とある兵士の日記   作:初月

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とある兵士の日記
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○月1日 晴れ

 

俺の所属している第十六駆逐隊に出撃命令が下った。

 

"皇国"より遥かに東にある島を砲撃してこいという命令だ。

他にも駆逐艦が数隻参加するようなんだがそんなんで生きて帰ってこれるんだろうか?

 

まあ航空機はこの俺が機銃弾ばらまいて落としてやるぜ!

 

 

この命令が下りたってことは資源とか軍備とかでもめてきた"帝国"との戦争が起きるかもしれない。

 

 

 

○月2日 晴れ

 

出撃してから一日。別に異常はないのだが波が高いため新兵が何人か吐いた。

 

合流地点にいたのは本当に駆逐艦だけだったので驚いたのだが見つかってしまった場合の逃走劇を考えると駆逐艦だけで正解なんだろうか?なんて思った。

 

 

だからといって駆逐艦だけでの敵地突撃が怖いのは変わらない。

 

 

 

○月5日 大雨

 

波が高かったため予測はしていたのだが3日と4日はひどい嵐だった。

おかげで日記になにも記録できなかったのが悔やまれる。

 

今日は風が引いてきたので目標地点につくころには晴れてしまうかもしれない。

 

乗り心地は悪いのだが駆逐艦での襲撃なら晴れては欲しくない。

 

 

 

○月6日 小雨

 

なんてことだ。

天気がどんどん晴れてきてしまっている。

 

これでは皆が疲れているときに反撃を受けかねない。

 

どうか当日は雨が降りますように。

 

 

 

○月7日 曇り

 

ついに雨が止んだ。

 

新兵は波に揺られなくなって喜んでいるようだが艦長や俺をはじめとするベテランはかなり複雑な心境だった。

 

気持ちよく寝れるのはいいけど死にたくはない。

 

 

幸いどうやら一撃離脱だけでいいようだから敵の反撃を防ごう。

 

 

 

○月8日 快晴

 

俺らに運は無かったようだ。

 

と言いたかったのだが予想より早く着いたため薄暮攻撃が可能となった。

 

 

ただの12.7cm弾だからそこまでの損害は出せなかったようだが大きな反撃は防げたようだ。

やったぜ。

 

 

ただ離脱中に敵偵察機に発見されたので明日は戦闘があるかもしれない。

 

 

 

○月9日

 

深夜に誰かにたたき起こされた。

 

その直後主砲の発砲音がした。

 

 

どうやら夜戦が始まったらしい。

 

全力で機銃座に向かう途中に機銃弾の着弾音が聞こえる。

かなり敵艦は近いようだ。

 

定位置につき周囲を確認したときもっとも近い敵艦との距離が500mぐらいになっていた。

見張りが新兵だったのだろうか?

 

その直後俺は初めてこの機銃座で"敵"を撃った。

 

 

でも俺が定位置についてから30分せずに決着がついたようだ。

余りにも近かったため少し先に発見し、初弾命中させたこちら側が有利となり敵艦は撤退していった。

 

戦果は駆逐艦2隻、被害は短艇1隻が機銃弾で穴だらけになっただけだ。

 

その後俺は朝まで見張りをして寝たのだが次の日まで起きることはなかった。

 

 

 

○月10日 晴れ

 

起きたとき海の向こうの大きな帝国との戦争が始まったと聞かされた。

 

 

この帝国とは数年前から資源輸入や南方海域での利権などでもめてたから危ないとは思っていたのだが遂にきたようだ。

遠くの同盟国も戦争をしていたはずだからさながら世界大戦だな。

 

でも国力差がとてつもなくあることが分かっているのに戦争を始めたのか…。

正直勝てる気がしない。

 

そんなことを一下級兵士である俺が考えてもしょうがないか。

とにかく母国の家族に戦火が回らないように戦いに勝っていくのに助力するだけだ。

 

 

しかしほぼ先陣をきれたのはうれしいかな。

 

 

そんなことを考えていると遠くに大型艦を見つけたので一応艦橋に報告した。

 

その後の艦内放送で分かったのだが俺が見つけたのは帝国の港を強襲してきた空母の護衛だったらしい。

 

合流しようという話になったのだが敵潜水艦を見つけたので対潜行動をとっていると空母艦隊はどこかへ行ってしまった。

 

 

この日の夜第十六駆逐隊は最前線となっている小さい島に囲まれた基地についた。


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