“自称”何でも屋の幻想郷―――生活   作:牙の道化師

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かなり放置していたがモチベーションが漲ってきたのと深夜のテンションの所為です。


紅魔館の優雅な依頼
始まりは洒落と共に


あの受けたくない依頼の件から1週間、直人は今日も今日とて何でも屋の仕事をこなしていた。

 

「ふぅ、青山さん家の子供の遊び相手も疲れるな……。」

 

そう呟き、店の中に入る。

正し広さは大きく異なっている。

少しだけだが改築したのだ。

そのお陰で、ある程度は広くなり、依頼人が座れる横に長い椅子(背もたれ無し)と対面に机と椅子が置かれたのである。

 

「しかしまぁ、慧音さんと鈴仙には感謝しないとな~」

 

今の人物達が改築をする切っ掛けになった。

あの依頼の会った日、人間の直人を送ってくれた鈴仙が改築前の家を見て一言。

 

『………これ……押入れ?』

 

と発言されたのが始まりだった。

因みにその言葉を聞いた兎詐欺と金髪幼女が笑い転げて居たが、直人は男女平等におしおきが出来る技を会得していたのでそれでおしおきをした。

その光景を見ていた鈴仙はと言うと。

(直人は怒らせない方が良いかもね……;)

と内心戦慄を覚えたとか覚えなかったとか。

 

兎に角、その後に鈴仙が人里で慧音にあった際にそれとなく直人の家の惨状を伝えてくれたので、色々と手を回してくれたらしい。

頼まれた大工さん達も直人の働きのお陰である程度楽をさせてもらっているから無料でやってくれると言ってくれた。

 

そんなこんなで、ある程度何でも屋の事務所兼自宅は改築され住みやすくなった。

 

「後は現代社会の設備があれば文句無しなんだけど……無いものねだりだな。」

 

そう呟いて、彼は午後の仕事を待つ。

 

 

 

 

そんな時だった。

 

ガラッ

 

「ごめんください。」

「あ、いらっしゃい。自称何でも屋にようこそ。」

 

直人は入ってきた人にそう声を掛けた。

 

入ってきたのは女性だった。

 

銀髪のボブに両方のもみあげ辺りから、先端に緑色のリボンをつけた三つ編みを結っおり、瞳の色は赤。

身長から察するに10代後半以降程度だろう。

服装は青と白を基調としたメイド服であり、頭にカチューシャ(ホワイトブリム)を装備している。

裾の長さは膝上丈~膝丈程度で、襟・肩のひらひら・メイドカチューシャ・帯・前掛け(エプロン)が白で、下の服が青色であるという事だろうか。

良く見ると腰に銀色の懐中時計がぶら下がっている。

顔は美人さんと言えるのは幻想郷では当たり前?の様だ。

 

「さて、ご依頼ですか?それとも世間話でもしますか?それなら今夜どうでしょうか?」

 

とりあえず彼は口説きに掛かったが。

 

「お断りさせていただきます。少なくとも礼を欠いた方と一夜を共にする気は毛頭ありません。」

「礼を欠かなかったら過ごしても良いのかよ……?」

「さぁ?それは状況によりますと思いますよ?」

 

はぐらかす女性。

 

「まぁ良いや。それで、ご依頼の様ですが……どんな依頼で?」

「えぇ、実は私の勤めているお屋敷の妹様の遊び相手をして欲しいの。」

「遊び相手ね……。別に構わないけど……。」

「けど?」

 

女性は不思議そうに尋ねる。

 

「―――その依頼はあんた自身の依頼か?」

 

直人の眼が鋭くなる。

彼は仕事を請負う際、必ず成功させようと言う信念があるが、それには条件がある。

依頼人自身が依頼してくる事。

特別な事情を除いて、代わりの人を使って依頼に来させると言う事は彼に取ってはNGである。

勿論それでは食べてはいけない。

しかし、それを承知の上で彼は聞いた。

 

女性は直人の問いに答えた。

 

「………いいえ、これは我が主のご依頼よ。」

 

その言葉を聞いた直人は、背もたれのある椅子に座りこう言った。

 

「お帰りください。」

 

 

その言葉を聞いた女性は眉を潜める。

 

「何故です?報酬は払います。」

「そういう事じゃないんだよ。家は自称何でも屋。受けたい時に受け、受けたくない事は受けない。悪いが他を当たってくれ。」

 

直人は冷たく突き放す。

 

しかし、彼は気づいていなかった。

女性の体が“微かに震えている”事を―――

 

そして

 

 

 

時が

 

 

 

止まった

 

 

 

 




次回に続く。

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