ダンガンロンパ リアルの絶望と学園の希望   作:ニタ

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 今回は少しえぐい話になります。心して、読むように。


episode 1 パート 8 (非)日常編

桑「ったく、んだよ……いきなり体育館に呼び出しなんてよ……」

 

 僕たちは、モノクマに指定された集合場所の体育館に来ていた。時間は午後7時。僕は予め言われていたから早く来ていた。しかし、僕はその間何もやることが無かったので、早めに体育館に来てバスケットボールをしていた。

 予定の時刻より5分前にに石丸君が来たと思ったら、次々と生徒達が入ってきた。

 

紋「また何か企んでるんだろ……」

石「しかし、だからと言って何もしなかったら僕達に危害が及ぶかもしれない! 僕達でモノクマを倒そうではないか!」

腐「……攻撃したら校則違反なんでしょ……」

石「そ、そうだった!」

江「……バカなの?」

 

 そんな会話を流し目に、僕は江ノ島さんを見ていた。それに気付いたのか、そっぽを向いた。その仕草が、単純に可愛かった。いや、不謹慎だけど。

 

セ「それにしても、全員集合したと言うのに、モノクマさんは現れませんわね」

桑「寝坊でもしてんじゃねーの?」

モ「僕は、規則正しいって昔から有名だったよ!」

桑「ぬわぁ!?」

モ「うん。その驚きを待ってたんだ!」

 

 突拍子もなく現れるモノクマ。突然現れたがるのは、人を驚かすのが好きだと言うことらしい。

 

霧「規則正しいモノクマが、どうして遅刻したのかしら」

モ「うん。実はね、この前から問題になっていた、河上守君の部屋を準備していたんだ」

十「なに? そんな素振り、一切見なかったぞ」

モ「そりゃそうだよ。僕だって建築界じゃ、巨匠の達人って言われたぐらいだからね。こっそり準備するぐらい簡単だよ」

朝「巨匠の達人ってのも、意味わかんないけどね……」

モ「ともかく、河上君の部屋は準備できたから、安心してこれから眠れるね」

 

 僕の部屋は出来たと言うことなのか。案外早く済んだもんだな。と、僕は少し感心していた。

 

セ「それで、私達を招集したのはどういった理由ですか?」

モ「よくぞ聞いてくれました!」

 

 そう言うと、モノクマは踏ん反り返って僕らに視線を向ける。

 

モ「実は! 君達に動機を与えるために招集したのです!」

葉「ど、動機?」

モ「そうです! 動機です! 殺人の動機です!」

 

 あれ? ゲームでこのタイミングに動機なんて説明していたか?

 

モ「初回と言うことだからね。()()()()()()()()()もあって、動機作りには時間が掛かったよ……」

十「……イレギュラーとはどういう意味だ?」

モ「イレギュラーというのは、揃ってない何々、不規則な何々、変則的な何々、という意味だよ」

十「イレギュラーの字義を訊いてるんじゃない。イレギュラーの存在とは、どういうことなんだ……!」

モ「あれ、そういうことだったの? なら早くいってよ~」

 

 十神が凄く恐ろしいほど殺気立っていた。

 

モ「イレギュラーって言っても、実感湧かないだろうから、分かりやすく言うとね……反逆者的存在だよ」

千「は、反逆者?」

モ「そ。僕に逆らおうと見せかけて、君達を殺そうとしている存在だよ」

紋「なぁ……!?」

 

 正直、言葉にならなかった。というか、反逆者って、どういうことなんだ?

 

モ「怖いよねぇ。僕に対する反逆ではなく、この学園から脱出したいが為に人を殺すなんて、正直恐怖を感じるぜ!」

江「ちょ、ちょっと待って! それって……どういうことなの?」

モ「は? ちゃんと説明聞いてたの? 反逆者は、君達を殺す存在なの! つまり、君達はいずれ、反逆者に殺される運命なんだよ!」

 

 時が止まったかのように思われた。

 僕らはあの時感じた、入学式の終わりに感じた、あの敵意さえも感じる視線。僕は、あの時と同じ、ただならない恐怖を感じた。それと同時に、僕は疑問があった。

 運命と、モノクマは言った。

 もう既に、ゲームからの運命からはかけ離れていて、正直、動揺を隠せなかった。小鹿のように足が震えていた。ただ、突っ立ているだけで、体力は大幅に消耗されていくようだった。

 

モ「ついでに、後で信じる奴がいるとかどうとか言いそうだから裏づけみたいに言っておくとね、反逆者は僕のことを知っている人物だよ。間接的にも、直接的にもね」

 

 その言葉の意味は、わからなかった。単純に頭が回らなかったと言う理由だけではない。考えるのが嫌だった。

 それでも考えると、その言葉の意味は、僕のことを指している。直接的に知っていた訳ではないから、間接的な部類に入る。僕は堂々とモノクマに口火を切っていたし、何より、江ノ島さんを、戦刃さんを傷つけた。そういう理由を持っての発言だろう。

 

モ「しかも、その反逆者は一人ではありません!」

 

 ……は?

 

モ「二人以上は、反逆者的存在がいます!」

 

 僕は驚愕した。僕以外の存在で、反逆者が存在するということに。

 

朝「ちょ、ちょっと待ってよ! どういうことかさっぱりだよ!」

モ「え? まだ分からないの? いい加減にしてよね。これでも結構噛み砕いていってるのに……クマだけに。うぷぷ……」

葉「そんなの、いるわけねぇべ」

モ「おろろ?」

葉「だってさ、そもそも殺すことが目的なら初っ端から殺してる筈だべ」

モ「……一瞬呆れたけど、僕の説明が足りなかったと反省するとして、実は、反逆者の中には僕が直々に指令を送っていたりします。だから、反逆者と言っても、必ずしも殺せるわけじゃないよ」

桑「じゃ、じゃあ何でお前は殺さないんだよ……?」

モ「物騒だね、桑田君は。僕が殺人をさせない理由はただ一つだよ。

 

 

 

 

 

  ボクがほしいのは、望みを絶する──絶望……それだけだよ」

 

 

 

 

 

 モノクマは、そういった。

 

モ「それが、ボクの望みで、希う、唯一の絶望なんだよ」

 

 血の気が引いた。その言葉ではなく、その異常性に。

 

桑「く、狂ってる……」

モ「ボクは常に正常運転だよ」

千「こ、こわいよぉ……」

朝「何なのよ……一体……」

モ「ボクはモノクマ。この学園の、学園長なのだぁ!」

十「お前の自己紹介なんぞ、もういらん」

モ「そう? 読者サービスってやつだけど」

 

 訳の分からないことを言った。

 しかし、そんな悪辣な雰囲気を壊したのは、一人の少女だった。

 

江「いい加減にしなさいよ!」

モ「ほえ?」

江「アンタの好き勝手な物言いで、私たちが付き合ってられる訳ないでしょ!」

モ「おほほ、威勢がいいね。でも、君達がこの学園に入学したんだから、勝手な物言いはないんじゃないかな?」

江「そんな滅茶苦茶な言い訳、通じと思ってんの!?」

モ「言い訳な訳ないじゃん。ボクは公正な生徒であるために、生徒手帳に、殺し合いのルールを設けたんだからさ」

江「そんなもの、誰が参加するかってっ!」

モ「そんな事言っちゃう? 言っちゃいます? 勝手な言い分ばっかりは流石にボクも疲れるよ」

江「それはこっちの台詞だってのっ! アンタぶちのめすわよ!」

モ「目の前の圧倒的な悪の迫力に……正直ブルってるぜ……だ、だけどなぁ……ボクは悪に屈する気はない……最後まで戦い抜くのが……モノクマ流なり! どうしても通りたくば……ボクを倒してからにしろぉーーッ!!」

 

 という声と共に、モノクマはテトテトと突進してきた。

 この景色、記憶にある。旧くない記憶。最近見たばかりの記憶だ。

 嫌な予感がする。

 

モ「ぎゅむ……!」

 

 モノクマは、江ノ島さんに蹴り倒されていた。

 

江「どう、これで満足?」

モ「そっちこそ」

 

 ……思い出した。この後の状況を。

 

江「は?」

モ「学園長ことモノクマへの暴力を禁ずる。校則違反だね」

 

 それは、大和田の実体験が、物語っていた。その後に起きること。

 

モ「召喚魔法発動!」

 

 僕はその声と同時に、江ノ島さんの方へ走り出していた。思考は完全に停止していた。

 

モ「行け! 滅びのグングニルの槍ッ!!」

 

 その声と同時に、突如出現した槍が突き刺さる。

 ──僕の腕に。

 

守「──い、いい、いいい、あああああああああああああああ!!」

江「……!?」

 

 僕の腕には、しっかりとグングニルの槍が、三本程貫通していた。

 僕が悲鳴を上げている間、モノクマは驚いた顔をしていた。ような気がする。正直、そこまで確認できる余裕なんてない。

 痛い。痛い痛い。痛い痛い痛い痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

 

モ「まさか、庇うなんて正直計算外だったよ……」

葉「あ、ああ……?」

腐「…………──」

 

 腐川はバタリ、と音を立てて倒れた。

 

舞「きゃ──きゃあああああああああああああああ!!!!」

山「ぎょええええええええええええええええ!!!!!」

紋「なんだよ一体!! なんだよ一体!!」

 

 全員パニック状態に陥っていた。僕の姿を見て、混乱していた。

 

モ「悲痛な叫びは嫌なもんだね」

江「…………」

モ「殺せなかったのはともかく、これは緊急治療が必要だよ」

 

 そういうと、モノクマはどこからか銃器を取り出した。

 

霧「──!? 何をする気!!」

モ「麻酔銃だよ。とりあえず、眠らせてあげないと五月蝿いし」

 

 僕は痛みのあまり、状況を理解できていない。まともに思考さえ出来ていなかった。しかし、痛みは理解し、神経はしっかりつながっていた。

 そして僕は急激に意識が弱まり、僕は深い眠りに着いた……

 


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