リリカルなのは~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑 なのは(異世界)

 

私の特技、ナデホスキルB+によって、私は動物や子供に妙に好かれることがある。

海鳴では小鳥とかリスとか公園で音楽会したときに集まる子供とか、まあそんな感じだね。

……十年後には子供達からの呼び名がお姉ちゃんからおばちゃんに変わるんだろうな~と考えると、今から憂鬱になってきたりもするけれど……考えないことにする。確かに子供からすれば自分の四倍以上生きている人はおばちゃんだよね~……と考えちゃったりもするけど、全力でその事から目をそらす。

すずかちゃんはこの話題になると迫力が増すし、自分でもあんまり話題にしたくないしね。

 

それで、どうして私が話題にしたくないような事をわざわざ話題にあげているのかと言うと……現在、アースラのとある一部屋に子供達(一部大人、約三名人外)が集まって大変面白おかしくも忙しいことになっているからだったりする。

 

アースラの厨房を借りてお菓子を作り、こっちの世界のレヴィちゃん達と一緒に食べているうちになのはちゃんやこっちのフェイトちゃん、はやてちゃん、ヴィータちゃんが参加し、目を覚ましたヴィヴィオちゃんやアインハルトちゃんも参加することになり、どんどんと凄いことになっている。主に人口密度が。

そして私は分身を使いながらお菓子を作ったりこっちの世界のシュテルちゃんの頭を撫でたりなのはちゃんの頭を撫でたりヴィヴィオちゃんの頭を撫でたり甘いものにつられてやってきたリンディ提督やこっちの世界のエイミィさん達の相手をしたり……翠屋の放課後ラッシュを彷彿とさせる忙しさだね。うん。

 

「にゃ~~……♪」

「はぅ~~……♪」

「ほーらふぇいとちゃん、あーんやで~♪」

「あーん……うみゅぅ~~……♪」

 

……蕩けてるね。ヴィヴィオちゃん達が冷や汗かいちゃうくらいにユルユルだ。さっきから言葉が全部ひらがなだし。

 

「……あのぉ……ママ達は大丈夫なんですか?」

「ままー? だれのー?」

「……ダメかも?」

「それ困るんですけど!? すっごく困るんですけど!?」

 

まあ、前回は撫でるのをやめて暫くしたら直ってたから平気だとは思うんだけど、確実じゃないからねぇ……。大丈夫だとは思うんだけど。

 

「多分大丈夫じゃないかな? さっきもしばらく放置しておいたら直ってたから」

「さっきもやったんですか!?」

「やったね」

 

さっきもユルッユルになった顔を見せてもらったよ。正気に戻った後にはかなり見悶えてたけど。聞いてて楽しかったなあのパニック。

なのはちゃんはにゃーにゃー言いながら頭を抱えて顔を真っ赤にして慌てまくってたし、フェイトちゃんは顔を真っ赤にしたまま俯いて恥ずかしがってたし、はやてちゃんは頭を抱えて床を転げ回ってたし。本当に楽しかった。

それにしてもはやてちゃんは身を張るね。まだリハビリも完全じゃないだろうに、よくもまああんな風にごろごろごろごろと転げ回ることができるようになって……。

 

……私の世界のはやてちゃんはもうそういう反応はあんまりしてくれないからね。虚ろな目をしてあははうふふと笑って理不尽を理不尽のままに受け入れるようになっちゃって……。

 

「そっちのせかいのわたしはたいへんやな~」

「わたしもたいへんみたいだよ~」

「ふぇいとちゃんもはやてちゃんもわたしがごめんね~」

「なのはちゃんやなくてなのはさんのことやし~……しゃあないんやないか~?」

「……あっ!僕のアーモンド!」

「残念ですがアーモンドクッキーは私の口の中に消えてしまいました。……今ならまだ残っているかもしれ……冗談ですから顔を近づけてこないで下さい。とっくに食べ終えてしまいましたよ」

「シュテるん酷いよー!僕が食べようと思ってたのにー!」

「……こちらのシュテルが済まないな、異界のシュテル」

「いえ、構いませんよ。どうしても食べておきたければ手元にとっておけば良いのです。片手落ちの状況でそれを言ったところでただ情けないだけですので」

「ふむ、そうか? ならば気にしないことにさせてもらうが……頬にクッキーの欠片がついているぞ」

 

……いやぁ、仲がいいのは良いことだけど、凄くおかしな状況だなぁ……原因は主に私だけどね。

 

「……おや、どうやらようやくディアーチェの復活を実行できそうです予想より若干早いですね」

「そうなの? 遅いよりは早い方がいいけど、無理はしちゃ駄目だよ?」

「問題ありません。……それでは私はこれで」

 

そういい残してこっちの世界のシュテルちゃんは転移魔法で海鳴に移動していった。

 

……別にいいけど、こっそりクッキーを紙に包んで持っていったのは……ああ、こっちの世界のディアーチェちゃんのためかな?

素体修復中でも話をすることくらいはできるはずだし、ディアーチェちゃんに直接頼まれたとかだったら……ちょっと嬉しいかも。

 

……でも大丈夫かなぁ……U-Dは私の魔力集束の弊害でかなり弱体化してるとはいえ健在だし、バリアの枚数はそこそこ多いし硬いし一撃の威力はそれなりに大きいし……。

多分自分達だけで倒そうとは思ってないだろうけど、それを含めてもあの子はなかなか強い。私なら封殺するくらいはできるだろうけど……。

 

「どーしたんですか~?」

「……と言うか、そろそろはやてを元に戻してくれねえか? いつU-Dが見つかるかわからないんだから、本当はこんなことしてる場合じゃねえし」

 

U-Dだったらとっくに見付けて捕捉してついでに嫌がらせまでやってるけどね。言わないけど。

私の通常知覚範囲はさらに広がり次元世界五つ分程度なら大して気を張らなくてもわかるようになった。その中からU-Dを探すことくらい寝起き三分でできちゃうよ。

 

まあ、私は暫く見学に徹しておくよ。頑張ってね。

 

「はぐはぐはぐ……はれ? シュテるんは?」

「先行っちゃったよ。送ろうか?」

「行っちゃったの!? 僕を置いて!? 酷いやシュテるん!」

 

……元気だねぇ……。

 

 

 

 

 


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