覚めたと言いましたよね? 実は私たちも同じなんです」

苗「ええ!?」

桑「学校へきたと思ったら突然目の前が真っ暗になって、気付いたら教室で寝てたんだよ」

苗「なんでそんなことが……」

十「それが分かればこんな話はしない」

苗「そ、そうだね……」

 

 どうやら皆が今までに起きた状況を確認しあっているようだった。

 自分の所持品がないことを確認したり、玄関の壁はなんだ、と話していた。

 少しすると、葉隠は「だからオリエンテーションかなんかだべ」と言い張り、それに終結させようとしていた。

 

葉「それにしても、音沙汰ないのも変か」

朝「やっぱり怪しいって!」

桑「そうだよな。待ちくたびれたぜ」

葉「仕方ない。昼寝でもするか!」

桑「え、寝て大丈夫なのかよ。ま、いいよな。こんだけ俺たちを待てせてんだからな」

石「そんな呑気なことを言っている場合か! 地震が来たらどうするのだ!」

江「問題って、そこ?」

桑「いいっていいって。それに俺さ、昨日2時間しか寝てないんだよな。だから眠くて眠くて」

石「学生なら規則正しい生活リズムを心がけなくてどうする! それでも学生か!」

桑「学生だよ……」

 

紋「呑気なものだな」

さ「まったくだ」

朝「どういう状況かわかってんのかな、あいつら……」

 

 

 キーンコーン カーンコーン

 

 

 突然、鳴り響くチャイムに皆が戸惑う。僕らはその音の鳴ったモニターの方へと目にやった。

 すると突然、あることが始まろうとしていることに、僕は気付いた。

 

 

『えー、マイクテス。マイクテス。

 校内放送。校内放送。

 ねー聞こえてる? 聞こえてるよね?

 えー、ではでは。

 新入生の皆さん。今から、入学式を執り行いたいと思いますので、

 至急、体育館へお集まりくださ~い。

 ボイコットはダメだからね』

 

 

 それはあまりにもこの場所ではお門違い甚だしい、能天気な声だった。

 ゲームをやった時、僕は何が始まるのかと思ってわくわくしていたが、いざこの立場になると途端に違和感を感じているのだった。

 それは事件現場に笑い声が聞こえてくるような、そんな違和感。

 

 モニターの画面が消えて、一瞬の静寂。

 

江「……なに? なんなの今の……?」

十「俺は先に行くぞ」

江「ちょ、何で先に行くのよ!」

葉「なるほど。入学式ね……もしかすっと、これらは全部入学式の催し物だったのか……。こら笑えんべ! 爆笑ものだべ! よし、じゃあ俺もさっさと行くとすっか。」

桑「ったく、一眠りしようと思ったのによ……。KYかよ……」

千「ああ、待ってよ! 置いていかないで!」

セ「では私も行くとしましょうか。皆さん、ごきげんよう」

腐「皆が行くんなら……私も行くしかないじゃない……」

 

 ぞろぞろと体育館へ向かう面々を傍目に、僕は考えていた。

 どんなことがおきるかは理解していたが、それでも足を踏み出せずにいた。

 自分の勇気の無さに、笑えてくる。

 

舞「本当に、大丈夫なのでしょうか……」

江「今の校内放送にしても、かなりやばげだったもんね……」

霧「でも、ここへ残っていても危険から逃げられる訳じゃない……。それに、貴方たちも気になるでしょ? 今、自分の身に何が起きているか……」

さ「進まぬ限り、道は見えてこぬということか。ならば、行くほかあるまい……」

 

 そうか。僕はいつも傍観者だったから忘れていた。皆も怖いんだ。自分の身に何が起きているのか……。

 

守「行くしか、ないんやな」

 おそらく、僕が初めて皆に聞こえるように喋った言葉だった……と思う。

 

苗「そうだね。場所は、体育館だったよな」

 




 皆喋ってるかな? 何となく不安に感じも、次回は体育館へ場面移動

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