前後編に分けるつもりでしたが、文字の量と筆の遅さに、案の定三編になりました。
見切り発車での予告はアカンとあれほど……
前回の予告にも書きましたが、小難しい&シリアス大目です。
ところで自分で書いててなんですが、最近シリアスばっかですねぇ…
2.7追記 最後に文をちょっと追加しました。
●製油所地帯沿岸海域―――
「此方艦隊旗艦青葉。司令官、聞こえますか?」
艦隊旗艦の『青葉』が鎮守府に居る神林に通信を送る。
『此方神林。どうした?』
「敵艦を発見。良く見えますねぇ…編成は軽巡1、駆逐2です」
『了解。…恐らく、敵前衛艦隊だな。千代田、艦載機は飛ばせそうか?』
神林が青葉の報告を元に敵の規模を確認、そして軽空母の『千代田航』に航空戦の可否を問う。
「こちら千代田…海域の風は微風ですね。これなら問題なく飛ばせます!」
千代田の応えに、小さく『それは重畳』と呟く。
『さぁ、先手必勝だ。千代田は艦載機を発艦させろ。大井!』
「了解しました!さぁ、攻撃隊、発艦開始よ!」
神林の指示の通り、千代田は艦載機を展開させる。
その様子を横目に見つつ、神林に呼ばれた大井は通信を繋いだ。
「此方大井。提督、なんでしょう?」
『記念すべき初陣だ。上手くやれよ?』
「…了解です。さぁ、海の藻屑となりなさいな!」
「ちょ、ちょっと皆さん!旗艦は青葉なんですけどぉ!」
千代田の艦載機に続くように、大井が魚雷を発射する。
慌てて青葉達がそれに続き、戦闘が始まった。
その後、千代田が軽巡を、そして青葉と大井がそれぞれ駆逐艦を撃破し、無事戦闘は終了した。
「ふう…索敵も砲撃も雷撃も、青葉にお任せ、です!」
「これが重雷装艦…素敵!」
「私がMVPかぁ…帰ったら千歳お姉に自慢しなきゃ!」
青葉が得意げに笑い、大井は開幕魚雷の素晴らしさに震え、千代田は鎮守府にて待つ姉に想いを馳せる。
「っだー!!なんもしてねぇ!もうちょっと粘れよお前ら!」
一方、特に何もすることなく戦闘が終了した天龍は敵艦の不甲斐無さに愚痴をこぼしていた。
「そう言わないの、天龍ちゃん。こっちは被害が無かったんだから良かったじゃない」
「んなこと言ってもよ、何もしなくたって燃料は食うんだぜ?」
「ボクも何もしてないけど…まぁ、被害が無いのは良い事だよ」
同じく何もせずに終わった龍田や最上だが、ともかく大した被害もなく戦闘が終了したので良しとすることにした。
「此方青葉、司令、聞こえますか?」
『此方神林。戦闘の結果を報告しろ』
「全敵艦の轟沈を確認。我が艦隊の勝利です」
『了解。此方の損害は?』
「損害は無し。我々の完全勝利です!」
『良くやった。上々だ』
「おい、提督!勿論進撃させてくれるんだろうな!?」
青葉と神林の通信に、天龍が割り込んでくる。
「ちょ、ちょっと天龍さん!?」
『ふむ……弾薬の余裕はあるか?』
通信に割り込まれてむくれる青葉。
一方の神林は恐らくそう言って来るだろうなと思っていたので落ち着いたものだ。
「問題ねぇよ。てか、俺達は撃ってもいねぇ」
『他の者は?』
「此方龍田。私は問題ないわね~」
「此方最上。…うん、僕も問題ないかな」
「此方大井。私も問題在りません」
「青葉も問題ありません」
「千代田も問題ないです」
神林の問いに、各々が継戦可能の意思を示す。
『良し、進撃を許可する。だがこの先には重巡を擁する支援艦隊がいるはずだ。十分に気をつけろ』
「「了解!」」
神林との通信を終え、艦隊は行動を再開した。
「さて…千代田さん、索敵はどうですか?」
「うーん、まだ引っ掛らないみたいね。もう少し、深めに探ってみましょうか」
青葉の問いに、偵察機を飛ばしていた千代田が応える。
「ごめんね千代田、ボクも航巡になれば一緒に手伝えるんだけど……」
青葉に続くように、最上が呟く。彼女は近代化改造することで、通常の『重巡洋艦』から『航空巡洋艦』になることが出来る。
その名の通り、航空機を運用する事が可能になる…が、生憎彼女は未だに重巡だ。
まぁ重巡のままでも偵察機を積めないことはないのだが、艦載数が少なく索敵効果も低いため、現在は積んでいない。
「気にしないで。千代田は大丈夫だから」
申し訳なさそうに呟く最上に、千代田が苦笑しながら応える。
「そうそう、ない袖は振れないのよ~」
そう言って最上の後ろについたのは龍田だ。因みに天龍は後方を警戒している。
「龍田さん…それフォローになってない気が…」
「あら、そう?」
「あはは…ありがと、二人とも」
そんな二人の言葉に、最上は苦笑しながらも礼を言った。
「…でも、改造で艦種が変わるってどんな感じなのかしら?」
「あ、それ私も気になります」
ふと、龍田がそんな事を口にした。
それを聞いた青葉も食いつく。
近代化改造によって艦種が変わる艦娘は意外と多い。
『戦艦』から『航空戦艦』に変わる『扶桑型』や『伊勢型』
『重巡洋艦』から『航空巡洋艦』に変わる『最上型』
『水上機母艦』から『軽空母』に変わる『千歳型』
『軽巡洋艦』から『重雷装巡洋艦』に変わる『北上』や『大井』
『潜水艦』から『潜水母艦』に変わる艦娘もいる。
「どうなんだろうね、僕はまだ改造をしてないから…千代田はどうだい?」
条件には当て嵌まるものの、改造を終えていない最上は首をかしげ、同じく該当者である千代田に振る。
「え、千代田の場合?うーん、言葉で説明するのが難しいわね…」
それまで偵察機を飛ばしていた千代田が、最上の問いに暫し考える。
「……自分の出来る事が変わったのが分かる…って感じかしら」
「出来る事が変わるのが分かる?」
千代田の言葉に、それまで後方で警戒をしていた天龍が会話に混じってきた。勿論、皆会話をしつつも周囲の警戒は怠らない。
「ざっくり言うとだけどね。そんな感じかな」
その名の通り、『水上機母艦』は水上偵察機等を運用する事が可能だ。
しかし、当たり前の話ではあるが、軽空母のように艦攻や艦戦を運用する事は出来ない。
自分が出来る事、自分に装備が出来るものが変わった、と言う事が無意識に理解できる。
それが、千代田が改造によって感じた事であった。
「ふーん、そんなモンかねぇ」
「逆に言うと、『出来なくなる』事も分かるんだけどね。今じゃもう魚雷も撃てないし、甲標的も装備できないし」
天龍の言葉に、千代田は肩を竦めながら応える。
千代田も水上機母艦の時は魚雷をバンバン撃っていたが、軽空母となった今はもう昔の話だ。
「『甲標的』って、確か『大井』が今装備してる奴だよね?」
「えぇ、そうよ?」
最上の言葉に、先程まで少し離れた所で周囲を警戒していた大井が近づいて来る。
「確か…砲撃戦の前に魚雷を撃てるんですよね?」
「あぁ、さっきやってたやつか。良いよなぁ『先制攻撃!』って感じで」
青葉の言葉に、先程の戦闘を思い出した天龍が羨ましそうに呟く。
ところが、大井は難しそうな顔をしていた。
「確かに、便利では在るんだけど……北上さんの言ってた通りね」
「なんだ?何か問題でもあんのか?」
はぁ、とため息をつきつつそう漏らす大井に、天龍は首を傾げる。
「扱いが難しいって話。極端すぎるのよ、性能が」
「と、言うと?」
「砲による火力がかなり落ちてるの。正直、新人駆逐艦にも負けてるかも」
「え、そんなに下がってるんですか!?」
「基本能力もそうだけど、何より追加装備の補正が大きいわ」
青葉の言葉に、大井が応えた。
大井の装備可能枠は二つ。それは重雷装艦となった今も変わらない。
以前は普通に砲と魚雷を一基ずつ積んでいたが、現在は事情が違う。
大井の『開幕魚雷』はあくまで『甲標的』を装備している為だ。
逆に言えば、『甲標的』を装備していなければ『開幕魚雷』は出来ない。
したがって、装備枠の内一つは『甲標的』で固定。ではもう一つは?
『重雷装巡洋艦』とは、『軽巡洋艦』を『強化』した物ではなく、『雷撃に特化』させたもの。
つまり、カテゴリは『軽巡』扱い。大型砲は装備できない。
そもそも半端な砲を積んだところで、元の性能が低い為、格上はおろか軽巡相手にも苦戦するだろう。
結果、大井は魚雷と甲標的を一基ずつ装備していた。
「ふーん…でもまぁ、開幕魚雷ってやつで、大抵の船は落とせるんだろ?」
「まぁ、確かにそうだけどね…慣れるまでは苦労しそうだわ。砲撃戦は任せたわよ?」
「へっ、問題ねぇよ」
大井と天龍のやり取りを横目に見つつ、青葉が声を張る。
「さて、雑談はこのくらいにしましょう!皆さん、行きますよ!」
「「了解!」」
旗艦の言葉に皆が気合を入れ直し、艦隊は進んで行く。
『……大抵の船は落とせる、か』
そんな中、先程のやり取りを黙って聞いていた最上の頭に、引っ掛っていることがあった。
『確かに大井の雷撃は強力だ。雷装値も、多分この中で一番高い…でも、『他』は軽巡並み…あるいは以下なんだよね?』
大井に目を向ける。多くの魚雷発射管を持っていること以外、艤装は軽巡のそれだ。
『もし、開幕魚雷で落とせなかったら。そして、そのまま砲戦に入ったら…この中で一番危ないのは彼女?』
と、ここまで考えたところで、千代田の声が最上の思考を中断させる。
「敵艦を発見!こちらに向かってきてます!」
「まぁ、向こうの前衛を潰した訳だから、そりゃ向かってきますよね」
千代田の言葉に、青葉が鎮守府に通信を送る。
「此方青葉。司令、聞こえますか?」
『此方神林。どうした?』
「敵艦が艦隊を発見。恐らく、敵支援艦隊かと」
鎮守府に居る神林に敵艦発見の報告を行う。
『やはり出てきたか……距離は?』
「今はまだ此方の射程外ですが、接近してきています」
『まぁ前衛を潰したからな、気付きもするだろう。さて、先程のように奇襲は出来ないが、まぁやることは同じだ』
「おう、全部沈めて良いんだろ?」
「ちょ、天龍さんまたですか……」
神林の言葉に、天龍がまたしても割り込む。
『あぁ、問題はない。お前達なら、押し負けることはないだろう。だが……』
「だが?」
『慢心が原因でこんな所で沈まれては、今日の夕餉が不味くなる。油断はするな。必ず、全員生きて帰って来い!』
「「「了解!」」」
神林の言葉に、全員の返事が一致する。
「さぁ、行きますよ!千代田さん、艦載機の発艦準備を!」
「もう出来てますよ、射程内に入り次第、いつでもいけます!」
「さっすがですねぇ!大井さん?」
「此方も問題ないわ。…海の藻屑にしてあげる」
「わぁ、凄く心強いのに背筋が寒いですね!不思議です!」
「……楽しそうだね、青葉」
なぜかやたらとハイテンションで艦隊指揮をとる青葉に最上が苦笑していた。
「さっきは殆ど何もしてませんでしたからね!色々天龍さんに持ってかれちゃいましたし!」
「え、俺のせいなのか!?」
「ホラホラ、おしゃべりしてないで準備するわよ天龍ちゃん。……さて、死にたい船は何処かしら?」
あらあらうふふ、といった表情で物騒な事を呟く龍田に、千代田が引きつった顔で呟く。
「…ねぇ最上、なんかこの艦隊、性格変わってる人多くない?」
「気にしたら負けだよ千代田。さぁ、始めようか」
千代田の問いに苦笑で応え、最上も戦闘の準備を整える。
程なくして、敵艦隊が射程に入る。編成は重巡1、雷巡1、駆逐2のようだ。
神林が予想していた通り、重巡や雷巡を擁する後方支援部隊だ。
「千代田さん、艦載機の発艦を!」
「了解!さぁ、攻撃隊、発艦開始よ!」
千代田が手に持つ箱のようなものから、艦載機を発進させる。
改めて敵艦隊に目を向ける。迎撃態勢こそ取ってはいるが、艦載機は発艦させていない。
どうやら向こうには空戦部隊は居ない様だ。
つまり、制空権は此方のものである。
「制空権は取ったわよ!でも、流石に重巡は硬いわね……」
千代田の航空戦により、駆逐艦が一隻大破、雷巡が中破したが、重巡には大した損害を与える事が出来なかった。
「まぁ、ダメージは与えました!次、大井さん、お願いします!」
「了解よ。さぁ、行きなさい!」
青葉の声に、大井が魚雷を発射する。
魚雷はそのまま重巡に吸い込まれる様に向かっていき―――
「サセルカ!」
「なっ!?」
重巡の『手前』で爆発した。
「何だ今の!?」
「誤爆かい?」
「大破した駆逐艦が庇ったみたいね……いや、駆逐艦を『楯』にしたのかも」
天龍と最上の疑問に、龍田が答える。
どうやら、旗艦である重巡を大破した駆逐艦が庇ったようだ。
ただ、先程の重巡の言葉を聞く限り、龍田の推測が正しいのかもしれない。
ともかく、千代田の航空戦と大井の雷撃で減らせたのは一隻。一番厄介な重巡はほぼ無傷。
「…皆さん、切り替えましょう!砲撃戦行きますよ!」
青葉の激が飛ぶ。
当たらなかったものはしょうがない。だが、ソレを気にしていたら『足』が止まる。
敵は重巡・雷巡共に健在なのだ。棒立ちは被弾を意味する。
「砲撃戦、開始です!」
青葉の声に、それぞれの砲を手に砲撃戦を開始する。大井も勿論、砲撃戦に参加したのだが……
『やっぱり、火力が低い!小破にもならないなんて…!』
やはり火力が低いのか、重巡にまともなダメージも通らない。
兎に角、砲撃戦を凌いで、雷撃戦に持ち込まなければ―――
そうやって自身の不利を考えてしまったせいか、大井の足が止まってしまった。
ソレを逃すほど、『相手』は日和っていない。
「ソンナカリョクデ!」
「しまっ……きゃぁぁぁぁぁ!!」
敵重巡の砲撃が、大井に直撃した。
●舞鶴鎮守府:提督執務室
通信機から聞こえてきた爆発音と親友の悲鳴に、北上は神林から通信機をひったくる。
「大井っち?ねぇ、大井っち!?どうしたの?大井っち!」
必死に通信機に話しかける。しかし砲撃の影響か、通信機からは雑音しか入ってこない。
『まさか―――沈んだ?大井っちが!?』
無傷の艦娘が一撃で轟沈する事は基本的に在り得ない―――そんな事すら今の彼女の頭からは吹き飛んでいる。
「大井っち、ねぇ、返事してよ大井っち!」
幾ら呼びかけても、返ってくるのは雑音ばかり。北上は通信機を取り落としてしまった。
手の震えが止まらない。足に力が入らない。視界がぐらりと揺れる。
―――どうしよう、大井っちがまた居なくなっちゃう。
また私をおいて、大井っちが遠くに行っちゃう。
嫌だよ、もう、一人になるのはいやだよ。
どうしよういやだどうしようどうしよういやだいやだ―――「しっかりしろ北上」
―――その時だ。
崩れ落ちそうになった北上の肩を、力強い腕が支えた。
「提督………」
「お前達は決して沈ませない」
神林は北上を支えたまま、通信機を拾い上げる。
「此方神林、艦隊応答せよ」
『ザザッ――此方最上、提督、聞こえるよ』
「最上か、何があった?」
『敵重巡の攻撃で大井が大破。雷巡の追撃を咄嗟に庇ったから、僕も小破しちゃった……でも、大井は無事だよ。彼女の通信機は壊れちゃったみたいだけどね』
「他の損害は?」
『僕たち以外はほぼ無傷だよ。今、残った重巡は青葉と千代田が、雷巡と駆逐は天龍と龍田が相手してくれてる』
「了解した。お前は戦闘に参加しなくていい。大井を頼む。」
『了解。…一応気をつけてたつもりだったんだけど…ごめんね提督。大井へのフォローが遅くなった』
「気にするな、沈まなければ問題ない……大井の様子は?」
『艤装も魚雷もボロボロだ。意識も…直撃したせいかな、朦朧としてる。沈みはしないけど、これ以上の戦闘は無理だよ』
最上の報告に、北上が声にならない悲鳴を上げるが、今の神林に声を掛けている暇はない。
北上を支える手に力を込めるだけにとどめる。彼女はほぼ神林にしがみついている状態だ。
兎にも角にも、残存勢力を何とかしなければ、と考えた所で、天龍たちから通信が入る。
『提督、雷巡と駆逐は沈めた…けど、龍田が中破した。指示をくれ』
「龍田、自力での航行は可能か?無理なら天龍に担がせる」
『此方龍田。鎮守府に戻る分なら大丈夫よー。……天龍ちゃんのお姫様抱っこは魅力的だけどね』
『いや自分で帰れるんならそうしろよ。流石にこっから担いで帰るのはおm「何か言った天龍ちゃん?」なんでもないです』
「……大丈夫そうだな」
取り合えず、天龍と龍田は問題なしと。あとは青葉と千代田だが……
『此方青葉。司令、聞こえますか?』
「此方神林。どうした?」
『青葉と千代田で重巡を追い詰めたんですが……逃げられました』
『はぁ?沈めれなかったってのか?』
呆れたような天龍の言葉に、千代田が応える。
『大破まではもっていけたんだけど…気になる情報がね』
「情報だと?」
『どうも、重巡が【増援】を要請していたみたいでなんです。提督、この海域の【敵主力艦隊】って……』
「……戦艦ル級がいたな、確か」
記憶が正しければ、この海域の主力艦隊は戦艦1、雷巡1、軽巡1に駆逐2の編成だったはず。
対する此方は重巡2(小破1)、雷巡1(大破)、軽空母1、軽巡2(中破1)。
「引いて正解だな。今の状態で、戦艦と戦うのは無謀でしかない」
『そう言って頂けると助かります。現在なら、敵主力につかまる前に引けますが?』
青葉が探るように問うが、問われるまでもない。
「直ちに進撃を中止。総員撤退せよ。青葉に千代田、大井を頼めるか?」
『問題ないですよ。千代田も大丈夫?』
『問題ないわ。絶対に、大井は連れて帰ってみせるから』
「あ、あの……!」
『その声は……北上?』
「うん。あの、二人とも……大井っちを、お願い」
堪らず声を出した北上に、青葉が応える。
『青葉にお任せです。ドックの用意、頼みますよ』
通信を切り、神林は北上の頭に手を置く。
「さて、ドックの準備だ。確か赤城と飛龍が入っていたか…バケツ使うか」
そう言って執務室を後にする神林。
一人残された北上は暫らく自分の頭に手をやって惚けていたが、ふと我に返り、
「ま、まってよ提督!」
慌てて神林を追いかけた。
その後、青葉の艦隊は追撃に遭う事無く鎮守府に帰還し、大破した大井は直ちにドックに運び込まれた。
いやはや、文章まとまんねぇや!(開き直り)
しかしこうして文章にすると、結構艦種が変わる艦娘って多いんですよねぇ。…抜けてないよね?
これからも増えてくんでしょうね、きっと。…扶桑改二実装はよ。
私の中で、北上さまは飄々としているようで結構ナイーブ。
ことある事に『アレ』の話するしね。結構弱気発言多いし。
後編も、近いうちに更新します。