リリカルなのは~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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A,s
41~50


 

 

異伝7 その41

 

とある初夏の日のこと。夜遅くに魔力を検知した。

……が、なんか面倒だったので場所を記録するだけ記録して、後はまるっと無視することにした。

俺は別に管理局の局員じゃないし、民間協力を奨励してるわけでもないから別にいいよな? と理論武装をして、アンダーグラウンドサーチライトの中でいつものように眠る体勢に入る。

暫くは平和だろうし、いつも通りに過ごすことにしよう。過剰反応したところで、なにがどう変わると言うわけでもないんだし。

 

と言うことで、時と場合を考えて適切な行動を。空気を読んであえてぶち壊すのが得意の俺も、流石にリイン(大)と主の別れのシーンにふざけたりとかはしないと思うし。

 

……絶対じゃないけど。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

とある初夏の日の夜。突然魔力反応を感知した。

……なんだか嫌な予感がするけど、今攻撃しちゃいけないような気もする(【直感:B】発動中)。

 

仕方がないからとりあえず調べるだけにしておこうと思う。

突然現れた魔力の数は四つ。突然現れたわけじゃないけど、その近くに私よりも大きな反応が一つ。小さいと言うか薄い反応が一つ。合計すると魔力反応は六つ。

 

突然現れた四つの方は、どれもこれも私より魔力ランクは低そうだけど……私の近くに魔力は少なくても化け物みたいに強い人が居るから油断はできない。

魔力ランクが戦闘力の絶対の基準と言うわけじゃないんだから。

 

……まあ、それ以前に戦わなければいいだけなんだけどね。面倒だし、危ないし。

私は危ないことは嫌いなんだよ? どうしてかあんまり信じてもらえないけど。

 

勿論襲われたら反撃するし、殺されそうになったら多少の無茶をしてでも生き残るために行動する。あんまりやりたくないけど……やらなかったら自分の身も守れないんだから、仕方無い。

 

ちなみに、私にとっては無茶と無理は違うものだと思っている。

どう違うのかと言えば、無茶を成功させることはできるけど、無理は成功させることはできない。

無理は文字通りに‘無理’なんだから、この区分は当然と言えば当然だよね。だからどうだって言う訳じゃないけど。

 

私はつらつらととりとめのない考え事をしてから、とりあえず被害が来るまではスルーしておくことにした。

完全に放っておいたら不味いような気がするけど、本格的にこの世界が大変なことになったらどうにかするつもりだ。

私だけじゃ足りないんだったら、さくらさんに頭を下げて力を貸してもらえるように努力しよう。さくらさんなら簡単にどうにかしちゃうような気がするしね。

 

……じゃあ、私は寝ようかな。睡眠不足は人生を駄目にするからね。お肌にも悪いし、体は疲れがとれないし、脳も休めないし、記憶の整理もできなくなっちゃう。いいことなんて全くって言っていいくらいに無いから、早寝早起きして毎日を頑張らないと!

 

……まあ、毎日レイジングハートにお願いして魔力で負荷をかけてもらってるし、体はかなり疲れてるから布団に入ればすぐに寝ちゃえるんだけどね。

流石に布団に入って三秒で寝れるって言うのは無いけど、結構寝付きはいい方だし。

 

…………それじゃ、お休みなさい。

 

 

 

 

 

side 八神 はやて

 

とりあえず、目の前で起きたことが信じ難くて目を擦る。痛いほど擦ってから見てみても、それは消えない。

それに、目も痛いから夢やない。

 

「……主?」

 

……この、体にぴったり張り付く感じのボディースーツの四人組は。

 

「………あー…………とりあえず、聞いてええか?」

「なんなりと」

「……お名前は?」

 

……いやまあ、一応な。さっきの名乗りは聞いたけど、名前はわからんかったし……騎士って言ってもほんまかどうかもわからんし、ついでに急に現れた相手が何かするんやったら、私なんてあっという間に黙らされてるはずやしな。

なにがなにやらようわからんけど、知っといて損は無いはずや。

 

……それにしても、ボディースーツって恥ずかしくないんやろか? 私やったら正直願い下げなんやけど……。

 

 

 

とりあえず、色々教えてもらった。ポニテのお姉さんはシグナム。ちっちゃい子はヴィータ。金髪のお姉さんはシャマル。犬耳付きのお兄さんはザフィーラ。四人揃って闇の書の守護騎士、ヴォルケンリッターと言うらしい。

ちなみに、ヴォルケンリッターを日本語訳すると『雲の騎士団』だそうや。

 

……名前は聞いたし、私が見捨てたら行く場所がないこともようわかった。ついでに闇の書の趣味の悪さ(初期の服装的な意味で)もわかった。

……仕方無いなぁ……面倒見たろ。一人は寂しいところやったし、ちょうどええな。小粋な神様からの誕生日プレゼントとでも考えとこ。

物凄い力とかそんなんには興味無いし、魔力の収集もしなくてええ。歩けるようになるかもしれへんってのは魅力的やけど、人に迷惑かけるのはなぁ……。

 

無理矢理奪うんやなくて、あげてもええよーって人からだけ貰って完成させるならええけど、聞いた話やとそんな風に言ってくれる人はおらへんやろうしなぁ……。

 

……まあ、この動かへん足とも長い付き合いや。困ると言えば困るけど、諦めもつく。問題あらへん。

 

ただ、今確実に必要なんは………服やな。こんなかっこで外に出したら色々マズいわ。ご近所付き合いはほとんど無いけど、注目の的になるのは結構きついんやで? 経験談や。

 

それじゃ、明日は洋服買いに行こか。その時だけシグナムとシャマルの分はお母さんのお古を我慢して着てもらえればええし、ヴィータは私のを着てもらえば買いに行っても変に思われへんやろ。

ザフィーラは…………お父さんはやせ形やったさかい、ちょっと無理があるかもしれんなぁ……。

 

……まあ、なんとかなるやろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?異伝7 その42

 

昔々あるところに、悪逆非道の王国の、頂点に君臨するは、齢九つの女王様、と。

上の歌詞の女王様とはディアーチェのことだな。闇統べる王だし、オリジナルは確か九歳だったはずだし、女で王だし。間違ってない間違ってない。

……ディアーチェ自身はゼロどころか生まれてすらいないからマイナス歳だけど。

 

まあ、マテリアルはオリジナルと組ませて裏表ラバーズを歌うと面白そうなんだよな。顔も声も同じだけど、それでいて雰囲気が違うから組ませてみたい。

なのちゃんとシュテルにはもうやってもらったけど、平坦なシュテルと感情表現豊かななのちゃんの組み合わせは想像以上に面白かった。これはもう大成功と言っていいな。

 

……それはそれとして、最近になってリリカル楽団(かなり適当)に新メンバーが参戦した。

頑張って練習してきたらしい熱血少女バーニングと、冷血少女つっきーの二人。名前の前のはこうやって揃えた方が語呂がいいから言っているだけで、特に意味は無い。

バーニングの方には色々言われたし、つっきーの方も無言で抗議されたが、バーニングの方は適当に言いくるめ、つっきーの方は冷血少女を取ったらそこそこ機嫌が直ったのでこれでいいと思っている。

つっきーと月村(がつむら)とどっちがいいかと聞いたらつっきーでいいって言っていたからな。

 

バーニングの方は殆どの事をかなり高い水準(具体的には準一流、ランクにするとAAくらい)で修得できる感じの、デチューンされた弾あるいはカズみたいな才能の持ち主で、つっきーも似たような感じ。

ただ、バーニングにもつっきーにも一つずつ飛び抜けたものがあるが……音楽にはあんまり関係無いからスルーすることにする。

使おうとすれば音楽にも応用できるんだけどね。

 

そんなわけで、なのちゃんと俺は新入り二人と音楽性の擦り合わせを行うことに。リリカル楽団は団員ナンバーを勝手につけているんだが、俺が1番でなのちゃんが2番。シュテルが3番でレヴィが4番。5番がディアーチェ、6番がバーニングで7番つっきーの順番だ。

 

ちなみにこれは入った順なので、数が小さければ偉いと言うわけではない。ファンクラブの会員ナンバーとでも思っておけばいい。ただの名誉職のようなものだ。

そもそもリーダーがいない形だけの集まりに適当に名前をつけただけだし。入るも抜けるもご自由に、って所だな。

勝手に一人でどこかで演奏するのも自由だし、何人かで集まるのも自由。演奏する曲も好きにしてくれて一切構わないし、それに文句なんて言わせない。

 

まあ、一度入ったら顔とナンバーは覚えておいて変わらなくなるけど。顔を変えてもすぐわかるし、問題ないはず。

……メモとか残しといた方がいいか? 特に意味は無いけど、思い出にはなるだろう。

老後の楽しみとか、昔を懐かしんでとか、そういったネタにもなるだろうし。

 

……とりあえず、俺とマテリアル達のは書いておこう。面白そうだし。

リリカル楽団だから、IS世界で組んでいたバンドとは別。あのバンドって実はカズが死んで解散する最後の最後まで名無しのバンドだったし。

 

……楽しかったなぁ………いまだに英霊の座で結構やってるけど。

なんでかみんな居るんだよな。びっくりびっくり。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

さくらさんのリリカル楽団、団員ナンバー2番の高町なのはです。ちゃんと書きました。なんと言うか、ハリー・ポッターであったダンブルドア軍団の羊皮紙みたいでドキドキするね!

……でも、シュテル・イーストエッジはわかるけど、レヴィ・サブラクとディアーチェ・サウスバレイって…………だれ?

 

ちなみに、全員名前のところに得意な楽器が書いてある。さくらさんはなんでも。シュテルちゃんはチェロ。私はバイオリン。レヴィって人はクラリネット。ディアーチェって人はパイプオルガンとアコーディオン。アリサちゃんはギター系統ですずかちゃんはヴィオラらしい。

 

……うん、全然わからない。私はバイオリンばっかり弾いてたから、他の楽器の名前とか知らないんだよね。

……もしかして、私って自分の興味の無いことは疎かにしやすいタイプなのかな? なんだかすごくそんな気がする。

 

なんだか悔しいから、また今度勉強しよう。魔法の勉強も大事だけど、個人的にはこっちの勉強の方がずっと重要だと思うし。

ちゃんと学校の勉強はやってるし、その延長みたいなものでしょ。ちょっと興味があるものに近い分、こっちの方が楽かもね。

 

未来への投資はちゃんとしないと。目指すは歌って踊れて演奏できて、その上料理も上手な二代目翠屋パティシエなんだから。

まあ、ほんとは踊るのは必要ないんだけど……踊れないよりは踊れた方がいいよね? さくらさんは踊れるし……。

 

……よーし!今日の授業は終わっちゃったから、明日からまた頑張るぞっ!おー!

 

私は誰に言うでもなく、自分の目標を決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その43

 

なのちゃんとの戦闘訓練中。そろそろ壁にぶつかって伸び悩み始めているようだが………実力が延びる速度と現在の力量から考えると遅すぎると言っていいくらい遅い。普通はもう少し早くそういう壁にぶつかるはずなんだが…………まあ、なのちゃんだから仕方がないな。

化物扱いは酷いとかなんとか言われることも多少はあるが、特に問題は無いだろう。実際、なのちゃんの才能は方向は違えど束姉さんレベル。十分すぎるほどに化物だ。

 

「……さくらさんには………言われたくないです………………」

 

ぐったりとしながらなのちゃんは抗議の声をあげるが、なのちゃんも俺もどっちにしろ否定はできないよな。実際化物みたいなんだし。

 

まあ、そんなことは置いといて……なにやら色々と面倒なことが動き出しているような気がする。具体的なことは流石にわからないが…………元々は夜天の書という名前だったが悪意をもって改造され、無限に再生し、完全に壊されてもいつの日にか別の場所に転生するようになってしまったロストロギア、現在の名前は闇の書と言うそれが起動して、四人の守護騎士が主のために色々と手を回して頑張りすぎて空回ろうとしてるような気がする。

 

……ちなみに、今は12月。二期の開始時期も12月。ちょっと前から例の突然現れたからマークしていた魔力反応がこの世界から何度も消えてたから、もう行動は始まってると思う。

二期云々や闇の書云々はともかくとして、魔力反応についてはなのちゃんもしっかり理解している。このまま何もなければいいんだが……そうもいかないのがこの世界のお約束だよなぁ……。

 

……だってほら、結界が張られたし? なんか赤い球体と幼女が来てるし? 面倒臭いことこの上無いよな。いやあるけど。

 

とりあえず、俺となのちゃんに向けて一発ずつ飛んできている誘導弾(多分)をそれぞれの方法で受け止める。具体的な方法は、なのちゃんはシールドで。俺は素手で。

そして後ろから迫ってくるハンマー赤幼女のハンマーを俺が受け止め、なのちゃんは受け止めていた弾を逸らしてハンマー赤幼女に進路を誘導する。俺は受け止めてただの鉄球になっていたそれを人中(鼻の下のところ。ここを殴られると時々ショック死するやつもいる)に投げた。

 

「うぉあっ!?」

「お、避けたな」

「避けましたね」

 

しかしハンマー赤幼女は、なのちゃんに誘導された弾丸も俺が投げた鉄球も見事に避けた。俺がハンマーの反対側を掴んでいるとはとても思えない回避能力だな。

…………追い詰められた時のなのちゃん程じゃないけど。

 

「……で、そこなハンマー赤幼女!」

「誰が幼女だ!」

「お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ幼女。お前だ生意気系ロリータ」

「さくらさん……言い過ぎじゃあ………?」

「回数的な意味で?」

「それもですけど……フラッシュバスター」

『フラッシュバスター』

「ぐぁっ!?」

「……見た目的にはさくらさんや私も似たようなものじゃないですか」

 

接近してきたハンマー赤幼女にフラッシュバスターを撃ち込みつつ、ちょっとたしなめられた。ちゃんと周りは見えてるみたいで、よかったよかった。

ただ、帽子が粉々にされてなんかキレたっぽいけどな。

 

「ラケーテン……ッ!」

「黙れよハンマー搭載型赤ロリ」

「魔法言語のお話には、肉声での言葉なんて意味を持たないんだよ?」

『シールドエッジ・シューター』

 

ハンマーを変形させてその場でくるくる回り始めたハンマー搭載型赤ロリに、俺から居合拳を十発単位で撃ち込まれ、なのちゃんから手のひらサイズのシールドエッジを10枚くらい投げられ、ハンマー搭載型赤ロリの全身はボロボロになってしまった。

しかしそれでもハンマー搭載型赤ロリの目は敵意に満ちている。

 

……それにしても、服がボロボロで見てられない上に、なんか弱い者苛めをしているような気分になってきた。やってることはそのものだけど、自業自得と言うことで。

襲ってきたのはそっちだし、俺は悪くないよ!とか言ってみる。言ってないけど。

 

「それじゃあとりあえず、尋問タイムといこうか」

「初回から鋼鉄の(アイアン)処女(メイデン)を使ったりとかはしないでくださいね?」

「…………え?」

「…………え?」

「おい待てなんの話だよ!? あたしはまだ捕まってね」

 

瞬動で背後を取り、シルバースキン・アナザータイプ・リバースを着せる。三枚ぐらい。

これで捕まえられたから尋問タイムだな。

 

鋼鉄(アイアン)処女(メイデン)はやめてくださいね?」

「大丈夫。ちょっと湿度が80%を越える部屋の中で椅子に縛り付けて時間を加速させて目隠しと耳栓をして口一杯にゴーヤを詰めて顔に弱アルカリ水溶液を一滴ずつ五秒間隔で垂らし続けるのを10時間くらい続けるだけだから」

「おもいっきり拷問じゃねえか!? それやられて壊れたやつ沢山知ってるぞオイ!?」

「……だそうですけど?」

「……仕方無い。ルリヲヘッドで脳味噌から直接情報を引き出すか。これやるとたまに頭があっぱらぱーになる奴がいるけど……自業自得と言うことで」

「なる確率は?」

「9割から13割くらい?」

「13割ってなんだよ!?」

「一回あっぱらぱーになってからもう一度3割の確率であっぱらぱーになるくらいかね? 平均11割」

「100パーじゃねえかよ!?」

「110パーだ」

「ならなかった人はいるんですか?」

「俺が直した奴なら居たぞ。記憶が飛ぶまで殴るから大抵途中でミンチになるけど」

「ご愁傷さまです」

「助けろよ!?」

 

ハンマー搭載型赤ロリはじたばたと暴れている。からかうと面白いが……厄介事は面白くないし、襲ってきたことはよろしくない。

さて、どうしてくれようか…………。

 

「……わぁ、さくらさんがくろーい笑顔を浮かべてる」

「お前も似たようなもんだよ!」

「さくらさんに似てるだなんて………ぽ♪」

「ダメだこいつ、早くなんとかしないと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その44

 

side ヴィータ

 

あたしの目の前で、黄色い服を着ている赤い髪をしたピエロが一人。よくわからない躍りを躍りながらとある単語を繰り返している。

目を逸らそうとしても逸らせず、耳を塞ごうとしても塞げず、目を閉じようとしても閉じれず、ただひたすらにそれを見せつけられる。

 

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

 

何度も何度も繰り返され、あたしの頭を毒していくそれは、いつの間にかあたしの脳裏に静かに鎮座していた。

 

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

 

らん……らん………るー…………。

 

気付いた瞬間にはもう遅い。あたしの体は勝手に動き始め、目の前にいるピエロと動きをシンクロさせ始めた。

手を合わせ、腕を交差させて両肩を触り、それから両手を真上にピンと伸ばす。勝手に動き始めた体も、声も、もう止まらない。

 

「らん・らん・るー☆」

 

ピエロが楽しげに言う。

 

「らん・らん・るー☆」

 

あたしも、続く。

 

「らん・らん・るー☆」

 

ピエロが。あたしが。ピエロが。あたしが。何度も何度も繰り返す。

 

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

 

いつの間にか、あたしの姿が変わっていた。

はやてに作ってもらった騎士甲冑はほどけていて、目の前のピエロと同じような服に。靴も、髪も、化粧すらもピエロと同じものになっている。

 

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

 

ピエロになったあたしは、笑顔の仮面を顔に張り付け、何度も何度も一つの動作を繰り返す。

手を合わせ、腕を交差して両肩に触れ、両手を限界まで上に伸ばす。

 

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

「らん・らん・るー☆」

 

……………………。

 

……ごめん。はやて。

あたしは………帰れそうに……ねえ…………。

 

「らん・らん・るー☆」

 

ピエロのその声を最後に、あたしの意識はぷっつりと途切れた。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

私の前に、ぐったりと地に伏せて「……らん……らん………るー……………」と繰り返している女の子がいる。

絶対さくらさんがやったと思うけど、何をやったのかはわからない。わかりたくもない。

……だって、もしかしたら「聞くより食らった方が分かりやすいよ」とか言われて実際にされたら女の子として他人に見せられない姿を見せちゃいそうで………。

 

けれどさくらさんはそんな状態の女の子に変な形のヘルメットを被せ、さらに追い詰めようとしているようです。さくらさんはいったいどこまで容赦が無いんでしょうか?

私も大概だと自覚はしてますが、さくらさん程ではないと胸を張って言うことができます。

 

「まあ安心しろ。この兜には大した能力は無い。相手の記憶を読み取ることと、被った相手の体を乗っ取ることくらいしかできないよ」

「それだけできれば十分だと思いますけど………副作用は?」

「ちょっとくらくらする位だな。発狂させたりとかは……できなくもないけど、しようとしなければ大丈夫」

 

できるんですね。

ところで、この結界はどうしましょう? ぶち抜いたら結構目立ちますよね?

 

「すり抜ければ?」

「いや、それを止めるための結界なんですけど……」

「じゃあ一部だけ割れば? 俺はすり抜けるけど」

「じゃあそうします。この子はどうします?」

「放置」

「了解です」

 

そんなわけで、突然襲いかかってきた女の子は放置して、家に帰りましょう。

 

「それじゃあ俺は、これを届けてくるな?」

「はーい」

 

ちょっと心配ですけど、さくらさんなら大丈夫でしょう。

それじゃあ帰ったら狂気の提琴の整備をちゃんとしないと。

 

 

 

 

 

side シグナム

 

「お届け物です」

 

その言葉によって玄関の戸を開けた私の目の前にあったものは、

 

「……らんらんるー☆……らんらんるー☆……」

「お前に何があった」

 

虚ろな表情で「らんらんるー」と呟き続けるヴィータの変わり果てた姿だった。

その目には力が無く、ただ呟き続けるその姿からは、少し前までの元気のある姿が全く想像できない。

よく見てみると、騎士甲冑の腹部に紙が貼り付けられている。

 

『正当防衛だから!』

 

私はその紙を破り捨て、すぐにシャマルに連絡を入れる。

そしてヴィータを抱えあげて……

 

「……なんだぁ……シグナムかぁ……」

「……ああ。誰にやられた?」

「うへへへへ……らんらんるー☆……」

「ヴィータ!おい、ヴィータ!」

「シグナムもやろうぜぇ……? らんらんるー☆……」

 

重症だ。

 

 

 

悪い子のためのらんらんるー体操、時間加速で120時間耐久レース。

 

……エクスカリバーとどっちが酷い?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その45

 

side 高町 なのは

 

ビデオレターを送るような友達は居ますか? 私はいます。

相手の名前はフェイトちゃん。そう、少し前までジュエルシードを取り合っていた、あの娘です。

私が毎回ビデオレターの最後の部分に一曲入れていたら、フェイトちゃんも真似をしてか簡単な曲を入れて送ってきてくれるようになりました。

フェイトちゃんはフルートが好きみたいで、初めの頃は楽器に統一性がありませんでしたが、最近ではフルートを使っていることが多いみたいです。

 

さて、どうして突然そんなことを言ったのかというと……そのフェイトちゃんが、今日になって突然この地球に来ているからです! わーぱちぱちぱち!

 

……ふぅ。

 

そんなわけで、到着早々悪いと思わなくもないけれど、ついさっき、見たこともないハンマーみたいな形をしたデバイスを持った私と同じくらいの年齢に見える魔導師の少女に襲われたという話をしてみた。

そしたらフェイトちゃんったらわたわたと慌てて私に色々話を聞いてきた。

 

「だ、大丈夫だったのなのは!? 怪我はない?」

「私は大丈夫だよ? むしろあっちの娘の方がボロボロだったかな」

「……その子はどうしたの?」

 

その問いに、私はにっこり笑ってお腹を撫でる。

 

「昨日の晩御飯は美味しかったなぁ……」

「………………え?」

 

……フェイトちゃんはなんだかじりじりと後ずさっている。これは本気にしちゃった感じかな?

 

「冗談だよ。昨日の女の子は堕として裏路地に放置してきたから」

「な、なんだ、よかっ……いや良くない!良くないよ!?」

「……そうだよね。ちゃんと止めをさして百舌鳥の早贄とか串刺し公ヴラドさんがやったみたいにして見せしめにしないとダメだよね」

「ヴラドさんって誰!? 百舌鳥の早贄って何!? 文から読み取るとなんだかすごい怖いんだけど!? しかも見せしめって言ったし!」

 

なのは怖い!とフェイトちゃんは言うけれど、私だってそんなことをする気は欠片も無い。

 

……まったくもう。フェイトちゃんは可愛いなぁ……。

「冗談だよ。冗談」

「……じょ……冗談………? …………ホントに……?」

「勿論」

 

私の言葉を聞いて、フェイトちゃんはほっと胸を撫で下ろす。前に戦った時はもっとしゃんとしてたのに、なんだか今はぽけぽけしてるなぁ。

まあ、そんなところも可愛いけどね。フェイトちゃんだし。

 

……フェイトちゃんにはアリサちゃんとはまた別の可愛さがあるんだよね。フェイトちゃんもアリサちゃんもどっちも可愛い。

……フェイトちゃんは素直すぎるから、悪い人に騙されないか今からちょっと心配かも。

守ってあげる気はちょっとしかないから、できるだけ自分で頑張ってみてね? 必要ないかもしれないけど。

 

……さてと。それじゃああの女の子のことも話したし、レイジングハートのデータも(さくらさんがそこにいるとわかるようなことはみんな隠蔽した後のだけど)ちゃんと見せたし……これからまた忙しくなりそうだね。

海鳴の平和を守るため、久し振りに魔法少女として頑張ることになりそうです。

 

 

 

 

 

side 織斑 一夏

 

なのちゃんが久し振りに頑張ろうとしているような気がするが、俺は今回も特に頑張る予定は無い。

やるとしたら精々襲われたら反撃するくらいで、後は適当にアンダーグラウンドサーチライトの中に引き込もって寝てるだろう。

まあ、アンダーグラウンドサーチライトの中にまでやって来て俺を攻撃しようとするような馬鹿な奴はいないだろうし、多分安泰だ。

 

ちなみに、入り口部分を攻撃されるとアンダーグラウンドサーチライト全体に衝撃が走るようになってしまっている。

流石に射撃魔法とかそんなもので壊れたりはしないが、なのちゃんのディバインバスターよりちょっと弱いくらいの攻撃でも破れそうにはなるだろう。

 

……やれやれ、困ったものです(某ゲーム好きの癖に死ぬほど弱い、胡散臭い超能力者のリトル泉君風に)。

だってそんなことになったら、俺は多分原因を殲滅するべくヒャッハー汚物は消毒だーするだろうし。

 

闇の書が相手なら……魔法をソードサムライXで無効化して、近付いて殴ればよし。紅蓮拳の弐の太刀でシールドをすり抜け、プログラムの根本を砕けばすぐ終わる。

そのためには不意打ちできれば一番楽なんだが……そのために必要な情報はヴィータ(vitaで母音は二つだから覚えられた)って言うらしいハンマー赤幼女から手に入れられたしな。やろうとすれば今すぐにでもできないことはない。

 

……やらないけど。

 

まあ、管理局には精々頑張ってもらおうか。原作的に考えると、結局複数人の民間協力者の力を借りることになるんだろうけど……解決できないよりはずっとましだもんな。

 

それじゃあ俺はシュテルとレヴィとディアーチェの三人の技をバレない程度に上手くしていかないとな。

この三人の技は……まあ、名前の通りだ。面白おかしくやってみたんだが、意外と上手く組み合わさってくれた。

 

……わかる奴はこの世界には多分いないと思うけど、わかる奴が見たら『ああ、なるほど』と言ってくれるだろう。

 

なんでこいつらかと言うと、シュテルは‘星’と‘炎’から連想できて、かつ千の顔を持つ英雄で再現できそうな技を持つやつの中でこいつを一番始めに思い浮かべたからだ。

残りの二人は‘刃’と‘王’から連想できるやつで、シュテルのほうと少しは繋がりを持たせようとしたらこうなった。後悔はしていないかもしれなくもない。

実際してない。

 

……じゃあ、寝るか。お休み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その46

 

なのちゃんと金黒ビリビリ少女の再会を感じ取り、それはそうとして朝っぱらから寝る体勢に。

俺にとっての三大欲求は食う寝るヤるじゃなくて、寝る寝る眠るだから当然なんだけどな。特に英霊化してからはずっとそうだ。

英霊になる前は初めの寝るが食うだったが、食事が必要なくなったために寝るに変わったと言うわけだ。

 

……まあ、そんなことは置いとくとして………闇の書のことはなのちゃんが名前はわからないまでも管理局の中でも結構恨みを持っているやつに伝えたみたいだし、捜索はされるだろうな。

ただし、地球で見たからといって地球に潜伏しているとは限らないわけだし、おそらく捜査は難航するだろう。無駄に色々な場所を調べるわけだからな。

なのちゃんは積極的に協力はしないまでも、地球に被害が来ないように動こうとするだろう。自分の未来の生活と、守りたいもののために。

 

……あんまり無茶はしないでもらいたいが、自分の意思を通すためなんだったら仕方無い。あれだ、火影になるのが夢の忍者が主人公の話に出てくる、体術しか使えない彼の必殺技的なものと同じだ。是非頑張ってくれ。

この場所が平穏なら俺の生活も平穏だからな。なのちゃんは守りたいものを守れて、俺は平穏を満喫する。どっちも特をする取引っていいよな。

 

それに、闇の書事件が終わればこの場所には大した奴は出てこないだろうし……出てきても瞬殺する予定があったりするし。

 

さてと。それじゃあいつもの時間までのんびり寝ていようかね。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

引っ越ししてきたばかりのフェイトちゃんを、案内という名目で色々なところにつれていく。

図書館だったり、学校だったり、病院だったり、ただの住宅街だったり、公園だったりする場所を、二人で仲良く歩いていく。

その結果、フェイトちゃん友達化計画は一応の成功をみせているということが判明しました。

 

向き合っている人の内心を探るのは、私の得意分野です。

それで見ている限り、フェイトちゃんは私に悪い印象は持っていない。それだけわかれば十分。

 

ただ、私ではなくて私の魔力光と同じ色には怯えることがあったり、にゃーたんと似ている色の猫を見かけると一瞬にも満たないくらいの時間怯えが走ることもありますが、多分問題ないでしょう。

私の魔力光に対する怯えは、多分というかほぼ確実に模擬戦でやった最大規模の集束砲を全身にバインドをかけて動けなくしてから撃ち込んだことが原因でしょうし、もしもまた敵対したときにはそこを突いてやれば結構簡単に倒せると思うので放置しましょう。

 

……しばらく一緒に遊んだり、普通に話をしていたりすれば緩和されていくと予想できますしね。

 

「そんなわけでアリサちゃん。この娘がフェイトちゃんだよ。食べちゃダメだからね?」

「食べないわよ!あんたは私をなんだと思ってるのよ!? あとフェイトも食べないし食べられないから怯えないの!なのはの質の悪い冗談だから!」

「じょ……冗談………なの?」

 

私の背中に隠れたフェイトちゃんは、できるだけちっちゃくなろうとしながら私に涙目上目使いで聞いてくる。

まったくフェイトちゃんは……純粋すぎて可愛いなぁ。将来がちょっと心配だよ?

 

そんな感じて私のことを見上げるフェイトちゃんに笑顔を返し、私は頷いた。

勿論、アリサちゃんがフェイトちゃんを食料的な意味で食べることなんてまず無いだろうし、その辺りは完全にアリサちゃんとフェイトちゃんをからかうための冗談だ。

もし食べるとしても、それはすずかちゃんの役目だと思うしね。

 

そんな冗談混じりの出会いを終えて、フェイトちゃんとアリサちゃん達は新しく友達になった。

 

……今は関係無いような気がするけど、私って友達らしい友達が少ない?

ちょっと数えてみよう。

 

アリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、シュテルちゃん、一応ユーノくん…………………あれ? 終わり?

公園に来てる子は私にとっては観客達で、友達じゃない。翠屋のお客さんも、やっぱりお客さんだから…………ほんとにこれで終わり……かな?

 

……そっかぁ……私って友達少なかったんだぁ……。片手で数えられる人数だもんね……。

まあ、私は二進法を採用してるから、10進法に直すと片手で31まで数えられるんだけど。

 

ちょっと携帯を開いてみる。電話帳に登録されているのは……お父さんとお母さん、お兄ちゃんとお姉ちゃんの家族と自宅。そして翠屋と、アリサちゃんとすずかちゃん。

だけ。

 

…………そういえば、さくらさんもシュテルちゃんもフェイトちゃんも、電話って持ってるのかな? 持ってないような気がするなぁ……。

まあ、さくらさんたちにはまた今度聞いてみようかな。まず持ってないだろうけど。

 

「……なのは? いきなり落ち込んでどうしたのよ?」

「……ちょっと、友人関係の狭さに憂いをね……気にしなくても大丈夫だよ?」

 

あんまり改善しようとも思ってないし、困ることもそんなには無いからね。

 

 

 

追伸。さくらさんは携帯を持ってました。番号が13桁ある上に、最初が666から始まるようなのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その47

 

いきなりすぎるんだが、とりあえず聞いてほしい。

前に俺は聖杯戦争に参加したことがあり、自分のステータスのことも理解している。

だが、よく思い出してみてほしい。あのステータスは英霊のためのものであって、けして人間のためのものではないと言うことを。

 

何が言いたいのかを簡単に言うと……レイハ曰く、俺の魔力ランクはA-とB+のぴったり中間あたりを誤差±0.5程度でさまよっているらしい。

ちなみになのちゃんは文句無しのS+。もう少しでSS-に手が届くそうだ。

この歳でそこまでの魔力を持っている奴は早々いないらしいが、なのちゃんは昔から魔力を使って色々やっていたから、よく使われる器官だと判断されて成長していったんだろうと自己完結。俺のことじゃないから自己完結ってのもおかしいような気がするが、どうでもいいことだな。

 

そんなわけで俺にはそこそこの量の魔力があるとわかったわけだが、千の顔を持つ英雄を使うには魔力なんてものは必要無いし、宝の持ち腐れなのかもしれない。

まあ、多分使うことは無いんだろうなと思いつつ、今日もなのちゃんにジェノサイドサーカス。なのちゃんは必死になって避け続けている。

時々撃ち落としたり逸らして誤爆させたりしているところを見ると、なのちゃんも成長したということを理解させられる。

 

……昔は真っ正面から防ぐかひたすら逃げ回るくらいしかできてなかったのに……時の流れは早いものだな。

 

とにかく、これで弾幕を避けたり撃ち落としたり防いだりする防御訓練は一時終了。次は接近された時の対処法を教えておこう。

 

「それでなのちゃん。近付かれたらどうするかを答えてくれるか?」

「ラピッドバスターで反撃、レイジングハートの魔力刃で隙をうかがって離れるか攻撃。方向指定の機雷魔法で罠を張る。声圧砲で不意討ち。シールドスラッシュで斬る。バインドで固定して零距離砲撃。召喚を応用して転移して離れる。シールドを見えないくらい小さくいくつも攻撃してくる腕や脚に垂直に張って切断。わざと食らってカウンターバインドで押さえて砲撃、あるいは魔力刃で攻撃。後は……」

 

なのちゃんは予想以上にえげつないことを考えていた。びっくりびっくり。

 

ちなみに俺が考えていたのは、さっきなのちゃんが言っていたのの他に閃光を使った目眩ましからの攻撃、スターライトブレイカーで相手の魔力も使えるならばできないことはないだろうと考えてみた相手の体内で相手の魔力を使っての射撃(恐らく接触が不可欠)、ISのシールドバリアと同じように、バリアジャケットも関節技と首絞めは防げないようなので関節技等。

後は魔力刃を飛ばしてみたり、シールドで閉じ込めて中身を少しずつ圧縮していくとかその程度。なのちゃんの戦法は基本的に中距離射撃戦だから、このくらいしか無い。

 

……不意討ち特化型だからなぁ……二回目以降は効果が半減するんだよ。仕方無いけど。

 

まあ、そのために相手の意識を逸らす方法や不意をつく方法はしっかり教えてあるんだけど。ちー姉さん直伝だし、真っ正面から不意をつく方法は各種取り揃えている。

例えば、一時的に弾速を落としてその速度に慣れさせたところで最速で撃ち込んでみたり、初撃に大きいのを撃って印象付け、撃つぞ撃つぞとハッタリかましながら削ったりとかな。

ちなみに前者はかんちゃんのミサイルで、後者はセシリーのレーザーだ。どっちもなかなかえげつない。

 

まあ、戦闘では自滅しない程度に相手に嫌がらせをしてればいいしね。結構簡単だ。

 

「……さくらさん。一ついいですか?」

「ん? なに?」

「…………さくらさんには、えげつないとかえぐいとか言われたくないです」

 

まあ、俺がわざわざ言うまでもなくなのちゃんはえげつないしな。

なのちゃんがえげつないことはなのちゃんが一番よく知っているだろうし、えげつないなのちゃんの師匠である俺もえげつないと言うのはある意味自明の理と言うものだろうに。

 

……まあ、俺は本気でやるときはもっと酷いけど。

管理局を相手にするなら、ヘルメスドライブで本局に跳んで、巨大な布にアンダーグラウンドサーチライトを開いて本局をまるごと飲み込んで、その状態からアンダーグラウンドサーチライトを消せば中身ごと消滅するだろうし。

閉じ込めたままにしない理由は、転移とかができるんだから出てこないとも限らないからだ。

 

……それ以前に千の顔を持つ英雄で巨大隕石を作ってぶつけてみたり、太陽を作って本局を放り込んでみたり、フェイタルアトラクションでブラックホールを作ってやったりすりゃ終わるんだけど。

ラッキーなことにフェイタルアトラクションの重力は本人と武器には発動しないみたいだし、エネルギーはサンライトハートから送り込めばいい。

最悪、バスターバロンで増幅してぶちこみゃいいし。

 

「さくらさん」

「ん?」

「さくらさんの方がえげつないと思います」

「そうか」

「はい」

「じゃあ、えげつない同士、えげつない近接戦闘訓練と行こうか」

 

……医療用ポッドは作ってあるから、ちょっとした怪我くらいなら問題ないし。

 

そういう訳で、なのちゃんは空中での体の使い方をしっかり覚えたそうな。

覚えなかったら医療用ポッドと仲良しになるだけだから、あんまり困らないと思うんだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その48

 

襲われました。

……いやいや、ちー姉さんとか鈴とか束姉さんにやられた感じで襲われた訳じゃなく、普通に襲撃された。

 

……なのちゃんと金黒ビリビリ少女が。

 

なのちゃんは犬耳つけた筋肉質なお兄さんと、ヴィータという名前だった筈の赤ロリハンマーに。金黒ビリビリ少女はポニテで剣使いのお姉さんに。

 

……ポニテで剣士と言うと、ののちゃんを思い出すなぁ……多分ののちゃんの方が数段強いけど。

ののちゃんってば生身で斬撃飛ばすしレーザー斬るし、居合でジェノサイドサーカスを全弾切り落として見せたし。

紅楓を使えばさらに強くなるって言うんだから驚きだよな。空裂の力を使わずに斬撃飛ばしてくるし。真空斬ってなんだよ。

 

……ののちゃんの話は置いといて、そんな感じのやつらに襲われたらしいなのちゃんと金黒ビリビリ少女の二人だったが………簡単に言うと、死神降誕&なのちゃん†無双。

 

金黒ビリビリ少女はなのちゃんのシールドによる受け流しになにかを刺激されたらしく、円錐形のシールドを作ってその中に入り、相手に突撃していく戦法をとった。

その上、ギリギリで避けて反撃しようとすると、デバイスから延びた魔力刃が円錐をすり抜けて飛び出してカウンターどころじゃなくなる。殺傷設定だったら真っ二つだったと思われ。

 

そしてなのちゃんは金黒ビリビリ少女が戦闘を終わらせるまではちょこまかと動き回りながら攻撃を続けていたが、終わったと見るや魔法を組みづらくする歌を唄いながら赤ロリハンマーをバインドで捕らえ、見せつけるように犬耳のお兄さんに対して遠隔で全周囲からディバインバスターを撃ち込むという鬼畜殺法をとった。

荒業も荒業だが、確かに効果的だったそれは、青い犬耳をつけたお兄さん(名前はザッフィー。勝手につけた)のバリアを撃ち抜き、見事にザッフィーを撃ち落としたなのちゃんは、次は赤ロリハンマーの番だと言うかのようにゆっくりと全周囲に魔力を集束させる。

遠隔操作でよくもまああんな真似ができると思ったりもするが、なのちゃんは突然集束を停止して一歩分後ろに下がる。

するとそこから手が出てきて、虚空を貫いた。

 

「魔力の動きが丸わかり。これじゃあ何にも掴めない」

 

なのちゃんは冷たい目でそう言いながら、手の前に回り込んでその緑色の鏡のようなものから出てくる手にバインドをかけ、フラッシュバスターを撃ち込んだ。

そして直後に赤ロリハンマーに全周囲からのディバインバスター一斉砲撃を撃ち込み、赤ロリハンマーに恐らくかなりのトラウマを刻み込んだようだ。

 

……その後、なのちゃんは平然とその四人を放置して次の日の学校の準備をしようと帰り始めたらしいのだが、突然現れた仮面の誰かさんにリンカーコアを奪われそうになったため、とりあえずフルボッコにして全身にバインドをかけ、周囲の魔力だけを集束して作ったフラッシュバスター(一瞬だから燃費対効果はかなりいい)を数百発ほど顔面に撃ち込み、その時点で変身が解けていたらしいが構わず更に数百発撃ち込み、自分の魔力が減らないことをいいことにおまけでキリよく合計千発ぴったりになるまで撃ち込み続けたそうだ。

 

……それが終わった頃には、使い魔だったらしいそいつは素体にまで戻って虫の息だったそうだが。

 

そこまで行って金黒ビリビリ少女に止められ、仕方なくやめたところでもう一人現れた仮面の男にその虫の息の猫はかっ拐われて行ったらしいが………ヘルメスドライブのマーキング機能でどこにいるかはわかっていたりする。伝える気は無いけど。

 

それと、赤ロリハンマーを始めとするポニテ侍、犬耳筋肉、そして出番が少ない上にザッフィーにすら初めの攻撃を防ぐという形で存在していた見せ場をなのちゃんに完膚無きまでに綺麗に叩き潰されてしまった最年長(見た目的な意味で)の緑化現象さんの四人、ヴォルケンズはいつの間にか消えていたそうだ。

 

そして金黒ビリビリ少女からその事を聞いた管理局のとある孕ませ執務官は、とりあえずなのちゃんを『やりすぎだ』と言って叱り、なのちゃんに『じゃあもしもあそこから反撃されて、それが殺傷設定で脳天撃ち抜かれてたらどうするんですか? 私に死ねと? 随分いい仕事をするじゃありませんかハラオウン執務官殿。流石は管理局に忠誠を誓った犬コロです。管理局に逆らう者は管理外世界の産まれで管理局法どころか管理局という組織その物すら知らず、そうやらなければもしかしたら死んでいたかもしれない状態で行ったそれを管理外世界であるにも関わらず管理世界でしか通用しない管理局法を振りかざして止めて死に近付けようとは、随分と見上げた方ですね』と猛毒を吐かれてマッチ棒感覚で心を軽くへし折られ、しばらく落ち込んでからこの事件のことを闇の書の事件だと断定したらしい。

 

……とりあえず、管理世界と管理外世界では態度を変えた方がいいと思うぞ。特に口と頭の回る奴が相手の場合はな。

……俺には関係無いことだけど。

 

赤ロリハンマーの記憶は読んだから闇の書の主の事は知っているが、わざわざ教えてやる理由は無いし、ついでに俺は管理局は好きじゃない通り越して嫌いだから情報提供はあまりしたくない。苦労しろ。困れ。足の小指をドアの縁にぶつけて悶絶しろ。バナナの皮で滑って転んで後頭部を打って脳挫傷で死ね。脳味噌三人集は特に意味もなく寿命で腐れ。

 

……さて、適当に毒も吐いたし寝るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その49

 

どうやら赤ロリハンマー達はなのちゃんに勝てないことを理解したらしく、地球を離れて違う世界で魔力を持つ魔獣を狩っていくことにしたようだ。

いつでも必ず最低一人は主のところに侍っているようだが、あんまり意味がないと思うのは俺だけか? 自分達より遥かに強い相手が来たら、仲間に連絡を入れて主をつれて逃げ回るくらいしかできないだろうに。

……まあ、それも生き残ると言うことに関しては結構役に立つと言えば役に立つんだろうが、主の容態がよくない今は時間の流れはあいつらの敵なんだから、結局時間稼ぎ以外の何にもならないと思うんだがな。

いつまでも逃げ続けているわけにもいかないんだし、じり貧だと思うんだが。

 

………俺の人生じゃないんだし、俺に迷惑をかけない範囲で好きにすればいいとも思うが。

 

それじゃあ、せいぜい頑張れ愚民共。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

……今、なんだかさくらさんが相手をとことん見下す暴君の表情で『精々必死に無駄な足掻きを頑張りたまえ、二流未満の似非騎士諸君』って言っているような気がしたんですけど………気のせいでしょうか?

……きっと気のせいですね。気のせいってことにしておきましょう(ニュアンス的にはともかく実際違います)。

 

そんなことは置いといて、闇の書の守護騎士達はどうやら地球では魔力収集をしないことにしたようです。

そのかわりに地球の外の世界での魔力収集が激しくなり、多くのリンカーコアを持った動物達が襲われているそうです。

 

私は自分の手が届く範囲は守りたいと思いますが、無理に手を伸ばそうとは思いません。

だって私はごくごく普通の音楽家志望の小学三年生。力が及ばないことなんていつものことです。

 

「なのはが普通って言うのはありえないと思うよ?」

「……フェイトちゃん。ちょっと模擬戦しようか」

「ごめんなさい」

 

フェイトちゃんはすごい勢いで土下座した。アースラの床に皹を入れるほどじゃないけれど、足がそこにあったら骨に皹くらいは入ってそうな勢いだ。

私はそんなフェイトちゃんに近付き、優しく顔を持ち上げて目を合わせる。フェイトちゃんの顔は恐怖に染まっているように見えなくもないけれど、私はそんなフェイトちゃんを慰めるように怒っていない笑顔を浮かべる。

そして顔を近付けて、耳元で囁く。

 

「……冗談だよ、フェイトちゃん」

「…………へ?」

 

恐怖からか体をぷるぷると震わせていたフェイトちゃんが、なんだか呆然とした声を漏らした。

……フェイトちゃんは可愛いなぁ……♪

 

「……え………それって……ひゃう!?」

 

ちょっと悪戯してみたくなって、すぐ近くにあったフェイトちゃんの耳朶を唇で挟んでみた。効果は覿面。フェイトちゃんは顔を真っ赤にしてわたわたと慌て始めた。

けれど私はフェイトちゃんの頭を抱えて、何度もフェイトちゃんの耳にキスをしてみる。

 

「ふぁ、あ、あぅ………」

「……ふふふ……フェイトちゃんは可愛いなぁ……」

 

最後に耳朶にキスをして、するっとフェイトちゃんから離れる。するとフェイトちゃんはなんだか潤んだ瞳で、物欲しげに私のことを見つめてくる。

それに、私の制服の袖を弱々しく掴んできてるし……いや、掴むって言うよりは摘まむって言った方が正しいかな?

 

私はくすくすと笑い、フェイトちゃんの手を優しく取った。

そのまま立ってもらおうとしたら、なんだかちょっと腰が抜けかけたみたいでふらふらとしている。やっぱり顔も耳もまっかっかだ。

 

……一応弁明しておくと、私はほっぺや耳朶にキスくらいなら割と気にせずやっちゃう方だったり。すずかちゃんにもしたことがあるし、アリサちゃんにもしたことがある。お父さんやお母さん、お兄ちゃんとお姉ちゃんにも。

勿論(と言っていいのか悪いのかはわかりませんけど)さくらさんにもやってたりします。さくらさんも割とそういうのを気にしないタイプらしいです。

だから私のこれは親愛の証であり、恋愛感情から来ているわけではありません。私はノーマルです。

 

私はなんだか全体的にくてっとしているフェイトちゃんを抱き締める。フェイトちゃんはあわあわと慌てているけれど、そんな姿もまた可愛いと思う。

 

そしてフェイトちゃんに今のは親愛の証だと言っておいて、少しだけフェイトちゃんを沈静させたところで………空気の読めないアラートが鳴り響く。どうやらどこぞの管理外世界に闇の書の守護騎士が現れた模様。

 

……ちぇっ。もうちょっとからかってから仲良く遊ぼうと思ってたのに……。

フェイトちゃんってばこうやってお仕事をしてるときはきちっとしちゃってからかえないんだよね。

まあ、私だって契約途中だったり仕事中だったりしたらちゃんとするけどさ。

 

……これはもう即座に沈めてフェイトちゃんをからかうしかないね。あんまりやりすぎるとフェイトちゃんが拗ねちゃうから加減が必要だけど。

 

私はそんなことを考えながら、アースラの司令室にのんびり急いで歩き始めた。

 

………狂気の提琴、解禁しちゃおっかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝7 その50

 

side 高町 なのは

 

アースラの管制室にある大画面に映っていたのは、前にフェイトちゃんに不意打ちで落とされていた剣士の人。今回はこの人だけで、あのさくらさん曰く【赤ロリハンマー】なヴィータちゃんは来ていないみたいです。

あと、ついでになんだかどこかで見たことがあるような気がする猫の使い魔のお姉さん達が私のことをビクビク怯えた目で見ていたり、憎々しげに睨み付けたりしながら見つめてきます。いったい何があったんでしょうか? 私にはよくわかりません。

 

最近猫さんにしたことと言えば、すずかちゃんのお家でにゃーたん達と遊んだり、野良猫の前に威力のほとんど無い魔力弾を転がして遊ばせてみたり、変身していた猫に両手の指で数えられる数ギリギリくらいの数だけフラッシュバスターを撃ち込んだことくらいだけど………まさかあの時の猫さんじゃあるまいし、どうして睨まれたり怯えられたりしてるんだろう?

 

……まあ、いいや。猫は嫌いじゃないけど別に好きって言うわけでもないし、嫌われたところで痛くも痒くもないしね。

ちなみに、私の数え方は二進法だから両手の指で1023までなら数えられます。

 

そうこうしているうちに、フェイトちゃんが出撃。あのポニテ侍さんに向かっていくけれど……今のフェイトちゃんじゃあなかなか難しいような気がする。

前回は不意打ちがうまくいったから勝てたけど、今回はどうなるか……。

もしかしたら堕とされてリンカーコアから魔力を搾り取られちゃうかもね。怖い怖い。

 

頑張ってね、フェイトちゃん。応援してるよ!

……私が出ていったら多分すぐさま逃げちゃうだろうから、手を貸すことはできないけどね。

 

じゃあ、頑張ってね。

 

 

 

 

 

side フェイト・テスタロッサ

 

なのはに応援されて出撃した私は、剣を持った女の人の前で睨みあっています。

相手は次元犯罪者。そして私は(一応)管理局の嘱託魔導師。食卓魔導師とは凄く違う。

……食卓魔導師だったらフードファイトなり料理番組みたいな料理勝負なりで決着をつけられるかもしれないけど、食卓魔導師じゃなくて嘱託魔導師なんだよね。……ちょっとだけ、残念かな。

 

「……管理局、嘱託魔導師。フェイト・テスタロッサです。貴女は?」

 

まずは自己紹介。前になのはが言っていたけど、自己紹介は大切だからね。

まあ、第一印象は前の戦いで最悪になっちゃったかもしれないけど、それでもしないよりはした方がいい。

 

「……ヴォルケンリッター、炎の将。剣の騎士、シグナムだ」

 

相手が攻撃などを仕掛けてきたらすぐさま反応できるように心情的には構えつつ相手の出方を窺っていると、意外とちゃんと答えてくれた。根っこの方はいい人なのかも。

そう考えながら、一応マニュアル通りに話を進めることにした。

 

「……答えは何となくわかりますけど、一応聞いておきますね? 武装を解除して、任意同行願えませんか?」

 

するとシグナムさんは、私の言葉を笑い飛ばす。ああ、やっぱりね。言葉に出したけど、こうなるような気はしてたんだ。

だってシグナムさんは、少し前の私と………母さんのお願いでジュエルシードを集めようとしていた時の私と、同じ目をしていたから。

ああいう目をしている人間は、絶対に引かない。引こうとしても、後がないから……絶対に引けない。引こうとしない。私も同じだったから、よくわかる。

 

……多分、これはなのはにはわからない感覚だと思う。

なのははいつだって余裕をもって行動するタイプだし、余裕がなくなってもそれを補填するための保険をいくつもいくつも用意するタイプでもあるからだ。

前に聞いたけれど、私が必死になったあの最後の模擬戦でもなのはは余裕を残していた。

例えあの時にバインドが外れてスターライトブレイカーが当たらなくても、例えスターライトブレイカーを防ぎきられていても、それを何とかするための技をいくつか持っていたのを教えてもらい、実際に見せてもらった。

 

そんななのはだから、背水の陣とも言えることになったことはないだろうなのはだから、この人のことはわからない。

こういう人は、勝ってからじゃないと話をしようとは思わない。

 

だから私はバルディッシュを構える。シグナムさんもそれに合わせて剣型のデバイスを構える。

 

「……私が勝ったら、お話を聞かせてもらいます。貴女が勝ったら、死なない程度になら魔力を持っていってくれて構いません」

「!?」

 

シグナムさんが僅かに驚愕の表情を浮かべ、私の頭の中にクロノとアルフの声が響く。

でも、このくらいしないとちゃんと戦ってもらえないと思うし……頑張らないと。

 

『……フェイトちゃん』

 

……なのはからの念話が頭に響く。

なのはは暫く沈黙して、軽く呆れたような雰囲気で呟くようにこう言った。

 

『頑張れ』

 

私は、なのはのエールに応えようと、ものすごく頑張ることにした。

 

「……それじゃあ、行きます」

「ああ。いつでも」

 

こうして、私達の戦いは幕を開けた。

 

 

 

 

 

side 高町 なのは

 

フェイトちゃんが、シグナムさんと戦っている。クロノ君達は応援を送るとか色々言っているけれど、アースラの戦力が前に見たプレシアさんにぼこぼこにされていたあの時のままだったら結界を張って相手を簡単には逃がさないようにすることくらいしかできないだろう。

ちゃんとした助けになりそうなのは、戦い方がとっても上手だけれど頭が固くて空気の読めないKY執務官ことクロノ君と、味覚障害以外のなんでもない舌を持つ甘党艦長ことリンディさん。そしてこの戦いは早々に見守ることを決め込んだ私、高町なのはの三人だけ。

けれど、そのうちクロノ君は空気を悪化させて状況をややこしくする天才だから駄目だと思うし、リンディさんは艦長と言うお偉いさんだから簡単には動けない。そして私は初めからやる気がないので、多分だれも行くことはないだろう。

 

……ちょっと見張っていなくちゃいけない相手もいることだしね。

 

 

 

 


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