とある兵士の日記 作:初月
○月25日 晴れ
俺たち第十六駆逐隊(時津風を除く)は昨日の海戦で中破し応急処置を施した衣笠、夕張、時津風を島嶼基地へ護送せよと命令され護送しているのだが・・・僚艦を護送するのは随分と変な気分になる。
下剋上された気分ってこんな感じなんだろうか。
でも病人を丁重に扱うように損傷艦も丁重に扱わなければいけないのかな。
そんなことを考えていると上空を友軍の零式艦上戦闘機12機と一式陸上攻撃機8機が通過していった。
先日上陸したあの島の残存兵力を根こそぎ焼き尽くすつもりなのだろうか?
まあ俺らには少なくとも今は関係ないことだから情報が来るのを待とう。
○月26日 晴れ
敵襲無し。
衣笠が射出した零式水上観測機を眺めていたら艦長が異郷の地でつくられた曲を流してくれた。
それ以外に書くことはなかったな。
○月27日 曇り
天候がまた悪くなってきたが、想像以上に順調に航海が進んだためもう島嶼基地についた。
おかげで時化の出撃は回避できそうだ。
あと探照灯で「貴艦ノ護衛ニ感謝スル」と言われた。
そのあと雪風も探照灯で何か返したようだが角度が悪く読み取れなかった。
そういえば明日以降は何をするのだろうか?
○月28日 雨
昨日から危惧していた雨だが思っていたほどひどいものではなかったようだ。
だが駆逐艦だから結構揺れていた。
島嶼部に停泊しているのにこの揺れということは外海はもっとひどいのだろう。
新兵たちが危ぶまれるが慣れるまで我慢してもらう以外ないかな。
○月29日 晴れ
台風一過の青空ってやつだろうか?
見事な快晴だ。
これなら快適な航海になるだろう。
あともう一つ。
時津風の損傷が治るまで第十六駆逐隊は一時的に護衛戦隊に入ることとなった。
明日からは多分出撃ラッシュだ。
○月29日 晴れ
早速出撃である。
護衛するのは2隻の輸送船。
先日占領した基地へ向かうようなので多分陸軍の部隊を運んできたのだろう。
初めての船団護衛で数百人の命を預かることになるとは・・・。
○月30日 晴れ
早速潜水艦に遭遇した。
だが護衛戦隊旗艦を務めている雪風が向かうことはなく、初風単艦での対潜行動となったようだ。
まあ機関砲が活躍することはないので爆雷が巻き起こす水柱をただただ眺めているだけとなったんだけど。
ちなみにこの後に遭遇した偵察機はこちらに気づくことなくどこかへ飛んで行った。
一体なんだったんだろう?
気付かなくて去ったのならいいのだが・・・。
○月31日 曇り
また偵察機が来た。
だがすぐ帰って行った。
嫌な予感がするので機関砲の近くに居ようかな。
△月1日 曇り
早朝に艦載機と思われる降爆隊の空襲を受けた。
機種はSBDだろうか?
発見が遅れていたため迎撃できたのは俺と人が居たらしい第2主砲塔のみだったが4機だけだったのでどうにかできた。
雪風の戦果がまた増えたぜ。
その後上陸中の輸送船を護衛してたりもしたのだがB-17E2機が全く違うところに爆弾をばら撒いて行った以外に何もなかった。