鎮守府の日常   作:弥識

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今回はギャグ中心で。
若干キャラが壊れちゃったかなぁ。
私の中では『彼女』はこんなイメージなんです。


青葉の突撃取材!:ビッグ7は語る

さて、そんなこんなで資料室を後にした訳ですが、次は何処に向かいましょうか。

この艦隊に所属している艦娘の方々にお話を伺う訳ですから、なるべく人が多いところが良いのですが…

 

そういえば、司令官さんに会う前に、何人かの艦娘さんを見かけました。

響ちゃんの話からすると、遠征に向かった子達はまだ帰ってきてないでしょうし、その前に会った戦艦さんや重巡さんを探してみましょうか。

いそうな所…先程見掛けた感じでは出撃後、という感じではなかったですし、補給庫やドックのセンは薄いです。やはり工廠か休憩室あたりでしょうか。

此処から近いのは…工廠ですね。早速向かいましょう。

 

 

 

はいどうも、青葉です。

そんなわけで現在、工廠の前に来ています。中に誰がいますかね~っと。

 

 

「ふむ、やはり電探辺りを積むべきか…」

「私達ビッグ7は火力上げてナンボでしょ?主砲増やせば?」

「その主砲が敵に当たらないのでは意味がないだろう…只でさえお前は運が低いんだから」

「う、うるさいわね…もう、何で姉妹で此処まで違うのかしら?」

 

 

おぉ、ビンゴです。しかも飛びっきりですよ。

そこに居たのは先程見掛けた戦艦娘さんと、恐らく同型艦であろう艦娘さん。戦艦クラスが二人、壮観です。

しかも先程『私達ビッグ7』と言ってました。その言葉が示す意味は一つしかありません。

そう、現行で『最強』と謳われる『長門型戦艦』、その『一号艦:長門』と『二号艦:陸奥』の二人に違いないです。

…というか、此処の艦隊随分層が厚いですね。秘書艦の扶桑さんも確か航空戦艦だったはず。戦艦娘何人いるんですか。

 

おっと、お二人の迫力に若干呑まれかけてました。深呼吸深呼吸。

此処でお二人にお話を聞かなければ、『取材キャラ』の肩書が廃ると言うものです!

さぁ、行きますよ。どうもー、失礼しまーす。

 

「ん、君は…?」

「あら、新人さんかしら?」

 

はい。私、本日付でこの艦隊に配属された『青葉型重巡:青葉』と申します。以後よろしくお願いしますね。

 

「私は長門。『長門型戦艦』の一番艦だ」

「私は陸奥。同じく『長門型』の二番艦よ。よろしくね」

 

おぉ、やはりかの有名な『ビッグ7』の方々でしたか…お会いできて光栄です。

現在、この鎮守府に配属されている艦娘の方々に色々お話を伺っていたのですが…お二人は此方で何を?

 

「先日、陸奥が近代改造を終えたのでな。改めて装備を整理していたんだ」

「そ、新しい装備も貰えたし、いい機会なんだけど…」

 

その装備の件で揉めている…というわけですか。

 

「いや、揉めているわけじゃないんだけど…」

「私は少し前に改造を終えている。陸奥も同型艦だから同じ要領で良いと思ってたんだが…」

 

だが?

 

「基本的に能力値はほぼ同じなんだが、運の値がな…」

 

運ですか…そんなに違って来るんですか?

 

「いや、具体的にどう変わる、という報告は聞いていない。だが値が値だから、果たして私と同じで良いのやら」

 

因みにその値って、いくつくらいなんですか?

 

「私は30。陸奥は…3だ」

 

へぇ長門さんって運の数値かなり高いんですね…って陸奥さん低っ!長門さんの十分の一じゃないですか!

 

「ちょ、ちょっと長門!それは改造前でしょ!?今はもう5くらいあるんだから!」

 

2しか上がってないじゃないですか…

 

「運が低いと有名な扶桑や山城だって改造でもうちょっと上がったんだが…何故かこいつはこの通りで」

「うぅ…もう爆発なんてしないのに…」

 

そういって涙目でむくれる陸奥さん超可愛い。なんなの、戦艦なのに可愛いとか。

これからは彼女を『むっちゃん』と呼びましょう。えぇ勿論私の心の中で。

しかし此処で、私の運の数値には触れない方が良さそうですねぇ。むっちゃんが本気で泣きかねない。話題を変えますか。

 

そういえば、先程司令官さんとお話ししてきたのですが…何というか、掴み所のない方ですね。

 

「というか、基本無愛想なのよね。もうちょっと愛想よくすれば良いのに」

 

どうやら、むっちゃんが抱く提督の印象も基本的に同じのようです。

 

「確かに、感情を表に出すような方ではないが…」

 

おや?長門さん、何か思うところでも?

 

「私はこの通りの性格だからな、愛想がどうの、というのはあまり気にならない」

「それって乙女としてどうなの?」

「お、乙女である事とは関係ないだろ!」

 

まさかの乙女発言です。『長門さんは意外と中身が乙女』…と。心の中で『ながもん』と呼びたくなります。

 

「と、とにかく!私は提督の性格に対して不満はない。むしろ、好ましく思っている」

「…さりげなく爆弾発言してない?」

 

むっちゃんの呟きはながもんには届いてないみたいです。

…折角なんで詳しく聞いてみましょうか。えぇ、深い意味はないですよ?

 

「軟派な性格よりは余程良いだろう。武人足る者、あの位でなくてはな」

「いや、硬すぎでしょう」

「これはあくまで私の勘だが…恐らく彼はここに配属される前も戦場に居たんだと思う」

 

前線で戦っていた…ってことですか?

 

「そうだ。提督が時折り見せるあの目、あの空気…彼は戦いを知っている人だと思う」

 

しかし『少佐』ともなると、前線に立つ機会はそうそう多くは…

 

「長門の勘、当たってるわよ」

「え?」

 

…というと?

 

「前に私が秘書艦やってた時なんだけどね。執務室の掃除をやっていた時に、偶然勲章を見つけたの」

 

勲章…ですか?

 

「そう。見るからにゴツイやつだったから、気になって提督に聞いてみたの。そしたら、『前に居た処で貰った』んだって」

 

成程…勲章を受け取る程の『何か』をしたと。

 

「折角持ってるんだから着けといたら、っていったら『海軍の勲章じゃないから意味がない』って」

 

いや、勲章なんだから何処だろうが凄いでしょう。何か含むものを感じますねぇ。

 

「私が聞けたのは其処までよ。明らかに聞かれたくない、って空気だったし」

 

ふむ、秘書艦経験のあるお二人でも知らないとなると、調べるのは難しいですねぇ。

 

「…提督の内面を知っているかもしれない者なら、少々心当たりがある」

何ですと!?長門さん、一体誰です!?

「え、そんなやついた?」

「あぁ。軽巡の天龍と龍田だ」

 

軽巡の…あ、もしかして黒っぽい恰好をした二人組ですか?

 

「なんだ、知り合いなのか?」

 

いえ、先程遠征に向かう方々の中に、そのような名前で呼ばれている方がいたような…

 

「そういえば、二人が睦月型の子達を率いて遠征に行ってたわね」

「鎮守府近海の練習航海と聞いているから、そのうち戻ってくるんじゃないか?」

 

やはりあの人たちでしたか。それで、何故あの二人が提督の内面を知っていると?

 

「一つは単純に此処の艦隊の古株だからだ。艦隊創設初期のメンバーと聞いている。秘書艦暦も長いはずだ」

 

ふむふむ。

 

「もう一つの理由は天龍の性格だ」

 

性格?

 

「彼女は艦娘の中でもかなり好戦的な性格でな。過去に敵地進行の件で何度か提督と揉めてる。相方の龍田がフォローに回ってなかったら艦隊からたたき出されてたかもな」

 

おう、それはまた…随分な方で。

 

「だがだからこそ、提督の内面に一番近い位置にいると思う。話す事も多いだろうしな」

 

あぁ、『喧嘩する程仲が良い』理論ですね。一理あります。

 

「そう言うことだ。もうすぐ戻ってくるが、続けて遠征、なんてことはないだろう。補給やら何やらで暫くは鎮守府にいるはずだ」

 

了解です、では早速天龍さん龍田さんの所に行ってみます。情報ありがとうございました。

 

 

 

 

「それにしても、大人気よね」

「何の話だ?」

 

陸奥の呟きに、長門は装備のリストから陸奥に視線を移す。

 

「あの調子じゃあの子も落ちるかも。…ライバルがいっぱいねぇ、長門?」

「べ、別に私は提督をそう言う目で見たことは…!」

 

陸奥の意味深な発言に、そっぽを向きながら応える長門。しかし、彼女は気付いていない。自分が地雷を踏んだ事に。

 

「あら?あらあら?私は『提督』なんて一言も言ってないけど?」

「な!いや、それは…その…ず、ずるいぞ陸奥!」

 

陸奥の指摘に、見る見る頬を赤らめる長門。無意識に力を加えたためか、装備のリストが大変な事になっている。

アワアワと訳のわからないことを呟いた後、自分を指差して怒り出した姉を苦笑しながら応える。

 

「今の何処がずるいのよ。貴方が勝手に自爆しただけでしょ?」

「う、うるさい!お前に爆発とか言われたくないわ!」

 

…うん、それは禁句よ長門。ちょっとからかうだけにしようと思っていたけど、予定を変更しましょうか。

 

「…ていうか、さっきも随分な爆弾発言してたじゃない」

「何?何時の話だ!?」

「いや、ついさっきよ。青葉って子の目の前で『提督の事を好ましく思ってる』って言ってたじゃない」

「………へ?」

 

ピッ…ピッ…ピッ………ボン!

 

あ、記憶を手繰ってた長門が爆発した。瞬間湯沸し器ってこんな感じなのかしら。

しかし無意識であそこまで言ってたのね。こりゃ重症だわ。

アレの何処が…とまでは思わないけど。…え、私?私はもうちょっとフランクな性格のほうが好みなの。

姉妹だからって、好みまで似るとは限らないのよねぇ。

 

 

「や、その、あれは、その、あれです、はい、言葉のアヤと言うかナントイウカ」

 

真っ赤になって何か良く分からない事を呟く長門。

…うん、からかっといて何だけど、此処までになるとは思わなかった。

いつものクールなキャラが見る影もない。まぁ可愛いけど。

 

「あの発言をどう曲解すれば『それ以外の』解釈が出来るわけ?」

「あ、う、や、う~~!」

 

いよいよ言葉にならなくなった長門が、突然陸奥に向けて自身の砲口を向ける。

 

「ちょ、ちょっと長門!?」

「わ、忘れろ!先程の発言も!その前の発言も!全部!」

「照れ隠しにも程があるでしょ!」

 

照れ隠しに砲撃とかどんだけバイオレンスなのか。大体はからかった陸奥のせいなのだが。

 

「うるさい!とにかく忘れろ!」

「実の妹に本気で砲撃とかありえないでしょ!」

「大丈夫だ!大破までで済ます!」

「いやそこは小破位で抑えなさいよ!…あぁもう!本気で抵抗するからね!?」

 

 

その日行われた姉妹喧嘩は、相手が相手な為に並の艦娘では止める事が出来ず、駆けつけた扶桑以下艦隊に所属する戦艦娘総出でようやく抑えることが出来たという。

 

なお、事情を聞いた扶桑達の計らいにより、提督には『ちょっとした演習』との報告がなされたそうだ。

 

 

 

そう、何時の時代も『恋する乙女心』は色々と複雑なのである。




長門さん可愛い(確信)
始めはもう少しクールなイメージを持ってたんですが、担当絵師さんの同人誌に掲載されていたイラストをみて、ちょっと考えが変わりました。PUKAPUKA。
話を聞いた扶桑さん達、きっと思うところがあったんですよ。
自分にも身に覚えが…的な。

陸奥さんの話はもう少し掘り下げたものを外伝扱いで書こうと思ってます。勲章の件とかね。

因みに我が艦隊は、先日大和さん以外の戦艦が揃いました。金剛艦隊作る為に約一ヶ月、戦艦レシピのみでデイリー回してたんで。いやー比叡さんが出ない出ない。

次回は天龍の回想を絡めた真面目な話になる予定です。

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