タイミングの良さにちょっと驚きました。ある種のネタバレ?
あ、うちにはまだ『彼女』は来てません。でもいずれは…ね。
どうも、こんにちわ。人呼んで『ソロモンの狼』こと青葉です。
…史上とは言え、花も恥じらう乙女にこのあだ名は如何なもんでしょう?
まぁ、『飢えた狼』さんよりはマシですか。違う意味でネタになっちゃいましたし。
え、『未来で軍艦が少女の姿になるなんて予想できるか』ですって?それが『じゃぱんくおりてぃ』でしょうが!
女性に変身した狐や鶴とキャッキャウフフする昔話作っといてよく言いますよ…全く、どんな発想力してんですか。
さてさて、提督とのふぁーすといんぷれっしょんを終えて、現在は鎮守府を見学しつつ散歩中です。
これから此処で日夜頑張るわけですから、覚えることもいっぱいです。
提督も、『しばらくは演習や遠征を中心に頑張ってもらう』との事でした。
そうそう、提督さんです。私は司令官と呼ぶことにしました。
折角なので、色々取材させていただきました。青葉の本領発揮ですよ。
神林貴仁(かんばやし‐たかひと)。
それが、私が配属された艦隊の司令官の名前です。
まずは司令官の見た目をば。
身長は青葉よりもかなり高かったです。目測ですが180以上ありしたね。
髪型は黒の短髪。爽やかです。
先程『目つきが悪い』と思いましたが、それ以外はおおむね整ったハンサムさんでした。あくまで私基準ですけど。
階級は中佐。配属されたときが少佐だったそうなので、此処ではまだまだ新人の部類なんだとか。
ご出身は尾張・三河の辺りだそうで。あ、青葉は陸地に疎いので大雑把で失礼します。
年齢は今年で29…意外と若いんですよね。
あ、いえ深い意味はないです。でも20代で佐官に就ける方って珍しいと思いますよ?
性格は…事務的な会話しかしてないので何とも言えませんが、真面目そうな印象を受けました。これからに期待です。
でも秘書艦さん(扶桑さんといいましたか)の様子を見る限り、悪い人ではなさそうです。
なんていうか、司令官に全幅の信頼を寄せているって感じでした。目がキラッキラしてましたもん。
超弩級戦艦をここまでデレさせるとは…どんな人徳なんでしょ。
…少しここの艦隊に興味が出てきましたね。折角なんでもうちょっと調べてみましょうか。
さて、現在私は鎮守府の資料室にいます。
取材に必要不可欠なのは『正確な情報』です。此処ならこの艦隊の活動報告が記録されてますから。
どれどれ、此処最近の状況は…っと。
…嘘、出撃勝率99%!?ほぼ常勝じゃないですか!
それに今日までの艦娘損失はゼロ…つまり、一隻も沈めてないってことですよね。
『南西諸島海域・バシー島沖及び東部オリョール海を一度の出撃かつ最短の航路で攻略』…とんでもないですね。
…もしかしたら、青葉は思っている以上に凄い艦隊に来てしまったのかもしれません。
そんな事を考えながら作業していたら、後ろの方でノックの音が。資料室に誰か入ってきましたよ。
「失礼する…おや?」
其処に立っていたのは綺麗な銀髪の女の子。装備からして…駆逐艦の子でしょうか?
「えっと、貴方は…」
あ、警戒されてます。まぁ私新入りですからね。ども、私本日配属になりました重巡の青葉です。宜しくどうぞー。
「あぁ、貴方が司令官が言っていた新戦力か。私は暁型駆逐艦『響改(ひびき‐かい)』だ。響でいい。よろしく。」
そういって右手を差し出す響ちゃん。礼儀正しい子ですねぇ。好感度アップです。こちらこそよろしくー。
簡単な自己紹介を終わらせた後、作業を始める響ちゃん。これは…遠征の報告書でしょうか?
「うん、少し前まで他の暁型と一緒に遠征に行っていてね」
ほう、そういえば、さっきそこで遠征に行く子達を見ましたよ。
「それはきっと睦月型の子達だね。鎮守府近海の練習航海だと言っていたから、そのうち戻ってくると思うけど」
作業をしながら淡々と応える響ちゃん。しっかりした子ですねぇ。秘書艦の経験でもあるんでしょうか。
「勿論。というか、此処の子達はみんな多かれ少なかれ秘書艦の経験があると思うよ」
え、そうなんですか?
「提督の方針、なのかな?第一秘書官は扶桑だけど、彼女が不在なときもあるからね。交代でやってるんだ」
ほうほう。確かに『秘書艦=第一艦隊旗艦』ですから多忙でしょうし、そう言うこともあるんでしょうね。…ということは、つまり私にも廻ってくる事も?
「まぁ、そうだろうね。ココに居続けるのなら、そう言うこともあるよ」
うへぇ、ホントですか。私事務仕事苦手なんですよねぇ。
「そんなに難しい事はないと思うけど…」
それは貴方が慣れているからですよ。
「慣れ…まぁ否定はしないよ。秘書艦歴が長いのも確かだからね」
おや、そうなんですか?
「私は暁型の中でも最初に配属されたから。その頃は艦娘も少なかったし、よく秘書艦になったよ」
貴方が有能だから司令官も側に置きたかったんですよ、きっと。
「そう…なのかな。うん、そうだと、いいな」
…ほほぅ?
「あ、いや、その、別に深い意味は…!」
顔が赤いですよ?
「や、その…あぅ…恥ずかしい…」
そういって赤くなった顔に手を当てる響ちゃん超可愛い。
おっと、からかうのはこの位にしときましょうか。
こういうのに慣れていないのか、このまま続けたらこの子破裂しそう。
「と、ところで!貴方はココに何の用で?」
もうビックリする位可愛い話題転換の仕方です。でも此処は素直にのっておきましょうか。
いえ、配属されたばかりですからね。色々ここの艦隊の事を知っておきたくて。
「なるほど、此処には過去の戦闘や演習の記録が残っているからね」
そういう事です。…しかしすごい艦隊ですねぇ。出撃勝率99%とは。
「…そうかい?あまり気にした事はないが」
いやいや凄いでしょう。ほぼ常勝じゃないですか。艦娘の損失数もゼロですし、もはや無敵艦隊?
「それはあくまで数字上の結果だよ。それほど凄いもんじゃない…って、言うだろうね。司令官なら」
と、言いますと?
「単純に轟沈するような負け戦をしないだけさ。実際演習での勝率は大したことないよ」
どれどれ…ふむ、6割ってところですか。確かに高い数値ではないですが…それでも出撃を常に勝利で終らせてるって凄いですよね。
「まぁ、それが司令官の才能の一つなんだろうね。引き際を間違えないって事だから」
成程、此処の艦娘の皆さんが司令官を信頼する理由が少し解った気がします。
「きっと近いうちに君もそうなるよ」
おや、随分自身があるんですね。
「Да(勿論)、これは予感じゃない、確信さ。嘘だと思うなら、他の艦娘にも聞いてみると良い」
はい、穏やかな良い笑顔いただきました。何回も言うけど、響ちゃん超可愛い。
それにしても、他の艦娘の方に色々とインタビューですか。
うん、それは名案ですね。早速回ってみましょうか。
ではでは響さん、これで失礼しますね。お忙しい中、どうも失礼しました。
さぁ、此処での初取材です…腕が鳴りますよー!
青葉が資料室を去った後も、響は黙々と作業を進めていた。
なんとなく、秘書艦時代を思い出す。あの時は提督執務室だったが。
響が秘書艦に任命されて直ぐの事だ。
『鎮守府海域:南西諸島沖』における警備作戦で、響をはじめとした水雷戦隊が任務に就いていた。
彼女たちは前衛艦隊を排除し、敵主力艦隊に肉薄した。
相手には軽巡や雷巡もおり、響達駆逐艦のみでは分が悪かったが、小破・中破艦を出しつつも何とか砲雷戦を終えた。
旗艦である響も小破していたが、状況からして夜戦に突入するのも一つの作戦と思われた。
その場合、恐らく少なくない轟沈艦が出るだろうが、それでも勝利する可能性は十分あった。
しかし提督は追撃を認めず、そのまま艦隊は帰投。
この艦隊創設以来、初めての『戦略的敗北』を喫した艦隊戦だった。
初の敗北に響達は叱責を覚悟していたが、提督はいつも通りに彼女たちを労った。
今回の事について何かないのか、と響が尋ねると彼は然も不思議そうに『何故?』と尋ね、そしてこう続けた。
『確かに戦ったのは君達だが、撤退の命令を出したのは私だ。君達はその命令を忠実に実行しそれを果たしただけの事。君たちに非はない』
『軍事活動において起きた問題の責任は、それを命令した者【だけ】が負う。命令された者ではない。軍隊の基本だよ』
君達が背負うのは栄光だけでいい―――最後に彼が小さく呟いた言葉は、確かに響の胸に届いていた。
『提督が何故皆に慕われているか…か』
先程の青葉の言葉を思い出す。『何故?』そんなの決まっている。
―――自分を大切にしてくれる人を信じずして、誰を信じろと言うのか。
「私の最後の名前はВерный(信頼)…その名に恥じぬ戦いをしようじゃないか」
私達が得た栄光は、そのまま彼の栄光となるはずだ。
ただ、ただ、勝利を。
私の大切な人のため。私を信じてくれる人のため。
「победа к вам.(貴方に勝利を)Ура!(万歳)」
この回を八割方書き終わった頃に今回のアップデート内容を聞いた奇跡。
まぁおかげで提督の設定がほぼ空気になったけどね!
今後もうちょっと提督の話を掘り下げていきますので。
最後のロシア語はエキサイト先生に頼みました。ネット、超便利。
※追記:後にGoogle先生にも協力を仰ぎ、収まりが良い感じに修正しました。
次回以降も青葉さんが取材に行きますよ。
次はだれにデレさせますかねぇ。