鎮守府の日常   作:弥識

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どうも皆さん、筆者です。

今回はちょっとしたこぼれ話。
シリアスは無しの方向で。

※『とある人種(嗜好的な意味で)』の事について若干否定的な言及があります。ご了承ください。

では、どうぞ。


個人の嗜好だからって限度ってものが

ある日、とあるニュースが鎮守府を震撼させた。

 

それは、ざっくり言うと

 

 

ある提督が『複数』の艦娘とケッコンカッコカリした、というもの。

 

 

それ自体は、其処まで珍しい話ではない。

『ケッコンカッコカリ』を『そういう意味』で捉える艦娘・提督も多いが、もっとドライな捉え方をしている者もいる。

 

まぁ単に『気が多い』輩もいるが、それはそれ。当人達の問題であるため、外野がヤイヤイ言う事では無いだろう。

 

 

 

だが、今回については。今回に限っては。

 

『相手』と『人数』が不味かった。と言うか、鎮守府を震撼させるに足る内容であった。

 

 

 

 

『睦月型』と『朝潮型』の『全ての艦娘』とケッコンカッコカリした奴(猛者)が出た。

 

 

 

 

その情報を多くの者が二度見した。そして「え、マジで?」と問うた。

 

まず純粋に、数が多い。現時点で確認されている睦月型・朝潮型は総勢で19人(隻?)である。

 

いや、どんだけすんのかと。どんだけ(時間、費用共に)かけてんのかと。

 

 

そして、相手が、あれだ。寄りにもよって(言い方は悪いが)彼女達である。

 

見た目がその、何と言うか、『あちら』方向の者達である。

 

『朝潮型はガチ』とか言われているような彼女達である。

 

そんな彼女達と全員……剛の者、と言うか、業が深い者、と言うか。

 

因みに提督は『ちゃんと』と男である。その辺りは安心して欲しい。いや安心できないが。

 

 

 

勿論、彼女達は皆、合意の上である。先に行った通り外野が『野暮』を言うものではない。

 

 

それでも、周りは。

 

 

―――いやお前……それにしたって、お前……

―――おぉ、もぅ、お前さぁ……

 

 

等々、言葉にならない大賛辞(惨事?)になっていた。

 

 

そんな中、他所の鎮守府所属の『提督と親しい仲』になりたいと願う艦娘達は、というと。

 

 

『あっち側』の艦娘は

 

―――ウチは大丈夫かな?

 

と期待し。

 

 

『そっち側』の艦娘は

 

―――ウチは大丈夫かな?

 

と心配した。

 

 

そんな訳で、多くの鎮守府で

 

 

『Q、提督はロリコンですか?』

 

 

と問われた提督が対応に四苦八苦する、という騒ぎが頻発したのであった。

 

割と、この世界は平和だった。

 

 

○舞鶴:戸塚艦隊の場合

 

質問者:不知火

 

「司令は幼女趣味なんですか?」

「行き成りの誹謗中傷に流石の指令もびっくり」

「……え、そうだったんですか?」

「ちょっと待って、身を護るように自身の体を抱きしめながら距離を取らないで瑞鳳。普通に傷付く」

「……ケダモノね」

「叢雲もなんでそんな汚物を見るような目で見るかな?」

 

ある意味『通常営業』なやり取りに、胸に走る何かを無視しつつ「いきなりどうしたのさ」と問う。

 

「先日幼女趣味の提督が出た、との噂を耳にしましたので、つい」

「つい、で風評被害を拡げられたら、たまったもんじゃないんだけど」

 

不知火の言葉に苦笑しつつ、その『最近流れた噂』について頭を抱える。

 

「しかし……あれかぁ。あれなぁ……」

「やはり、司令もご存知でしたか」

「一応同僚の話だからね。小耳に挟んだって程度の話だけど」

 

たしか舞鶴が『出所』ではなかったと思うが、それでも噂の把握はしている。

 

「それで、司令は幼女趣味なんですか?」

「嫌に拘るね不知火……っていうか、『幼女趣味』って言葉の力凄いよね」

「ペドフィリアと表現した方が良かったですか?」

「指してる意味はさして変わらないよね?」

「ぺど?」

「ペドフィリア……少女を対象とした性的嗜好者って意味よ」

 

聞きなれない横文字に首を傾げる瑞鳳に、叢雲が注釈を入れる。

 

「え……」

「だからそんな犯罪者を見る目で俺を見ない。

 何なの?俺がそういう風に見えるの?」

 

怯える瑞鳳に対し、流石に見逃せないのか戸塚が待ったをかける。

結論から言うと、戸塚に『その趣味』は無い。

 

「しかし司令、お言葉ですが現在の艦隊編成……というか執務室に出入りしている艦娘の面々、

 及び建造結果を鑑みるとどうしても」

「面々……?」

 

不知火の言葉に、ふむと思考を巡らせる。

 

 

秘書艦:不知火

秘書艦補佐:叢雲、瑞鳳

良く出入りする艦娘:駆逐艦、軽空母

最近の建造記録:駆逐と軽巡、あと軽空母

 

 

「……いやこれは俺のせいじゃないでしょ?」

 

確かに、川内型のお越しをお待ちしている現在、それの出易い建造を行っている。

しかしそれだって目的(第三艦隊開放)が在っての事だし、そもそも来る艦娘を此方は選べない。

 

出入りする艦娘も、真面目な子に色々と頼んでいたら現在の面々になっただけである。

 

因みに早い段階で来た重巡の加古は、秘書艦勤務中に寝たので怒った叢雲に戦力外通告をされた。

 

つまりこれは戸塚のせいでは無い。むしろ叢雲のせいである。

 

「今の執務室の面子は純粋に仕事の出来る子を当ててるだけ。

 建造の面子は、俺にはどうしようもないよ」

「あら、てっきり建造妖精に頼んで『そういう子』を出してもらってるのかと思ってたわ」

「ちょっと待って叢雲、妖精と交渉できるの?菓子折り持ってお伺い立てたいんだけど。

 なんだったら今からでも頭下げに行くんだけど」

 

真面目な顔で思案する戸塚に、『冗談よ』と返す。

 

 

「心配しなくても俺に『その気』は無いよ。安心しな」

「……そうですか」

「まだ疑ってる感じだねぇ……仕方ない、ほれ」

 

戸塚が机の引き出しをごそごそとあさり、一冊の手帳を取り出した。

其処から更に一枚の写真を取り出し、不知火に見せる。

 

そこに写っていたのは、幼子を抱いた一人の女性。

 

「……どなたですか、これは」

「別れた嫁さんと、子供。確か……三年くらい前に撮ったやつだったかな」

「え……?」

 

提督の妻と子供、と聞いて、その場にいた叢雲と瑞鳳も興味を引かれたのか、不知火の後ろから写真を覗き込む。

 

写真に写る女性は、分かりやすく言えば『大人の女性』であった。

何と言うか、見るからに『大人っぽさ』があふれていた。

 

肩ほどの長さのセミロングの黒髪は、癖っ毛なのかゆるくウェーブがかかり。

それなりに整った顔に眼鏡をかけた姿はいかにも『出来る女』といった感じである。『眼鏡=知的』というのも安直な気もするが。

体型も写真を見る限り普通で、少なくとも『幼さ』は感じられない。

 

「ぶっちゃけると、大体俺の好みだったりしたんだよね。因みに二歳上の姐さん女房だった」

 

ロリコン疑惑の否定にはこの上ないでしょ?と彼女達を見る。

 

叢雲と瑞鳳は戸塚の話そっちのけで写真を見て何のかんのと盛り上がっていた。

元々、彼女達の戸塚に対する『疑惑』半分ネタのような物だったので、もっと興味の引く話題に移った、と言って良い。

 

しかし、不知火は依然硬い表情のままだった。

 

「ありゃ、まだ信用出来ない?……そんなに不安なら秘書艦を」

「問題ありません。それとも、不知火に落ち度でも」

「お、おう」

 

秘書艦を代わっても良いんだよ、と言おうとしたら食い気味で断られた。

なら良いけど、と返して執務に戻る。

 

「……不知火さんなんだか分かり易く様子が変ですね」

「全く、素直じゃないんだから……」

「お二人とも、何か?」

「「いえ、なにも」」

 

後ろでぽそぽそと話す野次馬にきろりと目を向けつつ、不知火も執務に戻る。

 

戸塚との会話の中で胸に抱いた『安堵』は兎も角、ちょっとした『痛み』も今は無視することにした。

 

 

○横須賀:宮林艦隊の場合

 

質問者:潮

 

「冴香さんは、その、えっとですね」

「どしたの潮ちゃん」

「あの、噂って、聞いてます?」

「いやそんなざっくり聞かれても」

「えっと、冴香さんって、ろ……ロリ……あぅ」

「?」

「あーもうじれったいなぁ!」

 

質問者:潮→龍驤

 

「冴香ってロリコンなん?」

「あぁその噂か。私は可愛ければどっちもオッケー」

「でしたね」

「寧ろ男の娘も可」

「どこの辺りが寧ろなんやろか」

「ぶっちゃけ押し倒す側としては『美少年』か『ボーイッシュな美少女』か、なんて誤差だと思う」

「私時々……冴香さんを、凄く遠くに感じます」

「なー大淀ーそろそろ通報しよかー」

「既に」

「まてーい」

 

 

横須賀は今日も通常運転である。

 

 

「まぁそんな事言ってるけど、本命は別にいるんだもんなー」

「やめなよ摩耶……その話は……やめなよ」

「お、おう」

「なんや冴香、こないだの件まーだ引きずっとるんか」

「……別に。そんなんじゃないし」

「ある意味分かりやすいというか、何と言うか」

 

 

龍驤の言う『こないだの件』というのは『もしかして神林提督ってロリ?』という内容で冴香を煽った話である。

 

あの後盛大にいじけた冴香が復活するまで、とても面倒だったのだ。

此方が煽った手前、キッチリとフォローはしたが、それでも面倒は面倒だった。

 

「大体、『筆頭』が扶桑って時点で違うと気付くだろ」

「……そーいう問題じゃないの」

 

呆れたように言う摩耶に対し、冴香が不貞腐れるように応える。

 

舞鶴で神林艦隊の面々を見てきた摩耶は、彼女達が神林をどう見ているのかは大体察していた。

 

その中でも特に『強烈』な想いを抱いている連中の顔を思い浮かべる。

 

 

筆頭:扶桑

次席:赤城

以下、北上・長門・金剛・青葉・響・最上etc……

 

響は兎も角、また最上、北上も若干グレーだが、他の面子はどう見ても『幼く』は無いだろう。

 

 

「なんや、なにが不安なん?」

 

そう尋ねる龍驤に対し、机に突っ伏しながら呟く。

 

「……タカ君は公私混同はしない。

 自分のすべき事に、そういう意味での『好み』は絶対に反映しないし、させない」

 

そう、神林に『そういう意味』での起用はしない。

練度が高い面々もある意味『偶々』である。

 

恐らく、扶桑や赤城の加入が遅ければ、練度の並びは違っていただろう。

 

彼の艦娘の起用方針は『それが必要だから』である。

 

だからキス島海域の攻略に向けて『駆逐艦育成しよう』となるし、航巡運用の任務の為に『最上型建造しよう』となるのだ。

 

 

「と言うか、先日神林提督に確認を取ったではないですか」

「せやで、あんだけ『ちゃう』いうてたやろ」

 

そう、当人(神林)には直接確認をとっている。

というか、拗ねた冴香のフォローに彼を巻き込んだ。ついでに色々吐かせた。

結果、神林は『シロ』だった。

 

『我ながら良い仕事しました』と大淀が後に語ったりしているのだが、まぁ蛇足である。

 

彼と冴香の関係が悪化するかも、との不安もあったが、その後も特に変わりないようだ。

曰く、『冴香の無茶振りは何時もの事』らしい。

 

ある日突然『君ってロリコン?』と聞かれることが『いつもの』で済む辺り、彼と冴香の仲は摩耶達が思うより近いのかも知れない。

 

兎も角、今回の件で冴香が神林に対して不安に思うことなど、無い筈だ。

何しろ本人から『違う』と言質を得ているのだから。

 

「分かってるよ、そんなの」

 

頬に手を当て、一人呟く。

その憂いを帯びた表情は、同姓である摩耶達も思わず見蕩れかけるほどだった。

 

「でも、わかってても不安になるの」

 

そう、『それとこれとは話が別』なのだ。

 

元々、神林の『好み』に対して言及する権利は冴香にない。

現在の関係は良くて『友人』。『恋人』『伴侶』等といった関係など、夢のまた夢。

 

彼の嗜好を思い一喜一憂するのも、単に彼への恋慕があってこそ。

 

「大体、タカ君の好みだって、どこまで信用できるのやら」

「神林提督の言葉を疑ってるんですか?」

「あぁいや、そういう意味じゃなくてさ、もっと根本的な話」

 

思うに、神林の恋愛観は非常に淡白だ。希薄、と言っても良い。

先日の『言質取り』の序でに吐かせた『好み』も、非常にふわっふわしたものだった。

 

『彼女』の事もあるし、冴香自身(神林の意思に因るものではないが)彼の許婚だった事もある。

 

異性に興味が無いわけではない。だがそれでも薄い、と言わざるを得ない。

 

「そもそも彼はその辺の好みが曖昧なんだよ……」

「これから『そういう趣味』が芽生える可能性がある、と?」

「少なくとも、そこらの野郎よりはね。兎に角、経験が少なすぎるんだ、彼は」

 

良い歳して今更趣旨替えは無い、と思うだろう。

しかし、神林はその『趣旨』が曖昧な所がある。

 

若干冴香の思考が負のスパイラルに陥りかけているのを察した摩耶が、ふと思い出す。

 

「そういえば、冴香の言ってた『彼女』ってどんな奴だったんだ?」

「彼女?誰やそれ」

 

聞きなれない話に、龍驤が首を傾げる。

 

「舞鶴に行った時に冴香が言ってたんだよ。神林提督の知り合い……なんだろ?」

「……私そんな事言ってたっけ?」

 

摩耶の言葉に、冴香が眉を顰める。

確かに、先日舞鶴に行った折『彼女』の事を話している。(※『そして彼女は途方に暮れる』参照)

しかし『その場』に摩耶は居なかった筈だ。

 

「神林提督と『模擬戦』した時だよ。『あの子』がどうとか『他の女』とか、言ってただろ」

「……あー、そんな事言ってたっけ、言ってたかも」

 

摩耶の言葉に記憶を探る。

『模擬戦』とは、間違いなく神林との『決闘』紛いの事をした時の事だろう。

あの時は割と感情の起伏が激しかったので、色々言っていた気がする。(※『死神に恋した少女のお話』参照)

 

「その、『彼女』ってのは誰なん?」

「……タカ君の元恋人。私の知ってる子……て言うか、私の妹分みたいな子」

「そんな方がいらしゃったんですか」

「君達には逢わせた事無いからね。……まぁ何年も前に亡くなってるし」

「……すみません」

 

先程とは別の意味で沈んだ空気に、大淀が謝罪するが、気にしないでと手を振る。

 

「で?その『彼女』がどうかした?」

「いや、そいつ神林提督と仲良かったんだろ?」

「……まぁ恋人だったしね」

「なら……そいつがある意味、神林提督の『好み』なんじゃねぇのか?」

「確かに、そうですね」

「せや、ある意味一番説得力あるな」

 

神林が『恋人』と認識していた、それは冴香の言葉からして間違い無い。

となると、その『彼女』は何処かしら神林の『琴線』に触れていた筈なのだ。

 

「だろ?で、どんな奴だったんだよ。少なくとも、『幼女』じゃ無かったんだろ?」

「……タカ君が見た目で惚れたとは思えないんだけどなぁ」

「って、そういう見た目だったんか?」

「いんや、すんごい美人だったよ。具体的に言うと、私が本気で『負けた』って思うレベル。

 人の好みは十人十色っていうけどさ、『あの子』は十人が十人『可憐・美人』て言ったと思う」

 

冴香の見た目を知っている分、摩耶達は戦慄した。

 

「そ、そんなに綺麗な方だったんですか?」

「その上性格も良くてねー……体が弱くなけりゃ、今彼の隣に居たのは彼女だったよ。

 ……はは、マジで勝ち目無かったわ」

 

ある種の『贔屓目』だとは思う。

少なくとも冴香は彼女を慕っていたし、故人故の『思い出補正』染みたものもある。

しかし、それでも彼女は『魅力的』だった。

 

「でもまぁ、うん、そうだね、確かに摩耶の言う通りだよ。

 『あの子』に惚れといて、今更趣旨替えもない、か」

 

そうだ。あんな素敵な子に惹かれて、今更好みが変わるとは思えない。

それだけ、彼にとって彼女の存在は大きいのだから。

 

「だろ?心配することねぇって」

「しかし其処まで冴香さんが仰ると、逢って見たかったと思ってしまいますね」

 

冴香が其処までいう人物。叶わぬとはいえ、やはり逢って見たいと思ってしまう。

 

「ホントに美人だったよー。濡れた様に光る黒髪。透き通るような白い肌。人形みたいな顔立ち。

 そして何より―――あ」

 

何かを思い出した冴香の顔から、さぁっと血の気が引く。

そのまま呻く様に顔を押さえ、『大丈夫、大丈夫、まだ焦る時間じゃない』とうわ言のように呟き始めた。

冴香の豹変ぶりに、摩耶達も焦りだす。

 

「ど、どうしたんですか!?」

「ま、まさか実は幼女だったとか!?」

「アレか、見た目は子供、頭脳は大人みたいなアレやったんか!?」

 

割と余裕無く慌てる彼女達に対し、「違う、違うんだよ」と冴香が手を振る。

 

「見た目も中身も間違いなく大人だったよ。

 ただ、その、スタイルが、アレで」

 

 

スタイルがアレ。

 

 

その言葉に、摩耶達の視線が冴香に集中する。

おもに、首から下、臍より上、の辺り。

まぁ、要するに、アレだったんだろう。きっと大きかったんだよ。

 

「ぐ、具体的には……?」

 

でも、此処は聞いといた方が良いんだろうな、と思った大淀が尋ねた。

それに対し、冴香がちらりと摩耶(の特定部位)を見て、また顔を覆って、呟いた。

 

「摩耶以上高雄未満」

 

 

 

 

 

―――うわぁ。すげぇ。

 

 

 

 

執務室に、声無き声が響いた。

もう、言葉にならない。

 

龍驤に居たっては口からナニカを出しつつ乾いた笑いを浮かべていた。

 

「マジかーマジでかーてんはにぶつもさんぶつもあたえるんやなー……ひゃくぐらむずつよこせやおまえら」

「龍驤さん気を確かに!」

「……これマジで冴香に勝ち目無くねぇか?」

 

 

摩耶に悪気は無かった。

この惨状を見て、ある種の現実逃避を含めて零れた言葉だった。

 

しかし、今の『彼女』にとっては『致命的』で『死刑宣告』に等しかった。

 

 

 

 

 

ごとん。

 

 

 

 

 

執務室に鈍い音―――具体的に言うと、成人女性が崩れ落ちてそのまま床に頭を強打した様な音が響く。

 

 

 

「た、大変です!冴香さんが息してません!」

「ちょ、オイ、冴香!しっかりしろ!まだ焦る時間じゃねぇんだろうが!」

「むりーもーむりーなぜってわたしのおっぱいはもーそだたないんだからあはははははははははははははははh」

 

まずい、これ駄目なやつだ。

 

「あぁ摩耶さん、どうしましょう、これは何時に無く重傷です!」

「くっそ、おい龍驤!お前も手伝え!」

「そのむねにぶらさがってるおっきなバルジさえかにそうびさせたらええんちゃうかーあははははははははははははh」

「いやお前もかよ!」

「よし、ビス子さんと潮ちゃんを呼びましょう!皆で換装すれば」

「大淀お前も大概おかしなことになってるからな!?」

 

 

 

 

横須賀は今日も平常運転だった。

 

 

 

 

○おまけ

 

○舞鶴:神林艦隊の場合

 

質問者:匿名希望 Sさん

 

『タカ君てさースレンダーな女の子みてどう思う?』

「俺だけ質問が違わないか?」

『つるぺた貧弱ロリボディに欲情すんのかって聞いてんだよ察しろよ泣きたくなんだろうがオラァ!』

「何時に無く重傷だなお前」

『良いから答えてよ安心できないでしょさぁはy(きゅっ)へきょ!?』

『あ、此方大淀です。すみません、コレを暫く落ち着かせてからまた連絡しますので』

「……あぁ」

 

 

 

続く。




今回は此処まででございます。
見え隠れするフラグ、きちんと回収したいですね。

次回、神林さんパートです。

ちょっとシリアスな予定。
テーマは『いやそれ言ったら身も蓋ものこらんでしょうが』です。

お楽しみに。

29.5.5追記 しばらく、更新を不定期とさせていただきます。詳細は活動報告まで。

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